新型コロナウイルス感染症の世界の状況報告

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2022年6月15日

世界の概況

新規感染者数については、2022年1月の頂点以降減少が世界的に継続しています。2022年6月12日までの第6週中(以下「直近1週間」という。)に3,250,433人と報告され、前週と比較して同等でした(図1)。新規死亡者数については、第5週まで減少しており、直近1週間で再度増加し、8,737人と報告され、前週と比較して4%増加しました。管轄地域別の新規感染者数については、東地中海地域で58%及び東南アジア地域で33%及びアメリカ地域で13%の増加が報告された一方、他の3地域では減少しています。管轄地域別の新規死亡者数については、アメリカ地域で21%及び西太平洋地域で17%増加しており、他の4地域で減少傾向が観察されています。2022年6月12日時点で、全世界の累積感染者数は533,160,628人、累積死亡者数は6,308,166人となります。
 
これらの傾向については、いくつかの国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、米国(743,723人、13%増加)、中国(501,146人、5%減少)、ドイツ(281,706人、16%増加)、ブラジル(279,862人、29%増加)及びオーストラリア(194,158人、13%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(2,367人、32%増加)、中国(1,201人、32%増加)、ブラジル(989人、52%増加)、ロシア(500人、12%減少)及びイタリア(443人、17%増加)でした。
 
図1 2022年6月12日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移

 
表1 2022年6月12日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、3週連続で減少が報告されており、直近1週間で27,097人と報告され、前週と比較して7%減少しました。しかしながら、アフリカ地域内の13か国(全体の27%)については、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、マラウィで141%(37人から89人)、ウガンダで114%(267人から572人)及びカーボベルデで103%(266人から540人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で219人と報告され、前週と比較して11%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 10,550人 17.8人 29%減少
エチオピア 3,829人 3.3人 54%増加
レユニオン 1,924人 214.9人 6%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 164人 1.0人未満 4%減少
レユニオン 12人 1.3人 71%増加
ジンバブエ 11人 1.0人未満 10%増加

アメリカ地域

新規感染者数については、2022年4月中旬以降に症例発生率の増加が継続して報告されており、直近1週間で1,278,169人と報告され、前週と比較して13%増加しました。アメリカ地域内の17か国(全体の30%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、サン・マルタンで95%(38人から74人)、英領バージン諸島で83%(75人から137人)及びボリビアで60%(1,250人から2,002人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で4,105人と報告され、前週と比較して21%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 743,723人 224.7人 13%増加
ブラジル 279,862人 131.7人 29%増加
チリ 69,174人 361.9人 25%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 2,367人 1.0人未満 32%増加
ブラジル 989人 1.0人未満 52%増加
カナダ 199人 1.0人未満 35%減少

 

東地中海地域

新規感染者数については、直近1週間で33,329人と報告され、前週と比較して58%増加しました。東地中海地域内の12か国(全体の55%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、モロッコで137%(2,188人から5,184人)、クウェートで100%(851人から1,701人)及びUAEで81%(3,269人から5,909人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で62人と報告され、前週と比較して32%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
バーレーン 6,551人 385.0人 60%増加
サウジアラビア 6,149人 17.7人 35%増加
UAE 5,909人 59.7人 81%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 21人 1.0人未満 5%減少
サウジアラビア 15人 1.0人未満 25%増加
レバノン 8人 1.0人未満 11%減少

 

ヨーロッパ地域

新規感染者数については、2022年3月中旬以降減少が継続して観察された後、直近1週間で873,103人と報告され、前週と比較して8%増加しました。ヨーロッパ地域内の21か国(全体の34%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、モルドバで568%(34人から227人)、ジャージーで84%(167人から308人)及びイスラエルで78%(16,476人から29,248人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で2,208人と報告され、前週と比較して18%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 281,706人 338.7人 16%増加
イタリア 143,614人 240.8人 23%増加
フランス 136,360人 209.7人 2%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア 500人 1.0人未満 12%減少
イタリア 443人 1.0人未満 17%増加
フランス 240人 1.0人未満 26%減少

 

東南アジア地域

新規感染者数については、2022年1月中旬以降減少傾向が観察された後、直近1週間で67,795人と報告され、前週と比較して33%増加しました。東南アジア地域内の5か国(全体の50%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、バングラデシュで128%(216人から492人)、インドで90%(23,774人から45,200人)及びインドネシアで55%(2,385人から3,688人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で261人と報告され、前週と比較して25%減少しました。
 
2022年5月12日に国営メディアを通じて北朝鮮における新型コロナウイルス感染症の発生が初めて報告されました。しかしながら、現時点で確定した感染者数及び死亡者数はWHOに報告されていません。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 45,200人 3.3人 90%増加
タイ 18,070人 25.9人 25%減少
インドネシア 3,688人 1.3人 55%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
タイ 163人 1.0人未満 18%減少
インド 69人 1.0人未満 35%減少
インドネシア 28人 1.0人未満 32%減少

 

西太平洋地域

新規感染者数については、3週間連続で減少傾向が観察されており、直近1週間で970,940人と報告され、前週と比較して8%減少しました。西太平洋地域内の6か国(全体の18%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、グアムで446%(126人から688人)、仏領ポリネシアで357%(35人から160人)及びパラオで78%(45人から80人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で1,882人と報告され、前週と比較して17%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
中国 501,146人 34.1人 5%減少
オーストラリア 194,158人 761.4人 13%減少
日本 125,577人 99.3人 3%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 1,201人 1.0人未満 32%増加
オーストラリア 295人 1.2人 2%増加
日本 144人 1.0人未満 28%減少

 

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点

国の、当局、機関及び研究者と協力して、新型コロナウイルスの変異株が感染・伝播性や病原性に影響するか否か、感染拡大を制御するための、ワクチンの有効性(以下「有効率」という。)、治療法、診断又は公衆衛生上の取組(以下「PHSM」という。)について、WHOは定期的に評価しています。潜在的な、懸念される変異株(以下「VOC」という。)、注目すべき変異株(以下「VOI」という。)及び監視下にある変異株(以下「VUM」という。)は、世界の公衆衛生にもたらすリスクに基づいて定期的に評価されています。流行している変異株の継続的な進化及び付随する疫学の変化を反映するために、変異株の分類が改訂される予定です。変異株の分類基準、現在又は過去に流行していた、VOC、VOI及びVUMの現在の一覧は、新型コロナウイルス変異株の追跡ウェブサイトで閲覧できます。国の当局は、他の変異株の指定を選択することができ、かつ、進化した新しい変異株及びその影響を調査及び報告するよう強く奨励されています。

VOCの世界的な拡散及び有病率

過去30日間(2022年5月13日から6月12日)に、169,940の新型コロナウイルスの検体がGISAIDに提出されました。2022年1月の1か月間(1,248,906の検体がGISAIDに提出されました。)にGISAIDに提出された検体数と比較して著明な減少が継続しています。オミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)のVOCは世界的に流行している優勢な変異株であり、報告された検体の97%を占めています。GISAIDに提出されたオミクロン株の系統の中で、BA.2系統が39%である一方、BA.2.12.1系統が28%、BA.5系統が6%及びBA.4系統が3%となります。疫学的第20週(2022年5月15日から21日をいう。)及び疫学的第21週(2022年5月22日から28日をいう。)でBA.2系統が4%減少している一方、BA.5系統で4%、BA.2.12.1系統で3%及びBA.4系統で2%増加しています。
 
これらの傾向については、調査の限界を考慮し、慎重に解釈する必要があります(調査の限界は、各国の検体採取及びゲノム解析に係る戦略の違いと同様に各国のゲノム解析能力及び検体採取上の戦略を含む。)。

※特別な焦点(マスギャザリングという世界的な出来事に係るWHOのデータベース分析)は、省略します。

出典

COVID-19 Situation reports
COVID-19 Weekly Epidemiological Update: 15 June 2022
https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---15-june-2022