新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新93)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2022年12月07日

世界の概況

新規感染者数については、2022年11月28日から12月4日までの週(以下「直近1週間」という。)に2,979,223人と報告され、前週と比較して3%減少し、同等でした(図1及び表1)。新規死亡者数については、直近1週間で7,833人と報告され、前週と比較して17%減少しました。2022年12月4日時点で、全世界の累積感染者数にあっては641,487,094人、累積死亡者数にあっては6,621,419人となります。管轄地域別の新規感染者数については、アフリカ地域で78%、東南アジア地域で27%、欧州地域で1%未満、西太平洋地域で10%及び東地中海地域で4%減少しました(北米・中南米地域で14%増加しました。)。管轄地域別の新規死亡者数については、アフリカ地域で83%、東地中海地域で33%、北米・中南米地域で22%、欧州地域で19%、西太平洋地域で5%及び東南アジア地域で3%増加しました。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、日本(749,895人、7%増加)、フランス(385,716人、38%増加)、韓国(370,574人、2%減少)、米国(296,333人、1%減少)及びブラジル(188,043人、25%増加)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(1,744人、33%減少)、日本(1,063人、6%増加)、ブラジル(632人、18%増加)、イタリア(462人、22%減少)及びフランス(424人、2%増加)でした。
 
報告された新型コロナウイルス感染症における感染者に係る現在の傾向については、複数の国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、慎重に解釈する必要があります。多くの国で実施された新型コロナウイルス感染症の有病率調査については、報告された感染者数は集団における真の感染者数より低く見積もられていることが判明しています。さらに、過去の週からのデータについては、各国によって生じた新型コロナウイルス感染症における感染者及び死亡者の変化を後ろ向きに組み込みながら、継続して更新されています。
 
図1 2022年12月4日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 
表1 2022年12月4日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数
 
図2 前週と比較した直近1週間の新型コロナウイルス感染者数の変化率(%)
 
図3 前週と比較した直近1週間の新型コロナウイルス感染症による死亡者数の変化率(%)

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

懸念される変異株の世界的な拡散及び有病率

世界的に2022年11月5日から12月5日までにおいて、105,224の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち92,399の検体がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)であり、過去30日間で世界的に報告された検体の87.8%を占めています。未指定の検体(オミクロン株と推定されている。)については、疫学的第46週にGISAIDへ提出された検体の12.2%を占めています。
 
オミクロン株の下位系統の流行に係る傾向については、新型コロナウイルス感染症の調査システムにおける限界を考慮する必要があります。これについては、各国間のゲノム解析能力及び検体採取上の戦略の違い、時間経過に伴う検体採取上の戦略の変化、世界各国から共有される実施検査数及び検体数の減少、検体提出の遅延が含まれます。GISAIDに提出された検体の大半は、主にゲノム解析能力の高い国である高所得国からのものです。ゆえに、提出されるゲノム解析情報については、新型コロナウイルスの世界的な状況を反映していないおそれがあります。
 
疫学的第46週(2022年11月14日から11月20日まで。以下同じ。)において、BA.5系統及びその下位系統が継続して世界的に優勢であり、GISAIDに提出された検体の70.1%を継続して占めていました。BA.2系統及びその下位系統の有病率が疫学的第45週(2022年11月7日から11月13日まで。以下同じ。)の9.6%から疫学的第46週の10.5%まで増加しました。疫学的第45週から疫学的第46週までの期間(以下「当該の期間」という。)において、BA.4系統及びその下位系統の有病率については、2.8%から2.0%まで減少しました。
 
監視中であるオミクロン株の亜系統において、当該の期間に提出された検体を比較すると、BQ.1系統及びその下位系統の有病率については、27.6%から36.2%まで増加しています。当該の期間において、XBB系統及びその下位系統の有病率については、4.2%から5.0%まで増加しました。BA.2.75系統にあっては6.8%から7.8%まで増加し、BA.4.6系統にあっては2.5%から1.7%まで減少しました。BA.2.3.20系統の有病率については、0.3%であり、増減の変化はありませんでした。

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で3,224人と報告され、前週と比較して78%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の4か国(全体の8%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コンゴ民主共和国で406%(49人から248人)、ルワンダで113%(38人から81人)及びチャドで25%(4人から5人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で8人と報告され、前週と比較して83%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レユニオン 1,217人 135.9人 36%増加
モーリシャス 515人 40.5人 89%減少
マイヨット 473人 173.4人 20%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ジンバブエ 4人 1.0人未満 20%減少
アンゴラ 1人 1.0人未満 67%減少
コンゴ民主共和国 1人 1.0人未満
※前週の報告がない。

北米・中南米地域

新規感染者数については、直近1週間で640,477人と報告され、前週と比較して14%増加しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の16か国(全体の29%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、アルゼンチンデ279%(3,323人から12,609人)、パラグアイで263%(93人から338人)及びボリビアで137%(438人から1,038人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で3,013人と報告され、前週と比較して22%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 296,333人 89.5人 1%減少
ブラジル 188,043人 88.5人 25%増加
ペルー 61,929人 187.8人 88%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 1,744人 1.0人未満 33%減少
ブラジル 632人 1.0人未満 18%増加
カナダ 228人 1.0人未満 19%減少

 

東地中海地域

新規感染者数については、直近1週間で7,385人と報告され、前週と比較して4%減少しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の4か国(全体の18%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、パキスタンで371%(69人から325人)、エジプトで100%(11人から22人)及びシリアで57%(7人から11人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で27人と報告され、前週と比較して33%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
カタール 2,679人 93人 49%増加
モロッコ 1,001人 2.7人 3%減少
UAE 906人 9.2人 38%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
サウジアラビア 14人 1.0人未満 27%増加
レバノン 5人 1.0人未満 29%減少
イラン 4人 1.0人未満 50%減少
 

欧州地域

新規感染者数については、直近1週間で955,767人と報告され、前週と比較して1%未満の増加であり、同等でした。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の11か国(全体の18%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ルーマニアで525%(382人から2,387人)、ジブラルタルで56%(9人から14人)及びデンマークで53%(4,089人から6,266人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で2,348人と報告され、前週と比較して19%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
フランス 385,716人 593.1人 38%増加
ドイツ 165,996人 199.6人 2%減少
イタリア 160,416人 269人 30%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イタリア 462人 1.0人未満 22%減少
フランス 424人 1.0人未満 2%増加
ロシア 391人 1.0人未満 1%増加
 

東南アジア地域

新規感染者数については、直近1週間で36,462人と報告され、前週と比較して27%減少しました。東南アジア地域内におけるデータが利用可能な10か国中の1か国(全体の10%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、東ティモールで55%(11人から17人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で431人と報告され、前週と比較して3%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 29,959人 11人 28%減少    
タイ 4,284人 6.1人 13%減少
インド 1,380人 1.0人未満 28%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 302人 1.0人未満 2%増加
タイ 105人 1.0人未満 42%増加
インド 16人 1.0人未満 58%減少

 

西太平洋地域

新規感染者数については、直近1週間で1,335,908人と報告され、前週と比較して10%減少しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な34か国中の5か国(全体の15%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ニウエで427%(11人から58人)、仏領ポリネシアで422%(72人から376人)及びカンボジアで106%(35人から72人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で2,006人と報告され、前週と比較して5%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 749,895人 592.9人 7%増加
韓国 370,574人 722.8人 2%減少
中国 146,141人 9.9人 1%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
日本 1,063人 1.0人未満 6%増加
韓国 360人 1.0人未満 7%増加
中国 359人 1.0人未満 9%減少

 

入院及びICU入室

疫学的第47週(2022年11月21日から11月27日まで。以下同じ。)に合計61,117件の新規入院数及び962件の新規ICU入室数が世界的に報告されました。当該のデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは、報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルス感染による偶発的な入院及び新型コロナウイルス感染症の疾病化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
疫学的第47週において、31か国(13%)が新たな入院に関するデータをWHOへ報告しました。新たな入院に関するデータを報告している国の割合が高い管轄地域については、順に欧州地域(30%、21か国)、東地中海地域(27%、6か国)、東南アジア地域(9%、1か国)、北米・中南米地域(7%、4か国)及び西太平洋地域(6%、2か国)でした。アフリカ地域については、現在に至るまで疫学的第47週における新規入院数に関するデータが報告されていません。
 
WHO管轄6地域全体において、疫学的第47週に合計20か国(9%)が新たなICU入室に関するデータをWHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、東地中海地域(23%、5か国)、欧州地域(18%、11か国)、西太平洋地域(6%、2か国)及び北米・中南米地域(4%、2か国)でした。東南アジア地域及びアフリカ地域において、現在に至るまで疫学的第47週における新たなICU入室に関するデータが報告されていません。
 
50件を超える新たな入院数を報告した20か国のうち、7か国については、前週と比較して増加傾向が示されました(ウズベキスタン(65%、210件から346件まで)、中国(56%、14,803件から23,062件まで)、ラトビア(36%、144件から196件まで)、カタール(29%、55件から71件まで)、ベルギー(26%、330件から416件まで)、アルゼンチン(10%、96件から106件まで)及びフランス(5%、5,303件から5,572件まで))。ウズベキスタン、中国及びアルゼンチンについては、4週連続で入院数の増加を報告しました。
 
10件以上の新たなICU入室数を報告した7か国のうち、3か国が前週と比較して増加傾向を示しました(オランダ(69%、13件から22件まで)、フランス(11%、477件から530件まで)及びマレーシア(2%、93件から95件まで))。フランス及びマレーシアについては、それぞれ3人及び4人のICU入室数を報告しました。
 
図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、新たな入院数及び新たなICU入室数(2022年11月27日時点)
※直近の数週間については、報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 7 December 2022”.WHO.2022.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---7-december-2022,(参照2022-12-08).