2012年10月03日更新 ギリシャでマラリアの患者が発生しました(更新2)

マラリアは感染してから6日以上の症状のない期間があった後、発熱、寒気、筋肉痛、だるさなどの症状が現れます。重症の場合にはけいれんや呼吸困難になったり、意識を失ったりします。これらの症状は自然に治まる場合もありますが、時間がたつとまた起こり、だんだん重症になっていきます。初期のうちに治療をしないと、とても危険な病気です。

10月2日付けのヨーロッパ疾病管理センター(ECDC)の情報によりますと、ギリシャでは、今年、三日熱マラリアの患者が9人報告されています。9月26日には、最近数年間は患者の発生が報告されていなかったクサンティ(ブルガリアとの国境近くの北部の県)で国内感染例と考えられる三日熱マラリアの患者が発生しました。今年は、これまでに、ラコニア(4人)、アッティカ(4人)、クサンティ(1人)で国内感染例と考えられるマラリア患者が発生しており、いずれも三日熱マラリアの患者でした。

なお、2011年は5月21日から12月9日までに、ギリシャでは63人の三日熱マラリア患者が報告されており、そのうち、マラリア流行地への渡航歴のない三日熱マラリアの患者は33人でした。主に患者が発生したのは、ギリシャ南部のラコニアのエウロータスでした。また、アッティカ、エヴォイア、ヴィオティア、ラリッサでも患者が発生しました。さらに、エウロータスでは、マラリア流行国からの出稼ぎ労働者の患者が30人報告されました。

マラトンとエウロータスは、多湿で、農業が盛んな地域であり、マラリアの伝播に適した環境です。現在の気象状況は、地域で媒介蚊が発育するのに適した状況であると考えられます。世界のマラリア流行地からの頻繁な移動や渡航様式は、この地域にマラリア原虫を持ち込む機会となっています。2011年の国内感染例と考えられる患者もこれらの地域で発生しました。

クサンティで報告された患者は、最近数年間では、この地域で初めて報告された患者です。クサンティでは、今年、輸入例の確定患者は報告されていません。今年の8月中旬以降、この地域はギリシャ北部におけるウエストナイルウイルス感染の多発地域です。

昨年の患者発生時期を考えると、今後、数か月の間に、さらに患者が発生する可能性があります。

ギリシャ当局は関係機関と協力し、マラリア制御の対策をとっています。

現地へ渡航される方は今後の流行情報に注意するとともに、以下のような対策をとることをお勧めします。

蚊に刺されないための対策

虫刺され(蚊よけ)の対策

  • 外出時は虫除け剤を使用しましょう。
  • エアコンが完備(使用可能)されている、または網戸がついている場所に滞在しましょう。
  • 蚊に刺されやすい時間帯(夕方や明け方)には、殺虫剤をしみこませた蚊帳を使用して寝ましょう。

心配な場合には早めの受診を

海外で熱が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

ご帰国の際に、熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。検疫所ではマラリアの検査を行うことができます。検査結果は後ほどご連絡します。帰宅後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。

マラリアは、患者から他の人に直接うつることはありませんが、日本国内でも発熱が続いている期間に蚊に刺されると、その蚊が他の人にうつす危険があります。症状がある間はくれぐれも蚊に刺されないようご注意ください。

出典

ヨーロッパ疾病管理センター(ECDC)
COMMUNICABLE DISEASE THREATS REPORT(CDTR), week 39
http://ecdc.europa.eu/en/publications/Publications/ECDC_CDTR_29.09.12.pdf[PDF形式:484KB]

参考

FORTH 新着情報

2012年7月23日ギリシャでマラリアの患者が発生しました(更新1)https://www.forth.go.jp/topics/2012/07231354.html

2012年6月27日更新ギリシャでマラリアの患者が発生しましたhttps://www.forth.go.jp/topics/2012/06271043.html