新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新100)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2023年2月1日

世界の概況

新規感染者数については、2023年1月2日から2023年1月29日まで(以下「過去28日間」という。)に19,955,978人と報告され、過去28日間と比較して78%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、過去28日間に114,372人と報告され、過去28日間と比較して65%の増加でした(図1及び表1)。直近数週間の疫学的傾向については、西太平洋地域の新規感染者数及び死亡者数の大きな波(特に中国)によって支配されています。2023年1月29日時点で、全世界の累積感染者数にあっては753,258,129人、累積死亡者数にあっては6,811,531人となります。
 
報告された新型コロナウイルス感染症の感染者における現在の傾向については、有病率の調査で示されたとおり、世界的な感染及び再感染の真の数値を過小評価したものです。これについては、特に多くの国における検査数の減少及び報告の遅延によるものです。この報告に示されたデータについては、不完全のおそれがあり、それゆえ、慎重に解釈する必要があります。さらに、過去数週のデータについては、各国によって提出された新型コロナウイルス感染症の感染者数及び死亡者数における後ろ向きの変化を組み込みながら継続して更新されています。
 
この状況報告以降については、WHOは、28日間隔を使用して疫学的傾向の変化を示します。これにより、新規感染者数の週毎の変動が緩徐となり、パンデミックが加速又は失速する点を図においてより明確に指摘することが可能となります。週毎のデータについては、WHOの新型コロナウイルス感染症ダッシュボードでいまだ利用可能であり、データのダウンロードが可能です。
 
管轄地域別の新規感染者数(過去28日間)については、WHO管轄の全6地域で減少しました(西太平洋地域で81%、東南アジア地域で71%、欧州地域で63%、北米・中南米地域で35%、アフリカ地域で20%及び東地中海地域で15%減少しました。)。管轄地域別の新規死亡者数(過去28日間)については、西太平洋地域で173%、東地中海地域で29%及び北米・中南米地域で13%増加しました(東南アジア地域で62%、アフリカ地域で45%及び欧州地域で25%減少しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国(過去28日間)は、中国(11,354,058人、85%減少)、日本(3,207,097人、20%減少)、米国(1,513,538人、16%減少)、韓国(1,032,801人、43%減少)及びブラジル(459,986人、54%減少)でした。また、過去28日間における新規死亡者数が多い上位5か国は、中国(62,759人、244%増加)、米国(14,625人、31%増加)、日本(10,122人、46%増加)、英国(3,137人、3%減少)及びブラジル(2,889人、24%減少)でした。
 
図1 2023年1月29日時点のWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移(28日間隔)
 
表1 2023年1月29日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の感染者数及び死亡者数(28日間隔)

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

世界的な拡散及び有病率

世界的に2022年12月30日から2023年1月30日までにおいて、90,985の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち90,937の検体がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)であり、過去30日間に世界的に報告された検体の99.9%を占めています。
 
BA.5系統及びその下位系統が世界的に依然として優勢です。疫学的第2週(2023年1月9日から2023年1月15日まで。以下同じ。)においてGISAIDに提出された検体の65.7%(16,357検体)を占めています。BA.2系統及びその下位系統の有病率にあっては14.6%(3,645検体)、BA.4系統及びその下位系統の有病率にあっては0.3%(68検体)となります。2023年1月における上位3つの変異株については、BQ.1.1系統(28.2%)、BQ.1系統(14.1%)及びXBB1.5系統(11.5%)となります。BQ.1.1系統及びBQ.1系統にあってはBA.5系統の下位系統であり、XBB1.5系統にあってはBA.2系統の下位系統の組換え体となります。
 
変異株の流行動態については、WHO管轄地域・国において同じ地域であっても種々の要因で異なります(過去に流行していた変異株、ワクチン接種率及び公衆衛生と社会的な手段を含む。)。2023年1月の各管轄地域において最も流行していた上位3つの変異株は、それぞれ次のとおりです。
 
アフリカ地域(332検体) BQ.1.1系統(23.7%)、BA.2.10.1系統(12.3%)及びXBB.2系統(12.1%)
北米・中南米地域(40,010検体) BQ.1.1系統(37.5%)、XBB.1.5系統(19.6%)及びBQ.1系統(19.6%)
東地中海地域(85検体) XBB.1系統(37.2%)、BN.1系統(10.3%)及びBA.5.2系統(10.3%)
欧州地域(40,379検体) BQ.1.1系統(31.3%)、BQ.1系統(13.0%)及びCH.1.1系統(12.3%)
東南アジア地域(389検体) XBB.1系統(41.1%)、BQ.1.1系統(14.3%)及びBA.2.10.1系統(6.0%)
西太平洋地域(15,515検体) BA.5.2系統(30.1%)、BF.7系統(13.2%)及びBQ.1.1系統(8.5%)
 
WHOは、オミクロン株の4つの下位系統を優先して追跡しています。これらの変異株については、複数の国において他の流行している変異株や適応性の優位性を与えると判明又は疑いのあるアミノ酸置換と比較し、増加率の優位性の徴候又は有病率の増加という指標に基づいています。疫学的第2週において、1,147検体のBF.7系統(4.6%)11,674検体のBQ.1*系統(46.9%)が報告されています(7,189検体のBQ.1.1系統(28.9%)を含む。)。3,473検体のBA.2.75*系統(13.9%)があります(35検体のBA.2.75.2系統(1%未満)及び1,672検体のCH.1.1系統(6.7%)を含む。)。直近では4,049検体のXBB*系統(16.3%)がGISAIDに世界的に提出されました(3,005検体のXBB.1.5系統(12.1%)を含む。)。
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、過去28日間で26,005人と報告され、前の28日間と比較して20%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の9か国(全体の18%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コンゴ民主共和国で500%(1人から6人)、ザンビアで443%(832人から4,514人)及びモザンビークで195%(324人から955人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で98人と報告され、前の28日間と比較して45%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 5,626人 10人 1%減少
レユニオン 5,394人 602.5人 23%減少
ザンビア 4,514人 24.6人 443%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 27人 1.0人未満 74%減少
ザンビア 16人 1.0人未満 220%増加
ジンバブエ 13人 1.0人未満 24%減少

 

 

北米・中南米地域

新規感染者数については、過去28日間で2,463,829人と報告され、前の28日間と比較して35%減少しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の11か国(全体の20%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、セントクリストファー・ネイビスで867%(3人から29人)、サバで300%(1人から4人)及びジャマイカで269%(167人から616人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で21,638人と報告され、前の28日間と比較して13%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 1,513,538人 457.3人 16%減少
ブラジル 459,986人 216.4人 54%減少
メキシコ 102,228人 79.3人 7%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 14,625人 4.4人 31%増加
ブラジル 2,889人 1.4人 24%減少
カナダ 954人 2.5人 23%減少
 

東地中海地域

新規感染者数については、過去28日間で19,319人と報告され、前の28日間と比較して15%減少しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の4か国(全体の18%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、チュニジアで442%(499人から2,707人)、レバノンで160%(2,094人から5,454人)及びイランで117%(1,341人から2,906人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で211人と報告され、前の28日間と比較して29%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レバノン 5,454人 79.9人 160%増加
イラン 2,906人 3.5人 117%増加
カタール 2,806人 97.4人 70%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 59人 1.0人未満 23%増加
サウジアラビア 50人 1.0人未満 6%増加
レバノン 39人 1.0人未満 388%増加
 

欧州地域

新規感染者数については、過去28日間で1,478,735人と報告され、前の28日間と比較して63%減少しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の4か国(全体の7%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コソボで259%(70人から251人)、ジョージアで66%(2,591人から4,310人)及びモンテネグロで54%(959人から1,475人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で15,643人と報告され、前の28日間と比較して25%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 348,443人 419人 57%減少
イタリア 260,958人 437.5人 59%減少
フランス 184,864人 284.2人 85%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
英国 3,137人 4.6人 3%減少
フランス 2,042人 3.1人 28%減少
イタリア 1,915人 3.2人 36%減少
 

東南アジア地域

新規感染者数については、過去28日間で17,267人と報告され、前の28日間と比較して71%減少しました。東南アジア地域内におけるデータが利用可能な10か国中の1か国(全体の10%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ブータンで158%(26人から67人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で428人と報告され、前の28日間と比較して62%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 9,392人 3.4人 77%減少    
インド 3,990人 1.0人未満 24%減少
タイ 3,065人 4.4人 75%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
タイ 196人 1.0人未満 49%減少
インドネシア 184人 1.0人未満 71%減少
インド 35人 1.0人未満 55%減少
 

西太平洋地域

新規感染者数については、過去28日間で15,950,823人と報告され、前の28日間と比較して81%減少しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な35か国中の4か国(全体の11%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、サモアで357%(21人から96人)、ミクロネシアで123%(198人から442人)、米国領サモアで67%(21人から35人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で76,354人と報告され、前の28日間と比較して173%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
中国 11,354,058人 771.7人 85%減少
日本 3,207,097人 2,535.7人 20%減少
韓国 1,032,801人 2,014.5人 43%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 62,579人 4.3人 244%増加
日本 10,122人 8人 46%増加
豪国 1,633人 6.4人 299%増加
 

入院及び集中治療室入室

2022年12月26日から2023年1月22日までの期間(以下「過去28日間」という。)において、合計180,280件の新規入院数及び4,469件の新規集中治療室(以下「ICU」という。)入室数が世界的に報告されました。当該の提示されたデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルスの偶発的な感染による入院及び新型コロナウイルス感染症の重症化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
過去28日間に50か国(21%)が新たな入院に関するデータを少なくとも1回WHOへ報告しました。新規入院数に関する高い割合を報告した地域については、欧州地域(39%、24か国)、東地中海地域(23%、5か国)、アフリカ地域(16%、8か国)、北米・中南米地域(14%、8か国)、西太平洋地域(11%、4か国)及び東南アジア地域(9%、1か国)となります。過去28日間における新規入院数を一貫して報告した国の割合は、10%(24か国)でした。
 
WHO管轄6地域全体において、過去28日間に合計35か国(13%)が新たなICU入室に関するデータを少なくとも1回WHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、欧州地域(28%、17か国)、東地中海地域(27%、6か国)、西太平洋地域(11%、4か国)、北米・中南米地域(11%、6か国)及びアフリカ地域(4%、2か国)となります。東南アジア地域については、過去28日間における新たなICU入室に関するデータを報告した国は、今日に至るまでありません。過去28日間における新たなICU入室数を一貫して報告した国の割合は、7%(16か国)でした。
 
過去28日間に過去200件を超える新たな入院数を一貫して報告した15か国については、4か国が前の28日間(2022年11月28日から12月25日までをいう。以下同じ。)と比較して増加傾向を示しました(メキシコで64%(3,169件から5,183件)、ギリシャで23%(5,224件から6,434件)チリで8%(2,225件から2,409件))及びアルゼンチンで8%(3,749件から4,023件)増加しました。
 
過去28日間に40件を超える新たなICU入室数を一貫して報告した11か国については、5か国が前の28日間と比較して増加傾向を示しました(ギリシャで33%(171件から228件)、アルゼンチンで21%(137件から166件)、メキシコで35%(52件から70件)、ラトビアで41%(41件から58件)及びチリで28%(39件から50件))。
 
図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、新たな入院数及び新たなICU入室数(2023年1月22日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

 
 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 1 February 2023”.WHO.2023.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---1-february-2023,(参照2023-02-02).