複数国におけるmpox(サル痘)のアウトブレイク(更新14)
External Situation Report 14, published 19 January 2023
Date as received by WHO national authorities by 17:00 CEST, 15 January 2022
リスクアセスメント
Date as received by WHO national authorities by 17:00 CEST, 15 January 2022
確定された感染者数 | 死亡者数 | 国・地域数 |
84,733人 | 80人 | 110 |
リスクアセスメント
世界的なリスク | 中 | |
WHO管轄地域別のリスク | 欧州地域 | 中 |
アフリカ地域 | 中 | |
北米・中南米地域 | 高 | |
東地中海地域 | 中 | |
東南アジア地域 | 中 | |
西太平洋地域 | 低 |
焦点
疫学的な更新情報
2022年1月1日から2023年1月15日までにWHO管轄である全6地域の110か国・地域から、84,733人の累積感染者数及び80人の累積死亡者数がWHOに報告されています(表1)。2023年1月5日に発表された状況報告以降、790人の新規感染者数(1%の増加)及び5人の新規死亡者数が報告されています。
2023年1月2日から2023年1月15日まで11か国が毎週の新規感染者数の増加を報告し、メキシコで最大の増加が報告されました(59人)。2023年1月15日時点で過去21日間にわたり、感染した110か国のうち78か国において、新規感染者数が報告されませんでした(21日は、潜伏期間の最大値です。)。
世界的に毎週報告される新規感染者数は、疫学的第1週(2023年1月2日から1月8日まで。以下同じ。)の346人と比較し、疫学的第2週(2023年1月9日から2023年1月15日まで。以下同じ。)の302人まで12.7%減少しました(北米・中南米地域で17%及び欧州地域で12%と最大の減少率でした。
2023年1月2日から2023年1月15日までの期間において、ペルー(4人)及びチリ(1人)と合計5人の新規死亡者数が報告されました。
2023年1月15日時点で、世界的に累積感染者数が多い10か国は、米国(29,787人)、ブラジル(10,625人)、スペイン(7,505人)、フランス(4,114人)、コロンビア(4,049人)、英国(3,730人)、ドイツ(3,700人)、ペルー(3,698人)、メキシコ(3,696人)及びカナダ(1,460人)です。当該の10か国を合算すると、世界的に報告された新規感染者数の85.4%を占めています。
表1 WHOへ報告されたWHO管轄地域別のmpoxに係る累積感染者数及び死亡者数(2022年1月1日から2023年1月15日17時(欧州夏時間)まで)

図1 週毎に集計されたWHO管轄地域別のmpoxに係る新規感染者数を示したグラフ(2022年1月1日から2023年1月15日17時(欧州夏時間)まで)

※当該のグラフについては、日曜日に終了する疫学的週を反映した集計の週報を示しています。現在の週に係るデータについては、次回の状況報告で提示されます。
他の重要な疫学的知見
2023年1月15日時点における利用可能なデータを伴う感染者数の96.6%(74,928人中の72,374人)は男性であり、年齢の中央値は34歳です(四分位範囲は、29から41歳まで。)。データが利用可能である感染者数の1.0%(783人)にあっては0歳から17歳までであり、0.3%(214人)にあっては0歳から4歳までとなります。この割合は管轄地域によって異なり、北米・中南米地域については、0歳から17歳までの感染者の割合が最も高いと報告されました(783人中の630人、80%)。
性的指向が報告された感染者のうち、84.3%(31,152人中の26,246人)がゲイ、バイセクシャル及び男性と性交渉を行う男性であると特定されました。報告された感染経路のうち、性交渉中の皮膚及び粘膜を介した接触感染が最も報告されており、感染曝露機会が報告された21,417件中の14,779件(69%)でした。
感染経路に関する詳細な情報については、アフリカ地域からの大半の感染者を入手できず、当該の感染・伝播性に関する情報については、アフリカ地域におけるウイルスの疫学的な拡散を完全には記述できないおそれがあります。当該地域の国々については、ヒトからヒトへの感染及び感染した動物との接触による感染の両方があります。
最も一般的に報告された感染曝露状況は性的接触を伴う集会であり、曝露状況が報告された8,231件中の3,856件(46.8%)でした。
少なくとも1つの症状を報告した感染者(37,899人)のうち、最も一般的な症状は発疹であり(感染者の79%)、発熱(57%)、全身性及び性器発疹(49.9%及び44.6%)となります。
図2 公式の情報源からWHOに報告又は特定されたmpox感染者の地理的分布図(2022年1月1日から2023年1月15日17時(欧州夏時間)まで)

2023年1月2日から2023年1月15日まで11か国が毎週の新規感染者数の増加を報告し、メキシコで最大の増加が報告されました(59人)。2023年1月15日時点で過去21日間にわたり、感染した110か国のうち78か国において、新規感染者数が報告されませんでした(21日は、潜伏期間の最大値です。)。
世界的に毎週報告される新規感染者数は、疫学的第1週(2023年1月2日から1月8日まで。以下同じ。)の346人と比較し、疫学的第2週(2023年1月9日から2023年1月15日まで。以下同じ。)の302人まで12.7%減少しました(北米・中南米地域で17%及び欧州地域で12%と最大の減少率でした。
2023年1月2日から2023年1月15日までの期間において、ペルー(4人)及びチリ(1人)と合計5人の新規死亡者数が報告されました。
2023年1月15日時点で、世界的に累積感染者数が多い10か国は、米国(29,787人)、ブラジル(10,625人)、スペイン(7,505人)、フランス(4,114人)、コロンビア(4,049人)、英国(3,730人)、ドイツ(3,700人)、ペルー(3,698人)、メキシコ(3,696人)及びカナダ(1,460人)です。当該の10か国を合算すると、世界的に報告された新規感染者数の85.4%を占めています。
表1 WHOへ報告されたWHO管轄地域別のmpoxに係る累積感染者数及び死亡者数(2022年1月1日から2023年1月15日17時(欧州夏時間)まで)
図1 週毎に集計されたWHO管轄地域別のmpoxに係る新規感染者数を示したグラフ(2022年1月1日から2023年1月15日17時(欧州夏時間)まで)
※当該のグラフについては、日曜日に終了する疫学的週を反映した集計の週報を示しています。現在の週に係るデータについては、次回の状況報告で提示されます。
他の重要な疫学的知見
2023年1月15日時点における利用可能なデータを伴う感染者数の96.6%(74,928人中の72,374人)は男性であり、年齢の中央値は34歳です(四分位範囲は、29から41歳まで。)。データが利用可能である感染者数の1.0%(783人)にあっては0歳から17歳までであり、0.3%(214人)にあっては0歳から4歳までとなります。この割合は管轄地域によって異なり、北米・中南米地域については、0歳から17歳までの感染者の割合が最も高いと報告されました(783人中の630人、80%)。
性的指向が報告された感染者のうち、84.3%(31,152人中の26,246人)がゲイ、バイセクシャル及び男性と性交渉を行う男性であると特定されました。報告された感染経路のうち、性交渉中の皮膚及び粘膜を介した接触感染が最も報告されており、感染曝露機会が報告された21,417件中の14,779件(69%)でした。
感染経路に関する詳細な情報については、アフリカ地域からの大半の感染者を入手できず、当該の感染・伝播性に関する情報については、アフリカ地域におけるウイルスの疫学的な拡散を完全には記述できないおそれがあります。当該地域の国々については、ヒトからヒトへの感染及び感染した動物との接触による感染の両方があります。
最も一般的に報告された感染曝露状況は性的接触を伴う集会であり、曝露状況が報告された8,231件中の3,856件(46.8%)でした。
少なくとも1つの症状を報告した感染者(37,899人)のうち、最も一般的な症状は発疹であり(感染者の79%)、発熱(57%)、全身性及び性器発疹(49.9%及び44.6%)となります。
図2 公式の情報源からWHOに報告又は特定されたmpox感染者の地理的分布図(2022年1月1日から2023年1月15日17時(欧州夏時間)まで)
HIVとmpox
HIV感染とmpox間における臨床的かつ公衆衛生上の相関性(重複するエピデミック)
世界的には2023年1月15日の時点において、WHOへ報告された詳細な情報を伴うmpox感染者の44%(79,730人中の34,791人)がHIVに関する情報を有しています。これらのうち、48%(34,791人中の16,749人)がHIV生存者であると報告されています。様々な状況における疫学的研究(ドイツ、米国、英国及び多国にわたる感染者を含む。)については、HIV感染はないもののmpoxの診断を受けた個人のうち44%から77%がHIVに関するサービスを利用し、HIV感染防止のための曝露前予防のために抗レトロウイルス療法を使用していることを示唆しています。これらのデータについては、HIVのリスクが高い集団において、性的なネットワークでの共感染がおそらく原因であり、mpoxに感染するおそれが高い人がいることを示唆しています。
HIV及びmpoxの関係を理解して対処することについては、mpoxに関連した罹患率及び死亡率を減らすために、特に重要です。複数国にわたる疫学データについては、HIV生存者で特に感染コントロールが不良の場合、mpoxの症状が重篤化するおそれがあります(重症皮疹を含む。)。より重篤な結果が米国で報告されており、入院率については、HIVコントロール良好(8%)及びHIV陰性(3%)と比較してHIVコントロール不良者(27%)で高くなっています。欧州調査データについては、HIV陰性(3%)と比較してHIV生存者(4.6%)で入院率が高いことを示しました。さらに、mpox有症者である人々の中で行われたHIV診断については、包括的なmpox感染者管理にHIV検査を含める必要性を示唆しており、HIVのリスクアセスメント及び予防を組み合わせた必要性と検査結果に基づくHIV治療への紹介を評価する必要性を示唆しています。Mpoxの重症度及び未治療のHIVの相関性については、mpoxの罹患率及び死亡率を減らすために、自分のHIV感染状態を認識していない人々が感染状態を認識し、抗レトロウイルス療法を利用し、ウイルスコントロールを達成する必要があることを示唆しています(2022年から2030年までの期間におけるHIV、ウイルス性肝炎、性感染症におけるWHOの世界的な健康部門の戦略)。
当該の疫学により、新たな影響を受けた国でのmpoxのアウトブレイクについては、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー及びセックスワーカーと自認する人々への偏見及び差別を強化しています。これらの集団の多数は偏見や差別を受けたことがあり、この偏見の大多数はここ数十年のHIVのエピデミックにより助長されてきました。男性間の性的接触によるmpoxの感染・伝播性については、ゲイ又はバイセクシャルと自認する人々の差別的な固定概念を強めることとなりました。さらに、保健医療における偏見及び差別はHIVコントロールにとって重要な障壁であり、多くの状況におけるmpoxアウトブレイクの事態対処行動を妨げるおそれがあります。偏見、差別、他の構造的な障壁を除外することは、世界的な保健部門のHIVに関する目標を達成してmpoxの感染・伝播性を抑止するために、重要な戦略となります。
2022年に最初のmpox感染者を報告した多くの国において、mpoxへの緊急的な事態対処行動はHIVサービス及びmpoxのおそれがある集団との間に存在する相関性を特定して活用し、介入はHIVサービスにおけるmpoxの予防、診断、治療に焦点を当てています。WHOは、協力者とともにmpoxをコントロールするための介入を統合するための長期的な手法(調査、検出、予防、治療、研究及び特にリスクのある集団との相関性を確立したサービス)に関する考慮事項及び迅速な推奨事項をまとめています。これは、いかなる国における更なる継続した感染のおそれを考慮すると、mpoxの感染・伝播性を防止するという戦略的な目標を達成するために特に重要です。
最新情報(事態対処行動の要となる検査及び調査)
検査に係る事態対処行動
mpoxの臨床検査は、疾病の調査、感染者の適切な管理及び世界・地域的なアウトブレイクの感染・伝播性の理解に不可欠です。
WHOは、mpoxへの事態対処行動を通じて検査への公平な利用を支援し、mpoxウイルスの検出に必要な検査の開発及び評価を提唱してきました。アウトブレイクへの事前準備行動及び事態対処行動の一部として適切に機能し、供給できるキットを特定するために、利用可能な診断検査の迅速なレビューが行われました。WHOは、これに関する追跡作業の一部として、※ロベルト・コッホ研究所と協同しました。※mpoxウイルスの11の市販PCR検査の評価を行い、mpoxウイルスのDNAを検出するための十分又は同等の感度があると発見しました。WHOは、2022年6月以降に9万近い市販の分子検査をWHO管轄の5地域にわたる60か国へ提供し、世界中の研究所間における相互の試薬交換を促進しました。
分子診断の利用が制限されている国については、確定検査(WHOの国・地域オフィスから利用が可能となる。)のために検体を国際参照研究所への輸送を促進するための発送資金が利用できます。85の検体は、この支援により10か国から出荷されました。各国の診断能力を開発して強化するための追加の支援は、PCR検査機器の供給及び検査室職員向けの特別訓練を通じて提供されています。
Mpoxの検査に関するWHOの指針は、mpoxウイルスの臨床検査に関する暫定指針及びmpoxの調査、感染者調査及び濃厚接触に関する暫定指針に記載されています。
mpoxの診断に関する標的製品の概略
保証された品質を伴う正確で安価である診断を利用できることは非常に重要であり、mpox検査を拡散し、簡素化されたより利用しやすい検査に対する明確な必要性がいまだあります。WHOは、次のとおり2022年11月にmpoxウイルス診断用の2つの標的製品の概略の開発に向けた専門家会議を開始しました。
保健医療環境及び研究所内でmpox診断に使用される検査
オルソポックスウイルス属の抗原を標的とすることにより、mpox診断の一助として使用される検査(集団を含む拡散的な使用に適している。)
これらの標的製品の概略は、公開協議やフィードバックのために2023年2月1日までにオンラインで入手できます(その後に全てのコメントが最終公開版に統合されます。)。
mpoxの臨床検査は、疾病の調査、感染者の適切な管理及び世界・地域的なアウトブレイクの感染・伝播性の理解に不可欠です。
WHOは、mpoxへの事態対処行動を通じて検査への公平な利用を支援し、mpoxウイルスの検出に必要な検査の開発及び評価を提唱してきました。アウトブレイクへの事前準備行動及び事態対処行動の一部として適切に機能し、供給できるキットを特定するために、利用可能な診断検査の迅速なレビューが行われました。WHOは、これに関する追跡作業の一部として、※ロベルト・コッホ研究所と協同しました。※mpoxウイルスの11の市販PCR検査の評価を行い、mpoxウイルスのDNAを検出するための十分又は同等の感度があると発見しました。WHOは、2022年6月以降に9万近い市販の分子検査をWHO管轄の5地域にわたる60か国へ提供し、世界中の研究所間における相互の試薬交換を促進しました。
分子診断の利用が制限されている国については、確定検査(WHOの国・地域オフィスから利用が可能となる。)のために検体を国際参照研究所への輸送を促進するための発送資金が利用できます。85の検体は、この支援により10か国から出荷されました。各国の診断能力を開発して強化するための追加の支援は、PCR検査機器の供給及び検査室職員向けの特別訓練を通じて提供されています。
Mpoxの検査に関するWHOの指針は、mpoxウイルスの臨床検査に関する暫定指針及びmpoxの調査、感染者調査及び濃厚接触に関する暫定指針に記載されています。
mpoxの診断に関する標的製品の概略
保証された品質を伴う正確で安価である診断を利用できることは非常に重要であり、mpox検査を拡散し、簡素化されたより利用しやすい検査に対する明確な必要性がいまだあります。WHOは、次のとおり2022年11月にmpoxウイルス診断用の2つの標的製品の概略の開発に向けた専門家会議を開始しました。
保健医療環境及び研究所内でmpox診断に使用される検査
オルソポックスウイルス属の抗原を標的とすることにより、mpox診断の一助として使用される検査(集団を含む拡散的な使用に適している。)
これらの標的製品の概略は、公開協議やフィードバックのために2023年2月1日までにオンラインで入手できます(その後に全てのコメントが最終公開版に統合されます。)。
特別な焦点(ゲノム解析)
mpoxウイルスに関する分子疫学
mpoxウイルスのクレードに関する新しい新しい命名については、過去の名称が差別的であると感じられ、WHO開催の専門家会合によって合意されました。mpoxウイルスは2種類あり、クレードⅠ及びクレードⅡであり、過去にコンゴ盆地系統群(中央アフリカ系統群)又は西アフリカ系統群と呼ばれていました。2023年1月16日時点において、4,652検体にあっては60か国からGISAIDで利用でき、3,986検体にあっては49か国からGenBankで利用できます。
クレードⅡは2つのサブクレード(Ⅱa及びⅡb)に分かれ、クレードⅠより重症度がより低いと推定されています。2017年以降にナイジェリアにおいて、クレードⅡのエピデミックの再興があります。複数国におけるmpoxの進行中である大規模なアウトブレイクは、主にクレードⅡbによるものです。クレードⅡbは、更に系統及び亜系統に分かれます(特に系統A及び系統B)。アウトブレイクの検体の分子系統樹については、mpoxウイルスから予想以上に多くの変異の存在が明らかとなりました。2017年以降の変異に関する割合については、保有動物のmpoxウイルス(大きいDNAウイルス)における想定された長期的な進化率のおおよそ20倍超となります。特定の変異の高い有病率(APOBEC3における分子による脱アミノ酸(シトシン))が観察されています。このパターンについては、2017年以前の検体では確認できず、「現在のエピデミックは、2017年以前における動物から人への波及から発生した。」という仮説を促進しています。2017年以降の分子系統樹において当該の変異が再構築されることがAPOBEC3の結果であり、人への波及は2016年4月に発生したと推定されています(95%信頼区間が2015年7月から2016年12月まで。)。
複数国におけるアウトブレイク(2022年)からのクレードⅡb検体の大半については、クレードⅡb.B.1系統に属します。A系統は、ナイジェリアに加えて主に中東及び東南アジア地域に存在します(図1)。公開されている検体の分子系統樹については、複数国におけるアウトブレイク(2022年)で検出されたクレードⅡbの検体に関する限定的な多様性が明らかとなっています(図2)。
動物宿主からの遺伝子検体のデータ
mpoxの動物宿主については、更なる調査が必要です。動物宿主からのクレードⅠ及びⅡaの検体が利用可能であり(図3)、その一方、クレードⅡbが今日に至るまで人で唯一検出されており、人に適応したとの仮説が近年あります。クレードⅡaの検体は、動物(サル及びげっ歯類を含む。)から分離されています(1つにあっては人の検体であり、もう1つにあっては環境からの検体です。)。人よりも動物宿主からのクレードⅡaの検体が多く存在します。2003年の米国で発生したクレードⅡaのアウトブレイクについては、アフリカ大陸以外で記録された最初のmpoxのアウトブレイクであり、人への感染(合計47人であり、確定又は疑いを含む。)を引き起こし、ガーナからのげっ歯類の輸入に引き続き、感染動物のプレーリードッグに関連していました。クレードⅠの検体は、主に人から分離されています(1つの検体にあってはリスからのものであり、もう1つの検体にあってはネズミ類からのものでした。)。
図1 世界におけるクレードⅡb系統の分布(公開されているゲノムデータのWHO分析)

mpoxウイルスのクレードに関する新しい新しい命名については、過去の名称が差別的であると感じられ、WHO開催の専門家会合によって合意されました。mpoxウイルスは2種類あり、クレードⅠ及びクレードⅡであり、過去にコンゴ盆地系統群(中央アフリカ系統群)又は西アフリカ系統群と呼ばれていました。2023年1月16日時点において、4,652検体にあっては60か国からGISAIDで利用でき、3,986検体にあっては49か国からGenBankで利用できます。
クレードⅡは2つのサブクレード(Ⅱa及びⅡb)に分かれ、クレードⅠより重症度がより低いと推定されています。2017年以降にナイジェリアにおいて、クレードⅡのエピデミックの再興があります。複数国におけるmpoxの進行中である大規模なアウトブレイクは、主にクレードⅡbによるものです。クレードⅡbは、更に系統及び亜系統に分かれます(特に系統A及び系統B)。アウトブレイクの検体の分子系統樹については、mpoxウイルスから予想以上に多くの変異の存在が明らかとなりました。2017年以降の変異に関する割合については、保有動物のmpoxウイルス(大きいDNAウイルス)における想定された長期的な進化率のおおよそ20倍超となります。特定の変異の高い有病率(APOBEC3における分子による脱アミノ酸(シトシン))が観察されています。このパターンについては、2017年以前の検体では確認できず、「現在のエピデミックは、2017年以前における動物から人への波及から発生した。」という仮説を促進しています。2017年以降の分子系統樹において当該の変異が再構築されることがAPOBEC3の結果であり、人への波及は2016年4月に発生したと推定されています(95%信頼区間が2015年7月から2016年12月まで。)。
複数国におけるアウトブレイク(2022年)からのクレードⅡb検体の大半については、クレードⅡb.B.1系統に属します。A系統は、ナイジェリアに加えて主に中東及び東南アジア地域に存在します(図1)。公開されている検体の分子系統樹については、複数国におけるアウトブレイク(2022年)で検出されたクレードⅡbの検体に関する限定的な多様性が明らかとなっています(図2)。
動物宿主からの遺伝子検体のデータ
mpoxの動物宿主については、更なる調査が必要です。動物宿主からのクレードⅠ及びⅡaの検体が利用可能であり(図3)、その一方、クレードⅡbが今日に至るまで人で唯一検出されており、人に適応したとの仮説が近年あります。クレードⅡaの検体は、動物(サル及びげっ歯類を含む。)から分離されています(1つにあっては人の検体であり、もう1つにあっては環境からの検体です。)。人よりも動物宿主からのクレードⅡaの検体が多く存在します。2003年の米国で発生したクレードⅡaのアウトブレイクについては、アフリカ大陸以外で記録された最初のmpoxのアウトブレイクであり、人への感染(合計47人であり、確定又は疑いを含む。)を引き起こし、ガーナからのげっ歯類の輸入に引き続き、感染動物のプレーリードッグに関連していました。クレードⅠの検体は、主に人から分離されています(1つの検体にあってはリスからのものであり、もう1つの検体にあってはネズミ類からのものでした。)。
図1 世界におけるクレードⅡb系統の分布(公開されているゲノムデータのWHO分析)