新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新101)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2023年2月8日

世界の概況

新規感染者数については、2023年1月9日から2023年2月5日まで(以下「過去28日間」という。)に10,458,265人と報告され、過去28日間と比較して89%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、過去28日間に90,520人と報告され、過去28日間と比較して8%減少しました(図1及び表1)。前の過去28日間の疫学的傾向については、西太平洋地域の新規感染者数及び死亡者数の大きな波(特に中国)によって支配されています。2023年2月5日時点で、全世界の累積感染者数にあっては754,630,871人、累積死亡者数にあっては6,829,007人となります。
 
報告された新型コロナウイルス感染症の感染者における現在の傾向については、有病率の調査で示されたとおり、世界的な感染及び再感染の真の数値を過小評価したものです。これについては、部分的には多くの国における検査数の減少及び報告の遅延によるものです。この報告に示されたデータについては、不完全のおそれがあり、それゆえ、慎重に解釈する必要があります。さらに、過去数週のデータについては、各国によって提出された新型コロナウイルス感染症の感染者数及び死亡者数における後ろ向きの変化を組み込みながら継続して更新されています。
 
WHOは、28日間の間隔を使用して疫学的傾向の変化を示します。これにより、報告の遅延を説明し、新規感染者数の週毎の変動が緩徐となり、パンデミックが加速又は失速する点が明らかな図を提供することが可能となります。週毎のデータについては、WHOの新型コロナウイルス感染症ダッシュボードでいまだ利用可能であり、データのダウンロードが可能です。
 
管轄地域別の新規感染者数(過去28日間)については、WHO管轄の全6地域で減少しました(西太平洋地域で92%、東南アジア地域で65%、欧州地域で62%、北米・中南米地域で43%、アフリカ地域で27%及び東地中海地域で2%減少しました。)。管轄地域別の新規死亡者数(過去28日間)については、東地中海地域で45%、アフリカ地域で21%及び北米・中南米地域で14%増加しました(東南アジア地域で61%、欧州地域で38%及び西太平洋地域で3%減少しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国(過去28日間)は、中国(3,485,265人、96%減少)、日本(2,429,215人、42%減少)、米国(1,328,654人、27%減少)、韓国(736,811人、59%減少)及びブラジル(389,444人、59%減少)でした。また、過去28日間における新規死亡者数が多い上位5か国は、中国(40,812人、11%減少)、米国(15,294人、40%増加)、日本(9,874人、28%増加)、英国(2,671人、32%減少)及びブラジル(2,566人、37%減少)でした。
 
図1 2023年2月5日時点のWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移(28日間隔)
 
表1 2023年2月5日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は累積新型コロナウイルス感染者の感染者数及び死亡者数(28日間隔)

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

世界的な拡散及び有病率

世界的に2023年1月10日から2023年2月6日までの期間(28日間)において、70,276の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち70,018の検体がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)であり、世界的に報告された検体の99.6%を占めています。
 
オミクロン株のVOCのうちBA.5系統及びその下位系統が世界的に依然として優勢ですが、相対的な有病率は減少しています。疫学的第3週(2023年1月16日から2023年1月22日まで。以下同じ。)においてGISAIDに提出された検体の53.9%(8,393検体)を占めており、疫学的第51週(2022年12月19日から12月25日をいう。以下同じ。)の74.2%(46,718検体)と比較して減少を示す傾向となります。当該期間におけるBA.2系統及びその下位系統の有病率については、同等でした(疫学的第51週の11.9%及び疫学的第3週の12.6%)。疫学的第3週における組換え体の変異株の検体については、疫学的第51週の8.8%(5,563検体)から24.6%(3,823検体)まで上昇しました。これら組換え体の変異株の大半については、XBB.1.5系統(疫学的第3週の17.7%)であり、米国から報告されています。未指定の検体(オミクロン株と推定されている。)については、疫学的第3週にGISAIDに提出された検体の8.7%を占めています。BA.1系統、BA.3系統、BA.4系統及びそれらの下位系統の有病率については、全て1%未満となります。
 
WHOは、オミクロン株の4つの下位系統を詳細に追跡しています。これらの変異株については、他の流行している変異株や適応性の優位性を与えると判明又は疑いのあるアミノ酸置換と比較し、増加率の優位性の徴候という指標に基づいています。監視中の変異株については、BF.7系統(BA.5系統にスパイクタンパクのR346T変異を伴う。)、BQ.1*系統(BQ.1.1系統及びBA.5系統にスパイクタンパクのR346T、K444T、N460Kの変異を伴うものを含む。)、BA.2.75系統(BA.2.75.2系統及びCH.1.1系統を含む。)及びXBB*系統(XBB.1.5系統を含む。)。WHOは、今日に至るまでXBB.1.5#系統に関する2つの迅速なリスクアセスメントを発表しています。
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、過去28日間で23,362人と報告され、前の28日間と比較して27%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の10か国(全体の20%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、赤道ギニアで2,300%(1人から24人)、ザンビアで443%(832人から4,514人)及びモザンビークで297%(403人から1,600人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で99人と報告され、前の28日間と比較して21%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 5,368人 9.1人 27%減少
ザンビア 4,514人 24.6人 443%増加
レユニオン 3,290人 367.5人 57%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
南アフリカ 27人 1.0人未満 50%増加
ジンバブエ 19人 1.0人未満 12%増加
ザンビア 16人 1.0人未満 220%増加

北米・中南米地域

新規感染者数については、過去28日間で2,103,134人と報告され、前の28日間と比較して43%減少しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の6か国(全体の11%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ジャマイカで408%(158人から802人)、セントルシアで384%(25人から121人)及び米国領バージン諸島で280%(198人から753人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で22,043人と報告され、前の28日間と比較して14%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 1,328,654人 401.4人 27%減少
ブラジル 389,444人 183.2人 59%減少
メキシコ 91,617人 71.1人 25%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 15,294人 4.6人 40%増加
ブラジル 2,566人 1.2人 37%減少
カナダ 977人 2.6人 16%減少
 

東地中海地域

新規感染者数については、過去28日間で18,664人と報告され、前の28日間と比較して2%減少しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の5か国(全体の23%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、チュニジアで442%(500人から2,711人)、レバノンで121%(2,571人から5,675人)及びイランで68%(1,703人から2,855人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で231人と報告され、前の28日間と比較して45%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レバノン 5,675人 83.1 121%増加
イラン 2,855人 3.4人 68%増加
チュニジア 2,711人 22.9人 442%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
サウジアラビア 50人 1.0人未満 6%増加
イラン 50人 1.0人未満 4%増加
アフガニスタン 45人 1.0人未満 275%増加

欧州地域

新規感染者数については、過去28日間で1,272,322人と報告され、前の28日間と比較して62%減少しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の3か国(全体の5%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、コソボで131%(118人から273人)、ジョージアで65%(3,012人から4,957人)及びモンテネグロで38%(1,021人から1,404人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で13,652人と報告され、前の28日間と比較して38%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 300,876人 361.8人 59%減少
イタリア 187,023人 313.6人 66%減少
ロシア 169,762人 116.3人 5%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
英国 2,671人 3.9人 32%減少
イタリア 1,740人 2.9人 40%減少
フランス 1,522人 2.3人 51%減少
 

東南アジア地域

新規感染者数については、過去28日間で14,058人と報告され、前の28日間と比較して65%減少しました。東南アジア地域内におけるデータが利用可能な10か国中の1か国(全体の10%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ブータンで80%(30人から54人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で342人と報告され、前の28日間と比較して61%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 7,589人 2.8人 69%減少    
インド 3,439人 1.0人未満 33%減少
タイ 2,320人 3.3人 75%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
タイ 155人 1.0人未満 54%減少
インドネシア 149人 1.0人未満 68%減少
インド 25人 1.0人未満 60%減少
 

西太平洋地域

新規感染者数については、過去28日間で7,026,725人と報告され、前の28日間と比較して92%減少しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な35か国中の4か国(全体の11%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、サモアで638%(16人から118人)、豪国で140%(109,078人から262,214人)、グアムで139%(302人から723人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で54,153人と報告され、前の28日間と比較して3%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
中国 3,485,265人 236.9人 96%減少
日本 2,429,215人 1,920.7人 42%減少
韓国 736,811人 1,437.1人 59%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 40,812人 2.8人 11%減少
日本 9,874人 7.8人 28%増加
豪国 1,866人 7.3人 752%増加
 

入院及び集中治療室入室

2023年1月2日から2023年1月29日までの期間(以下「過去28日間」という。)において、合計189,367件の新規入院数及び3,936件の新規集中治療室(以下「ICU」という。)入室数が世界的に報告されました。当該の提示されたデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルスの偶発的な感染による入院及び新型コロナウイルス感染症の重症化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
過去28日間に46か国(20%)が新たな入院に関するデータを少なくとも1回WHOへ報告しました。新規入院数に関する高い割合を報告した地域については、欧州地域(39%、24か国)、東地中海地域(18%、4か国)、北米・中南米地域(13%、7か国)、アフリカ地域(12%、6か国)、西太平洋地域(11%、4か国)及び東南アジア地域(9%、1か国)となります。過去28日間における新規入院数を一貫して報告した国の割合は、12%(28か国)でした。
 
過去28日間に過去200件を超える新たな入院数を一貫して報告した15か国については、1か国が前の28日間(2022年12月5日から2023年1月1日までをいう。以下同じ。)と比較して増加傾向を示しました(ギリシャで9%(5,552件から6,027件))増加しました。残りの国々については、前の28日間と比較して減少傾向を示しました。
 
WHO管轄6地域全体において、過去28日間に合計34か国(14%)が新たなICU入室に関するデータを少なくとも1回WHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、欧州地域(28%、17か国)、東地中海地域(27%、6か国)、西太平洋地域(11%、4か国)、北米・中南米地域(9%、5か国)及びアフリカ地域(4%、2か国)となります。東南アジア地域については、過去28日間における新たなICU入室に関するデータを報告した国は、今日に至るまでありません。過去28日間における新たなICU入室数を一貫して報告した国の割合は、8%(18か国)でした。
 
過去28日間に40件を超える新たなICU入室数を一貫して報告した11か国については、3か国が前の28日間と比較して増加傾向を示しました(ラトビアで33%(42件から56件)、ギリシャで14%(193件から220件)及びメキシコで3%(65件から67件))。
 
図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、入院数及びICU入室数(2023年1月29日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 8 February 2023”.WHO.2023.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---8-february-2023,(参照2023-02-09).