新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新72)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2022年7月13日

世界の概況

新規感染者数については、2022年3月の頂点の後は減少傾向であり、更にその後に5週連続で世界的に増加しています。新規感染者数は、2022年7月4日から7月10日までの週(以下「直近1週間」という。)に5,776,242人と報告され、前週と比較して6%増加しました(図1)。新規死亡者数については、直近1週間で9,872人と報告され、前週と比較して2%減少し、同等でした。管轄地域別の新規感染者数については、西太平洋地域で28%、東地中海地域で25%及び東南アジア地域で5%増加した一方、アフリカ地域で33%減少しました(ヨーロッパ地域にあっては4%増加し、アメリカ地域にあっては1%減少し、それぞれ前週と同等でした)。管轄地域別の新規死亡者数については、東地中海地域で78%及び東南アジア地域で23%増加した一方、アフリカ地域で17%及び西太平洋地域で10%減少しました(アメリカ地域及びヨーロッパ地域については、前週と比較して同等でした。)。2022年7月10日時点で、全世界の累積感染者数は552,993,566人、累積死亡者数は6,349,952人となります。
 
これらの傾向については、いくつかの国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、フランス(771,260人、6%増加)、米国(722,924人、6%減少)、イタリア(661,984人、30%増加)、ドイツ(561,136人、9%減少)及びブラジル(396,781人、3%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(1,987人、19%減少)、ブラジル(1,639人、11%増加)、中国(692人、8%減少)、スペイン(619人、98%増加)及びイタリア(574人、33%増加)でした。
 
図1 2022年7月10日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 

表1 2022年7月10日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数

 

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点

懸念される変異株の世界的な拡散及び有病率

過去30日以内(2022年6月10日から7月10日。以下同じ。)で、159,848の検体がGISAIDに提出されました。オミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株は世界的に優勢な流行している変異株であり、過去30日以内に報告された検体の84%を占めています。過去30日以内にGISAIDに報告された検体のおよそ15%が未だPANGO系統に分類されていませんが、多数はオミクロン株であると仮定されています。
 
世界的にオミクロン株の系統でBA.2系統及びBA.2.12.1系統が減少傾向を見せており、その一方、BA.4系統及びBA.5系統は増加傾向を見せています。疫学的第25週(2022年6月19日から6月25日)及び疫学的第26週(2022年6月26日から7月7日)にGISAIDに提出された検体を比較すると、BA.2系統にあっては7%から4%まで減少し、BA.2.12.1系統にあっては13%から7%まで減少しています。同期間で、BA.4系統の報告された検体の割合にあっては11%から14%まで上昇し、BA.5系統にあっては42%から50%まで上昇しています。BA.5系統については、89か国から報告されています。
 
これらの傾向については、調査の限界を考慮し、慎重に解釈する必要があります(調査の限界は、各国の検体採取及びゲノム解析に係る戦略の変化と同様に、各国のゲノム解析能力及び検体採取上の戦略における違いも含む。)。

※国別のCOVID-19警戒報を特定するための複数の手法や多段階にわたる枠組み(WHOの世界的な状況警戒報システム)の特別な焦点については、割愛します。

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で14,831人と報告され、前週と比較して33%減少しました。アフリカ地域内の15か国(全体の31%)については、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、赤道ギニアで126%(119人から269人)、マイヨットで123%(81人から181人)及びガボンで90%(115人から218人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で114人と報告され、前週と比較して17%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レユニオン 2,869人 320.4人 91%増加
南アフリカ 1,978人 3.3人 30%減少
ケニア 1,524人 2.8人 33%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 64人 1.0人未満 21%減少
エチオピア 13人 1.0人未満 63%増加
ケニア 8人 1.0人未満 100%増加

 

 

アメリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で1,562,967人と報告され、前週と比較して1%減少し、同等でした。アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の18か国(全体の32%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、仏領サンピエール島及びミクロン島で550%(12人から78人)、ホンジュラスで154%(839人から2,130人)及びパラグアイで145%(5,309人から12,988人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で4,789人と報告され、前週と比較して4%減少し、同等でした。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 722,924人 218.4人 6%減少
ブラジル 396,781人 186.7人 同等
メキシコ 137,426人 106.6人 同等
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 1,987人 1.0人未満 19%減少
ブラジル 1,639人 1.0人未満 11%増加
チリ 224人 1.2人 26%増加

 

東地中海地域

新規感染者数については、直近1週間で121,627人と報告され、前週と比較して25%増加しました。東地中海地域内の10か国(全体の45%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、イランで216%(2,776人から8,761人)、チュニジアで155%(5,477人から13,947人)及びパレスチナで103%(1,350人から2,735人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で199人と報告され、前週と比較して78%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラク 29,194人 72.6人 85%増加
モロッコ 17,262人 46.8人 18%減少
チュニジア 13,947人 118.0人 155%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
チュニジア 57人 1.0人未満 171%増加
イラン 39人 1.0人未満 457%増加
モロッコ 35人 1.0人未満 94%増加

 

ヨーロッパ地域

新規感染者数については、直近1週間で2,854,636人と報告され、前週と比較して4%増加し、同等でした。ヨーロッパ地域内の21か国(全体の34%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、カザフスタンで139%(959人から2,293人)、コソボで122%(849人から1,886人)及びモルドバで118%(465人から1,014人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で2,946人と報告され、前週と比較して0%の増減であり、同等でした。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
フランス 771,260人 1185.8人 6%増加
イタリア 661,984人 1109.9人 30%増加
ドイツ 561,136人 674.7人 9%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
スペイン 619人 1.3人 98%増加
イタリア 574人 1.0人 33%増加
フランス 382人 1.0人未満 52%増加

 

東南アジア地域

新規感染者数については、2022年6月早期以降増加傾向が報告されており、直近1週間で164,547人と報告され、前週と比較して5%増加しました。東南アジア地域内におけるデータが入手可能な10か国中の4か国(全体の40%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、ネパールで93%(268人から516人)及びスリランカで22%(87人から106人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で447人と報告され、前週と比較して23%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 120,222人 8.7人 7%増加
インドネシア 17,388人 6.4人 29%増加
タイ 14,938人 21.4人 6%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インド 229人 1.0人未満 15%増加
タイ 135人 1.0人未満 25%減少
インドネシア 42人 1.0人未満 31%増加

 

西太平洋地域

新規感染者数については、直近1週間で1,057,634人と報告され、前週と比較して28%増加しました。西太平洋地域内の15か国(全体の45%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、バヌアツで215%(100人から315人)、仏領ポリネシアで156%(118人から302人)及び韓国で92%(63,592人から122,234人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で1,377人と報告され、前週と比較して10%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 269,760人 213.3人 98%増加
オーストラリア 257,002人 1007.9人 22%増加
中国 223,915人 15.2人 17%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 692人 1.0人未満 8%減少
オーストラリア 295人 1.2人 11%減少
日本 108人 1.0人未満 44%減少

 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 - 13 July 2022”.WHO.2022.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---13-july-2022,(参照2022-07-14).