デング熱の流行 - 熱帯・亜熱帯地域
CDC Travelers' Health, Outbreak Notice2010年3月4日
流行状況
デング熱は、カリブ海諸国、中米、南・中央アジアから帰国した渡航者の発熱の原因としてよくみられます。この疾患は4つの類似したウイルス(DENV-1、-2、-3、-4)が原因で、感染した蚊に刺されることによって広がります。
デング熱の感染は、南太平洋、アジア、カリブ海諸国、アメリカ大陸、アフリカの多くの熱帯地域から頻繁に報告されています。デング熱の感染は、農村部でも都市部でも発生しますが、都市部からの報告の方が多いです。
2009年の初めから、世界中のいくつかの地域の国々で、デング熱の患者数が増加しました。
アフリカ
カーボヴェルデでは、2009年に21,000人以上の疑い患者と6人の死亡者が報告されました(2009年12月6日現在)。国連人道問題調整部によりますと、約60人の患者はセネガルに近い場所で報告されました。
南太平洋地域
デング熱は、この地域全体で流行が続いています。アウトブレイクの数例を以下に示します。
- マレーシア
- 2010年に入って最初の6週間に、国全体で、6200人を超える患者と23人の死亡者が報告されました。特にスランゴル州とサラワク州で多くなっています。
- インドネシア
- デング熱の感染が続いています。2009年の1月から10月まで、デング出血熱によって100人を超える死亡者が報告されました。保健省は、2009年12月に、この雨期の期間中にデング出血熱が増加したことに対する警報を出しました。
- スリランカ
- 2010年2月23日現在、コロンボを含む全国で、7500人が報告されました。
中南米
中南米とカリブ海諸国の数ヶ国で、デング熱の流行が報告されています。ブラジル、コロンビア、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、サン・バルテルミー島、セント・マーチン島などで発生しています。
中東
デング熱の流行は、この地域では、最近数ヶ月の間に報告されており、サウジアラビアのジェッダやメッカのような渡航者に人気のある地域でも発生しています。
昨年以前にデング熱の発生が報告された地域は、デング熱の流行地図を参照してください。デング熱について、さらに詳しい情報や、世界中の更新情報はCDCのデング熱のウェブサイトやWHOのウェブサイトを参照してください。
渡航者へのアドバイス
渡航者は、蚊に刺されないようにすることによって、デング熱に感染する危険を減らすことができます。通常、デング熱を蔓延させる蚊は、夕暮れと夜明けに刺しますが、特に屋内の薄暗いエリア、曇った日には、日中でも刺すかもしれません。
- 渡航者は、蚊に刺されないようにするために、下記ことに注意しましょう:
- できれば、空間が遮断されたもしくは空調設備が整った、蚊の個体数を減らすための処置をとっているホテルまたはリゾートに滞在しましょう。もし、ホテルの空間が遮断されてないならば、蚊に刺されないように蚊帳で寝ましょう。
- 屋外や空間が遮断されていない建物では、防虫剤を皮膚に直接使ってください。日焼け止めが必要であるならば、防虫剤の前に使用してください。
- 以下の有効成分のうちの1つを含む防虫剤を探してください:
- DEET
- ピカリジン(picaridin ; KBR3023)
- レモンユーカリオイル
- PMD
- IR3535
- 常時、防虫剤を使うときはラベルの指示に従ってください:
- 一般に、有効成分が高濃度(パーセンテージ)の場合、防虫剤はより長く効きます。しかし、50%を超えると、保護時間の著しい増加はありません。10%未満の製品は、保護時間は限られており、1~2時間程度です。
- 米国小児学会は、2ヶ月以上の子供に最高30%のDEETの防虫剤の使用を認めています。
- 2ヶ月未満の乳児を保護するためには持ち運びのできるきちんとフィットするように隅が弾力性のある蚊帳地を用いてください。
- 屋外では、ゆったりした、長袖のシャツと長ズボンをはいてください:
- より防虫するためにはペルメトリン(permethrin)や別のEPA登録された防虫剤を衣類にスプレーします。(注意:皮膚にはペルメトリンを使わないでください。)
症状と治療
デング熱の症状は以下のとおりです。
- * 発熱
- * ひどい頭痛
- * 目の奥(後ろ)の痛み
- * 関節・筋肉痛
- * 発疹
- * 吐き気・嘔吐
- * 出血
通常、デング熱は軽い症状です。しかし、重症化し、治療しなければ致死的なデング出血熱(DHF)になることがあります。以前にデング熱に感染した人は、デング出血熱になる危険性が高いです。
デング熱を予防するワクチンはありません。また、デング熱に対する特効薬もありません。デング熱に感染した人は、解熱剤(例えばアセトアミノフェン)を投与され、経口水分摂取や点滴による補液が、重症例では血圧を維持する治療が必要となるかもしれません。アスピリン(アセチルサリチル酸)、アスピリン含有薬、そして非ステロイド性抗炎症薬(例えばイブプロフェン)は出血の可能性があるので避けるべきです。(切迫した血圧低下と症状や徴候が一致する)デング出血熱の早期の認識と治療は死亡のリスクを減らすことができます。
海外旅行から帰り、発熱を伴う症状が出たときには、医療機関を受診しましょう。受診時に、必ず医師にあなたの最近の旅行について伝えてください。