新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新104)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2023年3月1日

世界の概況

新規感染者数については、2023年1月30日から2023年2月26日まで(以下「過去28日間」という。)に4,832,021人と報告され、過去28日間と比較して76%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、過去28日間に39,585人と報告され、過去28日間と比較して66%減少しました(図1及び表1)。2023年2月26日時点で、全世界の累積感染者数にあっては758,226,495人、累積死亡者数にあっては6,858,399人となります。
 
報告された新型コロナウイルス感染症の感染者における現在の傾向については、有病率の調査で示されたとおり、世界的な感染及び再感染の真の数値を過小評価したものです。これについては、部分的には多くの国における検査数の減少及び報告の遅延によるものです。この報告に示されたデータについては、不完全のおそれがあり、それゆえ、慎重に解釈する必要があります。さらに、過去数週のデータについては、各国によって提出された新型コロナウイルス感染症の感染者数及び死亡者数における後ろ向きの変化を組み込みながら継続して更新されています。
 
WHOは、28日間の間隔を使用して疫学的傾向の変化を示します。これにより、報告の遅延を説明し、新規感染者数の週毎の変動が緩徐となり、パンデミックが加速又は失速する点が明らかな図を提供することが可能となります。週毎のデータについては、WHOの新型コロナウイルス感染症ダッシュボードでいまだ利用可能であり、データのダウンロードが可能です。
 
管轄地域別の新規感染者数(過去28日間)については、WHO管轄の全6地域で減少しました(西太平洋地域で89%、アフリカ地域で53%、北米・中南米地域で38%、東南アジア地域で36%及び東地中海地域で22%及び欧州地域で7%減少しました。)。管轄地域別の新規死亡者数(過去28日間)については、西太平洋地域で84%、アフリカ地域で66%、東南アジア地域で57%、欧州地域で44%及び北米・中南米地域で22%減少しました(東地中海地域で18%増加しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国(過去28日間)は、米国(1,085,170人、29%減少)、日本(752,935人、77%減少)、中国(537,561人、95%減少)、ドイツ(376,450人、6%増加)及び韓国(349,277人、66%減少)でした。また、過去28日間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(12,111人、17%減少)、中国(5,915人、91%減少)、日本(4,818人、52%減少)、ブラジル(2,186人、24%減少)及び英国(2,027人、48%減少)でした。
 
図1 2023年2月26日時点のWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移(28日間隔)
 
表1 2023年2月26日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は新型コロナウイルス感染者の累積感染者数及び死亡者数(28日間隔)

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

世界的な拡散及び有病率

世界的に2023年1月30日から2023年2月26日までの期間(28日間)において、60,599の検体がGISAIDを通じて共有されました。これらの検体のうち60,521の検体(99.9%)がオミクロン株(B.1.1.529系統並びにその亜系統のBA.X系統及び組換え体を指す。以下同じ。)の懸念される変異株(以下「VOC」という。)でした。
 
組換え体の割合については、増加傾向にあります。疫学的第6週(2023年2月6日から2023年2月12日まで。以下同じ。)において、組換え体の検体は、全検体の41.5%(7,748検体)を占めており、疫学的第2週(2023年1月9日から1月15日まで。)の18.7%(8,919検体)から増加しています。疫学的第6週におけるこれら組換え体の大部分については、XBB系統でした(全検体の32.6%)。さらに、組換え体のXBF系統については、全検体の1.2%を占めていました。同じ報告期間中において、オミクロン株のBA.5系統及びその下位系統については、共有された全検体の31.8%(5,936検体)を占めており、疫学的第2週の61.8%と比較して減少しています。オミクロン株のBA.2系統及びその下位系統の有病率については、安定したままです(疫学的第2週の13.9%と比較して13.7%)。未指定の検体(おそらく全て下位系統の指定を待つオミクロン株)については、疫学的第6週に共有された検体の12.9%を占めていました。オミクロン株のBA.1系統、BA.3系統、BA.4系統及びその下位系統については、疫学的第6週における有病率が全て1%未満でした。
 
WHOは、オミクロン株の7つの監視下にある下位系統を有しています。これらの変異株については、BF.7系統(BA.5系統のスパイクタンパクにR346T変異を伴う。)、BQ.1系統(BQ.1.1系統を含む。BA.5系統のスパイクタンパクにR346T、K444T及びN460K変異を伴う。)、BA.2.75*系統、CH.1.1系統(BA.2.75系統にL452R及びF486S変異を伴う。)、XBB*系統(XBB.1.5系統(BA.2.10.1系統及びBA.2.75系統の組換え体)を除く。)、XBB.1.5系統及びXBF系統(BA.5.2.3系統及びBA.2.75.3系統の組換え体)が含まれます。これらの変異株については、他の流行している変異株と比較して感染・伝播性及び適応性の利点を与えることが判明しているアミノ酸置換を原因として含まれます。
 
WHOは、XBB.1.5系統に関するリスクアセスメント(更新済み)を2023年2月24日に公開しています。現在入手可能な情報については、XBB.1.5系統が現在流行している他のオミクロン株の下位系統と比較して更なる公衆衛生上の危機があると示唆していません。
 

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、過去28日間で14,258人と報告され、前の28日間と比較して53%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の9か国(全体の18%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、マリで2,538%(8人から211人)、チャドで1,050%(2人から23人)及びナイジェリアで900%(13人から130人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で37人と報告され、前の28日間と比較して66%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 4,729人 8.0人 33%減少
ザンビア 2,964人 16.1人 43%減少
ジンバブエ 1,619人 10.9人 25%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ザンビア 13人 1.0人未満 24%減少
モザンビーク 6人 1.0人未満 50%増加
ジンバブエ 5人 1.0人未満 74%減少
 

北米・中南米地域

新規感染者数については、過去28日間で1,549,542人と報告され、前の28日間と比較して38%減少しました。南北アメリカ地域内におけるデータが入手可能な56か国中の2か国(全体の4%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、セントルシアで357%(44人から201人)及びジャマイカで28%(616人から789人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で17,208人と報告され、前の28日間と比較して22%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 1,085,170人 327.8人 29%減少
ブラジル 229,264人 107.9人 50%減少
メキシコ 72,227人 56人 34%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 12,111人 3.7人 17%減少
ブラジル 2,186人 1.0人 24%減少
カナダ 743人 2.0人 29%減少
 

東地中海地域

新規感染者数については、過去28日間で15,103人と報告され、前の28日間と比較して22%減少しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の3か国(全体の14%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、クウェートで76%(176人から310人)、サウジアラビアで70%(824人から1,400人)及びイランで26%(2,906人から3,656人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で238人と報告され、前の28日間と比較して18%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン 3,656人 4.4 26%増加
レバノン 3,315人 48.6人 39%減少
UAE 2,523人 25.5人 15%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 98人 1.0人未満 66%増加
サウジアラビア 45人 1.0人未満 10%減少
レバノン 37人 1.0人未満 5%減少
 

欧州地域

新規感染者数については、過去28日間で1,474,354人と報告され、前の28日間と比較して7%減少しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の14か国(全体の23%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、モルドバで314%(2,123人から8,779人)、ポーランドで281%(9,696人から36,982人)及びアルメニアで170%(228人から615人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で9,784人と報告され、前の28日間と比較して44%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ドイツ 376,450人 452.6人 6%増加
ロシア 314,716人 215.7人 133%増加
オーストリア 124,999人 1404.3人 86%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
英国 2,027人 3.0人 48%減少
イタリア 1,190人 2.0人 40%減少
ロシア 1,051人 1.0人未満 14%減少
 

東南アジア地域

新規感染者数については、過去28日間で10,971人と報告され、前の28日間と比較して36%減少しました。東南アジア地域内における20%以上の新規感染者数の増加が報告された国は、ありませんでした。
 
新規死亡者数については、過去28日間で186人と報告され、前の28日間と比較して57%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インドネシア 6,055人 2.2人 36%減少    
インド 3,378人 1.0人未満 15%減少
タイ 1,051人 1.5人 66%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 105人 1.0人未満 43%減少
タイ 46人 1.0人未満 77%減少
インド 29人 1.0人未満 17%減少
 

西太平洋地域

新規感染者数については、過去28日間で1,767,793人と報告され、前の28日間と比較して89%減少しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な35か国中の2か国(全体の6%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ナウルで734%(67人から559人)及びパプアニューギニアで50%(38人から57人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で12,132人と報告され、前の28日間と比較して84%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
日本 752,935人 595.3人 77%減少
中国 537,561人 36.5人 95%減少
韓国 349,277人 681.3人 66%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
中国 5,915人 1.0人未満 91%減少
日本 4,818人 3.8人 52%減少
韓国 556人 1.1人 53%減少
 

入院及び集中治療室入室

2023年1月23日から2023年2月19日までの期間(以下本項における「過去28日間」という。)において、合計42,258件の新規入院数及び1,619件の新規集中治療室(以下「ICU」という。)入室数が世界的に報告されました。これについては、過去28日間の前の28日間(2022年12月26日から1月22日までの期間)と比較して新規入院数及び新規ICU入室数がそれぞれ83%及び49%減少したことを示しています。当該の提示された入院数に関するデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルスの偶発的な感染による入院及び新型コロナウイルス感染症の重症化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
過去28日間に45か国(19%)が新たな入院に関するデータを少なくとも1回WHOへ報告しました。新規入院数に関する高い割合を報告した地域については、欧州地域(39%、24か国)、東地中海地域(23%、5か国)、東南アジア地域(18%、2か国)、北米・中南米地域(13%、7か国)、西太平洋地域(9%、3か国)及びアフリカ地域(8%、4か国)となります。当該の期間で合計25か国(11%)が一貫して新規入院数を報告しました。
 
25か国のうち14か国が一貫して200件を超える新たな入院数を報告し、前の28日間と比較して3か国が増加傾向を示しました。当該の3か国については、スロバキア(14%、683件から776件)、ウクライナ(12%、9,279件から10,388件)、チェコ(1%、1,101件から1,109件)。)。
 
WHO管轄6地域全体において、過去28日間に合計30か国(13%)が新たなICU入室に関するデータを少なくとも1回WHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、欧州地域(28%、17か国)、東地中海地域(18%、4か国)、西太平洋地域(11%、4か国)、東南アジア地域(9%、1か国)及び北米・中南米地域(7%、4か国)となります(アフリカ地域については、当該期間中にICU入室数を報告していませんでした。)。当該期間にICU入室を一貫して報告した国の割合については、7%(16か国)でした。
 
一貫して新たなICU入室数を報告した16か国のうちの10か国が40件を超えるICU入室数を報告しており、前の28日間と比較して増加傾向を示した国はありませんでした。
 
図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、入院数及びICU入室数(2023年2月19日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 1 March 2023”.WHO.2023.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---1-march-2023,(参照2023-03-02).