新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新92)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2022年11月30日

世界の概況

新規感染者数については、2022年11月21日から11月27日までの週(以下「直近1週間」という。)に2,678,706人と報告され、前週と比較して2%増加しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、直近1週間で8,442人と報告され、前週と比較して5%減少しました。2022年11月27日時点で、全世界の累積感染者数にあっては637,737,550人、累積死亡者数にあっては6,611,874人となります。管轄地域別の新規感染者数については、アフリカ地域で18%、東地中海地域で17%、欧州地域で14%及び東南アジア地域で8%減少しました(北米・中南米地域で19%及び西大平洋地域で8%増加しました。)。管轄地域別の新規死亡者数については、アフリカ地域で79%、欧州地域で35%、東地中海地域で20%減少しました(北米・中南米地域で21%、西大平洋地域で9%及び東南アジア地域で5%増加しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、日本(698,772人、18%増加)、韓国(378,751人、4%増加)、米国(296,882人、8%増加)、フランス(230,871人、1%減少)及びイタリア(161,454人、27%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(2,611人、16%増加)、日本(1,000人、42%増加)、ブラジル(535人、113%増加)、イタリア(419人、22%減少)及び中国(395人、17%減少)でした。
 
報告された新型コロナウイルス感染症における感染者に係る現在の傾向については、複数の国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。多くの国で実施された新型コロナウイルス感染症の有病率調査については、報告された感染者数は集団における真の感染者数より低く見積もられていることが判明しています。さらに、過去の週からのデータについては、各国によって生じた新型コロナウイルス感染症における感染者及び死亡者の変化を後ろ向きに組み込みながら、継続して更新されています。
 
図1 2022年11月27日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 
表1 2022年11月27日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

懸念される変異株の世界的な拡散及び有病率

世界的に2022年10月28日から11月28日までにおいて、94,531の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち94,485の検体がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)であり、過去30日間で世界的に報告された検体の99.9%を占めています。
 
オミクロン株の下位系統の流行に係る傾向については、現在の新型コロナウイルス感染症の調査システムにおける限界を考慮する必要があります。これについては、各国間のゲノム解析能力及び検体採取上の戦略の違い、時間経過に伴う検体採取上の戦略の変化、世界各国から共有される実施検査数及び検体の減少、検体提出の遅延が含まれます。GISAIDに提出された検体の大半は、主にゲノム解析能力の高い国である高所得国からのものです。ゆえに、提出されるゲノム解析情報については、新型コロナウイルスの世界的な状況を反映していないおそれがあります。
 
疫学的第45週(2022年11月7日から11月13日まで。以下同じ。)において、BA.5系統及びその下位系統が継続して世界的に優勢であり、有病率は73.0%でした。BA.2系統及びその下位系統の有病率が疫学的第44週(2022年10月31日から11月6日まで。以下同じ。)の7.9%から疫学的第45週の10.1%まで増加しました。疫学的第44週から疫学的第45週までの期間(以下「当該の期間」という。)において、BA.4系統及びその下位系統の有病率については、3.4%から2.8%まで減少しました。疫学的第45週において、未指定の検体(オミクロン株と推定されている。)はGISAIDに提出された検体の10.1%を占めています。
 
当該の期間に提出された検体を比較すると、BQ.1系統及びその下位系統の有病率については、23.1%から27.3%まで増加しています。11月28日時点において、BQ.1系統は30を超える下位系統を有します。当該の期間において、XBB系統及びその下位系統の有病率については、2.7%から3.8%まで増加しています。BA.2.75系統にあっては5.4%から6.6%まで増加し、BA.4.6系統にあっては3.1%から2.9%まで減少しています。BA.2.3.20系統の有病率については、0.4%であり、変化はありませんでした。

 
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で6,082人と報告され、前週と比較して18%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な49か国の3か国(全体の6%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ザンビアで218%(11人から35人)、マイヨットで186%(197人から564人)及びレユニオンで55%(575人から893人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で9人と報告され、前週と比較して79%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 2,637人 4.4人 35%減少
アンゴラ 1,360人 4.1人
レユニオン 893人 99.7人 55%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アンゴラ 6人 1.0人未満
ザンビア 2人 1.0人未満
カーボベルデ 1人 1.0人未満 増減なし
※前週の報告なし。

北米・中南米地域

新規感染者数については、直近1週間で550,990人と報告され、前週と比較して19%増加しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の16か国(全体の29%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、サンピエール島及びミクロン島で467%(3人から17人)、ホンジュラスで405%(102人から515人)及びパラグアイで323%(22人から93人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で3,821人と報告され、前週と比較して21%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 296,882人 89.7人 8%増加
ブラジル 150,008人 70.6人 64%増加
チリ 33,684人 176.2人 14%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 2,611人 1.0人未満 16%増加
ブラジル 535人 1.0人未満 113%増加
カナダ 268人 1.0人未満 10%減少
 

東地中海地域

新規感染者数については、直近1週間で7,633人と報告され、前週と比較して17%減少しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の3か国(全体の14%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、チュニジアで98%(97人から192人)、モロッコで46%(705人から1,029人)及びエジプトで38%(8人から11人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で40人と報告され、前週と比較して20%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
カタール 1,794人 62.3人 18%減少
UAE 1,458人 14.7人 4%減少
モロッコ 1,029人 2.8人 46%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
サウジアラビア 11人 1.0人未満 21%減少
イラン 8人 1.0人未満 47%減少
レバノン 7人 1.0人未満 増減なし
 

欧州地域

新規感染者数については、直近1週間で771,981人と報告され、前週と比較して14%減少しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の8か国(全体の13%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コソボで1,000%(1人から11人)、ウズベキスタンで62%(428人から692人)及びキルギスで47%(19人から28人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で2,254人と報告され、前週と比較して35%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
フランス 230,871人 355.0人 1%減少
イタリア 161,454人 270.7人 27%減少
ドイツ 151,867人 182.6人 10%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イタリア 419人 1.0人未満 22%減少
フランス 387人 1.0人未満 25%減少
ロシア 386人 1.0人未満 10%減少

 

東南アジア地域

新規感染者数については、直近1週間で49,879人と報告され、前週と比較して8%減少しました。東南アジア地域内におけるデータが利用可能な10か国中の2か国(全体の20%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、スリランカで51%(88人から133人)及びタイで24%(4,914人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で420人と報告され、前週と比較して5%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 41,877人 15.3人 11%減少    
タイ 4,914人 7.0人 24%増加
インド 2,547人 1.0人未満 3%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 297人 1.0人未満 8%増加
タイ 74人 1.0人未満 7%増加
インド 38人 1.0人未満 12%減少
 

 
 

西太平洋地域

新規感染者数については、直近1週間で1,292,141人と報告され、前週と比較して8%増加しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な34か国中の4か国(全体の12%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、フィジーで240%(20人から68人)、シンガポールで26%(10,918人から13,800人)及びラオスで26%(105人から132人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で1,898人と報告され、前週と比較して9%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 698,772人 552.5人 18%増加
韓国 378,751人 738.7人 4%増加
中国 144,205人 9.8人 9%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
日本 1,000人 1.0人未満 42%増加
中国 395人 1.0人未満 17%減少
韓国 338人 1.0人未満 8%減少
 

入院及びICU入室

疫学的第46週(2022年11月14日から11月20日まで。以下同じ。)に28か国(12%)が新たな入院に関するデータをWHOへ報告しました。新たな入院に関するデータを報告している国の割合が高い管轄地域については、順に欧州地域(28%、17か国)、東地中海地域(18%、4か国)、西太平洋地域(9%、3か国)、東南アジア地域(9%、1か国)、北米・中南米地域(4%、2か国)及びアフリカ地域(2%、1か国)でした。
 
疫学的第46週において、合計33,339件の新規入院数及び829件の新規ICU入室数が世界的に報告されました。当該のデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは、報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルス感染による偶発的な入院及び新型コロナウイルス感染症の疾病化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
WHO管轄6地域全体において、疫学的第46週に合計14か国(6%)が新たなICU入室に関するデータをWHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、東地中海地域(14%、3か国)、欧州地域(11%、7か国)、西太平洋地域(9%、3か国)及び北米・中南米地域(2%、1か国)でした。東南アジア地域及びアフリカ地域において、現在に至るまで疫学的第46週における新たなICU入室に関するデータを報告した国はありません。
 
50件を超える新たな入院数を報告した18か国のうち、6か国については、前週と比較して増加傾向が示されました(ウズベキスタンで204%(69件から141件まで)、中国で54%(9,639件から14,803件まで)、フランスで33%(4,002件から5,311件まで)、南アフリカで22%(50件から61件まで)、マレーシアで9%(4,145件から4,502件まで)及びギリシャで5%(1,292件から1,360件まで)増加しました。)。
 
10件以上の新たなICU入室数を報告した6か国のうち、2か国が前週と比較して増加傾向を示しました。

図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、新たな入院数及び新たなICU入室数(2022年11月20日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 30 November 2022”.WHO.2022.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---30-november-2022,(参照2022-12-01).