新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告
COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2022年5月4日
世界の概況
新規感染者数及び死亡者数については、2022年3月以降世界的に減少が継続しています。2022年4月25日から5月1日(以下「直近1週間」という。)の新規感染者数及び死亡者数については、それぞれ3,893,033人及び15,695人と報告され、前週と比較してそれぞれ17%及び3%減少しました(図1)。しかしながら、全ての地域で減少傾向が報告された訳ではありません。新規感染者数にあってはアフリカ地域で31%及びアメリカ地域で13%の増加が報告された一方、新規死亡者数にあっては東南アジア地域で69%(概ねインドからの報告遅延による。)の増加が報告されました。2022年5月1日時点で、全世界の累積感染者数は511,252,681人、累積死亡者数は6,238,149人となります。
これらの傾向については、いくつかの国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、ドイツ(558,958人、24%減少)、イタリア(384,825人、8%減少)、フランス(382,208人、30%減少)、韓国(380,455人、35%減少)及びアメリカ(372,167人、27%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ(2,199人、5%減少)、インド(1,650人、273%増加)、ロシア(1,129人、19%減少)、フランス(900人、2%増加)及びイタリア(898人、11%減少)でした。
図1 2022年5月1日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2022年5月1日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数
これらの傾向については、いくつかの国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、ドイツ(558,958人、24%減少)、イタリア(384,825人、8%減少)、フランス(382,208人、30%減少)、韓国(380,455人、35%減少)及びアメリカ(372,167人、27%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、アメリカ(2,199人、5%減少)、インド(1,650人、273%増加)、ロシア(1,129人、19%減少)、フランス(900人、2%増加)及びイタリア(898人、11%減少)でした。
図1 2022年5月1日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
表1 2022年5月1日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数
WHO管轄地域別の概況
アフリカ地域
新規感染者数については、2022年1月以降減少傾向が観察されていましたが、2週連続で増加し、直近1週間で49,373人と報告され、前週と比較して31%増加しました。アフリカ地域内の12か国(全体の24%)については、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、ブルンジで265%(343人から1,253人)、ルワンダで150%(18人から45人)及びエスワティニで93%(186人から359人)の最大の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で84人と報告され、前週と比較して56%減少しました
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で84人と報告され、前週と比較して56%減少しました
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
南アフリカ | 32,236人 | 54.4人 | 67%増加 |
レユニオン | 12,889人 | 1439.6人 | 7%減少 |
ブルンジ | 1,253人 | 10.5人 | 265%増加 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
南アフリカ | 65人 | 1.0人未満 | 58%減少 |
レユニオン | 7人 | 1.0人未満 | 36%減少 |
セーシェル | 3人 | 3.1人 | 同等 |
アメリカ地域
新規感染者数については、3週連続で増加傾向となり、直近1週間で616,348人と報告され、前週と比較して13%増加しました。アメリカ地域内の22か国(全体の39%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、モントセラトで3,800%(1人から39人)、ハイチで180%(15人から42人)及びコスタリカで161%(1,642人から4,290人)の最大の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で4,200人と報告され、前週と比較して同等でした。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で4,200人と報告され、前週と比較して同等でした。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
アメリカ | 372,167人 | 112.4人 | 27%増加 |
ブラジル | 94,345人 | 44.4人 | 3%増加 |
カナダ | 54,519人 | 144.5人 | 14%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
アメリカ | 2,199人 | 1.0人未満 | 5%減少 |
ブラジル | 853人 | 1.0人未満 | 31%増加 |
カナダ | 477人 | 1.3人 | 6%増加 |
東地中海地域
新規感染者数については、2022年2月に頂点を迎えた後は減少が継続しています。直近1週間で16,235人と報告され、前週と比較して29%減少しました。しかしながら、ジブチでは、54%(13人から29人)の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で223人と報告され、前週と比較して21%減少しました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で223人と報告され、前週と比較して21%減少しました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
イラン | 6,141人 | 7.3人 | 41%減少 |
バーレーン | 2,876人 | 169.0人 | 6%減少 |
UAE | 1,679人 | 17.0人 | 3%増加 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
イラン | 121人 | 1.0人未満 | 25%減少 |
エジプト | 42人 | 1.0人未満 | 同等 |
チュニジア | 17人 | 1.0人未満 | 29%減少 |
ヨーロッパ地域
新規感染者数については、2022年3月前半に増加が観察された後、減少が継続しています。直近1週間で1,899,829人と報告され、前週と比較して22%減少しました。しかしながら、ヨーロッパ地域内の6か国(10%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、キプロスで62%(6,115人から9,901人)、スペインで45%(76,005人から110,116人)及びカザフスタンで39%(125人から174人)の増加が報告されました。
新規死者数については、減少が継続しており、直近1週間で6,456人と報告され、前週と比較して16%減少しました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死者数については、減少が継続しており、直近1週間で6,456人と報告され、前週と比較して16%減少しました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
ドイツ | 558,958人 | 672.1人 | 24%減少 |
イタリア | 384,825人 | 645.2人 | 8%減少 |
フランス | 382,208人 | 587.7人 | 30%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
ロシア | 1,129人 | 1.0人未満 | 19%減少 |
フランス | 900人 | 1.4人 | 2%増加 |
イタリア | 898人 | 1.5人 | 11%減少 |
東南アジア地域
新規感染者数については、2022年1月以降減少傾向が継続して観察されており、直近1週間で123,210人と報告され、前週と比較して24%減少しました。しかしながら、東ティモール及びインドで、それぞれ57%(7人から11人)及び40%(15,448人から21,643人)の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で2,669人と報告され、前週と比較して69%増加しました(ほとんどがインドにおける死亡者数の報告の遅延によるものです。)。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で2,669人と報告され、前週と比較して69%増加しました(ほとんどがインドにおける死亡者数の報告の遅延によるものです。)。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
タイ | 96,610人 | 138.4人 | 29%減少 |
インド | 21,643人 | 1.6人 | 40%増加 |
インドネシア | 2,890人 | 1.1人 | 32%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
インド | 1,650人 | 1.0人未満 | 273%増加 |
タイ | 842人 | 1.2人 | 6%減少 |
インドネシア | 173人 | 1.0人未満 | 26%減少 |
西太平洋地域
新規感染者数については、2022年3月から減少が継続しており、直近1週間で1,188,038人と報告され、前週と比較して20%減少しました。しかしながら、西太平洋地域内の9か国(29%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、ソロモン諸島で636%(299人から2,202人)、フィジーで400%(22人から110人)及びニューカレドニアで167%(36人から96人)の最大の増加が報告されました。
新規死亡者数については、直近1週間で2,063人と報告され、前週と比較して8%減少しました。
新規感染者数が多い上位3か国
新規死亡者数が多い上位3か国
新規死亡者数については、直近1週間で2,063人と報告され、前週と比較して8%減少しました。
新規感染者数が多い上位3か国
国名 | 新規感染者数 | 人口10万人当たりの 新規感染者数 |
前週との比較 |
韓国 | 380,455人 | 742.1人 | 35%減少 |
オーストラリア | 271,216人 | 1063.6人 | 8%減少 |
日本 | 254,946人 | 201.6人 | 11%減少 |
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 | 新規死亡者数 | 人口10万人当たりの 新規死亡者数 |
前週との比較 |
韓国 | 742人 | 1.4人 | 29%減少 |
中国 | 416人 | 1.0人未満 | 93%増加 |
日本 | 283人 | 1.0人未満 | 3%減少 |
新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点
国の、当局、機関及び研究者と協力して、新型コロナウイルスの変異株が感染・伝播性や病原性に影響するか否か、感染拡大を制御するための、ワクチンの有効性(以下「有効率」という。)、治療法、診断又は公衆衛生上の取組(以下「PHSM」という。)について、WHOは定期的に評価しています。潜在的な、懸念される変異株(以下「VOC」という。)、注目すべき変異株(以下「VOI」という。)及び監視下にある変異株(以下「VUM」という。)は、世界の公衆衛生にもたらすリスクに基づいて定期的に評価されています。流行している変異株の継続的な進化及び付随する疫学の変化を反映するために、変異株の分類が改訂される予定です。変異株の分類基準、現在又は過去に流行していた、VOC、VOI及びVUMの現在の一覧は、新型コロナウイルス変異株の追跡ウェブサイトhttps://www.who.int/en/activities/tracking-SARS-CoV-2-variants/ で閲覧できます。国の当局は、他の変異株の指定を選択することができ、かつ、進化した変異株及びその影響を調査及び報告するよう強く奨励されています。
VOCの世界的な拡散及び有病率
オミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)のVOCは世界的に優勢な変異株であり、GISAIDに報告された検体のほぼ全てを占めています。2021年11月26日にWHOによってVOCとして指定を受けて以降、オミクロン株は進化を継続しており、わずかに異なる遺伝的な変異の集合体を伴う変異株になっています。それぞれの集合体は、疫学及び重症度における変化を含んだ、公衆衛生上のリスクの観点で異なります。オミクロン株の亜型は他の変異株と比較して高い増加優位性があり、これは主に免疫回避性によるものです。オミクロン株の亜型は多くの症例をこれまでも、かつ現在も生み出しており、結果として高い入院者数及び死亡者数につながります。
3つのオミクロン株の亜型である、BA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統は、それらの特徴に影響を与えうる、いくつかの変異を獲得しています(BA.4系統及びBA.5系統はdeletion 69-70、L452R及びF486V変異を有し、BA.2.12.1系統はL452Q及びS704L変異を有します。)。GISAIDのデータ及びWHO管轄の地域事務所・国からの報告に基づき、症例数及びこれら3つの変異株の特定に係る報告を行った国の数は増加しています。今日に至るまで科学的根拠が限られており、入院者数又は他の重症度増加の兆候における増加を示していません。SGTF(S遺伝子のPCR検査が陰性となる。BA.2系統にはなく、BA.4系統及びBA.5系統には存在する。)を用いた南アフリカからの予備データでは、BA.1系統と比較し、BA.4系統及びBA.5系統の入院リスクに差はありませんでした。しかしながら、BA.4系統及びBA.5系統症例の短い追跡期間では、現段階におけるこれら亜型の疾患に係る重症度について、結論付けることはできません。
WHOは、オミクロン株のVOCの一部としてBA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統について、詳細な監視を継続し、重症度に関する科学的根拠が更に利用可能になれば、更なる更新情報を提供し続けています。WHOは、各国に対し、引き続き警戒し、検体を監視及び報告し、及び様々な進化した変異株の独立かつ比較の分析を実施するよう要請しています。
3つのオミクロン株の亜型である、BA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統は、それらの特徴に影響を与えうる、いくつかの変異を獲得しています(BA.4系統及びBA.5系統はdeletion 69-70、L452R及びF486V変異を有し、BA.2.12.1系統はL452Q及びS704L変異を有します。)。GISAIDのデータ及びWHO管轄の地域事務所・国からの報告に基づき、症例数及びこれら3つの変異株の特定に係る報告を行った国の数は増加しています。今日に至るまで科学的根拠が限られており、入院者数又は他の重症度増加の兆候における増加を示していません。SGTF(S遺伝子のPCR検査が陰性となる。BA.2系統にはなく、BA.4系統及びBA.5系統には存在する。)を用いた南アフリカからの予備データでは、BA.1系統と比較し、BA.4系統及びBA.5系統の入院リスクに差はありませんでした。しかしながら、BA.4系統及びBA.5系統症例の短い追跡期間では、現段階におけるこれら亜型の疾患に係る重症度について、結論付けることはできません。
WHOは、オミクロン株のVOCの一部としてBA.4系統、BA.5系統及びBA.2.12.1系統について、詳細な監視を継続し、重症度に関する科学的根拠が更に利用可能になれば、更なる更新情報を提供し続けています。WHOは、各国に対し、引き続き警戒し、検体を監視及び報告し、及び様々な進化した変異株の独立かつ比較の分析を実施するよう要請しています。
出典
COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 4 May 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---4-May-2022
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 4 May 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---4-May-2022