新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新103)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2023年2月22日

世界の概況

新規感染者数については、2023年1月23日から2023年2月19日まで(以下「過去28日間」という。)に5,282,569人と報告され、過去28日間と比較して89%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、過去28日間に48,961人と報告され、過去28日間と比較して62%減少しました(図1及び表1)。2023年2月19日時点で、全世界の累積感染者数にあっては757,090,780人、累積死亡者数にあっては6,849,531人となります。
 
報告された新型コロナウイルス感染症の感染者における現在の傾向については、有病率の調査で示されたとおり、世界的な感染及び再感染の真の数値を過小評価したものです。これについては、部分的には多くの国における検査数の減少及び報告の遅延によるものです。この報告に示されたデータについては、不完全のおそれがあり、それゆえ、慎重に解釈する必要があります。さらに、過去数週のデータについては、各国によって提出された新型コロナウイルス感染症の感染者数及び死亡者数における後ろ向きの変化を組み込みながら継続して更新されています。
 
WHOは、28日間の間隔を使用して疫学的傾向の変化を示します。これにより、報告の遅延を説明し、新規感染者数の週毎の変動が緩徐となり、パンデミックが加速又は失速する点が明らかな図を提供することが可能となります。週毎のデータについては、WHOの新型コロナウイルス感染症ダッシュボードでいまだ利用可能であり、データのダウンロードが可能です。
 
管轄地域別の新規感染者数(過去28日間)については、WHO管轄の全6地域で減少しました(西太平洋地域で94%、東南アジア地域で51%、北米・中南米地域で43%、アフリカ地域で34%、欧州地域33%及び東地中海地域で26%減少しました。)。管轄地域別の新規死亡者数(過去28日間)については、西太平洋地域で77%、東南アジア地域で62%、アフリカ地域で52%、欧州地域で50%及び北米・中南米地域で14%減少しました(東地中海地域で18%増加しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国(過去28日間)は、米国(1,113,288人、31%減少)、日本(1,095,815人、71%減少)、中国(635,433人、98%減少)、韓国(430,042人、68%減少)及びドイツ(329,229人、25%減少)でした。また、過去28日間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(13,517人、1%増加)、中国(9,945人、86%減少)、日本(6,536人、33%減少)、豪国(2,179人、107%増加)及び英国(2,063人、52%減少)でした。
 
図1 2023年2月19日時点のWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移(28日間隔)
 
表1 2023年2月19日時点におけるWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者の新規又は累積の感染者数及び死亡者数(28日間隔)

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

世界的な拡散及び有病率

世界的に2023年1月23日から2023年2月19日までの期間(28日間)において、67,520の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち67,081の検体(99.7%)がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)でした。
 
オミクロン株のBA.5系統及びその下位系統が疫学的第5週(2023年1月30日から2023年2月5日まで。以下同じ。)において共有された全検体の35.3%(19,556検体のうち6,904検体)を占めています。しかしながら、疫学的第1週(2023年1月2日から2023年1月8日をいう。以下同じ。)の67.1%(57,533検体のうち38,575検体)と比較して減少しています。BA.5系統の減少については、おそらく組換え系統の割合の増加によるものです。組換え変異株の検体については、疫学的第1週の13.8%(7,937検体)から疫学的第5週の38.3%(7,494検体)まで相対的な有病率が増加しています。疫学的第5週におけるこれら組換え変異株の大半については、XBB.1.5系統(全検体の29.6%)でした。さらに、組換え変異株のXBF系統については、全検体の1.8%を占めていました。当該の報告期間におけるオミクロン株のBA.2系統及びその下位系統の有病率については、安定したままでした(疫学的第1週の13.5%と比較して13.3%でした。)。未指定の検体(おそらく全てオミクロン株の下位系統の指定を待つ。)については、疫学的第5週に共有された検体の12.9%を占めました。オミクロン株のBA.1系統、BA.3系統、BA.4系統及びその下位系統については、全て1%未満の有病率となります。
 
WHOは、オミクロン株の7つの監視下にある下位系統を有しています。これらの変異株については、BF.7系統(BA.5系統のスパイクタンパクにR346T変異を伴う。)BQ.1*系統(BQ.1.1系統を含む。BA.5系統のスパイクタンパクにR346T、K444T及びN460K変異を伴う。)、BA.2.75*系統(BA.2.75.2系統を含む。)、CH.1.1系統(BA.2.75系統にL452R及びF486S変異を伴う。)、XBB*系統、XBB.1.5系統及びXBF系統が含まれます。これらの変異株については、他の流行している変異株と比較して感染・伝播性及びアミノ酸置換(適応性の利点を与えることが判明している、又は疑いがある。)を原因として含まれます。
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、過去28日間で19,238人と報告され、前の28日間と比較して34%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の9か国(全体の18%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、マリで1,229%(7人から93人)、チャドで400%(2人から10人)及びコートジボワールで300%(33人から132人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で51人と報告され、前の28日間と比較して52%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 4,709人 7.9人 21%減少
ザンビア 4,537人 24.7人 22%増加
ジンバブエ 2,089人 14.1人 30%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ザンビア 14人 1.0人未満 7%減少
ジンバブエ 10人 1.0人未満 41%減少
モザンビーク 9人 1.0人未満 200%増加
 

北米・中南米地域

新規感染者数については、過去28日間で1,619,223人と報告され、前の28日間と比較して43%減少しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の2か国(全体の4%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ジャマイカで162%(352人から922人)及びセントルシアで44%(55人から79人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で18,444人と報告され、前の28日間と比較して14%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 1,113,288人 336.3人 31%減少
ブラジル 274,831人 129.3人 53%減少
メキシコ 62,712人 48.6人 46%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 13,517人 4.1人 1%増加
ブラジル 1,859人 1.0人未満 46%減少
ペルー 712人 2.2人 19%増加

 

東地中海地域

新規感染者数については、過去28日間で14,495人と報告され、前の28日間と比較して26%減少しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の4か国(全体の18%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、エジプトで79%(66人から118人)、サウジアラビアで60%(812人から1,296人)及びアフガニスタンで28%(775人から989人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で216人と報告され、前の28日間と比較して18%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
レバノン 3,941人 57.7 15%減少
イラン 3,163人 3.8人 24%増加
UAE 2,338人 23.6人 13%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 63人 1.0人未満 3%増加
サウジアラビア 45人 1.0人未満 4%減少
レバノン 40人 1.0人未満 38%増加

 

欧州地域

新規感染者数については、過去28日間で1,322,107人と報告され、前の28日間と比較して33%減少しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の9か国(全体の15%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ポーランドで149%(10,007人から24,882人)、ロシアで110%(129,865人から272,478人)及びジョージアで86%(4,499人から8,367人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で10,014人と報告され、前の28日間と比較して50%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 329,229人 395.9人 25%減少
ロシア 272,478人 186.7人 110%増加
イタリア 119,336人 200.1人 68%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
英国 2,063人 3.0人 52%減少
イタリア 1,249人 2.1人 49%減少
ロシア 1,105人 1.0人未満 16%減少
 

東南アジア地域

新規感染者数については、過去28日間で11,013人と報告され、前の28日間と比較して51%減少しました。東南アジア地域内における20%以上の新規感染者数の増加が報告された国は、ありませんでした。
 
新規死亡者数については、過去28日間で206人と報告され、前の28日間と比較して62%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 6,150人 2.2人 49%減少    
インド 2,996人 1.0人未満 38%減少
タイ 1,319人 1.9人 72%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 105人 1.0人未満 57%減少
タイ 66人 1.0人未満 73%減少
インド 27人 1.0人未満 33%減少

 

西太平洋地域

新規感染者数については、過去28日間で2,296,493人と報告され、前の28日間と比較して94%減少しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な35か国中の1か国(全体の3%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、サモアで163%(40人から105人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で19,760人と報告され、前の28日間と比較して77%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 1,095,815人 866.4人 71%減少
中国 635,433人 43.2人 98%減少
韓国 430,042人 838.8人 68%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 9,945人 1.0人未満 86%減少
日本 6,536人 5.2人 33%減少
豪国 2,179人 8.5人 107%増加
 

 

入院及び集中治療室入室

2023年1月16日から2023年2月12日までの期間(以下本項における「過去28日間」という。)において、合計53,269件の新規入院数及び2,321件の新規集中治療室(以下「ICU」という。)入室数が世界的に報告されました。これについては、過去28日間の前の28日間(2023年1月9日から2月5日までの期間)と比較して新規入院数及び新規集中治療室入室数がそれぞれ40%及び23%減少したことを示しています。当該の提示された入院数に関するデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルスの偶発的な感染による入院及び新型コロナウイルス感染症の重症化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
過去28日間に47か国(20%)が新たな入院に関するデータを少なくとも1回WHOへ報告しました。新規入院数に関する高い割合を報告した地域については、欧州地域(41%、25か国)、東地中海地域(23%、5か国)、東南アジア地域(18%、2か国)、北米・中南米地域(13%、7か国)、アフリカ地域(10%、5か国)及び西太平洋地域(9%、3か国)となります。
 
当該の期間で合計24か国(10%)が一貫して新規入院数を報告しました。そのうち12か国が200件を超える新たな入院数を報告しました(前の28日間(2023年1月9日から2023年2月5日までをいう。以下同じ。)と比較して増加傾向を示した1か国であるウクライナ(4%、9,469件から9,887件)を含む。)。
 
WHO管轄6地域全体において、過去28日間に合計32か国(14%)が新たなICU入室に関するデータを少なくとも1回WHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、欧州地域(30%、18か国)、東地中海地域(18%、4か国)、西太平洋地域(11%、4か国)、東南アジア地域(9%、1か国)、北米・中南米地域(7%、4か国)及びアフリカ地域(2%、1か国)となります。
 
当該の期間で合計14か国が一貫して新たなICU入室数を報告しました。そのうち9か国が40件を超えるICU入室数を報告しました(前の28日間と比較して増加傾向を示した国はありませんでした。)。
 
図5 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、入院数及びICU入室数(2023年2月12日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。
 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 22 February 2023”.WHO.2023.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---22-february-2023,(参照2023-02-23).