新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新99)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2023年1月25日

世界の概況

新規感染者数については、2023年1月16日から2023年1月22日までの週(以下「直近1週間」という。)に1,883,071人と報告され、前週と比較して34%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、直近1週間で12,744人と報告され、前週と比較して17%の減少でした。過去28日間(2022年12月26日から2023年1月22日まで)の新規感染者数及び死亡者数については、それぞれ11,044,336人及び55,108人であり、過去28日間と比較してそれぞれ25%の減少及び13%の増加です。報告された新規死亡者数は、12月以降において増加しており、中国(香港、マカオ及び台湾を除く。)によって発表された新型コロナウイルス感染症関連の病院における72,596人の死亡者数(2022年12月8日から2023年1月19日までの期間)をいまだ含んでいません。ゆえに、WHOは報告の週毎に集計された詳細なデータを待っています。2023年1月22日時点で、全世界の累積感染者数にあっては664,454,642人、累積死亡者数にあっては6,721,580人となります。
 
週及び月毎の傾向については、年末の休暇時期における多くの国々で検査数の減少及び報告の遅延があったことを考慮して慎重に解釈する必要があります。それゆえ、この報告で提示されたデータについては(特に直近数週間)、不完全であり、更新された情報が統合されていないために、減少傾向が変わるおそれがあります。
 
管轄地域別の新規感染者数については、アフリカ地域で41%、西太平洋地域で39%、欧州地域で33%、東南アジア地域で24%及び北米・中南米地域で21%減少しました(東地中海地域で54%増加しました。)。管轄地域別の新規死亡者数については、アフリカ地域で65%、欧州地域で42%、西太平洋地域で16%及び東南アジア地域で12%減少しました(北米・中南米地域で1%、東地中海地域で24%増加しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国は、日本(672,526人、34%減少)、米国(323,721人、25%減少)、韓国(192,638人、33%減少)、中国(142,066人、25%減少)及びブラジル(114,916人、5%減少)でした。また、直近1週間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(3,922人、8%減少)、日本(2,779人、2%減少)、ブラジル(952人、108%増加)、中国(617人、23%減少)及びスペイン(424人、21%増加)でした。
 
報告された新型コロナウイルス感染症における感染者に係る現在の傾向については、過去の調査で示されたとおり、世界的な感染及び再感染数の真の値を過小評価しています。それゆえ、複数の国が検体採取方式を積極的に変更し、全体の検査数が減少して結果的に検出される感染者数が減少するため、データを慎重に解釈する必要があります。さらに、過去の週からのデータについては、各国によって生じた新型コロナウイルス感染症における感染者及び死亡者の変化を後ろ向きに組み込みながら、継続して更新されています。
 
図1 2023年1月22日時点の週別又はWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移
 
表1 2023年1月22日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の確定症例数及び死亡者数
 
 

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

懸念される変異株の世界的な拡散及び有病率

 
世界的に2022年12月23日から2023年1月23日までにおいて、78,505の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち78,463の検体がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)であり、過去30日間に世界的に報告された検体の99.9%を占めています。
 
BA.5系統及びその下位系統が世界的に依然として優勢です。疫学的第1週(2023年1月2日から2023年1月8日まで。以下同じ。)においてGISAIDに提出された検体の68.1%(12,000検体)を占めています。BA.2系統及びその下位系統の有病率については、上昇しており、疫学的第52週(2022年12月26日から2023年1月1日まで。以下同じ。)の14.5%(4,685検体)と比較して疫学的第1週の16.0%(2,824検体)に基づく傾向です。組換え体の有病率については、安定したままであり、疫学的第52週の10.7%(3,472検体)と比較して疫学的第1週の10.1%(1,777検体)となります。BA.4系統及びその下位系統の有病率については、同様に安定しており、疫学的第1週時点で有病率が0.4%となります。未指定の検体(オミクロン株と推定されている。)は、疫学的第1週に提出された検体の5.4%を占めています。
 
WHOは、現在監視下にある4つの亜系統を追跡しています(表2)。これら変異株については、他の流行しているVOC系統と比較して感染・伝播性の優位性に関する徴候、適応性の優位性を与えると判明又は疑義のあるアミノ酸置換という前提に基づいて含まれています。監視下にある亜系統は、BF.7系統(BA.5系統にスパイクタンパクのR346T変異を伴う。)、BQ.1系統*(BQ.1.1系統、BA.5系統にスパイクタンパクのR346T、K444T又はN460Kの変異を伴う。)、BA.2.75*系統(BA.2.75.2系統及びCH.1.1系統を含む。)及びXBB*系統(XBB.1.5系統を含む。)となります(*は、全ての下位系統をいう。)。
 
WHOは、ウイルスの進化に関する技術諮問会合からの助言を伴い、XBB.1.5に対する世界的かつ迅速なリスクアセスメントを更新しています。XBB.1.5系統はXBB系統の下位系統です(XBB系統は、2つのBA.2下位系統の組換え体となります。)。世界的に2022年10月22日から2023年1月23日までの期間において、オミクロン株のXBB.1.5系統である変異株の8,931検体が54か国から報告されています(範囲されていない検体を除く。)。報告された検体の大半は、米国からのものでした(75.0%)。XBB.1.5系統を報告している他の各国については、英国(9.9%)、カナダ(3.0%)、デンマーク(2.0%)、ドイツ(1.5%)、オーストリア(1.3%)及びアイルランド(1.3%)を含みます。
 
WHOが最初の迅速なXBB.1.5系統のリスクアセスメントを発表した2023年1月上旬と比較し、より多数の各国がXBB.1.5系統の有病率における増加を報告しています。XBB.1.5系統である変異株は他に流行しているオミクロン株の下位系統と比較して増加率の優位性を持っており、報告(XBB.1.5系統を評価する米国、英国及び多くの欧州各国にわたるECDC)に基づきます。予備的な実験結果に基づく抗体回避性の研究については、たとえ2価の追加接種によって中和が回復しても、XBB.1.5系統はmRNAワクチンを3回接種した個人においてXBB系統に先立つオミクロン株の下位系統よりも高い免疫回避性を有すると示唆しています。これらの知見については、ワクチンの効果に関する研究で確定されています。複数の国からの報告によれば、重症度の増加を示す徴候は観察されていませんが、XBB.1.5系統に関連した感染者数はいまだ少数であり、重症度に関して評価することが難しい状況にあります。
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、直近1週間で4,166人と報告され、前週と比較して41%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の3か国(全体の6%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コモロで400%(1人から5人)及びコートジボワールで67%(3人から5人)及びコンゴ民主共和国で41%(90人から127人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で7人と報告され、前週と比較して65%の減少でした。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 1,740人 2.9人 16%増加
レユニオン 995人 111.1人 18%減少
ザンビア 818人 4.4人 60%減少
 
新規死亡者数が多い上位2か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ザンビア 3人 1.0人未満 70%減少
コンゴ民主共和国 2人 1.0人未満
※前週の報告がなし。

 

北米・中南米地域

新規感染者数については、直近1週間で540,449人と報告され、前週と比較して21%減少しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の5か国(全体の9%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、パラグアイで419%(779人から4,045人)、ベネズエラで96%(165人から323人)及びキュラソーで91%(11人から21人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で5,857人と報告され、前週と比較して1%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 323,721人 97.8人 25%減少
ブラジル 114,916人 54.1人 5%減少
メキシコ 20,226人 15.7人 26%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 3,922人 1.2人 8%減少
ブラジル 952人 1.0人未満 108%増加
カナダ 225人 1.0人未満 23%減少
 

東地中海地域

新規感染者数については、直近1週間で6,732人と報告され、前週と比較して54%増加しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の1か国(全体の5%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、リビアで300%(1人から4人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で62人と報告され、前週と比較して24%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レバノン 1,490人 21.8人 3%減少
イラン 778人 1.0人未満 13%増加
サウジアラビア 206人 1.0人未満 13%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
アフガニスタン 15人 1.0人未満 275%増加
レバノン 13人 1.0人未満 86%増加
サウジアラビア 13人 1.0人未満 同等
  

欧州地域

新規感染者数については、直近1週間で264,653人と報告され、前週と比較して33%減少しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の2か国(全体の3%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ロシアで27%(29,631人から37,544人)及びモルドバで26%(302人から382人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で2,546人と報告され、前週と比較して42%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 57,439人 69.1人 36%減少
ロシア 37,544人 25.7人 27%増加
イタリア 34,742人 58.3人 56%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
スペイン 424人 1.0人未満 21%増加
フランス 373人 1.0人未満 31%減少
イタリア 330人 1.0人未満 47%減少
 

東南アジア地域

 新規感染者数については、直近1週間で3,683人と報告され、前週と比較して24%減少しました。東南アジア地域内におけるデータが利用可能な10か国中の2か国(全体の20%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、東ティモールで150%(2人から5人)及びミャンマーで55%(33人から51人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で107人と報告され、前週と比較して12%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 1,979人 1.0人未満 22%減少    
インド 881人 1.0人未満 21%減少
タイ 627人 1.0人未満 35%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 54人 1.0人未満 23%増加
タイ 44人 1.0人未満 32%減少
インド 7人 1.0人未満 17%増加
 

 
 

西太平洋地域

新規感染者数については、直近1週間で1,063,388人と報告され、前週と比較して39%の減少でした。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な35か国中の1か国(全体の3%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、パラオで50%(4人から6人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、直近1週間で4,165人と報告され、前週と比較して16%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 672,526人 531.7人 34%減少
韓国 192,638人 375.7人 33%減少
中国 142,066人 9.7人 25%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
日本 2,779人 2.2人 2%減少
中国 617人 1.0人未満 23%減少
豪国 310人 1.2人 58%減少
 
当該の図については、中国(香港、マカオ及び台湾を除く。)によって発表された新型コロナウイルス感染症関連の病院における72,596人の死亡者数(2022年12月8日から2023年1月19日までの期間)をいまだ含んでいません。

入院及び集中治療室入室

疫学的第2週(2023年1月9日から2023年1月15日まで。以下同じ。)において、合計15,062件の新規入院数及び880件の新規集中治療室(以下「ICU」という。)入室数が世界的に報告されました。当該のデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは、報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルスの偶発的な感染による入院及び新型コロナウイルス感染症の疾病化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
疫学的第2週に30か国(13%)が新たな入院に関するデータをWHOへ報告しました。新規入院数に関する高い割合を報告した地域については、欧州地域(28%、17か国)、東地中海地域(14%、3か国)、東南アジア地域(9%、1か国)、西太平洋地域(9%、3か国)、アフリカ地域(6%、3か国)及び北米・中南米地域(5%、3か国)となります。
 
WHO管轄6地域全体において、疫学的第2週に合計23か国(10%)が新たなICU入室に関するデータをWHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、欧州地域(21%、13か国)、東地中海地域(23%、5か国)、西太平洋地域(6%、2か国)、北米・中南米地域(4%、2か国)及びアフリカ地域(2%、1か国)でした。今日に至るまで東南アジア地域については、疫学的第2週における新たなICU入室に関するデータを報告した国はありません。
 
50件を超える新たな入院数を報告した17か国については、3か国が前週と比較して増加傾向を示しました(ウクライナで50%(1,600件から2,406件)、ベルギーで9%(1,285件から1,400件)及びギリシャで7%(1,632件から1,748件))増加しました。
 
10件を超える新たなICU入室数を報告した12か国については、3か国が前週と比較して増加傾向を示しました(メキシコで73%(11件から19件)、ギリシャで24%(51件から63件)及びアイルランドで22%(9件から11件))。
 
図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、新たな入院数及び新たなICU入室数(2023年1月15日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

出典

 
World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 25 January 2023”.WHO.2023.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---25-january-2023,(参照2023-01-26).