ニパウイルス感染症-インド(2026年1月30日)
海外へ渡航される皆様へ
今回インドで報告されたのは、ニパウイルスによる感染症です。ウイルスに感染している動物(コウモリやブタなど)との接触や、感染動物の唾液や排泄物で汚染された食物の摂取が主な感染経路です。また、感染者との濃厚接触によりヒトからヒトへ感染することもあります。潜伏期間は、感染してから3~14日程度で、まれに45日まで延長された報告もあります。症状は発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、咽頭痛などで始まり、その後、めまいや眠気、意識障害などの神経症状が現れ、重症化すると急性脳炎に至ることがあります。
感染したコウモリがかじった痕跡のある果物を食べたり、生のナツメヤシの樹液/ジュースは加熱せずに飲まないこと、そしてニパウイルス感染症の確定患者や疑い患者との接触を避けることが予防につながります。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください
渡航前の情報収集
ニパウイルス感染症に関する情報、インドで流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなどで渡航前に感染対策について相談することも可能です。
渡航中の健康管理
1. 基本的な感染予防策
石鹸と水での手洗いやアルコール消毒液の使用などの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的感染対策はニパウイルスに対しても有効です。
2. リスクを軽減するための対策
ニパウイルスは感染動物との接触やウイルスに汚染された食物の摂取が主な感染経路です。現地で養豚場への訪問や生の果物の採取や摂取をする場合には、ブタへの直接の接触や、洗っていない生の果物やナツメヤシ等の樹液を食べるといったようなリスクの高い行動を避けることで感染するリスクを減らすことができます。
3. 体調不良時の行動
渡航中に上記のようなリスク行為があり、発熱、頭痛、めまい、神経症状などニパウイルス感染症を疑う症状が出た場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。
帰国後の対応
ニパウイルス感染症の発生がみられる地域から日本へ帰国した時に体調に異常があれば、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えたうえで相談してください。
帰国後少なくとも14日間は、健康状態に注意し、まれに45日まで潜伏期間が延長されることがあるため、発熱、頭痛、めまいなどの異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際も渡航歴・現地での行動を伝えてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。
以下のDisease Outbreak Newsの翻訳は、厚生労働省委託事業『国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業』にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。
感染したコウモリがかじった痕跡のある果物を食べたり、生のナツメヤシの樹液/ジュースは加熱せずに飲まないこと、そしてニパウイルス感染症の確定患者や疑い患者との接触を避けることが予防につながります。
以下の点を事前に確認して、健康に気を付けて渡航してください
渡航前の情報収集
ニパウイルス感染症に関する情報、インドで流行している感染症に関する情報、渡航先の医療情報を、FORTHや外務省などの公式な情報源で確認してください。トラベルクリニックなどで渡航前に感染対策について相談することも可能です。
渡航中の健康管理
1. 基本的な感染予防策
石鹸と水での手洗いやアルコール消毒液の使用などの手指衛生、マスクの着用や咳エチケットといった基本的感染対策はニパウイルスに対しても有効です。
2. リスクを軽減するための対策
ニパウイルスは感染動物との接触やウイルスに汚染された食物の摂取が主な感染経路です。現地で養豚場への訪問や生の果物の採取や摂取をする場合には、ブタへの直接の接触や、洗っていない生の果物やナツメヤシ等の樹液を食べるといったようなリスクの高い行動を避けることで感染するリスクを減らすことができます。
3. 体調不良時の行動
渡航中に上記のようなリスク行為があり、発熱、頭痛、めまい、神経症状などニパウイルス感染症を疑う症状が出た場合は、速やかに現地の医療機関を受診し、渡航歴・現地での行動を必ず伝えてください。
帰国後の対応
ニパウイルス感染症の発生がみられる地域から日本へ帰国した時に体調に異常があれば、空港や港の検疫所で渡航歴・現地での行動を伝えたうえで相談してください。
帰国後少なくとも14日間は、健康状態に注意し、まれに45日まで潜伏期間が延長されることがあるため、発熱、頭痛、めまいなどの異常があれば速やかに医療機関に相談してください。この際も渡航歴・現地での行動を伝えてください。
そのほか、海外渡航に関する一般的な注意事項は「ここに注意!海外渡航にあたって」をご参照ください。
以下のDisease Outbreak Newsの翻訳は、厚生労働省委託事業『国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業』にて翻訳・メッセージ原案を作成しています。
状況の概要
2026年1月26日、インドの国際保健規則(IHR)連絡窓口(National IHR Focal Point:NFP)は、西ベンガル州でのニパウイルス感染症の検査で2例が確定したことをWHOに通知しました。2例とも同じ民間病院(バラサット市、北24パルガナス地区)に勤務する医療従事者です。1月13日にプネーの国立ウイルス研究所によって感染が確認されました。1例目は1月21日時点で人工呼吸管理が必要な状態であり、2例目は重篤な神経症状を呈しましたが、その後改善しています。
当局は、プネーの国立ウイルス学研究所が配備した移動式BSL-3検査室の支援を受け、190人以上の接触者を特定し検査しましたが、いずれもニパウイルス陰性でした。現在まで新たな感染例は確認されていません。今回の事象は、西ベンガル州で報告された3回目のニパウイルス感染症のアウトブレイクです(過去には2001年シリグリ、2007年ナディアで発生)。曝露源の調査の継続と平行して、監視体制の強化と感染予防・管理措置が実施されています。
ニパウイルス感染症は重篤ではあるものの稀な人獣共通感染症であり、感染動物(コウモリなど)や、感染動物の唾液・尿・排泄物で汚染された食品を介してヒトに感染します。また、感染者との濃厚接触によりヒトからヒトへも伝播することがあります。現時点で、認可された治療薬やワクチンはありませんが、早期の支持療法により生存率は改善します。WHOは、このニパウイルスによる公衆衛生上のリスクを、地域レベルでは中等度、国・地域・世界レベルでは低いと評価しています。
当局は、プネーの国立ウイルス学研究所が配備した移動式BSL-3検査室の支援を受け、190人以上の接触者を特定し検査しましたが、いずれもニパウイルス陰性でした。現在まで新たな感染例は確認されていません。今回の事象は、西ベンガル州で報告された3回目のニパウイルス感染症のアウトブレイクです(過去には2001年シリグリ、2007年ナディアで発生)。曝露源の調査の継続と平行して、監視体制の強化と感染予防・管理措置が実施されています。
ニパウイルス感染症は重篤ではあるものの稀な人獣共通感染症であり、感染動物(コウモリなど)や、感染動物の唾液・尿・排泄物で汚染された食品を介してヒトに感染します。また、感染者との濃厚接触によりヒトからヒトへも伝播することがあります。現時点で、認可された治療薬やワクチンはありませんが、早期の支持療法により生存率は改善します。WHOは、このニパウイルスによる公衆衛生上のリスクを、地域レベルでは中等度、国・地域・世界レベルでは低いと評価しています。
発生の詳細
2026年1月26日、インドIHR NFPは西ベンガル州における2例のニパウイルス感染症の確定症例をWHOに報告しました。最初の検査で感染が疑われ、プネーの国立ウイルス研究所により2026年1月13日に正式に確認されました。
確認検査には、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)と、酵素結合免疫吸着法(ELISA)が使用されました。
2例はいずれも看護師であり、1例目は女性、2例目は男性です。2例とも20代でバラサット市、北24パルガナス地区在住です。2025年12月下旬に重症のニパウイルス感染症にみられる典型的な症状を呈し、2026年1月上旬に入院しました。2026年1月21日時点で、2例目は臨床的に改善がみられましたが、1例目は重篤な状態が続いています。
2例の確定例を受けて、インド保健当局は医療及び介護従事者や地域内の接触者を含む190人以上の接触者を特定し検査しましたが、全て陰性でした。インド国立疾病管理センターは1月27日に、2025年12月以降西ベンガル州において新たな確定例は確認されていないと発表しています。
確認検査には、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)と、酵素結合免疫吸着法(ELISA)が使用されました。
2例はいずれも看護師であり、1例目は女性、2例目は男性です。2例とも20代でバラサット市、北24パルガナス地区在住です。2025年12月下旬に重症のニパウイルス感染症にみられる典型的な症状を呈し、2026年1月上旬に入院しました。2026年1月21日時点で、2例目は臨床的に改善がみられましたが、1例目は重篤な状態が続いています。
2例の確定例を受けて、インド保健当局は医療及び介護従事者や地域内の接触者を含む190人以上の接触者を特定し検査しましたが、全て陰性でした。インド国立疾病管理センターは1月27日に、2025年12月以降西ベンガル州において新たな確定例は確認されていないと発表しています。
ニパウイルス感染症の疫学
ニパウイルス感染症は、感染動物(コウモリなど)や感染動物の唾液、尿、排泄物で汚染された食品を介してヒトに伝播する人獣共通感染症です。また、感染者との濃厚接触を通じてヒトーヒト感染をおこす可能性もあります。ニパウイルスの自然宿主はオオコウモリ(Pteropus種)です。
潜伏期間は3~14日です。しかし、潜伏期間が45日間に及んだとの報告もあります。ニパウイルス感染症の臨床病歴を持つ患者の検査診断は、急性期および回復期に、いくつかの検査を組み合わせて行うことで可能です。主な検査は体液を用いたRT-PCR法とELISA法による抗体検出です。
症状としては、不顕性感染から、急性呼吸器感染症(軽度、重度)、そして致命的な脳炎まで様々です。
感染者は最初に発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、咽頭痛などの症状を呈します。その後、めまい、眠気、意識障害、急性脳炎を示唆する神経学的徴候が現れることがあります。また、一部の患者では非定型肺炎や、急性呼吸窮迫などの重度の呼吸器疾患を呈することもあります。重症例では脳炎や発作が起こり、24~48時間以内に昏睡に陥ります。
ニパウイルス感染に関する詳しい情報はニパウイルスとはをご覧ください。
バングラデシュ、インド、マレーシア、シンガポールで発生したアウトブレイクにおける致命率は、早期発見と臨床管理に関する現地の能力にもよりますが、40%から75%の範囲となっています。利用可能な認可されたワクチンや治療薬はありません。
重篤な呼吸器系および神経系の合併症の治療には、集中的な支持療法が推奨されます。
Henipavirus nipahense(ニパウイルス)は、WHO R&D Blueprint for Epidemicsの一環として、感染症およびパンデミックへの対応するための医療対策(MCM)の加速化において優先すべき病原体と考えられています。
潜伏期間は3~14日です。しかし、潜伏期間が45日間に及んだとの報告もあります。ニパウイルス感染症の臨床病歴を持つ患者の検査診断は、急性期および回復期に、いくつかの検査を組み合わせて行うことで可能です。主な検査は体液を用いたRT-PCR法とELISA法による抗体検出です。
症状としては、不顕性感染から、急性呼吸器感染症(軽度、重度)、そして致命的な脳炎まで様々です。
感染者は最初に発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐、咽頭痛などの症状を呈します。その後、めまい、眠気、意識障害、急性脳炎を示唆する神経学的徴候が現れることがあります。また、一部の患者では非定型肺炎や、急性呼吸窮迫などの重度の呼吸器疾患を呈することもあります。重症例では脳炎や発作が起こり、24~48時間以内に昏睡に陥ります。
ニパウイルス感染に関する詳しい情報はニパウイルスとはをご覧ください。
バングラデシュ、インド、マレーシア、シンガポールで発生したアウトブレイクにおける致命率は、早期発見と臨床管理に関する現地の能力にもよりますが、40%から75%の範囲となっています。利用可能な認可されたワクチンや治療薬はありません。
重篤な呼吸器系および神経系の合併症の治療には、集中的な支持療法が推奨されます。
Henipavirus nipahense(ニパウイルス)は、WHO R&D Blueprint for Epidemicsの一環として、感染症およびパンデミックへの対応するための医療対策(MCM)の加速化において優先すべき病原体と考えられています。
公衆衛生上の取組
現地の当局は以下のような公衆衛生対策を実施しています。
WHOは次の支援を提供しています。
- インド政府と西ベンガル州政府は定められたプロトコルに基づき迅速かつ包括的な公衆衛生対応を開始しました。
- ワンヘルスの協調的アプローチによる関係部門と連携した調査が行われました。
- 確定例を中心とした接触者追跡と継続的フォローアップが行われています。
- 早期発見のためのサーベイランス活動の強化と拡充が行われました。
- コミュニティ・エンゲージメントとアドボカシー活動を含む、健康教育と啓発活動が行われています。
- 医療従事者に対して、ニパウイルス感染症に関する注意喚起がなされ、医療機関での感染予防と管理の強化がされました。
- リファレンスラボによる迅速な検体採取、搬送、検査が実施されました。
WHOは次の支援を提供しています。
- 国家および国際レベルでの公式IHR通知の登録を含むイベントコミュニケーションの支援をしています。
- ニパウイルス流行期における流行状況のモニタリングおよび疫学パターン、リスク要因および地理的拡散評価の支援をしています。
WHOによるリスク評価
ニパウイルスは高い致命率(40-75%)を有する、特異的な治療や認可されたワクチンのない稀な人獣共通感染症を引き起こす病原体です。自然宿主は、インド洋沿岸地域および複数の島嶼部、インド、東南アジア、オセアニアに分布するオオコウモリ(Pteropus種のコウモリ)です。このウイルスは野生動物および家畜からヒトに感染する可能性があります。ただし、家畜によって感染症が媒介されうるため、二次的なヒトからヒトへの感染も起こりえます。ニパウイルス感染症の症例は1998年に初めて報告され、その後、バングラデシュ、インド、マレーシア、フィリピン、シンガポールで報告されています。インドではコウモリの活動や、ナツメヤシの生樹液の摂取などの文化的慣習に関連して、季節的な流行が見られます。季節的なアウトブレイクは12月から5月にかけて発生し、ナツメヤシの樹液の収穫時期と一致しています。
今回は、西ベンガル州で報告された3度目のニパウイルス感染症のアウトブレイクであり、ケララ州でも2018年以降、複数のニパウイルス感染症のアウトブレイクが記録されています。西ベンガル州では、2001年(シリグリ)と2007年(ナディア県)にアウトブレイクがありました。WHOは、現在入手可能な情報に基づき、特異的な治療薬やワクチンが存在しない状況と早期診断の困難さを考慮し、地方レベルにおけるニパウイルス感染症の公衆衛生リスクを中程度としています。感度と特異性の高い検査法は存在しますが、初期段階の症状は特異的ではないことから、迅速な診断、アウトブレイクの検知、対応が遅れる可能性があります。オオコウモリ(Pteropus spp.)はニパウイルスの自然宿主であり、インドにも生息しています。宿主からヒトへのウイルスのスピルオーバー(異種間伝播)が繰り返し起こっていることが実証されています。
過去のアウトブレイクでは、主に医療現場や、患者と家族や、患者と介護者との間で患者の体液を介した濃厚接触によるヒトからヒトへの感染が確認されています。医療施設における適切な感染予防・管理対策の実施は、医療関連感染を軽減することに不可欠です。
インドにおけるニパウイルス感染症の年間症例数は、2001年以降、比較的低い水準で推移しています。ただし、2001年には66件、2018年には18件の症例が報告されました。過去5年間で、インドでは12件の確定例が報告されており、いずれもケララ州での発生でした。インドでは、アウトブレイクの検知と制御のために、ニパウイルスのサーベイランス体制の確立、中央および州レベルでの迅速対応チームの設置、迅速な検体検査能力の確保など、強力な公衆衛生対策が実施されています。
近隣諸国については、WHOは地域レベルでのニパウイルスによる公衆衛生リスクは低いと評価しています。国境を越えた伝播の報告はなく、今回のアウトブレイクは地理的に限定されています。しかしながら、オオコウモリの共通の生態地域があることと、この地域で過去にヒト感染があったことから、疾患発生のリスクは依然として存在します。インドにおいては過去のニパウイルス感染症アウトブレイクへの対応において、高い能力と経験を示してきました。
WHOは、インド国外での症例の拡大が確認されていないことから、ニパウイルス感染症アウトブレイクが世界的にもたらす公衆衛生リスクは低いと評価しています。
今回は、西ベンガル州で報告された3度目のニパウイルス感染症のアウトブレイクであり、ケララ州でも2018年以降、複数のニパウイルス感染症のアウトブレイクが記録されています。西ベンガル州では、2001年(シリグリ)と2007年(ナディア県)にアウトブレイクがありました。WHOは、現在入手可能な情報に基づき、特異的な治療薬やワクチンが存在しない状況と早期診断の困難さを考慮し、地方レベルにおけるニパウイルス感染症の公衆衛生リスクを中程度としています。感度と特異性の高い検査法は存在しますが、初期段階の症状は特異的ではないことから、迅速な診断、アウトブレイクの検知、対応が遅れる可能性があります。オオコウモリ(Pteropus spp.)はニパウイルスの自然宿主であり、インドにも生息しています。宿主からヒトへのウイルスのスピルオーバー(異種間伝播)が繰り返し起こっていることが実証されています。
過去のアウトブレイクでは、主に医療現場や、患者と家族や、患者と介護者との間で患者の体液を介した濃厚接触によるヒトからヒトへの感染が確認されています。医療施設における適切な感染予防・管理対策の実施は、医療関連感染を軽減することに不可欠です。
インドにおけるニパウイルス感染症の年間症例数は、2001年以降、比較的低い水準で推移しています。ただし、2001年には66件、2018年には18件の症例が報告されました。過去5年間で、インドでは12件の確定例が報告されており、いずれもケララ州での発生でした。インドでは、アウトブレイクの検知と制御のために、ニパウイルスのサーベイランス体制の確立、中央および州レベルでの迅速対応チームの設置、迅速な検体検査能力の確保など、強力な公衆衛生対策が実施されています。
近隣諸国については、WHOは地域レベルでのニパウイルスによる公衆衛生リスクは低いと評価しています。国境を越えた伝播の報告はなく、今回のアウトブレイクは地理的に限定されています。しかしながら、オオコウモリの共通の生態地域があることと、この地域で過去にヒト感染があったことから、疾患発生のリスクは依然として存在します。インドにおいては過去のニパウイルス感染症アウトブレイクへの対応において、高い能力と経験を示してきました。
WHOは、インド国外での症例の拡大が確認されていないことから、ニパウイルス感染症アウトブレイクが世界的にもたらす公衆衛生リスクは低いと評価しています。
WHOからのアドバイス
ニパウイルス感染症に対する認可されたワクチンや特異的な治療法がない状況において、人々の感染を抑えるまたは予防するには、リスク要因に対する意識を高めることが重要です。これには、ニパウイルスへの曝露を減らすために人々が取ることができる対策に関するガイダンスの提供や、リスクコミュニケーションを強化することが含まれます。これは、さまざまな地域から人が集まり、疾病やその感染経路、そして自分自身を守るために取る行動について理解しておく必要がある大規模集会においても当てはまります。症例の管理においては、効果的な検査システムと医療施設における適切な感染予防・管理対策に支えられた、適切な支持療法の提供に重点を置くべきです。重度の呼吸器系および神経系の合併症の治療には、集中的な支持療法が推奨されます。
公衆衛生教育メッセージは、以下の点に重点を置くべきです。
コウモリからヒトへの感染リスクを下げる
WHOは、現在入手可能な情報に基づき、インドへの渡航や貿易を制限することは推奨していません。
公衆衛生教育メッセージは、以下の点に重点を置くべきです。
コウモリからヒトへの感染リスクを下げる
- 感染防止のための取り組みは、まずコウモリがナツメヤシの樹液やその他の生鮮食品にアクセスできないようにすることが重要です。採取したばかりのナツメヤシの果汁は煮沸し、果実は食べる前に十分に洗浄し、皮をむいてください。コウモリの咬傷の痕跡がある果物は廃棄してください。コウモリのねぐらとなっている場所への立ち入りは避けてください。
- 感染症予防対策を講じずにニパウイルス感染者と濃厚接触することは避けてください。患者の介護や見舞いの後は、他の予防策に加えて、定期的に手洗いを実施してください。
- ニパウイルスに類似した症状を呈する人は、有効な治療がないものの早期の支持療法が重要であるため、早めに医療機関を受診してください。またヒトからヒトへの感染を制御する上で、接触者追跡とモニタリングも重要です。
- 感染が疑われる、または感染が確認された患者をケアする、あるいはそれらの患者の検体を取り扱う医療及び介護従事者は、すべての患者に対して、常に感染予防と制御のための標準予防策を実施する必要があります。
- ニパウイルス感染が疑われる、または感染が確認された患者をケアする際は、WHOは、顔にフィットする医療用マスク、眼の保護具、耐浸透性ガウン、検査用手袋などの接触・飛沫感染予防策の実施を推奨しています。エアロゾルが発生する処置中は、患者を空気感染隔離室に収容し、医療用マスクの代わりにフィットテスト済みのフィルター付きフェイスピース型レスピレーターを使用するなど、空気感染予防策を実施する必要があります。ニパウイルス感染症の疑い例または確定例の患者は、個室に収容する必要があります。ニパウイルス感染症の疑い例または確定例の患者を訪問する家族や介護者にも、同様の予防策を適用する必要があります。
- ニパウイルス感染が疑われる人や動物から採取した検体は、適切な設備を備えた検査室で、訓練を受けた職員が取り扱う必要があります。
WHOは、現在入手可能な情報に基づき、インドへの渡航や貿易を制限することは推奨していません。
出典
Citable reference: World Health Organization [1 January 2026]. Disease Outbreak News; Nipah virus infection - India. Available at:
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON593
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2026-DON593
備考
This is an adaptation of an original work “Nipah virus infection - India. Geneva: World Health Organization (WHO); 2026. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition.
