鳥インフルエンザA(H5N5)-アメリカ合衆国 (2025年12月5日)
海外へ渡航される皆様へ
今回アメリカ合衆国で報告された鳥インフルエンザは、インフルエンザウイルスA(H5N5)感染による世界初のヒト症例です。感染した鳥や哺乳類、それらの排泄物や、死骸などとの濃厚接触が主な感染経路です。H5N5を含む鳥インフルエンザウイルスは、感染してから約2~8日の潜伏期間を経て、発熱や咳など、季節性インフルエンザと同様の症状が現れます。結膜炎や上気道症状、消化器症状等が見られることもあり、高齢や基礎疾患のある患者では重症化や死亡例も報告されています。
特に、生きた動物が売られている市場や、養鶏場などの鳥を飼っている場所で感染の報告があるため、市場や養鶏場への訪問や動物との接触を避けることでリスクを減らすことができます。訪問や接触を避けられない場合はマスクや手袋を着用し、動物に直接触れないようにすることで、感染するリスクを減らすことができます。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。
以下は、WHOのDisease Outbreak Newsの翻訳であり、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。
特に、生きた動物が売られている市場や、養鶏場などの鳥を飼っている場所で感染の報告があるため、市場や養鶏場への訪問や動物との接触を避けることでリスクを減らすことができます。訪問や接触を避けられない場合はマスクや手袋を着用し、動物に直接触れないようにすることで、感染するリスクを減らすことができます。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください。
- 渡航前の情報収集
アメリカ合衆国で流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報、鳥インフルエンザに関する情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックで渡航前に対策について相談することも可能です。 - 渡航中の健康管理
1.基本的な感染予防策
石鹸と水での手洗いやアルコール消毒液の使用などの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的な感染予防策は鳥インフルエンザを含む様々な感染症に対しても有効です。
2.リスクを軽減するための対策
鳥インフルエンザは、感染した鳥類や哺乳類、その排泄物、死骸などに接触することが主な感染経路なので、養鶏場や生きた動物を売買している市場に近づいたり、鳥や動物の死骸に接したりするようなリスクの高い行動を行う場合、手洗いの励行、手袋・マスクなどの着用で、感染するリスクを減らすことができます。 また、生乳の摂取は避け、卵や鳥類などの製品は十分に加熱し、調理する際は衛生的に取り扱ってください。
3.体調不良時の行動
渡航中に発熱、咳などのインフルエンザのような症状が出た場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。 - 帰国後の対応
鳥インフルエンザの発生がみられる地域から日本へ帰国した時に体調に異常がある場合や、渡航中に感染した鳥類や哺乳類、その排泄物、死骸などに濃厚に接触した場合などには、帰国後一定期間、健康状態の確認が必要となることがありますので、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えたうえで相談してください。
帰国後10日間程度の期間、ご自身の健康状態に注意し、発熱や咳や痰などの異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際、受診前に渡航歴・現地での行動を伝えるようにしてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。
以下は、WHOのDisease Outbreak Newsの翻訳であり、厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。
状況の概要
2025年11月15日、アメリカ合衆国における2024年初頭以来71例目のインフルエンザA(H5)確定例-2025年2月以来、アメリカ合衆国で報告された初のヒト症例-が、世界保健機関(WHO; World Health Organization)に通知されました。11月20日、米国疾病予防管理センター(CDC)の塩基配列決定検査により、このウイルスがインフルエンザA(H5N5)であることが確認されました。これは、世界で初めてのインフルエンザA(H5N5)ウイルスによるヒト症例の報告です。アメリカ合衆国では保健当局による調査が進行中です。接触者の追跡調査では、接触者においてさらなる症例は特定されず、現在、ヒト―ヒト感染を示唆する証拠は認められていません。インフルエンザウイルスの常に変異する性質を踏まえ、WHOは、ヒトの健康に影響を与える可能性のある新興または流行中のインフルエンザウイルスに関連した株のウイルス学的(ゲノミクスを含む)・疫学的・臨床的変化を検出・監視するための世界的サーベイランスシステムの重要性、ならびにリスク評価を行うためウイルス情報の適時の共有の重要性を強調し続けています。WHOは現在、入手可能な情報に基づき、A型(H5)ウイルスが公衆衛生全体にもたらすリスクは低いと評価しています。しかし、職業上曝露リスクのある人については、感染リスクは低から中程度と考えられます。
発生の詳細
2025年11月15日、アメリカ合衆国におけるヒトのインフルエンザA(H5)感染確定例—2025年2月以降同国において初めて報告され、2024年初頭以来71例目の症例が、WHOに報告されました。11月20日、CDCの塩基配列決定検査により、このウイルスがインフルエンザA(H5N5)であることが確認されました。これはこの亜型の世界初のヒト感染例です。この患者は、ワシントン州在住で、基礎疾患のある成人でした。2025年10月25日の週に発熱を含む症状を発症しました。2025年11月8日の週に、患者は重篤な疾患のため入院し、その後、11月21日に死亡しました。
医療施設にて採取した呼吸器検体はRT-PCRにてインフルエンザAウイルス陽性であり、ワシントン大学にてインフルエンザA(H5)の推定陽性となりました。検体はワシントン州公衆衛生研究所(Washington State Public Health Laboratory)に送付され、CDCインフルエンザ A(H5)アッセイを用いて確認されました。11月19日にはCDCが検体を受領し、ワシントン大学およびCDCで実施された配列決定により、H5ヘマグルチニン(HA)クレード2.3.4.4bに属するインフルエンザA(H5N5)ウイルスであることを確認しました。
公衆衛生上の調査では、患者が自宅で鳥類を飼育していたことが判明しました。追加の疫学調査が進行中であり、この中には患者と濃厚接触者の積極的な追跡も含まれています。
鳥インフルエンザの疫学
動物のインフルエンザウイルスは通常、動物集団内で循環していますが、一部のウイルスはヒトに感染する可能性があります。ヒトへの感染は、主に感染動物との直接接触、または汚染された環境への曝露によって起こります。インフルエンザウイルスA型は、宿主種に基づいて、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、その他の動物由来インフルエンザなどに分類されます。
鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染は、軽度の上気道症状から重篤で生命を脅かす状態まで、様々な症状を引き起こす可能性があります。臨床症状としては、結膜炎、呼吸器症状、消化器症状、脳炎、脳症などが挙げられます。感染した動物や環境に曝露した人において、このウイルスの不顕性感染が報告された症例もあります。
ヒトへの鳥インフルエンザ感染の確定診断には、検査室での確認が必要です。WHOは、RT-PCRなどの分子診断法を用いた動物由来インフルエンザの検出に関する技術ガイダンスを定期的に更新しています。臨床的エビデンスによれば、特定の抗ウイルス薬、特にノイラミニダーゼ阻害剤(例:オセルタミビル、ザナミビル)は、ウイルス複製期間を短縮し、一部の症例では、患者の予後を改善することが示されています。この抗ウイルス薬は、症状発現から48時間以内に投与する必要があります。
高病原性鳥インフルエンザA(H5)クレード2.3.4.4bに属するA型(H5N5)ウイルスは、少なくとも2023年以降、北アメリカで野鳥および野生の哺乳類で検出されています。これは、アメリカ合衆国において検査室で確認され、かつ世界で初めて報告された、ヒトでのインフルエンザA(H5N5)ウイルス感染です。
医療施設にて採取した呼吸器検体はRT-PCRにてインフルエンザAウイルス陽性であり、ワシントン大学にてインフルエンザA(H5)の推定陽性となりました。検体はワシントン州公衆衛生研究所(Washington State Public Health Laboratory)に送付され、CDCインフルエンザ A(H5)アッセイを用いて確認されました。11月19日にはCDCが検体を受領し、ワシントン大学およびCDCで実施された配列決定により、H5ヘマグルチニン(HA)クレード2.3.4.4bに属するインフルエンザA(H5N5)ウイルスであることを確認しました。
公衆衛生上の調査では、患者が自宅で鳥類を飼育していたことが判明しました。追加の疫学調査が進行中であり、この中には患者と濃厚接触者の積極的な追跡も含まれています。
鳥インフルエンザの疫学
動物のインフルエンザウイルスは通常、動物集団内で循環していますが、一部のウイルスはヒトに感染する可能性があります。ヒトへの感染は、主に感染動物との直接接触、または汚染された環境への曝露によって起こります。インフルエンザウイルスA型は、宿主種に基づいて、鳥インフルエンザ、豚インフルエンザ、その他の動物由来インフルエンザなどに分類されます。
鳥インフルエンザウイルスのヒトへの感染は、軽度の上気道症状から重篤で生命を脅かす状態まで、様々な症状を引き起こす可能性があります。臨床症状としては、結膜炎、呼吸器症状、消化器症状、脳炎、脳症などが挙げられます。感染した動物や環境に曝露した人において、このウイルスの不顕性感染が報告された症例もあります。
ヒトへの鳥インフルエンザ感染の確定診断には、検査室での確認が必要です。WHOは、RT-PCRなどの分子診断法を用いた動物由来インフルエンザの検出に関する技術ガイダンスを定期的に更新しています。臨床的エビデンスによれば、特定の抗ウイルス薬、特にノイラミニダーゼ阻害剤(例:オセルタミビル、ザナミビル)は、ウイルス複製期間を短縮し、一部の症例では、患者の予後を改善することが示されています。この抗ウイルス薬は、症状発現から48時間以内に投与する必要があります。
高病原性鳥インフルエンザA(H5)クレード2.3.4.4bに属するA型(H5N5)ウイルスは、少なくとも2023年以降、北アメリカで野鳥および野生の哺乳類で検出されています。これは、アメリカ合衆国において検査室で確認され、かつ世界で初めて報告された、ヒトでのインフルエンザA(H5N5)ウイルス感染です。
公衆衛生上の取り組み
CDCと州の公衆衛生当局者は、以下のような公衆衛生上の対応策を開始しています。
- 公衆衛生当局者は、発生地域でサーベイランスを実施しており、これには追加の症例の調査と接触者の追跡が含まれています。
- 2024年3月以来、アメリカ合衆国では感染動物に曝露した30,100人以上を観察し、1,260人以上に検査を行いました。
- CDCは、鳥インフルエンザA(H5)など新しいインフルエンザウイルスの亜型により引き起こされた感染など、インフルエンザの活動性を検出、監視するため、強化した平時のサーベイランスを実施しています。
- CDCは、州および地域の公衆衛生部門に対し、鳥インフルエンザAウイルス感染が疑われる鳥やその他の動物(家畜を含む)に曝露した人について、直近の曝露から最長10日間、徴候や症状があらわれていないか健康観察するよう助言しています。呼吸器疾患や結膜炎の徴候または症状が発現した人はインフルエンザの検査を受けるべきです。
- CDCは一般市民に、野鳥、家きん、その他の家畜化された鳥類、その他の野生動物または家畜を含む病気の動物または死んだ動物、ならびにインフルエンザA(H5)ウイルス感染が疑われる鳥またはその他の動物の糞、敷きわら、または汚染された物質との無防備な接触を避けるよう勧告しています。
- CDCは、ヒトにおける鳥インフルエンザA(H5)ウイルス感染の予防、監視、公衆衛生調査について暫定的に勧告しています。CDCは、職業上の防護策および個人防護具(PPE)の使用に関する勧告も更新しています。
WHOによるリスク評価
A型(H5)ウイルスは元来鳥インフルエンザウイルスであることから、鳥インフルエンザA(H5)ウイルスのヒトへの感染は通常とは異なる事象です。しかし、まれに、A型(H5)ウイルスに感染した動物または汚染された環境に曝露されることでヒト感染する可能性があります。インフルエンザA(H5N5)ウイルスは、野鳥や家きんを含む鳥類で検出され、ヒト以外の哺乳類で検出されることもあります。鳥インフルエンザウイルスが家きん類の間で循環していると、感染した鳥や汚染された環境との接触を通じたヒトへの感染リスクが高まります。そのため、散発的なヒト感染例の発生が予想されます。今回報告された症例には基礎疾患があり、その後死亡しました。アメリカ合衆国の保健当局による調査が進行中であり、これには接触者の追跡調査が含まれ、接触者の間にさらなる症例は特定されませんでした。現在、ヒトからヒトへの感染を示す証拠はありません。
これは2024年初頭以来、アメリカ合衆国で71例目のヒトでのA型(H5)感染の確定例で、2025年2月以降初めての症例です。これまで、アメリカ合衆国で報告されたA型(H5)症例のいずれにおいても、ヒトからヒトへの感染は確認されていません。世界的に見ても、1997年から2007年にかけて人獣共通感染症のインフルエンザA(H5)のヒトからヒトへの限定的な感染事例はいくつか報告されていますが、これまでヒトからヒトへの持続的な感染は報告されていません。
WHOは現在、入手可能な情報に基づき、A型(H5)ウイルスがもたらす世界的な公衆衛生リスクは低いと評価しています。ただし、職業上曝露リスクのある個人については、感染リスクは低から中程度と考えられます。
このリスク評価は、この事象に関連した新たな疫学的またはウイルス学的情報に基づき、必要に応じて見直されます。
WHOからのアドバイス
この事象により、公衆衛生対策およびインフルエンザのサーベイランスに関するWHOの現在の勧告が変更されることはありません。
WHOは、ヒトと動物と環境の接点におけるインフルエンザウイルスの現状を鑑みて、入国地点での特別な渡航者スクリーニングや、その他の制限を推奨していません。
インフルエンザウイルスの常に変異する性質を踏まえ、WHOは、ヒトの健康に影響を与える可能性のある新興または流行中のインフルエンザ株のウイルス学的(ゲノミクスを含む)・疫学的・臨床的変化を検出・監視するための世界的なサーベイランスの重要性、ならびにリスク評価を行うためウイルス株の適時の共有の重要性を強調し続けています。
家きん、野鳥、その他の動物種で流行するインフルエンザAウイルスにヒトが曝露される場合、またはヒトでの感染例が特定される場合は、ウイルスに曝露される可能性のある集団に対するサーベイランスの強化が必要になります。このサーベイランスは集団の医療受診行動を考慮し、インフルエンザ様疾患(ILI)および重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランス体制の強化、病院での積極的なスクリーニング、職業上曝露リスクが高い集団での積極的なスクリーニングなど、幅広い積極的・受動的な方法を含む必要があります。また、伝統的治療師、民間開業医、民間検査機関など、その他の情報源も考慮すべきです。
家きん、野鳥、一部の野生および飼育哺乳動物において鳥インフルエンザの広範な発生が観察されていることから、一般市民は病気の動物や死んだ動物との接触を避けてください。死んだ鳥や哺乳動物を発見した場合は、地域の野生動物当局または獣医当局に報告あるいは、回収を依頼してください。家きんの卵や肉、その他の家きん製品は、料理の際に適切に調理し、衛生的に取り扱ってください。健康上のリスクがあるため、生乳の摂取は避けてください。WHOは加熱殺菌乳の摂取を推奨しています。加熱殺菌乳が入手できない場合は、生乳を沸騰するまで加熱することでより安全に摂取できます。
鳥インフルエンザウイルスを含む、パンデミックの可能性を持つ新しいインフルエンザAウイルスによるヒトへの感染が確認された、または感染が疑われた場合、確定検査の結果が出る前であっても、早期の臨床管理と、動物への曝露歴、渡航歴、接触者の追跡など徹底した疫学的調査を行うべきです。疫学的調査には、新たなウイルスのヒトからヒトへの感染を示唆するような通常とは異なる事象の早期発見も含める必要があります。確定例または疑い例から採取した臨床検体を検査し、WHO協力センターに送り、ウイルス学的な特性をさらに解析する必要があります。さらに、感染源と疑われる動物や環境、食品からも検体を採取する必要があります。
WHOは、動物のインフルエンザのアウトブレイク発生国への旅行者に対し、農場、生きた動物を扱う市場、と畜場への訪問を避けるとともに、動物の排泄物で汚染された可能性がある場所や物との接触を避けるよう助言しています。また、旅行者は、石鹸と水によるこまめな手洗いと、安全な食品取り扱いと食品衛生の習慣の遵守が必要です。発生地域の感染者が海外旅行をする場合、旅行中または到着時に感染が判明する可能性があります。しかし、このウイルスはまだヒト―ヒト間で容易に感染する能力を獲得していないため、地域社会レベルでのさらなる感染拡大は考えにくいとされています。
家きんにかかわる労働者は、鳥や汚染された可能性のある環境と密接に接触するため、鳥インフルエンザやその他の人獣共通感染症に曝露するリスクが高いことから、追加の健康上の注意を払う必要があります。鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに感染又は汚染された動物や物質と直接または密接に接触する農場労働者は、曝露のリスクを最小限に抑えるために適切な個人用防護具(PPE)を着用する必要があります。
国際保健規則(IHR 2005)の締約国は、新しいインフルエンザウイルスの亜型による最近のヒト感染症例が検査室で確認された場合、パンデミックを引き起こす可能性があるため、24時間以内に直ちにWHOに通知することが義務付けられています。この届出には、発病の有無は問われていません。WHOは、「インフルエンザA(H5)確定症例の定義」をWHOのウェブサイトで更新しました。
現在、ヒトにおけるインフルエンザA(H5)ウイルスに対して直ちに利用できるワクチンはありません。パンデミックに備えたワクチン候補ウイルスは、いくつかのA(H5)クレードに対して選定されています。現在入手可能なデータに基づくと、既存の季節性インフルエンザワクチンによる鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する予防効果は期待できません。疫学的状況と血清学的調査を綿密に監視することは、リスク評価と、必要に応じたリスク管理対策の調整に不可欠です。 WHOは、本事象に関して入手可能な情報に基づき、アメリカ合衆国への渡航や貿易を制限することは推奨していません。
WHOは、ヒトと動物と環境の接点におけるインフルエンザウイルスの現状を鑑みて、入国地点での特別な渡航者スクリーニングや、その他の制限を推奨していません。
インフルエンザウイルスの常に変異する性質を踏まえ、WHOは、ヒトの健康に影響を与える可能性のある新興または流行中のインフルエンザ株のウイルス学的(ゲノミクスを含む)・疫学的・臨床的変化を検出・監視するための世界的なサーベイランスの重要性、ならびにリスク評価を行うためウイルス株の適時の共有の重要性を強調し続けています。
家きん、野鳥、その他の動物種で流行するインフルエンザAウイルスにヒトが曝露される場合、またはヒトでの感染例が特定される場合は、ウイルスに曝露される可能性のある集団に対するサーベイランスの強化が必要になります。このサーベイランスは集団の医療受診行動を考慮し、インフルエンザ様疾患(ILI)および重症急性呼吸器感染症(SARI)のサーベイランス体制の強化、病院での積極的なスクリーニング、職業上曝露リスクが高い集団での積極的なスクリーニングなど、幅広い積極的・受動的な方法を含む必要があります。また、伝統的治療師、民間開業医、民間検査機関など、その他の情報源も考慮すべきです。
家きん、野鳥、一部の野生および飼育哺乳動物において鳥インフルエンザの広範な発生が観察されていることから、一般市民は病気の動物や死んだ動物との接触を避けてください。死んだ鳥や哺乳動物を発見した場合は、地域の野生動物当局または獣医当局に報告あるいは、回収を依頼してください。家きんの卵や肉、その他の家きん製品は、料理の際に適切に調理し、衛生的に取り扱ってください。健康上のリスクがあるため、生乳の摂取は避けてください。WHOは加熱殺菌乳の摂取を推奨しています。加熱殺菌乳が入手できない場合は、生乳を沸騰するまで加熱することでより安全に摂取できます。
鳥インフルエンザウイルスを含む、パンデミックの可能性を持つ新しいインフルエンザAウイルスによるヒトへの感染が確認された、または感染が疑われた場合、確定検査の結果が出る前であっても、早期の臨床管理と、動物への曝露歴、渡航歴、接触者の追跡など徹底した疫学的調査を行うべきです。疫学的調査には、新たなウイルスのヒトからヒトへの感染を示唆するような通常とは異なる事象の早期発見も含める必要があります。確定例または疑い例から採取した臨床検体を検査し、WHO協力センターに送り、ウイルス学的な特性をさらに解析する必要があります。さらに、感染源と疑われる動物や環境、食品からも検体を採取する必要があります。
WHOは、動物のインフルエンザのアウトブレイク発生国への旅行者に対し、農場、生きた動物を扱う市場、と畜場への訪問を避けるとともに、動物の排泄物で汚染された可能性がある場所や物との接触を避けるよう助言しています。また、旅行者は、石鹸と水によるこまめな手洗いと、安全な食品取り扱いと食品衛生の習慣の遵守が必要です。発生地域の感染者が海外旅行をする場合、旅行中または到着時に感染が判明する可能性があります。しかし、このウイルスはまだヒト―ヒト間で容易に感染する能力を獲得していないため、地域社会レベルでのさらなる感染拡大は考えにくいとされています。
家きんにかかわる労働者は、鳥や汚染された可能性のある環境と密接に接触するため、鳥インフルエンザやその他の人獣共通感染症に曝露するリスクが高いことから、追加の健康上の注意を払う必要があります。鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに感染又は汚染された動物や物質と直接または密接に接触する農場労働者は、曝露のリスクを最小限に抑えるために適切な個人用防護具(PPE)を着用する必要があります。
国際保健規則(IHR 2005)の締約国は、新しいインフルエンザウイルスの亜型による最近のヒト感染症例が検査室で確認された場合、パンデミックを引き起こす可能性があるため、24時間以内に直ちにWHOに通知することが義務付けられています。この届出には、発病の有無は問われていません。WHOは、「インフルエンザA(H5)確定症例の定義」をWHOのウェブサイトで更新しました。
現在、ヒトにおけるインフルエンザA(H5)ウイルスに対して直ちに利用できるワクチンはありません。パンデミックに備えたワクチン候補ウイルスは、いくつかのA(H5)クレードに対して選定されています。現在入手可能なデータに基づくと、既存の季節性インフルエンザワクチンによる鳥インフルエンザA(H5)ウイルスに対する予防効果は期待できません。疫学的状況と血清学的調査を綿密に監視することは、リスク評価と、必要に応じたリスク管理対策の調整に不可欠です。 WHOは、本事象に関して入手可能な情報に基づき、アメリカ合衆国への渡航や貿易を制限することは推奨していません。
出典
World Health Organization(5 December 2025)Disease Outbreak News; Avian Influenza A(H5N5) - United States of America. Available at:
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON590
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON590
備考
This is an adaptation of an original work “Disease Outbreak News; Avian Influenza A(H5N5) - United States of America. Geneva: World Health Organization (WHO); 2025. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition
