新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新86)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2022年10月19日

世界の概況

新規感染者数については、2022年10月10日から10月16日までの週(以下「直近1週間」という。)に2,963,504人と報告され、前週と比較して6%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、直近1週間で8,294人と報告され、前週と比較して17%減少しました。2022年10月16日時点で、全世界の累積感染者数にあっては621,795,324人、累積死亡者数にあっては6,546,924人となります。管轄地域別の新規感染者数については、東地中海地域で17%、アフリカ地域で15%、北米・中南米地域で12%、欧州地域で11%及び東南アジア地域で3%減少しました(西太平洋地域については、11%増加しました。)。管轄地域別の新規死亡者数については、東地中海地域で35%、北米・中南米地域で20%、欧州地域で18%及び西太平洋地域で14%減少しました(東南アジア地域で1%未満の増減、アフリカ地域で144%増加しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、ドイツ(583,232人、同等)、フランス(337,253人、12%減少)、中国(328,910人、1%減少)、イタリア(288,452人、3%増加)及び米国(251,280人、10%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(2,274人、11%減少)、ロシア(702人、4%減少)、イタリア(478人、37%増加)、中国(431人、5%増加)及び日本(409人、28%減少)でした。
 
新型コロナウイルス感染症における感染者及び死亡者に係る現在の傾向については、複数の国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。さらに、過去の週からのデータについては、各国によって生じた新型コロナウイルス感染症における感染者及び死亡者の変化を後ろ向きに組み込みながら、継続して更新されています。
 
図1 2022年10月16日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移

表1 2022年10月16日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数

特別な焦点(新型コロナウイルスの懸念される変異株及び注目すべき変異株の変異株に係る更新)

世界的に2022年9月17日から10月17日まで、98,731の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち98,386の検体がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)であり、世界的に過去30日間で報告された検体の99.7%を占めています。
 
疫学的第39週(2022年9月26日から10月2日まで。以下同じ。)中に、GISAIDに提出された検体の中でオミクロン株のBA.5系統が78.9%と継続して最も優勢であり、次にBA.4系統(BA.4.6系統を含む。)が6.7%を占め、次にBA.2系統(BA.2.75系統を含む。)が3.9%を占めます。
 
WHOは、免疫逃避又は重症度の増加に係る潜在的な兆候について、新たな亜系統及び組換え体を継続して監視しています。2022年10月17日時点で、XBB系統(BA.2.10.1系統及びBA.2.75系統の組換え体であり、BA.2系統のスパイクタンパク質に14の更なる変異を伴う。)が26か国で報告されています。実験結果に基づく未査読かつ利用可能な科学的根拠は、XBB系統がこれまで特定された新型コロナウイルス変異株の中で、最も中和抗体からの逃避性が高いことを示しています。2022年10月17日時点で、233のXBB系統及び609のXBB.1系統(G252Vの部位におけるスパイクタンパク質に更なるアミノ酸変異を伴うXBB系統)がGISAID上で報告されています。この組換え体については、他のオミクロン株の下位系統と比較して高い増加の優位性を示しますが、重症度の変化に関する科学的根拠はいまだありません。
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で4,669人と報告され、前週と比較して15%減少しました。アフリカ地域内の9か国(全体の18%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ザンビアで1,050%(6人から69人)、サントメ・プリンシペで167%(6人から16人)及びギニアで137%(30人から71人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で61人と報告され、前週と比較して144%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 2,570人 4.3人 27%増加
レユニオン 336人 37.5人 6%減少
ジンバブエ 238人 1.6人 72%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 52人 1.0人未満 478%増加
レユニオン 2人 1.0人未満 100%増加
ジンバブエ 2人 1.0人未満 同等
 

北米・中南米地域

新規感染者数については、直近1週間で348,092人と報告され、前週と比較して12%減少しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の8か国(全体の14%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、バルバドスで1,297%(29人から405人)、ベネズエラで102%(129人から261人)及びガイアナで81%(21人から38人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で3,208人と報告され、前週と比較して20%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 251,280人 75.9人 10%減少
ブラジル 31,325人 14.7人 26%減少
チリ 25,025人 130.9人 17%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 2,274人 1.0人未満 11%減少
ブラジル 341人 1.0人未満 56%減少
カナダ 226人 1.0人未満 18%増加

 

東地中海地域

新規感染者数については、直近1週間で14,957人と報告され、前週と比較して17%減少しました。東地中海地域内の3か国(全体の13%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、スーダンで700%(5人から40人)、パキスタンで65%(210人から347人)及びサウジアラビアで20%(915人から1,102人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で65人と報告され、前週と比較して35%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
カタール 4,579人 158.9人 11%減少
イラン 2,649人 3.2人 22%減少
UAE 2,044人 20.7人 20%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 38人 1.0人未満 39%減少
サウジアラビア 14人 1.0人未満 17%増加
アフガニスタン 7人 1.0人未満 40%増加

 

欧州地域

新規感染者数については、直近1週間で1,706,060人と報告され、前週と比較して11%減少しました。欧州地域内の3か国(全体の5%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コソボで114%(14人から30人)、アンドラで90%(48人から91人)及びガーンジー島で23%(236人から291人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で3,331人と報告され、前週と比較して18%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 583,232人 701.3人 同等
フランス 337,253人 518.5人 12%減少
イタリア 288,452人 483.6人 3%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ロシア 702人 1.0人未満 4%減少
イタリア 478人 1.0人未満 37%増加
フランス 366人 1.0人未満 15%増加
 

東南アジア地域

新規感染者数については、直近1週間で36,258人と報告され、前週と比較して3%減少しました。東南アジア地域内の2か国(全体の20%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ネパールで173%(97人から265人)及びモルディブで60% (43人から69人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で281人と報告され、前週と比較して1%未満の増減でした。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 16,815人 1.2人 4%減少    
インドネシア 11,920人 4.4人 15%増加
バングラデシュ 2,720人 1.7人 23%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 108人 1.0人未満 48%増加
インド 96人 1.0人未満 24%減少
タイ 53人 1.0人未満 9%減少
 

西太平洋地域

新規感染者数については、直近1週間で853,468人と報告され、前週と比較して11%増加しました。西太平洋地域内の5か国(全体の15%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、シンガポールで55%(36,985人から57,482人)、ベトナムで30%(5,333人から6,912人)及びブルネイ・ダルサラームで27%(2,168人から2,749人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で1,348人と報告され、前週と比較して14%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
中国 328,910人 22.4人 1%減少
日本 218,276人 172.6人 5%増加
韓国 149,676人 291.9人 1%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 431人 1.0人未満 5%増加
日本 409人 1.0人未満 28%減少
フィリピン 246人 1.0人未満 29%減少
 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 - 19 October 2022”.WHO.2022.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---19-october-2022,(参照2022-10-20).