米国インディアナ州の農産物・家畜品評会で発生したインフルエンザA型(H3N2)ウイルスの集団感染 2012年7月

2012年7月27日 CDC (原文〔英語〕へのリンク

2012年7月12日から16日までに、インディアナ州保健局とインディアナ動物保健局は、7月8日から14日にかけて開催された郡の農産物・家畜品評会で豚と人に呼吸器疾患が発生したことを確認しました。7月16日に4人から検体が採取されました。そのうちの2人は7月12日に発症して救急外来を受診し、他の2人はその後の疫学調査で確認されました。4人とも、豚の出展者とその家族であり、豚との濃厚接触がありました。4人の検体は、7月18日にインディアナ州保健局の検査施設で行われたPCR検査で、インフルエンザA型(H3N2)の変異型ウイルス(H3N2v)が疑われました。7月21日、CDCで行われたパーシャル・ゲノム・シークエンス解析により、インフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルス由来のM遺伝子を有するH3N2vウイルスと確認されました。4検体から検出されたウイルスは、2011年に検出された12株と今年の初めに検出された1株と同じウイルスでした。4人は入院せず、回復しました。

さらに、品評会に出展された12匹の豚から採取されたすべての呼吸器検体でインフルエンザA型(H3N2)が陽性になりました。検体は、詳しい検査を行うため、米国農務省の国立獣医学研究所に送付されました。暫定的な遺伝子解析の結果によると、このウイルスは、人のH3N2vウイルスと豚のH3N2ウイルスに非常に類似しています。

以前のH3N2vの集団感染では、人‐人感染は限定的でしたが、ウイルスは変異して人から人に効率的に伝播できるようになり得ます。臨床医は、最近、豚に接触した人でインフルエンザを疑った場合は、患者の鼻咽腔拭い液を採取するか、吸引器で吸引して、ウイルス搬送容器の中に入れ、搬送の調整と州の公衆衛生検査施設での迅速な診断を求めるために州または地域の保健当局に連絡を取るべきです。また、臨床医は疑い患者に対し、経口薬のオセルタミビルか吸入薬のザナミビルによる治療を検討すべきです。養豚家や、品評会やその他の場所で豚との濃厚接触がある人は、豚と人との間にインフルエンザが伝播する潜在的なリスクを認識すべきです。このリスクを減らすために手指衛生や咳エチケットなどの感染予防対策が勧められます。可能であれば、病気のようにみえる動物や病気の動物との濃厚接触を避けるべきです。また、インフルエンザのような症状が出た人は、豚との接触を避けるべきです。人と豚の間のインフルエンザの伝播を予防するためのガイドラインはCDCのホームページに掲載されています。

2011年8月以降、この報告を含め、17人のインフルエンザA(H1N1)pdm09ウイルス由来のM遺伝子を有するH3N2vウイルスの感染者が報告されています。人での新たなインフルエンザA型ウイルスの感染は米国の届出対象疾患であり、国際保健規則に基いて報告する疾患です。州の公衆衛生検査施設は、新たなインフルエンザA型ウイルスが疑われた場合、CDCに連絡をして確定検査のため検体を送付しなければなりません。H3N2vに関する詳しい情報はCDCのホームページに掲載されています。

出典

CDC MMWRNotes from the Field:Outbreak of Influenza A(H3N2)Virus Among Persons and Swine at a County FairIndiana, July2012
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6129a5.htm?s_cid=mm6129a5_e

参考

FORTH 最新ニュース

米国で発見された変異型のインフルエンザA型(H3N2)ウイルスについて (2012年7月26日)

https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2012/07261538.html

限定的な新型インフルエンザA(H3N2)ウイルスのヒト-ヒト感染(アイオワ州、2011年11月)(2011年11月25日)

https://www.forth.go.jp/moreinfo/topics/2011/11251635.html