新型コロナウイルス感染症(COVID19)-世界情勢(2025年5月28日)

海外へ渡航される皆様へ

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症です。SARS-CoV-2は2019年に初めて出現し、その後2020年12月に変異株のアルファが出現して以降、様々な変異株が出現する中で、それまでに主流であったものとの置き換わりが観察されてきました。2022年11月以降は、オミクロンから派生した亜系統の間での置き換わりが続いています。今回新たに報告された亜系統NB.1.8.1も、オミクロンの亜系統のひとつです。これまでの変異株と同様、エアロゾル感染、飛沫感染、接触感染が主な感染経路で、感染してから1~14日(平均5~6日)程度で、発熱、咳、倦怠感、味覚・嗅覚障害、下痢といった症状が出現します。3密(密接場面・密集場所・密閉空間)の環境下における感染の報告が多くあります。新型コロナワクチンについては、国内外で実施された研究などにより、新型コロナウイルス感染症にかかった場合の入院や死亡等の重症化等を予防する重症化予防効果が認められたと報告されています。
世界各地で、新たなオミクロン亜系統への感染が報告されています。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
  • 渡航前の情報収集
COVID-19に関する情報や、渡航先で流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなどで渡航前に感染対策などを相談することも可能です。
  • 渡航中の健康管理
1.基本的な感染予防策
石鹸と水での手洗いやアルコール消毒液の使用などの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的な感染対策はCOVID-19に対しても有効です。
2.体調不良時の行動
渡航中に発熱、咳などCOVID-19を疑う症状が出現し、現地の医療機関を受診する際は、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。
  • 帰国後の対応
日本へ帰国した時に体調に異常があれば、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えたうえで相談してください。
帰国後、14日程度の期間、ご自身の健康状態に注意しましょう。体調不良により医療機関を受診する際は、渡航歴・現地での行動を伝えてください。

そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。

以下は、WHOのDisease Outbreak Newsの翻訳であり、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。

状況の概要

定点報告施設から入手可能なデータによると、2025年2月中旬以降、世界のSARS-CoV-2の活動性は高まっており、検査陽性率は11%に達し、2024年7月以来の水準となっています。高い陽性率は主に東地中海、南東アジア、西太平洋地域の国々で観察されています。2025年初頭以降、世界のSARS-CoV-2変異株の傾向はわずかに変化しています。LP.8.1の流行は減少しており、VUM(Variant Under Monitoring:監視下の変異株)であるNB.1.8.1の報告は増加しており、5月中旬の時点で報告された世界の配列の10.7%に達しています。
最近のSARS-CoV-2活動性の高まりは、昨年の同時期に観察されたレベルとほぼ一致していますが、SARS-CoV-2の循環にはいまだ明確な季節性がありません。加えて、サーベイランスは限られた範囲で行われており、継続的な監視が不可欠です。WHOはすべての加盟国に対し、事務局長による恒常的な勧告に概説されているように、COVID-19を管理するためにリスクベースの統合的アプローチを適用し続けるよう助言しています。包括的なCOVID-19対策プログラムの一環として、ワクチン接種は、COVID-19による重症化と死亡を防ぐための重要な対策であり、特に重症化リスクが高い方々に有効です。

発生の詳細

世界的にSARS-CoV-2の活動性が高まっており、これは定点報告施設から世界インフルエンザ・サーベイランス・レスポンス・システム(GISRS)に報告されたSARS-CoV-2のデータに基づいています。2025年5月11日現在、報告されている73の国・地域・領域における検査陽性率は11%です。このレベルは、2024年7月に観測されたピーク(99か国から12%)に匹敵し、2025年2月中旬に110か国から報告された2%から上昇しています(図1)。検査陽性率は、主に東地中海地域、南東アジア地域、西太平洋地域の国々によって引き上げられています。
アフリカ地域、ヨーロッパ地域、南北アメリカ地域の国々は、現在SARS-CoV-2の活動性は低レベルであると報告しており、定点または系統的ウイルス学的サーベイランスの陽性率は2%から3%の範囲となっています。しかし、一部の地域、特にアメリカ地域のカリブ海およびアンデス地域では、5月11日現在、SARS-CoV-2検査陽性率が上昇傾向にあります。ヨーロッパ地域と北アメリカ地域の国々から公開されている下水モニタリングデータは依然として低く、現時点では、2025年5月11日現在、SARS-CoV-2の活動性の上昇傾向は見られません。
東地中海地域、南東アジア地域、西太平洋地域の国々からのCOVID-19に関連した入院、集中治療室(ICU)への入室、および死亡の報告は非常に限られており、WHOによる保健医療システムへの影響の評価を困難にしています。


図1. 2023年1月から2025年5月までに各国・地域・領域の定点施設からeGISRSに報告されたSARS-CoV-2検査検体数と検査陽性率*
*直近週のデータは不完全な可能性があります。

出典:Global Influenza Programme

SARS-CoV-2変異株の変異と循環

SARS-CoV-2は変異を続けており、2025年1月から5月にかけて、世界的にSARS-CoV-2変異株の動態に変化が見られました。年初、WHOが注視していた変異株は、世界規模で流行していたXECで、次いでKP.3.1.1でした。2月に入ると、XECの割合は減少に転じましたが、LP.8.1の割合が上昇し、3月中旬にはLP.8.1が最も多く検出されるようになりました。4月中旬以降、NB.1.8.1の割合が上昇したため、LP.8.1の割合はわずかに下降しています。


図2. 2025年1月から5月までのSARS-CoV-2の注目すべき変異株とVUM変異株の割合

出典: GISAID 及びCoV-SPECTRUM

最も直近に指定されたVUMはNB.1.8.1で、XDV.1.5.1から派生した系統であり、XDV.1.5.1はさらにJN.1から派生した系統です。現在優勢なLP.8.1と比較して、NB.1.8.1にはさらに、T22N、F59S、G184S、A435S、V445H、T478Iのスパイクタンパク質にアミノ酸変異があります。V445Hの変異はhACE2受容体への結合親和性を高めることが示されており、この変異株の伝染性を高める可能性があります。
A435Sの変異はクラス1およびクラス1/4抗体の中和効力をわずかに低下させることが示されており、T478Iの変異はクラス1/2抗体の回避力を高めることが示されています。
2025年5月18日現在、NB.1.8.1系統のウイルスのアミノ酸配列が、22か国から518件GISAIDに登録されています。これは2025年疫学週(EW)第17週(2025年4月21日から27日)における世界的に入手可能な配列の10.7%に相当します。この割合は依然として低いですが、4週間前の2025年EW第14週(2025年3月31日から4月6日)の2.5%から大幅に上昇しました。2025年のEW第14週から17週の間に、SARS-CoV-2の配列を常に共有しているWHOの3つの地域すべてで、NB.1.8.1の増加が確認されました。すなわち、西太平洋地域では8.9%から11.7%へ、南北アメリカ地域では1.6%から4.9%へ、ヨーロッパ地域では1.0%から6.0%へ増加しました。南東アジア地域から登録されたNB.1.8.1系統の配列はわずか5件で、アフリカ地域と東地中海地域からは0件でした。

COVID-19ワクチン接種の最新情報

2024年1月1日から9月30日までの期間における入手可能な最新の世界データによると、高リスクグループにおけるCOVID-19ワクチンの接種率は全体的に低く、地域や所得水準によって大きな格差があります。高齢者では、2024年9月30日までに接種を受けたと報告されたのは、75の加盟国でわずか1.68%であり、医療・介護従事者では、54の加盟国で0.96%でした。2024年9月30日までに、世界人口の31%をカバーする90の加盟国において、推定3,920万人がワクチン接種を受けており、うち1,480万人が第3四半期に受けています。
南北アメリカ地域とヨーロッパ地域での接種率は顕著に高く、高齢者の接種率はヨーロッパ地域で5.1%、南北アメリカ地域で3.6%に達したのに対し、他の地域では0.5%未満でした。所得水準別に比較しても、同様の格差が見られました。高/高中所得国(HIC/UMIC)では高齢者のワクチン接種率がそれぞれ4.3%、1.2%と高いのに対し、低所得国(LIC)や低中所得国(LMIC)では0.5%未満でした。医療・介護従事者においても同様のパターンが見られ、南北アメリカ地域の接種率(2.8%)は、他の地域の0.5%未満を大きく上回っていました。所得階層別では、UMICの接種率は2.1%であるのに対し、LICはわずか0.3%、LMICは0.1%でした。2024年の完全なワクチン接種データは現在収集中で、2025年7月中旬に公表される予定です。
現在承認されているCOVID-19ワクチンには、引き続き、重症化および死亡に対する予防効果があります。既存のワクチンの有効性を維持するため、WHOのCOVID-19ワクチン組成に関する技術諮問グループ(TAG-CO-VAC)は、SARS-CoV-2の変異が、既存のワクチンの効能に与える影響を、継続的に監視・検討しています。 2025年5月、TAG-CO-VACは、JN.1またはKP.2変異株を標的とする一価ワクチンが引き続き有効であることを助言しました。また、LP.8.1変異株を標的にしたワクチンも適切な代替ワクチンとして検討できるとしています。ワクチン接種を遅らせるべきではありません。COVID-19の重症化リスクが高い人は、将来、最新の変異株を含むワクチンの接種が可能になることが見込まれる場合であっても、現時点で接種可能ないずれかのワクチンを確実に接種することの方が、大きなメリットがあります。

WHO地域事務局別の概況

東地中海地域

東地中海地域では、2025年に12か国から年間を通じて検査陽性率が定点報告されています。検査陽性率はEW第13週の4%からEW第17週の17%へ上昇し、その後EW第19週に15%へ低下しました。2025年の最初の10週間は低水準でしたが、その後急激な上昇傾向に転じ、昨年の水準(2024年EW第17週 11%)を上回りました。地域全体では、エジプト、クウェート、オマーン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、パキスタンの6か国において活動性の高まりが報告されています。


図3. 2024年および2025年の東地中海地域における、各国・地域・領域の定点施設からeGISRSに報告されたSARS-CoV-2検査検体数と検査陽性率*
*直近週のデータは不完全な可能性があります。

出典:Global Influenza Programme

南東アジア地域

南東アジア地域では、2025年に8か国から定点報告がなされています。4月に入ってから、検査陽性率はEW第15週の0.5%からEW第19週の5%に上昇しました。より低いレベルではありますが、2024年の同時期にも同様の上昇傾向が見られ、EW第15週の4%からEW第19週に6%へ、さらにEW第24週には10%まで上昇しています。最近増加が見られる国は、モルディブとタイです。公表された国内報告によると、インドではEW第20週に、タイではEW第16週からEW第20週にかけて、COVID-19症例報告数の増加が観察されました。

図4. 2024年および2025年の南東アジア地域における、各国・地域・領域の定点施設からeGISRSに報告されたSARS-CoV-2検査検体数と検査陽性率*
*直近週のデータは不完全な可能性があります。

出典:Global Influenza Programme

西太平洋地域

西太平洋地域では、2025年に10の国・地域から検査陽性率の定点報告がなされています。過去1か月間の検査陽性率は、EW第14週の5%からEW第19週の11%へ上昇しました。今年最初の10週間は低値で推移していましたが、その後急激な上昇傾向に転じ、昨年と同様の水準(2024年EW第18週 10%)へと達しました。最近の増加は、現在までにカンボジア、中国、香港特別行政区、シンガポールの4つの国と地域で確認されています。

図5. 2024年および2025年の西太平洋地域における、各国・地域・領域の定点施設からeGISRSに報告されたSARS-CoV-2検査検体数と検査陽性率*
*直近週のデータは不完全な可能性があります。

出典:Global Influenza Programme

公衆衛生上の取り組み

2023年5月に国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)が正式に終了して以来、加盟国はCOVID-19および、より広範な新型コロナウイルス感染症の脅威に関する管理を持続するため、様々なアプローチを行ってきました。COVID-19の活動性を既存の呼吸器疾患プログラムに統合した国もあれば、他の国では、移行段階にあり、感染症の統合管理のための制度や構造を適応させつつ、標的を絞った縦割り型の介入を維持している国もあります。このようなばらつきは、各国の異なる国内事情、資源の利用可能性、保健システムの能力、その他の国の優先事項の違いを反映しています。
COVID-19に対する日常的な公衆衛生対策は、より広範なサーベイランスと対応システムの中に組み込まれつつあります。eGISRSやコロナウイルスネットワーク(CoViNet)など、定点報告、ウイルス学的解析、下水サーベイランスを含む統合された呼吸器疾患サーベイランスのプラットフォームの運用を各国は進めており、これにより循環するSARS-CoV-2変異株の検出を可能にし、ウイルス性呼吸器疾患のより広範な傾向に関する情報を提供しています。
COVID-19パンデミックの急性期に開発された臨床対応の方法は、COVID-19およびCOVID-19後遺症の診断、治療、ケアへのアクセスを支援するため、改良され、維持されています。COVID-19ワクチン接種は、引き続き高リスクグループにおける予防の要であり、定期または対象を絞った予防接種戦略を通じて、多くの場合、季節性インフルエンザやRSウイルスの予防接種と並行して、最新のCOVID-19ワクチンが提供されています。リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメントを通して、地域の状況やリスクの認識レベルの変化に合わせて、市民への情報提供と啓発を続けています。
しかし、こうした活動の長期的な持続可能性と、それを支える資金調達は、多くの国々で依然として課題となっています。保健システムは、他の感染症の脅威、非感染性疾患による負担の増大、医療従事者の負担、パンデミック中に中断された重要なサービスを回復するための持続的な必要性など、ますます多くの競合する優先課題に直面しています。保健分野以外にも、インフレ、政情不安、人道危機など、より広範な社会的・経済的圧力が、COVID-19の脅威管理を大規模に維持するための取り組みをさらに複雑化させています。WHOとパートナーは、呼吸器疾患の脅威管理システムにおいて、状況に応じた統合、優先順位付け、長期的な投資を促進することで、各国がこれらの現実を乗り越えていけるよう引き続き支援していきます。
WHOは、他の主要なパートナーと協力しながら、世界的な利害関係者や関連ネットワークを招集・調整し、科学的根拠に基づくガイダンスや政策提言を策定し、加盟国が中核的な能力を構築・維持できるように個別支援を提供することで、加盟国への支援を続けています。

WHOのリスク評価

2024年7月から12月までの期間を対象とした最新のWHOグローバルリスク評価では、COVID-19に関連する世界の公衆衛生リスクは依然として高い、とされています。2020年から2023年と比較して、2023年および2024年にかけて人の健康への影響が減少していることが確認されており、その主な要因としては、 1)感染、ワクチン接種、またはその両方によって達成された高いレベルの集団免疫、2)現在流行しているSARS-CoV-2ウイルスのJN.1亜系統の病原性が、以前流行していたオミクロン亜系統と同程度であること、3)診断検査が利用可能になり、臨床症例の管理が改善したこと、が挙げられます。それにもかかわらず、SARS-CoV-2ウイルスの流行は、地域的な傾向が示すように、多くの地域でかなりのレベルで続いており、季節性は確立されておらず、進化のパターンも予測不可能です。WHOは6か月ごとに世界的なCOVID-19のリスク評価を作成しており、2025年1月から6月までの期間を対象とした世界的なリスク評価は現在作成中です。
WHOはSARS-CoV-2変異株の監視を継続しており、ウイルス進化に関する技術諮問グループ(TAG-VE)の支援を受けて、注目すべき変異株(VOI)とVUMのリスク評価を行っています。現在主流となっているVUMであるLP.8.1と、最近指定されたVUMであるNB.1.8.1といった亜系統の評価では、他の循環している亜系統と比較して、公衆衛生上のリスクは増加していないことが示唆されています。
強固なCOVID-19のリスク評価と管理を可能にするため、WHOは加盟国に対し、SARS-CoV-2の感染状況および負荷、COVID-19の公衆衛生および医療システムへの影響を継続的に監視・報告し、特にSARS-CoV-2変異株に関するゲノム配列解析能力を強化し、世界的な公衆衛生の取り組みを支援するために、情報を迅速かつ透明性をもって報告するよう、改めて勧告します。

WHOのアドバイス

WHOはすべての加盟国に対し、WHO事務局長の恒常的な勧告に沿って、より広範な疾病予防・管理プログラム、特に他の呼吸器疾患の脅威に対するプログラムに組み込まれた、リスクに基づく統合的なCOVID-19管理のためのアプローチを引き続き適用するよう勧告しています。SARS-CoV-2の循環と進化を監視し、その継続的な健康および社会経済への影響を軽減するためには、公衆衛生の中核的能力、特に共同監視、地域社会の保護、臨床ケア、医療対策へのアクセスと提供、調整への持続的な投資が不可欠です。

2023年から2025年までの世界戦略的準備・対応計画(SPRP)の期限が切れることを受け、WHOは、新たなコロナウイルス感染症の脅威管理に関する高レベルな戦略・運用計画を公表しました。この計画は、COVID-19、MERS、公衆衛生上重要となる可能性のある新たなコロナウイルス感染症を含む、コロナウイルス感染症の脅威に対し、持続可能で統合された科学的根拠に基づく管理を各加盟国が実施できるよう支援するための世界的枠組みを定めたものです。この計画は、WHOによるCOVID-19に関する戦略的準備と対応計画を基盤としつつ、それらに代わるものとなります。この計画は、COVID-19とその他のコロナウイルス感染症について、各国の医療・保健緊急システムに組み込み、より広範な呼吸器疾患管理戦略と連携させ、長期的かつ日常的に管理することの重要性を強調しています。より詳細な計画の公表に先立ち、この計画全体の概要を把握できる「概要版」の文書も提供されています。

WHOは2024年12月、各国がSARS-CoV-2感染拡大、特に高リスク層および脆弱層における感染を管理し、COVID-19の罹患率、死亡率、長期後遺症を軽減するための科学的根拠に基づいた政策を策定できるよう、最新の政策概要を発表しました。この概要では、国や地方の政策立案者が包括的なCOVID-19の予防と制御に向けて実施できる重要な行動を概説しています。加盟国は以下の取り組みを優先すべきです。
  • 早期発見、変異株の監視、感染症負荷の評価を目的として、複数の情報源と階層からなる協働型の監視システムを維持すること。これには、定点報告および下水サーベイランスの両方を活用し、呼吸器病原体の監視プラットフォームに統合することが含まれます。
  • COVID-19ワクチンへの公平なアクセスと接種の継続を確保すること。
  • 特に高リスク群への接種を重視し、WHOのSAGE(ワクチンに関する戦略的諮問グループ)の勧告と整合した国家予防接種戦略に基づくことが求められます。
  • COVID-19およびPost-COVID-19 Condition(PCC/いわゆる「長期COVID」)に対して質の高い臨床管理ができるよう、保健医療提供体制を強化すること。
  • これには、拡張可能なケアモデルに組み込むこと、および感染予防・制御の強固な基準を備えることが含まれます。
  • リスクコミュニケーションおよび地域社会との連携(コミュニティ・エンゲージメント)を強化し、個人が正しい情報に基づいた判断を行えるよう支援するとともに、誤情報に対し、地域主導の保護戦略を支援すること。
  • パンデミックの急性期に構築された体制を含め、国家および地域レベルの調整メカニズムを制度化し、「One Health(ワンヘルス)」アプローチと整合した形で、長期的な呼吸器感染症脅威管理システムに組み込むこと。

WHOはさらに、2023年5月のPHEIC失効後に事務局長が発行したCOVID-19に関する国際保健規則(IHR(2005))の恒常的な勧告が2026年4月30日まで有効であることを加盟国に改めて注意喚起しています。これらの勧告は、持続的なCOVID-19の脅威管理のための継続的なガイダンスを提供するものであり、WHOは各国に対し、継続的な警戒と備えを確保するために、自国の政策をこれらの勧告と整合させることを奨励しています。

WHOは、各国に対し、警戒を怠らず、変化する疫学的な傾向に適応し、COVID-19管理戦略を活用して、あらゆる呼吸器疾患の脅威に対する体制を強化することを推奨しています。加盟国は、WHOの勧告に沿ってCOVID-19ワクチンの提供を継続する必要があります。

この事象に関する現在のリスク評価に基づき、WHOは渡航や貿易の制限を行わないよう勧告しています。

出典

参考文献 世界保健機関(2025年5月28日). 疾病発生ニュース;新型コロナウイルス感染症-世界情勢
下記にて入手可能;
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON572

備考

This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for
the content or accuracy of this translation. The original English edition “COVID-19 – Global Situation.
Geneva: World Health Organization; 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and
authentic edition.