マールブルグ病-エチオピア(2025年11月21日)
海外へ渡航される皆様へ
今回エチオピアで報告されたマールブルグ病(MVD)は、マールブルグウイルスによる感染症です。マールブルグウイルスに感染した動物や患者の血液、体液、排泄物等との直接接触が主な感染経路です。潜伏期間は感染してから2~21日程度で、初期症状は発熱、頭痛、筋肉痛などで、下痢、嘔吐、発疹などが出現することもあります。進行すると出血傾向、意識障害などの重篤な症状を示し死亡することがあります。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
渡航前の情報収集
MVDに関する情報や、エチオピアで流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなど渡航前に感染対策などを相談することも可能です。
渡航中の健康管理
1.基本的な感染予防策
アルコール消毒や石鹸などを使用した手洗いなどの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的感染対策、また野生動物の肉(Bushmeat、ジビエ肉)の喫食を避けることは、MVDに限らず、さまざまな感染症に対して有効です。
2.リスクを軽減するための対策
MVDは、感染した動物や患者の血液、体液、排泄物等との直接接触が主な感染経路なので、これらとの接触や遺体に触れること、流行地域での葬儀への参列などは可能な限り避けてください。こうした状況を避けられない場合は手袋やマスクを使用し、直接の接触を避けることで、感染するリスクを減らすことができます。
3.体調不良時の行動
流行地域で上記のようなリスク行動があり、渡航中に発熱、頭痛などMVDを疑う症状が出た場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。同じような症状が出るほかの感染症も考えられますので、診断を受けることが重要です。
帰国後の対応
流行地域へ立ち寄り、日本へ帰国した時に体調に異常があった場合は、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えた上で相談してください。
帰国後1~2週間程度の期間、ご自身の健康状態に注意し、異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際も渡航歴・現地での行動を伝えてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。
以下は、WHOのDisease Outbreak Newsの翻訳であり、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
渡航前の情報収集
MVDに関する情報や、エチオピアで流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなど渡航前に感染対策などを相談することも可能です。
渡航中の健康管理
1.基本的な感染予防策
アルコール消毒や石鹸などを使用した手洗いなどの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的感染対策、また野生動物の肉(Bushmeat、ジビエ肉)の喫食を避けることは、MVDに限らず、さまざまな感染症に対して有効です。
2.リスクを軽減するための対策
MVDは、感染した動物や患者の血液、体液、排泄物等との直接接触が主な感染経路なので、これらとの接触や遺体に触れること、流行地域での葬儀への参列などは可能な限り避けてください。こうした状況を避けられない場合は手袋やマスクを使用し、直接の接触を避けることで、感染するリスクを減らすことができます。
3.体調不良時の行動
流行地域で上記のようなリスク行動があり、渡航中に発熱、頭痛などMVDを疑う症状が出た場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。同じような症状が出るほかの感染症も考えられますので、診断を受けることが重要です。
帰国後の対応
流行地域へ立ち寄り、日本へ帰国した時に体調に異常があった場合は、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えた上で相談してください。
帰国後1~2週間程度の期間、ご自身の健康状態に注意し、異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際も渡航歴・現地での行動を伝えてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。
以下は、WHOのDisease Outbreak Newsの翻訳であり、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。
状況の概要
2025年11月12日、世界保健機関(WHO)はエチオピア保健省とエチオピア公衆衛生研究所(EPHI)からのプレスリリースに注目し、エチオピアの南エチオピア州ジンカでウイルス性出血熱(VHF)の疑いがあると発表しました。2025年11月14日、エチオピア保健省は、以前にVHFの疑いとして報告された症例がマールブルグ病(MVD)であることを確認しました。EPHIの国立リファレンス・ラボラトリーで実施された分子生物学的検査により、患者の検体からマールブルグウイルス(MARV)が確認されました。2025年11月20日の時点で、33件の臨床検査が実施され、そのうち3例の死亡例を含む6例の確定例が報告されました。6人の確定症例のうち3人は現在生存しており、治療を受けています。臨床検査で確定された症例に加えて、疫学的に関連するさらに3例は検査できず、3例とも死亡しており、可能性例として記録されています。合計206人の接触者が特定され、現在も積極的な追跡調査が行われています。接触者数は、対応の進展に伴い今後も変化していく可能性があります。感染源はまだ特定されていません。これは、エチオピアで初めて確認されたMVDのアウトブレイクです。エチオピアのワンヘルスチームによる初期調査では、この地域にウイルスの自然宿主であるフルーツコウモリが生息することが示されています。MVDは、コウモリからヒトに感染する、重篤でしばしば致命的な疾患であり、臨床的にはエボラウイルス病に似ています。この疾患の致命率は最高で88%と報告されていますが、早期かつ適切な患者ケアにより、致命率を大幅に低減することができます。保健省のリーダーシップの下、WHOはエチオピアの対応チームと協力し、連携、サーベイランス(疫学調査、接触者追跡、警戒管理を含む)、症例管理、感染予防及び管理対策、検査能力、リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントを強化しています。WHOは、今回のアウトブレイクによる公衆衛生リスクを、国レベルでは「高」、地域レベルでは「中」、世界レベルでは「低」と評価しています。エチオピアは、コレラ、麻しん、デング熱など複数の疾病の同時発生と緊急事態に直面しており、その結果、医療的な対応能力が逼迫しています。
発生の詳細
2025年11月20日現在、33件の検査が実施され、確定例6例(うち死亡例3例)が報告されています。6例の確定例のうち3例は現在生存しており、治療を受けています。臨床検査で確定された症例に加え、疫学的に関連する症例が3例ありましたが、検査が完了する前に全員死亡し、可能性例に分類されています。合計206人の接触者が特定され、現在積極的な追跡調査が行われています。接触者数は、対応の進展に伴い今後も変化していく可能性があります。
臨床症状として、高熱、頭痛、嘔吐、腹痛、水様性または血性の下痢がみられました。鼻血や吐血などの出血症状は6例中5例に認められ、多臓器不全を示唆しました。
エチオピアでMVDが報告されるのは今回が初めてであるため、WHOは、検査機関の間で比較するため、検体をリファレンス・ラボラトリーと共有することを推奨しています。
図1:エチオピアにおけるジンカの位置

臨床症状として、高熱、頭痛、嘔吐、腹痛、水様性または血性の下痢がみられました。鼻血や吐血などの出血症状は6例中5例に認められ、多臓器不全を示唆しました。
エチオピアでMVDが報告されるのは今回が初めてであるため、WHOは、検査機関の間で比較するため、検体をリファレンス・ラボラトリーと共有することを推奨しています。
図1:エチオピアにおけるジンカの位置

マールブルグ病の疫学
マールブルグウイルス病(MVD)は、エボラウイルスと近縁の2つのウイルス、マールブルグウイルスとラブンウイルスのいずれかによって引き起こされる重度の出血熱です。MVDの致命率は高く、過去のアウトブレイクでは24%から88%と報告されています。早期かつ適切な患者ケアによって致命率を下げることができます。このウイルスは、まずフルーツコウモリ(Rousettus aegyptiacus)からヒトに感染し、その後、体液、汚染された表面、または汚染された物品との直接接触によってヒトの間で広がります。医療従事者、介護者、埋葬に携わる人々は、感染予防および管理対策が講じられていない場合、特にリスクが高くなります。
MVDの症状は通常、2日から21日の潜伏期間の後、突然出現し、高熱、激しい頭痛、倦怠感、筋肉痛、下痢や嘔吐といった進行性の消化器症状などが見られます。重症の場合、患者は複数の部位から出血し、発症から1週間以内にショックや臓器不全で死亡することもあります。
MVDに対する承認された治療法やワクチンはありませんが、早期の支持療法とケアによって生存率は向上します。現在、いくつかの候補ワクチンと治療薬が研究されています。
これまでに世界中で19件のMVDのアウトブレイクが報告されています。直近のアウトブレイクは、2025年1月から3月にかけてタンザニア共和国で報告されました。アフリカ地域でMVDのアウトブレイクが報告されているその他の国には、アンゴラ、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガーナ、ギニア、ケニア、ルワンダ、南アフリカ、ウガンダがあります。
MVDの症状は通常、2日から21日の潜伏期間の後、突然出現し、高熱、激しい頭痛、倦怠感、筋肉痛、下痢や嘔吐といった進行性の消化器症状などが見られます。重症の場合、患者は複数の部位から出血し、発症から1週間以内にショックや臓器不全で死亡することもあります。
MVDに対する承認された治療法やワクチンはありませんが、早期の支持療法とケアによって生存率は向上します。現在、いくつかの候補ワクチンと治療薬が研究されています。
これまでに世界中で19件のMVDのアウトブレイクが報告されています。直近のアウトブレイクは、2025年1月から3月にかけてタンザニア共和国で報告されました。アフリカ地域でMVDのアウトブレイクが報告されているその他の国には、アンゴラ、コンゴ民主共和国、赤道ギニア、ガーナ、ギニア、ケニア、ルワンダ、南アフリカ、ウガンダがあります。
公衆衛生上の取組
エチオピアの地方および国家保健当局は、以下の公衆衛生対策を実施しました。
- 保健省には、戦略的な指導、意思決定、資源の動員を行う国家タスクフォースが設立されました。
- 費用算出済みの国家3か月対応計画が保健省、EPHIによって策定され、開始されました。
- 保健省は、一般の人々および関係機関にMVDの発生に関する情報を定期的に提供しています。
- 緊急時対応センター(EOC)が国レベルおよび地域レベルで設置され、対応を調整するためのインシデント管理体制が整備されています。国レベルおよび国内の地方レベルのEOCでは、毎日調整会議が開催されています。
- 保健省は、EPHIおよび地域保健事務所と協力して、統合的な監視および対応活動を実施しています。
- 地域でのサーベイランス、接触者追跡、戸別訪問、医療サービスの提供が強化されています。
- 2つの病院が治療センターに指定され、専任の医療従事者が配置されて症例を管理しています。
- 迅速対応チーム(RRT)によって現場調査が実施されています。1つのRRTはジンカに派遣され、接触者追跡と疫学調査を実施しています。もう1つのチームは、疑いのある症例を管理する医療施設における感染予防・管理(IPC)の強化に取り組んでいます。
- リスクコミュニケーションおよびコミュニティエンゲージメント(RCCE)チームは、MVD予防に関するメッセージを広め、対象を絞った介入のための活動計画を策定し、誤情報に対処するためにソーシャルメディアを監視し、一般市民の認識を高めるために信頼できるコミュニケーションチャネルを評価しています。
WHOによるリスク評価
これはエチオピアで初めて確認されたMVDのアウトブレイクです。MVDのアウトブレイクによる公衆衛生リスクは、いくつかの懸念事項により、国レベルで高いと評価されています。
現時点で国際的な感染は確認されていないものの、感染拡大の潜在的なリスクは依然として存在しています。感染地域であるジンカは、エチオピアの首都や主要国際空港からは離れていますが、隣国のケニアや南スーダンも含めた周辺地域と道路交通網で結ばれています。そのため、今回の事態による公衆衛生リスクは、地域レベルでは中程度と評価されています。世界レベルでは低と評価されています。
- この感染拡大には、検査確定例が6例含まれており、合計6例が死亡し、3例が治療中であることが確認されています。
- 全ての死亡は適切な管理下にない埋葬に関連しており、地域社会へのさらなる感染拡大の潜在的リスクになっています。
- 確認された症例の中に医療従事者が含まれていることは、医療施設内での職業上の感染リスクが存在する可能性を示唆しています。
- 調査は継続中であり、発生源、地理的範囲、疫学に関する情報は限られています。
現時点で国際的な感染は確認されていないものの、感染拡大の潜在的なリスクは依然として存在しています。感染地域であるジンカは、エチオピアの首都や主要国際空港からは離れていますが、隣国のケニアや南スーダンも含めた周辺地域と道路交通網で結ばれています。そのため、今回の事態による公衆衛生リスクは、地域レベルでは中程度と評価されています。世界レベルでは低と評価されています。
WHOからのアドバイス
マールブルグウイルス(MVD)のヒトからヒトへの感染は、主に感染者の血液やその他の体液との直接接触によって起こります。感染拡大を防ぎ、その可能性を低減するためには、感染予防・管理(IPC)対策の強化が不可欠です。
WHOは、MVD感染を減らしてアウトブレイクを抑制するための効果的な方法として、以下のリスク低減措置を講じることを推奨しています。
予防:
ウイルスへの曝露を減らすために個人が講じるべき防御策には以下のものがあります。
調整:
あらゆるレベルでの多部門連携、主要な会議の開催、そして詳細な状況報告の共有が推奨されます。また、様々な関係者や関係機関が準備・対応活動に関与することも推奨されます。効果的かつ持続的な対応を確保するため、政府内およびパートナーとの連携による資源動員活動が推奨されます。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント:
MVDの流行を効果的に抑制するには、国民の意識向上と地域社会との連携が重要です。これには、症状、感染の危険因子、予防策、そして医療機関で迅速な治療を受けることの重要性に関する意識向上が含まれます。安全で尊厳のある埋葬に関する、配慮の行き届いた支援情報の提供も不可欠です。こうした意識向上は、対象を絞ったキャンペーンや地域社会との直接的な連携を通じて促進されるべきです。伝統療法師、聖職者、地域社会の指導者など、意図せずして病気のまん延を助長する可能性があり、地域社会にとって重要な情報源となる高リスクグループには、特に注意を払う必要があります。誤情報や噂に対処し、信頼関係を築き、症状の早期報告を促進する必要があります。
サーベイランス:
感染地域および近隣地域における積極的な症例発見、接触者追跡、警戒管理を強化する必要がある。特に高リスク地域において、新規症例を迅速に特定し報告するため、地域密着型のサーベイランスシステムを強化する必要があります。医療従事者、家族、そして疑いのある症例やその他の曝露リスクの高い環境と接触した個人に対する綿密なモニタリングを確実に実施する必要があります。また、国際的な感染拡大を含む更なる感染拡大のリスクを低減するため、関連する入国地点および国境におけるサーベイランス能力を強化する必要があります。
感染予防および管理(IPC)対策:
臨床検査:
検体の処理と分析を迅速に行い、その結果は対応者や臨床医に速やかに共有し、患者管理、封じ込め戦略、そしてより広範な対応活動の指針とする必要があります。これには、陽性検体のゲノム配列解析も含まれます。また、検査室間の比較のため、検体を海外のリファレンス・ラボラトリーに送付することを検討すべきです。マールブルグウイルス(MARV)感染が疑われる、または感染が確認された患者の検体を取り扱う検査員は、検査室におけるバイオセーフティに関する再教育訓練を受ける必要があります。これには、マラリア迅速診断検査やMARVに特異的ではないその他の検査を目的に採血を行う際に、適切な予防措置を講じることが含まれます。
候補となる医療対策の評価:
MVDに対する承認済みのワクチンや治療薬は存在しません。いくつかの候補ワクチンが開発中であり、アウトブレイクはそれらの有効性と安全性を評価する機会となります。利用可能なプロトコルがあり、フィロウイルスの専門家ネットワークが国内の研究者を支援する準備ができています。
安全かつ尊厳ある埋葬:
地域社会における感染リスクを最小限に抑えるため、死亡者に対しては安全かつ尊厳ある埋葬手順を実施する必要があります。医療従事者と埋葬チームにはMVD関連の死亡者の安全な管理を確保するための追加的な研修と機材を提供する必要があります。影響を受けた地域社会が手順を遵守できるよう、地域社会の徹底した関与が不可欠です。
症例管理とメンタルヘルスおよび心理社会的支援:
指定治療センターは、確定患者に対し、生存率を向上させるために適切なレベルのケアを提供する必要があります。隔離施設および治療施設は、患者ケアの安全性と有効性を確保しつつ、同時に感染拡大を防ぐために、十分な設備を備える必要があります。水分補給、症状管理、患者とその家族への心理的サポートなどの支持療法は、生存率の向上とアウトブレイクの影響の低減に不可欠です。
国境保健と国境を越えた連携:
国際的な感染拡大を含む更なる感染拡大を防止するため、関連するリスクの高い入国地点、輸送機関内、国境地域における監視能力を強化する必要があります。症例定義に合致する兆候や症状を示す感染地域内の症例、接触者、および個人には、WHOのフィロウイルス感染症のアウトブレイクに関する国境保健および入国地点に関する技術ガイダンスに従い、移動を控えるよう勧告する必要があります。近隣諸国との連携を強化し、報告メカニズムの調和、共同調査の実施、リアルタイムでの重要なデータの共有を図る必要があります。感染拡大リスクのある国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするための準備活動を強化する必要があります。
現在のリスク評価に基づき、WHOはエチオピアへの渡航や貿易を制限しないよう勧告しています。
WHOは、MVD感染を減らしてアウトブレイクを抑制するための効果的な方法として、以下のリスク低減措置を講じることを推奨しています。
予防:
ウイルスへの曝露を減らすために個人が講じるべき防御策には以下のものがあります。
- 感染患者との直接接触または濃厚接触、特に血液、排泄物、嘔吐物などの体液との接触に起因する、地域社会におけるヒトからヒトへの感染リスクを低減するため、MVD患者との濃厚接触は避けるべきです。
- MVDに一致する症状がある人は、直ちに医療施設で治療を受ける必要があります。MVDの疑いがある、またはMVDと診断された患者は、早期治療と家庭内での感染防止のため、指定された治療センターで隔離する必要があります。
- 地域社会および家族は、自宅で症状のある人の世話をしたり、MVDの症状で亡くなった人の遺体に触れたりしないでください。また、ウイルスに汚染されている可能性のある物品やその表面に触れないようにしてください。
- フルーツコウモリが生息する鉱山、洞窟、住居への長期滞在によるコウモリからヒトへの感染リスクを低減してください。フルーツコウモリが生息する鉱山や洞窟で作業、研究活動、または観光旅行を行う際は、手袋やその他の適切な防護服(マスクを含む)を着用してください。アウトブレイク発生時には、すべての動物性食品(血液および肉)は、摂取前に十分に加熱調理してください。
調整:
あらゆるレベルでの多部門連携、主要な会議の開催、そして詳細な状況報告の共有が推奨されます。また、様々な関係者や関係機関が準備・対応活動に関与することも推奨されます。効果的かつ持続的な対応を確保するため、政府内およびパートナーとの連携による資源動員活動が推奨されます。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント:
MVDの流行を効果的に抑制するには、国民の意識向上と地域社会との連携が重要です。これには、症状、感染の危険因子、予防策、そして医療機関で迅速な治療を受けることの重要性に関する意識向上が含まれます。安全で尊厳のある埋葬に関する、配慮の行き届いた支援情報の提供も不可欠です。こうした意識向上は、対象を絞ったキャンペーンや地域社会との直接的な連携を通じて促進されるべきです。伝統療法師、聖職者、地域社会の指導者など、意図せずして病気のまん延を助長する可能性があり、地域社会にとって重要な情報源となる高リスクグループには、特に注意を払う必要があります。誤情報や噂に対処し、信頼関係を築き、症状の早期報告を促進する必要があります。
サーベイランス:
感染地域および近隣地域における積極的な症例発見、接触者追跡、警戒管理を強化する必要がある。特に高リスク地域において、新規症例を迅速に特定し報告するため、地域密着型のサーベイランスシステムを強化する必要があります。医療従事者、家族、そして疑いのある症例やその他の曝露リスクの高い環境と接触した個人に対する綿密なモニタリングを確実に実施する必要があります。また、国際的な感染拡大を含む更なる感染拡大のリスクを低減するため、関連する入国地点および国境におけるサーベイランス能力を強化する必要があります。
感染予防および管理(IPC)対策:
- WHOのエボラウイルス病およびMVDの感染予防および管理ガイドラインに従い、すべての医療施設において重要な感染予防および管理措置を強化し、実施する必要があります。このガイドラインでは、感染予防および管理の迅速な実施の重要性を強調しており、これにはIPCの迅速な評価、医療施設および家庭の汚染除去、感染リスクを最小限に抑えるための疑いのある症例のスクリーニングと隔離による症例の早期発見と特定などが含まれますが、これらに限定されません。MVD疑いの症例定義を満たす患者は、臨床的疑いがマラリアなどと同様の症状を伴う、より一般的な病気を示唆しているかどうかにかかわらず、MVDに対する適切な予防措置を講じて治療する必要があります。
- MVDの確定例または疑い例をケアする医療従事者は、標準予防策に加えて、WHOの5つの行動指針に従った個人用保護具(PPE)の適切な使用と手指衛生を含む、感染経路別の予防策を講じ、患者の血液やその他の体液、および汚染された表面や物体との接触を避ける必要があります。医療施設で発生する廃棄物は、安全に分別、収集、輸送、保管、処理、そして最終処分を行う必要があります。安全な廃棄物処理に関する国のガイドライン、規則、規制に従うか、 WHOの安全な廃棄物管理に関するガイドラインに従ってください。
- 「医療における必須環境衛生基準」に概説されているように、患者のケアは、医療関連感染症(HAI)の予防と管理に関連する活動を促進する清潔で衛生的な環境で実施されるべきです。医療施設では、安全な水、適切な衛生設備、衛生インフラとサービスが提供されるべきです。推奨事項と改善の詳細については、 WASH FIT実施パッケージをご覧ください。
臨床検査:
検体の処理と分析を迅速に行い、その結果は対応者や臨床医に速やかに共有し、患者管理、封じ込め戦略、そしてより広範な対応活動の指針とする必要があります。これには、陽性検体のゲノム配列解析も含まれます。また、検査室間の比較のため、検体を海外のリファレンス・ラボラトリーに送付することを検討すべきです。マールブルグウイルス(MARV)感染が疑われる、または感染が確認された患者の検体を取り扱う検査員は、検査室におけるバイオセーフティに関する再教育訓練を受ける必要があります。これには、マラリア迅速診断検査やMARVに特異的ではないその他の検査を目的に採血を行う際に、適切な予防措置を講じることが含まれます。
候補となる医療対策の評価:
MVDに対する承認済みのワクチンや治療薬は存在しません。いくつかの候補ワクチンが開発中であり、アウトブレイクはそれらの有効性と安全性を評価する機会となります。利用可能なプロトコルがあり、フィロウイルスの専門家ネットワークが国内の研究者を支援する準備ができています。
安全かつ尊厳ある埋葬:
地域社会における感染リスクを最小限に抑えるため、死亡者に対しては安全かつ尊厳ある埋葬手順を実施する必要があります。医療従事者と埋葬チームにはMVD関連の死亡者の安全な管理を確保するための追加的な研修と機材を提供する必要があります。影響を受けた地域社会が手順を遵守できるよう、地域社会の徹底した関与が不可欠です。
症例管理とメンタルヘルスおよび心理社会的支援:
指定治療センターは、確定患者に対し、生存率を向上させるために適切なレベルのケアを提供する必要があります。隔離施設および治療施設は、患者ケアの安全性と有効性を確保しつつ、同時に感染拡大を防ぐために、十分な設備を備える必要があります。水分補給、症状管理、患者とその家族への心理的サポートなどの支持療法は、生存率の向上とアウトブレイクの影響の低減に不可欠です。
国境保健と国境を越えた連携:
国際的な感染拡大を含む更なる感染拡大を防止するため、関連するリスクの高い入国地点、輸送機関内、国境地域における監視能力を強化する必要があります。症例定義に合致する兆候や症状を示す感染地域内の症例、接触者、および個人には、WHOのフィロウイルス感染症のアウトブレイクに関する国境保健および入国地点に関する技術ガイダンスに従い、移動を控えるよう勧告する必要があります。近隣諸国との連携を強化し、報告メカニズムの調和、共同調査の実施、リアルタイムでの重要なデータの共有を図る必要があります。感染拡大リスクのある国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするための準備活動を強化する必要があります。
現在のリスク評価に基づき、WHOはエチオピアへの渡航や貿易を制限しないよう勧告しています。
出典
Citable reference: World Health Organization [21 November 2025]. Disease Outbreak News; Marburg virus disease - Ethiopia. Available at:
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON585
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON585
備考
This is an adaptation of an original work “Marburg virus disease - Ethiopia. Geneva: World Health Organization (WHO); 2025. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition.
