新型コロナウイルス感染症に係る世界の状況報告(更新107)

COVID-19 Weekly Epidemiological Update(WHO)2023年3月22日

世界の概況

新規感染者数については、2023年2月20日から2023年3月19日まで(以下「過去28日間」という。)に3,738,575人と報告され、2023年1月23日から2月19日まで(以下「前の過去28日間」という。)と比較して過去28日間と比較して31%減少しました(図1及び表1)。新規死亡者数については、過去28日間に26,147人と報告され、前の過去28日間と比較して46%減少しました(図1及び表1)。2023年3月19日時点で、全世界の累積感染者数にあっては760,962,882人、累積死亡者数にあっては6,878,968人です。
 
報告された新型コロナウイルス感染症の感染者における現在の傾向については、有病率の調査で示されたとおり、世界的な感染及び再感染の真の数値を過小評価したものです。これについては、部分的には多くの国における検査数の減少及び報告の遅延によるものです。この報告に示されたデータについては、不完全のおそれがあり、それゆえ、慎重に解釈する必要があります。さらに、過去数週のデータについては、各国によって提出された新型コロナウイルス感染症の感染者数及び死亡者数における後ろ向きの変化を組み込みながら継続して更新されています。
 
WHOは、28日間の間隔を使用して疫学的傾向の変化を示します。この広範囲な時間間隔により、報告の遅延を説明し、新規感染者数の週毎の変動が緩徐となり、パンデミックが加速又は失速する点が明らかな図を提供することが可能となります。週毎のデータについては、WHOの新型コロナウイルス感染症ダッシュボードでいまだ利用可能であり、データのダウンロードが可能です。
 
管轄地域別の新規感染者数(過去28日間)については、東地中海地域で89%、東南アジア地域で70%及び欧州地域で9%増加しました(西太平洋地域で58%、アフリカ地域で43%及び北米・中南米地域で28%減少しました。)。管轄地域別の新規死亡者数(過去28日間)については、西太平洋地域で76%、アフリカ地域で57%、北米・中南米地域で38%、東南アジア地域で24%及び欧州地域で15%減少しました(東地中海地域で68%増加しました。)。
 
各国別では、新規感染者数が多い上位5か国(過去28日間)は、米国(792,202人、29%減少)、ロシア(339,564人、25%増加)、中国(320,029人、50%減少)、日本(291,672人、73%減少)及びドイツ(281,468人、18%減少)でした。また、過去28日間における新規死亡者数が多い上位5か国は、米国(8,187人、39%減少)、英国(2,474人、9%減少)、日本(1,898人、71%減少)、ブラジル(1,587人、15%減少)及び中国(1,472人、85%減少)でした。
 
図1 2023年3月19日時点のWHO管轄地域別の新型コロナウイルス感染者数及び世界の死亡者数の推移(28日間隔)
 
表1 2023年3月19日時点におけるWHO管轄地域別の新規又は新型コロナウイルス感染者の累積感染者数及び死亡者数(28日間隔)

新型コロナウイルスの懸念される変異株及び監視中であるオミクロン株の亜系統

世界的な拡散及び有病率

世界的に2023年2月20日から2023年3月19日までの期間(28日間)において、64,775の検体がGISAIDを通じて共有されました。WHOは、1つの注目すべき変異株(以下「VOI」という。)であるXBB.1.5系統及び5つの監視下にある変異株(以下「VUM」という。)を調査しています。VUMについては、BQ.1系統、BA.2.75系統、CH.1.1系統、XBB系統及びXBF系統です。
 
XBB.1.5系統の有病率については、疫学的第5週(2023年1月30日から2月5日までの期間をいう。以下同じ。)の29.0%と比較して疫学的第9週(2023年2月27日から3月5日までの期間をいう。以下同じ。)の37.7%まで増加しました。XBB.1.5系統は、今日に至るまで85か国で検出されています。
 
疫学的第5週から疫学的第9週までにGISAIDに提出された検体を比較すると、全てのVUM(XBB系統を除く。)に関する減少傾向又は安定傾向が示されています。BQ.1系統にあっては26.8%から9.3%まで、BA.2.75系統にあっては7.8%から1.6%まで、CH.1.1系統にあっては7.1%から6.8%まで、XBF系統にあっては1.5%から1.1%まで増減しました。XBB系統については、5.7%から12.5%まで増加しました。表2については、VOI及びVUMを報告している国並びに疫学的第5週から疫学的第9週までの有病率を示しています。
 
表2 新型コロナウイルスの週毎におけるVOI及びVUMの有病率(2023年の疫学的第5週から疫学的第9週までの期間)

WHO管轄地域別の概況

アフリカ地域

新規感染者数については、過去28日間で12,565人と報告され、前の28日間と比較して43%減少しました。アフリカ地域内におけるデータが利用可能な50か国の15か国(全体の30%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、ギニア・ビサウで17,900%(1人から180人)、サントメ・プリンシペで1,500%(1人から16人)及びコモロで733%(6人から50人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で23人と報告され、前の28日間と比較して57%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
南アフリカ 7,839人 13.2人 27%増加
ザンビア 933人 5.1人 79%減少
ジンバブエ 489人 3.3人 79%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
ジンバブエ 9人 1.0人未満 18%減少
ザンビア 6人 1.0人未満 57%減少
カメルーン 3人 1.0人未満
※過去の報告がない。

北米・中南米地域

新規感染者数については、過去28日間で1,195,582人と報告され、前の28日間と比較して28%減少しました。当該地域内におけるデータが利用可能な56か国の3か国(全体の5%)については、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、チリで74%(45,846人から79,750人)、トリニダード・トバゴで36%(1,307人から1,774人)及びコスタリカで20%(16,684人から20,019人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で11,706人と報告され、前の28日間と比較して38%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
米国 792,202人 239.3人 29%減少
ブラジル 157,832人 74.3人 43%減少
チリ 79,750人 417.2人 74%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
米国 8,187人 2.5人 39%減少
ブラジル 1,587人 1.0人未満 15%減少
カナダ 628人 1.7人 30%減少
 

 

東地中海地域

新規感染者数については、過去28日間で28,236人と報告され、前の28日間と比較して89%増加しました。東地中海地域内におけるデータが利用可能な22か国中の10か国(全体の45%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、イランで299%(3,163人から12,635人)、クウェートで205%(310人から946人)及びパキスタンで188%(482人から1,389人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で366人と報告され、前の28日間と比較して68%増加しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
イラン 12,635人 15.0人 299%増加
UAE 3,912人 39.6人 67%増加
レバノン 2,700人 39.6人 34%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
イラン 257人 1.0人未満 308%増加
レバノン 36人 1.0人未満 14%減少
サウジアラビア 24人 1.0人未満 47%減少
 

欧州地域

新規感染者数については、過去28日間で1,516,637人と報告され、前の28日間と比較して9%増加しました。欧州地域内におけるデータが利用可能な61か国中の29か国(全体の48%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、キルギスで461%(23人から129人)、アルメニアで216%(473人から1,497人)及びウクライナで201%(15,063人から45,265人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で9,607人と報告され、前の28日間と比較して15%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
ロシア 339,564人 232.7人 25%増加
ドイツ 281,468人 338.4人 18%減少
オーストリア 139,925人 1572.0人 33%増加
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
英国 2,474人 3.6人 9%減少
ロシア 1,035人 1.0人未満 6%減少
ドイツ 985人 1.2人 27%減少
 

東南アジア地域

新規感染者数については、過去28日間で18,745人と報告され、前の28日間と比較して70%増加しました。東南アジア地域内におけるデータが利用可能な11か国中の3か国(全体の27%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、インドで251%(2,996人から10,503人)、ブータンで88%(17人から32人)及びモルディブで62%(16人から26人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で156と報告され、前の28日間と比較して24減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
インド 10,503人 1.0人未満 251%増加    
インドネシア 7,139人 2.6人 16%増加
タイ 651人 1.0人未満 51%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
インドネシア 85人 1.0人未満 19%減少
インド 42人 1.0人未満 56%増加
タイ 27人 1.0人未満 59%減少
 

西太平洋地域

新規感染者数については、過去28日間で966,810人と報告され、前の28日間と比較して58%減少しました。西太平洋地域内におけるデータが利用可能な35か国中の3か国(全体の9%)では、20%以上の新規感染者数の増加が報告され、パラオで250%(2人から7人)、マーシャル諸島で114%(57人から122人)及びシンガポールで60%(12,035人から19,249人)の最大の増加が報告されました。
 
新規死亡者数については、過去28日間で4,289人と報告され、前の28日間と比較して76%減少しました。
 
新規感染者数が多い上位3か国
国名 新規感染者数 人口10万人当たりの
新規感染者数
前週との比較
中国 320,029人 21.8人 50%減少
日本 291,672人 230.6人 73%減少
韓国 269,459人 525.6人 37%減少
 
新規死亡者数が多い上位3か国
国名 新規死亡者数 人口10万人当たりの
新規死亡者数
前週との比較
日本 1,898人 1.5人 71%減少
中国 1,472人 1.0人未満 85%減少
韓国 306人 1.0人未満 53%減少
 

入院及び集中治療室入室

2023年2月13日から2023年3月12日までの期間(以下本項における「過去28日間」という。)において、合計54,672件の新規入院数及び2,446件の新規集中治療室(以下「ICU」という。)入室数が世界的に報告されました。これについては、過去28日間の前の28日間(2023年1月16日から2月12日までの期間)と比較して新規入院数及び新規ICU入室数がそれぞれ31%及び14%減少したことを示しています。当該の提示された入院数に関するデータについては、暫定的なものであり、新規のデータが利用可能になると、変更となるおそれがあります。さらに、入院データは報告遅延の対象となります。これらのデータについては、新型コロナウイルスの偶発的な感染による入院及び新型コロナウイルス感染症の重症化による入院の双方が含まれる可能性があります。
 
過去28日間に42か国(18%)が新たな入院に関するデータを少なくとも1回WHOへ報告しました。新規入院数に関する高い割合を報告した地域については、欧州地域(41%、25か国)、東地中海地域(18%、4か国)、東南アジア地域(18%、2か国)、北米・中南米地域(11%、6か国)、アフリカ地域(8%、4か国)及び西太平洋地域(3%、1か国)です。当該の期間で合計27か国(11%)が一貫※して新規入院数を報告しました(ここでいう「一貫」については、28日を構成する連続4週間に新規入院数及びICU入室数に関するデータを提出した国に言及して使用されています。)。
 
新規入院数を一貫して報告した27か国のうち9か国(33%)が前の28日間と比較して20%以上の増加を記録しました(チュニジア(124%、42件から94件)、オランダ(103%、1,217件から2,470件)、チェコ(92%、931件から1,787件)、マルタ(81%、43件から78件)、ベルギー(76%、1,684件から2,962件)、スロバキア(55%、730件から1,134件)、ルクセンブルク(52%、46件から70件)、シンガポール(46%、267件から391件)及びウクライナ(40%、9,887件から13,872件))。新規入院数が最多の国については、ウクライナ(40%増加、9,887件から13,872件)、フランス(2%減少、7,711件から7,562件)、イタリア(25%減少、6,833件から5,115件)、ギリシャ(17%減少、4,465件から3,710件)、スペイン(22%減少、4,465件から3,463件)及びリトアニア(6%減少、8,729件から3,224件)です。
 
WHO管轄6地域全体において、過去28日間に合計29か国(12%)が新たなICU入室に関するデータを少なくとも1回WHOに報告しました。新たなICU入室に関するデータを報告している国の割合が最も高い地域については、欧州地域(28%、17国)、東地中海地域(14%、3か国)、西太平洋地域(9%、3か国)、東南アジア地域(9%、1か国)、北米・中南米地域(5%、3か国)及びアフリカ地域(4%、2か国)です。当該期間にICU入室を一貫して報告した国の割合については、8%(19か国)でした。

一貫して新たなICU入室数を報告した19か国のうち、5か国(26%)が前の28日間と比較して20%以上の増加を示しました。これらの国については、シンガポール(433%増加3件から16件)、オランダ(141%増加、70件から169件)、チェコ(73%増加、73件から126件)及びエストニア(60%増加、5件から8件)でした。最多の新たなICU入室数を報告した国については、フランス(11%減少、814件から722件)、ウクライナ(14%増加、396件から451件)、イタリア(24%減少、282件から215件)、オランダ(141%増加、70件から169件)及びオーストラリア(27%減少、197件から144件)でした。
 
図4 WHOへ週毎に報告された新型コロナウイルス感染症の感染者数、死亡者数、入院数及びICU入室数(2023年3月12日時点)
※直近の数週間は報告遅延の対象のため、減少傾向として解釈する必要はありません。

 

出典

World Health Organization. “Weekly epidemiological update on COVID-19 – 22 March 2023”.WHO.2023.https://www.who.int/publications/m/item/weekly-epidemiological-update-on-covid-19---22-march-2023,(参照2023-03-23).