新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(WHO2022年7月20日)

Weekly Epidemiological Update on COVID-19-20 July 2022

世界の概況

新規感染者数については、過去5週間の増加傾向の後は頭打ちであり、2022年7月11日から7月17日までの週(以下「直近1週間」という。)に6,296,457人と報告されました(図1)。新規死亡者数については、直近1週間で11,000人と報告されています。管轄地域別の新規感染者数については、西太平洋地域で37%、アメリカ地域で9%及び東南アジア地域で5%増加した一方、アフリカ地域で27%及びヨーロッパ地域で16%減少しました(東地中海地域については、前週と同等でした)。管轄地域別の新規死亡者数については、東南アジア地域で20%、東地中海地域で15%及びアメリカ地域で7%増加した一方、アフリカ地域で39%及びヨーロッパ地域で14%減少しました(西太平洋地域については、前週と比較して同等でした。)。2022年7月17日時点で、全世界の累積感染者数は559,880,323人、累積死亡者数は6,363,296人となります。
 
新型コロナウイルス感染症における症例及び死亡の傾向については、いくつかの国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。さらに、各国によって後ろ向きに生じた定期的な変化を組み込みながら、データが継続して更新されます。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、米国(866,479人、18%増加)、フランス(757,830人、15%減少)、イタリア(718,925人、9%増加)、ドイツ(602,930人、3%減少)及び日本(559,111人、107%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(2,345人、5%増加)、ブラジル(1,751人、7%増加)、イタリア(784人、37%増加)、スペイン(610人、1%減少)及び中国(576人、17%減少)でした。
 
図1 2022年7月17日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 

表1 2022年7月17日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数

 

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株についての特別な焦点

懸念される変異株の世界的な拡散及び有病率

2022年6月13日から7月13日まで、200,845の検体が採取され、GISAIDに提出されました。これらの検体のうち、オミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)は世界的に優勢な流行している変異株であり、95.4%(191,648の検体)を占めています。残りの4.4%の検体(8,876の検体)にあってはPANGO系統への指定待ちであり、0.2%の検体(321の検体)にあってはデルタ株及び組換え体です。
 
オミクロン株の系統のうち、疫学的第27週(2022年7月4日から7月10日まで)時点で、BA.2系統にあっては2.61%、BA.2.12.1系統にあっては4.51%、BA.4系統にあっては10.57%、BA.5系統にあっては53.59%です。疫学的第26週(2022年6月27日から7月3日まで)中に採取されたオミクロン株の検体の割合と比較すると、BA.2系統にあっては3.84%から2.61%まで、BA.2.12.1系統にあっては10.59%から4.51%まで、BA.4系統にあっては13.21%から10.57%まで低下した一方、BA.5系統にあっては51.84%から53.59%まで上昇しました。2022年7月18日にGISAIDから出版されたデータに基づくと、BA.5系統については、100か国で報告されており、症例数、入院者数及びICU入室者数が上昇し続けています。
 
オミクロン株に係るいくつかの亜系統が出現しており、これらのうちいくつかはWHOによって監視されています。BA.2.75系統は監視下にあるオミクロン株の亜系統であり、2022年5月から報告されている早期の検体を伴います。BA.2.75系統は、BA.2系統と比較し、スパイク蛋白に9の更なる変異を有します。他の流行している系統と比較し、感染・伝播性及び疾患の重症度にこれらの変異がどの程度まで影響を及ぼすかについては、未だ科学的根拠がありません。7月18日時点で、15か国からBA.2.75系統の250の検体がGISAIDに提出されています。
 
オミクロン株の亜系統の流行に関する現在の傾向については、調査の限界を考慮し、慎重に解釈する必要があります(調査の限界は、世界の各国から実施及び共有された検査及び検体における検体採取の変化及び減少と同様に、各国のゲノム解析能力及び検体採取上の戦略における違いも含む。)。
 
図4A及びB 2022年7月18日時点における新型コロナウイルスの検体における数及び割合
 

表2 過去4週間における新型コロナウイルスの検体における相対的な割合(今日まで採取された検体による。)

ワクチン

図5 オミクロン株のVOCに対する初回接種及び1回目の追加接種のワクチンの効果


図5は、時間経過に伴うオミクロン株に対する絶対的なワクチンの効果(以下「VE」という。)の影響について要約したものです(初回接種のワクチンで層別化されたものです。)。追加接種は、異なるワクチンの可能性があります(すなわち、同種及び別種の追加接種のVEが示されています。)。
 
直近の更新以降で1の新しい研究(未査読)が図に追加されています。当該の研究については、米国で18歳以上の成人を対象とし、時間経過とともにBA.1系統及びBA.2系統による救急科への入院に対する、ファイザー製ワクチンの2又は3回接種のVEを評価しました。
 

オミクロン株に対するワクチンの絶対的なVEの結果に対する解釈

今日に至るまで、14か国(アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、チェコ、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、イスラエル、カタール、南アフリカ、英国、米国及びザンビア)から34の研究がオミクロン株に対し、6つのワクチンの予防を評価しました(12の研究にあっては初回接種のみの、4の研究にあっては1回目の追加接種のみの、18の研究にあっては初回及び追加接種両方のVE推定値を評価しました。)。これらの研究は、ワクチン初回接種後、オミクロン株に対し、全ての予防(感染、発症及び重症化の予防をいう。以下同じ。)のVEが他の4つのVOCに対するVEと比較して減少したと報告しています。重要なことに、大多数の研究で、オミクロン株に対する重症化予防のVE推定値については、依然として他の予防のものより高いままです。ワクチンの1回目の追加接種は、初回及び追加接種の両方で、利用可能な推定値を伴うスケジュールの全ての組合せの中で、全ての予防のVEを著明に改善します。追加接種後の感染及び発症予防のVEは、重症化予防と比較して時間経過とともに減少します。しかしながら、予防の持続期間を評価するために、追加接種後6か月を超えてVEを評価した研究はありません。
 
重症化予防のVEについては、ワクチンの初回接種後6か月を超えると、ほぼ減少がありません。メッセンジャーRNAワクチン(モデルナ及びファイザー製ワクチン。以下「mRNAワクチン」という。)を対象とした13のVE推定値のうち、7の推定値(全体の54%)では、VEが70%以上でした。ウイルスベクターワクチン(アストラゼネカ及びヤンセン製ワクチン)を対象とした2の研究のうち(両方ともVEは、70%未満でした。)、片方の研究にあってはアストラゼネカ製ワクチンのVEを70%未満と報告し、一方の研究にあってはヤンセン製ワクチンのVEを50%未満と報告しました。不活化ワクチンを対象とした4の推定値のうち、シノバック製ワクチンを対象とした3の推定値でVEが70%以上のものはなく(2の推定値(全体の67%)ではVEが50%以上でした。)、シノファーム製ワクチンを対象とした1の推定値ではVEが50%以上70%未満でした。接種後3か月を超えると、mRNAワクチンを対象とした33のVE推定値のうち、13の推定値(全体の39%)にあってはVEが70%以上であり、23の推定値(全体の70%)にあってはVEが50%以上でした。アストラゼネカ製ワクチンを対象とした13の推定値のうち、1の推定値(全体の8%)にあってはVEが70%以上であり、9の推定値(全体の69%)にあってはVEが50%以上でした。ウイルスベクターワクチン及びヤンセン製ワクチンを対象とした2のVE推定値については、VEが50%以上のものはありませんでした。シノバック製ワクチンを対象とした2のVE推定値については、VEが50%以上70%未満でした。
 
全ての研究で1回目の追加接種後に重症化予防のVEが改善しました。追加接種後14日から3か月以内の期間において、重症化予防のVEを評価した38のVE推定値のうち、36の推定値(全体の95%)でVEが70%以上でした(35の推定値にあってはmRNAワクチン、2の推定値にあってはヤンセン製ワクチン、1の推定値にあってはシノバック製ワクチン、それらの追加接種を評価しました。)。モデルナ製ワクチンの追加接種を対象とした1の推定値にあってはVEが50%未満であり、ヤンセン製ワクチンの追加接種を対象とした1の推定値にあってはVEが70%未満でした。mRNAワクチンの追加接種後3から6か月以内の期間において、28の推定値のうち25の推定値(全体の89%)でVEが70%以上でした(28の推定値のうち、19の推定値にあってはmRNAワクチン、8の推定値にあってはアストラゼネカ製ワクチン、1の推定値にあってはシノバック製ワクチンの初回接種を対象としました。)。1の研究については、シノバック製ワクチンの3回目接種から3から6か月以内の期間において、VEが50%以上70%未満でした。
 
初回接種後3か月以内の期間において、感染及び発症予防のVEは、重症化予防のVEより低く、時間経過とともに著明に減少します。発症予防のVEについては、14のVE推定値うち、3の推定値(全体の21%)にあってはmRNAワクチンのVEが70%以上であり、7の推定値(全体の50%)にあってはVEが50%以上でした。アストラゼネカ製ワクチンを対象とする4のVE推定値のうち、1の推定値(全体の25%)にあってはVEが70%以上であり、残りの3の推定値にあってはVEが50%未満でした。ヤンセン製ワクチンを対象とした1の推定値にあってはVEが70%以上であり、シノバック製ワクチンを対象とした2の推定値にあってはVEが50%未満でした。ワクチン接種後3か月を超えると、35のVE推定値があり(25の推定値にあってはmRNAワクチン、8の推定値にあってはアストラゼネカ製ワクチン、2の推定値にあってはシノバック製ワクチンを評価しました。)、そのうち1の推定値のみについては、VEが50%以上でした。mRNAワクチン、アストラゼネカ製ワクチン又はシノバック製ワクチンの初回接種完了後にmRNAワクチンを追加接種した場合の発症予防のVEについては、追加接種後14日から3か月以内の期間において、23のVE推定値のうち、6の推定値(全体の26%)にあってはVEが70%以上、18の推定値(全体の78%)にあってはVEが50%以上でした。アストラゼネカ製ワクチンの3回接種を評価した2のVE推定値のうち、1の推定値(全体の50%)についてはVEが50%以上70%未満でした。ヤンセン製ワクチンの3回接種を対象とした1の推定値及びシノバック製ワクチンの3回接種を対象とした1の推定値では、VEが50%未満でした。しかしながら、1回目の追加接種の予防は時間経過とともに急速に減少します(mRNAワクチンの追加接種後3から6か月以内の期間において、15の推定値のうち、4の推定値(27%)でVEが50%以上であり、VEが70%以上のものはありませんでした。)。追加接種後3から6か月以内の期間において、アストラゼネカ製ワクチンの3回接種を対象とした1の推定値及びシノバック製ワクチンの3回接種を対象とした1の推定値のうち、VEが50%を超えるものはありませんでした。感染予防のVEについては、発症予防のものと同様の弱い類型を示しました。

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で15,409人と報告され、前週と比較して27%減少しました。アフリカ地域内の7か国(全体の14%)については、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、ブルンジで167%(169人から451人)、セネガルで98%(133人から263人)及びエリトリアで74%(23人から40人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で87人と報告され、前週と比較して39%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レユニオン 3,599人 402人 25%増加
南アフリカ 2,482人 4.2人 25%増加
ザンビア 1,200人 6.5人 17%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 42人 1.0人未満 34%減少
エチオピア 10人 1.0人未満 23%増加
レユニオン 6人 1.0人未満 14%減少

アメリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で1,756,694人と報告され、前週と比較して9%増加しました。アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の18か国(全体の32%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、シント・ユースタティウス島で283%(18人から69人)、ペルーで104%(32,889人から67,194人)及びセントビンセント及びグレナディーン諸島で104%(56人から114人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で5,470人と報告され、前週と比較して7%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 866,479人 261.8人 18%増加
ブラジル 419,273人 197.2人 6%増加
メキシコ 141,241人 109.5人 20%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 2,345人 1.0人未満 5%増加
ブラジル 1,751人 1.0人未満 7%増加
メキシコ 315人 1.0人未満 32%増加
 

東地中海地域

新規感染者数については、過去2か月間の増加傾向の後、直近1週間で120,859人と報告され、前週と比較して1%減少し、前週と同等でした。東地中海地域内の6か国(全体の27%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、リビアで788%(51人から453人、部分的に後ろ向きの報告による。)、イランで187%(8,761人から25,126人)及びヨルダンで61%(1,329人から2,135人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で228人と報告され、前週と比較して15%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン 25,126人 29.9人 187%増加
チュニジア 20,903人 176.9人 50%増加
イラク 19,217人 47.8人 34%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
チュニジア 75人 1.0人未満 32%増加
イラン 57人 1.0人未満 46%増加
モロッコ 27人 1.0人未満 23%減少

 

欧州地域

新規感染者数については、直近1週間で2,785,259人と報告され、前週と比較して16%減少しました。欧州地域内の20か国(全体の33%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、キルギスで522%(78人から485人)、ルーマニアで348%(7,726人から34,582人)及びカザフスタンで214%(2,293人から7,190人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で3,311人と報告され、前週と比較して14%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
フランス 757,830人 1165.2人 15%減少
イタリア 718,925人 1205.4人 9%増加
ドイツ 602,930人 725.0人 3%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イタリア 784人 1.3人 37%増加
スペイン 610人 1.3人 1%減少
フランス 530人 1.0人未満 30%増加

 

東南アジア地域

新規感染者数については、2022年6月早期以降増加傾向が報告されており、直近1週間で173,854人と報告され、前週と比較して5%増加しました。東南アジア地域内におけるデータが入手可能な10か国中の3か国(全体の30%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、ネパールで111%(516人から1,091人)、スリランカで65%(106人から175人)及びインドネシアで36%(17,388人から23,648人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で538人と報告され、前週と比較して20%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 127,948人 9.3人 6%増加
インドネシア 23,648人 8.6人 36%増加
タイ 13,986人 20人 6%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インド 281人 1.0人未満 23%増加
タイ 161人 1.0人未満 19%増加
インドネシア 58人 1.0人未満 38%増加

 

西太平洋地域

新規感染者数については、直近1週間で1,444,382人と報告され、前週と比較して37%増加しました。西太平洋地域内の14か国(全体の42%)では、20%を超える新規感染者数の増加が報告され、ラオスで171%(55人から149人)、日本で107%(269,760人から559,111人)及び韓国で104%(122,234人から249,912人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で1,366人と報告され、前週と比較して3%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 559,111人 442.1人 107%増加
韓国 249,912人 487.5人 104%増加
オーストラリア 229,874人 901.5人 11%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 576人 1.0人未満 17%減少
オーストラリア 293人 1.1人 1%減少
日本 164人 1.0人未満 52%増加