新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO) 2022年4月5日

世界の概況

新規感染者数については、2022年3月前半に増加が観察された後2週連続で減少しました。2022年3月28日から4月3日(以下「直近1週間」という。)に報告された新規感染者数については、再度減少し、前週と比較して16%減少しました(図1)。新規死亡者数については、人為的な急増が観察された前週と比較して43%急激に減少しました(図1)。WHO管轄の6地域全体で、9,351,818人の新規感染者数及び26,285人の新規死亡者数が報告されました(表1)。全ての地域で新規感染者数及び死亡者数の減少傾向が報告されています(表1)。2022年4月3日時点で、全世界の累積感染者数は489,060,735人、累積死亡者数は6,150,333人となります。
 
これらの傾向については、いくつかの国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、韓国(2,058,375人、16%減少)、ドイツ(1,371,270人、13%減少)、フランス(959,084人、13%増加)、ベトナム(796,725人、29%減少)及びイタリア(486,695人、3%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ(4,435人、10%減少)、ロシア(2,357人、18%減少)、韓国(2,336人、5%減少)、ドイツ(1,592人、5%増加)及びブラジル(1,436人、19%減少)でした。
 
図1 2022年4月3日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 

表1 2022年4月3日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者

 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、2022年1月以降減少傾向が報告されており、直近1週間で23,968人と報告され、前週と比較して19%減少しました。しかしながら、アフリカ地域内の9か国(全体の18%)については、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、モーリタニアで875%(4人から39人)、セーシェルで115%(206人から442人)及びナミビアで54%(63人から97人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で129人と報告され、前週と比較して21%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 9,802人 16.5人 10%増加
レユニオン 9,756人 1089.7人 15%増加
モーリシャス 794人 62.4人 90%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 81人 1.0人未満 6%減少
エチオピア 12人 1.0人未満 300%増加
ジンバブエ 9人 1.0人未満 18%減少

アメリカ地域

アメリカ地域の新規感染者数については、2022年1月中旬以降減少傾向が報告されており、直近1週間で538,114人と報告され、前週と比較して15%減少しました。しかしながら、アメリカ地域内の13か国(全体の23%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、サバで1,733%(3人から55人)、アルバで373%(26人から123人)及びサンバルテルミーで139%(78人から186人)最大の新規感染者数の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で7,822人と報告され、前週と比較して61%減少しました。前週は、チリ及びアメリカにおける新型コロナウイルス感染症の定義の変更より、人為的な急増が観察されました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
アメリカ 205,433人 62.1人 2%増加
ブラジル 172,908人 81.3人 25%減少
カナダ 48,853人 129.4人 16%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アメリカ 4,435人 1.3人 10%減少
ブラジル 1,436人 1.0人未満 19%減少
ボリビア 408人 3.5人 8,060%増加※
※蓄積の報告による。

東地中海地域

東地中海地域
新規感染者数については、2022年2月上旬に頂点に達して以降減少が継続しており、直近1週間で45,545人と報告され、前週と比較して9%減少しました。しかしながら、ヨーロッパ地域の2か国(全体の9%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、イランで84%(9,572人から17,582人)及びイラクで22%(1,956人から2,379人)の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で687人と報告され、前週と比較して16%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン 17,582人 20.9人 84%増加
バーレーン 5,198人 305.5人 20%減少
エジプト 4,375人 4.3人 21%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 306人 1.0人未満 27%減少
チュニジア 158人 1.3人 58%増加
エジプト 56人 1.0人未満 33%減少

 

ヨーロッパ地域

新規感染者数については、2022年3月上半期に増加が観察された後、2週連続で減少しており、直近1週間で4,633,407人と報告され、前週と比較して16%減少しました。ヨーロッパ地域内の4か国(全体の7%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、マルタで74%(2,434人から4,243人)、ウズベキスタンで28%(165人から212人)及びキルギスで27%(70人から89人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死者数については、減少が継続しており、直近1週間で10,448人と報告され、前週と比較して15%減少しました。
 
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 1,371,270人 1648.8人 13%減少
フランス 959,084人 1474.6人 13%増加
イタリア 486,695人 816.0人 3%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア 2,357人 1.6人 18%減少
ドイツ 1,592人 1.9人 5%増加
イタリア 966人 1.6人 4%減少

 

東南アジア地域

新規感染者数については、2022年1月中旬以降減少傾向が継続して観察されており、直近1週間で221,895人と報告され、前週と比較して5%減少しました。しかしながら、ブータンで107%(3,076人から6,357人)の新規感染者数の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で1,607人と報告され、前週と比較して73%減少しました(前週は、インドで後ろ向きの追跡による人為的な急増が観察されました。)。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
タイ 182,510人 261.5人 4%増加
インドネシア 21,028人 7.7人 42%減少
インド 8,678人 1.0人未満 25%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 618人 1.0人未満 34%減少
タイ 616人 1.0人未満 11%増加
インド 341人 1.0人未満 92%減少

 

西太平洋地域

新規感染者数については、2021年12月末以降に増加傾向が観察された後、2週連続で減少しており、直近1週間で3,888,889人と報告され、前週と比較して16%減少しました。西大平洋地域内の7か国(23%)において20%を超える新規感染者数の増加が報告されました。モンゴルで162%(622人から1,628人)、ソロモン諸島で56%(668人から1,044人)及びクック諸島で49%(554人から828人)の新規感染者数の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、1か月間増加が継続しており、直近1週間で5,592人と報告され、前週と比較して16%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
韓国 2,058,375人 4014.8人 16%減少
ベトナム 796,725人 818.5人 29%減少
オーストラリア 399,479人 1,566.6人 9%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
韓国 2,336人 4.6人 5%減少
中国 960人 1.0人未満 34%減少
日本 549人 1.0人未満 16%減少

 

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点

国の、当局、機関及び研究者と協力して、新型コロナウイルスの変異株が感染・伝播性や病原性に影響するか否か、感染拡大を制御するための、ワクチンの有効性、治療法、診断又は公衆衛生上の取組について、WHOは定期的に評価しています。潜在的な、懸念される変異株(以下「VOC」という。)、注目すべき変異株(以下「VOI」という。)及び監視下にある変異株(以下「VUM」という。)は、世界の公衆衛生にもたらすリスクに基づいて定期的に評価されています。科学的根拠が明らかになれば、流行している変異株の継続的な進化及び付随する疫学の変化を反映するために、変異株の分類が改訂される予定です。変異株の分類基準、VOC、VOI及びVUMの現在の一覧は、新型コロナウイルス変異株の追跡ウェブサイトで閲覧できます。国の当局は、他の変異株の指定を選択することができ、かつ、これら変異株の影響に基づいて調査・報告をするよう奨励されています。最初の症例(2019年12月)から新型コロナウイルスのゲノム配列に言及する場合、「インデックスウイルス」という用語を使用する必要があります。
 

VOCの世界的拡散及び有病率

変異株B.1.1.529系統(以下「オミクロン株」という。)は依然として世界的に優勢な変異株であり、GISAIDに直近で提出された検体のほぼ全てを占めています。過去30日間に採取されてGISAIDに提出された417,147検体のうち、416,175検体(99.8%)がオミクロン株、141検体(0.1%未満)がデルタ株及び562検体(0.2%未満)がPango系統に分類されない検体でした。提出されるオミクロン株の検体に係る総数は減少を継続しており、オミクロン株の下位系統でこの傾向が観察されています。オミクロン株の下位系統の中で、BA.2系統の相対的な割合が93.6%まで増加した一方、BA.1.1系統が4.8%、BA.1系統及びBA.3系統が0.3%未満を占めています(図4A及びB)。BA.2系統はWHO管轄の6地域全体及びデータが利用可能な68か国において優勢となっています(図4C)。しかしながら、BA.2系統の上昇には地域間の違いがあります。特に南アメリカでは、BA.2系統は、他の地域と比較して遅く立ち上って推移し、第11週(2022年3月14日から20日まで)にオミクロン株の系統で28%を占めます。これらの傾向については、サーベイランスの限界を考慮し、慎重に解釈する必要があります(サーベイランスの限界は、ゲノム解析のための実験室における所用時間及び報告の遅延と同様に、国・地域毎のゲノム解析能力及び検体採取方式の違いを含む。)。

図4 検体採取の週までにGISAIDに提出された検体のうちオミクロン株系統の世界的な分布及び相対的な割合


公的に利用可能なデータベースにおける新型コロナウイルス検体数の減少について

GISAIDで報告された週毎の検体数が最大であった2022年の最初の疫学週(284,061検体)以降、週毎の検体数は著明に減少しています。第12週(2022年3月21日から27日まで)の間に、65,381検体のみが採取され、GISAIDに提出されました。週ごとの検体採取及び提出が平均して12%減少しています。検体数の減少は世界的に観察された全体的な傾向と一致していますが、検体採取及びゲノム解析の戦略を含め、いくつかの国が疫学的な調査の政策を変更したことを反映している可能性があり、その結果、実施される検査の総数が減少し、検出される症例数が減少しているかもしれません。
 

組換えウイルスの更新について

新型コロナウイルスは、進化し続けています。現在世界的に感染・伝播性が高い段階にあることを踏まえると、組換えウイルスを含む、更なる変異株が出現し続けるおそれがあります。組換えはコロナウイルスで一般的であり、予期された変異の契機とみなすことができます。WHOは、BA.1系統及びBA.2系統の組換えウイルス(例えばXE Pango系統)と同様に、デルタ株(AY.4系統)及びオミクロン株(BA.1系統)の組換えウイルス(例えばXD Pango系統)を追跡しています。XD組換えウイルスは、その拡散は現時点で限定的であるようですが(GISAIDにおける26検体)、WHOによってVUMとして追跡されています。これは、その他流行している変異株と比較してより感染・伝播性が高いという、利用可能な科学的根拠は現在ありません。XE組換えウイルスは、オミクロン株の一部として追跡されています。この組換えウイルスは2022年1月19日に英国で最初に検出され、およそ600の検体が2022年3月29日時点で報告され、確定しています。早期の見積もりでは、BA.2系統と比較してXE組換えウイルスが1.1の増加率(これは、感染・伝播性が10%高いと示します。)を有すると示唆していますが、これには更なる確認が必要です。新たな変異株の進化率及び出現の危機は、組換えウイルスも含め、依然としてかなり高いままです。加盟国によるデータの即時的な共有と並行し、継続的な、包括的な、及び代表的な集団の検体採取及びゲノム解析の戦略を実装することは、新型コロナウイルスの先行きを追跡及び理解するために、これからも重要です。WHOは、組換え体に伴う公衆衛生上の危機の詳細な監視及び評価を他の新型コロナウイルス変異株と平行して継続しており、更なる科学的根拠が利用可能になれば、最新の情報を提供する予定です。

オミクロン株の特徴について

VOCの表現型の影響に関する利用可能な科学的根拠は過去の報告https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reportsにあります。2022年3月22日の更新https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---22-march-2022以降、オミクロン株についての文献を含む、VOCの表現型に係る特徴についてのいくつかの新たな文献があります。これらの研究の一部は未査読であり、それゆえ、この限界を加味して慎重に解釈する必要があります。

ワクチン

図5及び6は、ワクチンの1若しくは2回目接種(以下「初回接種」という。)又は初回接種後の接種(以下「追加接種」という。)がデルタ又はオミクロン株へ及ぼすワクチンの有効性(以下「有効率」という。)について、それぞれ要約したものです。直近の更新以降4の研究が追加され、1の研究にあってはデルタ株に対する有効率を評価し、2の研究にあってはオミクロン株に対する有効率を評価しており、1の研究にあってはデルタ株及びオミクロン株に対する有効率を評価しており、それぞれ図に追加されています。オミクロン株の研究のうち、1の研究にあってはヤンセン製ワクチン(査読済み)、1の研究(未査読)にあってはモデルナ製ワクチン、2の研究(うち1の研究が未査読。)にあってはファイザー製ワクチンによる、新規の有効率に係るデータを提供しました。

図5及び6 デルタ及びオミクロン株に対するワクチン初回又は追加接種の有効率

オミクロン株に対するワクチンの有効率の結果に係る解釈

今日に至るまで、12の研究は、ワクチン初回接種後のオミクロン株に対する、全ての予防(感染、発症及び重症化の予防をいう。以下同じ。)の有効率は、他のVOCに対する有効率と比較して減じたと報告しています。重要なことに、オミクロン株に対する重症化予防の有効率については高いままです。ワクチンの追加接種は、全製品において全ての予防の有効率を著明に改善します。しかしながら、追加接種後の追跡期間が短いため、追加接種後の全ての予防の有効率に係る持続期間については、更なるデータが必要です。
 
重症化予防の有効率に関して、ワクチンの初回接種後3か月以内において、8のうち4の研究(50%)にあってはメッセンジャーRNAワクチン(モデルナ及びファイザー製ワクチン。以下「mRNAワクチン」という。)の有効率を70%以上と見積もり、その一方、2の研究にあってはウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ及びヤンセン製ワクチン)の有効率を50%未満と見積もりました。初回接種後3か月を超えると、17のうち6の研究(35%)はmRNAワクチンの有効率を70%以上と見積もりましたが、5の研究のうちウイルスベクターワクチンの有効率を70%以上に見積もった研究はありませんでした。12の研究全てにあってはワクチンによる追加接種で重症化予防の有効率が改善し、1の研究にあっては追加接種後14日から3か月間でのヤンセン製ワクチンの見積もりが70%未満でした(17の研究にあってはmRNAワクチンの追加接種、2の研究にあってはヤンセン製ワクチンの追加接種による有効率を見積りました。)。mRNAワクチンの追加接種後3から6か月間において、9の研究全てが有効率を70%以上と見積り、6の研究にあってはmRNAワクチンの初回接種、3の研究にあってはアストラゼネカ製ワクチンの初回接種でした。
 
ワクチンによる感染及び発症予防の有効率は重症化予防より低くなる傾向にあり、時間経過とともに著明に減少します。発症予防の有効率については、初回接種後3か月間において、mRNAワクチンに係る2の研究(全部で8の研究)で70%以上であり、ウイルスベクターワクチンに係る1の研究で70%未満でした。接種後3か月を超えると、14の研究のうち有効率が50%以上のものはありませんでした(12の研究がmRNAワクチンの、2の研究がアストラゼネカ製ワクチンの見積もりでした。)。mRNA又はウイルスベクターワクチンの初回接種完了後に追加接種した場合の発症予防の有効率については、追加接種後14日から3か月間で、13のうち4の研究(31%)が70%以上、13のうち11の研究(85%)が50%以上と見積りました。しかしながら、追加接種の予防の有効率については、接種後に時間経過とともに減弱するようであり、mRNAワクチンの追加接種後3から6か月間で、4のうち1の研究(25%)が有効率を50%以上と見積もりました。感染予防の有効率については、発症予防の有効率と同様の類型を示しました。
 

デルタ株に対するワクチンの有効率の結果に係る解釈

今日に至るまで、41の研究がデルタ株による感染及び疾患に対する有効率に係る科学的根拠に貢献しています。デルタ株に対する有効率はオミクロン株に対するものより著明に高く、感染及び発症予防の有効率については時間経過とともに漸減します。デルタ株に対する重症化予防の有効率については、時間経過とともに微減します。
 
ワクチンの初回接種後3か月間のデルタ株に対する重症化予防の有効率については、mRNAワクチンに係る10の研究全て及びウイルスベクターワクチンに係る5のうち4の研究(80%)が70%以上と見積もりました。さらに、不活化ワクチン(CNBG及びシノバック製ワクチン)に係る2のうち1の研究は、デルタ株に濃厚接触した危機のある集団における研究であり、有効率を70%以上と見積もりました。接種後3か月を超えた場合、mRNAワクチンに係る23の研究全て及びウイルスベクターワクチンに係る10のうち5の研究が有効率を70%以上と見積もりました。追加接種は重症化予防の有効率を著明に改善し、接種後14日から3か月間で25の研究全てが70%以上と見積もりました(mRNAワクチンに係る22の研究、アストラゼネカ製ワクチンに係る1の研究及びシノバック製ワクチンに係る1の研究)。mRNAワクチンの追加接種後3から6か月間における有効率については、5のうち4の研究(80%)が70%以上と見積もりました。
 
感染及び発症予防の有効率については、重症化予防の有効率よりも低くなる傾向にあり、時間経過とともに著明に減少すると見積りがあります。それにもかかわらず、初回接種後3か月間の発症予防の有効率については、mRNAワクチンに係る11の研究全て及びウイルスベクターワクチンに係る4のうち2の研究(50%)が70%以上と見積りました。デルタ株に濃厚接触した危機の高い集団における不活化ワクチンに係る2の研究は、有効率を50%未満と見積もりました。ワクチン接種後3か月を超えた場合、mRNAワクチンに係る15のうち7の研究(47%)が有効率を70%以上と見積もりました(アストラゼネカ製ワクチンに係る3の研究では、70%以上と見積もる研究はありませんでした。)。mRNA又はアストラゼネカ製ワクチンの初回接種完了後にmRNAワクチンを追加接種した後3か月間の発症予防の有効率については、18の研究全てが70%以上と見積りました。これは、追加接種後6か月を超えても有効率が70%以上に持続すると4の研究全てが示しました。不活化ワクチンの発症予防の有効率にあってはデータが限定的であり、時間経過中の感染予防の有効率にあっては同様でした。シノバック製ワクチンに係る1の研究が接種後完了後3か月間の有効率を70%以上と見積もっており、接種後3から6か月間で50%未満に減少しました。しかしながら、シノバック製ワクチンの初回接種後、様々な状況での追加接種3か月間は有効率が70%以上に回復したと6の研究全てが示しました。
 

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 5 April 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---5-April-2022