西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況について
4月17日付けで世界保健機関(WHO)から公表された情報によると、西アフリカにおけるエボラ出血熱の発生状況は以下のとおりです。
ギニア
4月16日18:00の時点において、ギニアの保健省は、臨床的にエボラウイルス疾患(EVD)患者であるとされた患者の累計数は197人、そのうち死亡者は122人と報告しました。これまでに検査で確定診断されたのは死亡者56人を含む101人、43人(死亡者33人)は可能性の高い患者で、53人(死亡者33人)は疑いのある患者に分類されています。24人のヘルスケアワーカー(HCW)が13人の死亡患者と関連していました。EVDの臨床症例はコナクリ(16人の死亡者を含む47人;47/16)、ゲケドゥ(117 /80)、マセンタ(22/16)、キシドーグー(6/5)、ダボラ(4/4)、ディンギラエ(1/1)での報告です。
接触者の追跡調査がすべての発生地で継続されています。最新の接触者調査は3日前に死亡したヘルスケアワーカーについて実施されています。コナクリでは60人の地域ボランティアが保健省や関係機関を支援し221人の接触者の医学的監視を実施しています。発症した接触者7人が予防的措置として隔離されています。ゲケドゥでは249人、マセンタでは54人、キシドーグーでは17人、ダボラでは63人、ディンギラエでは2人の接触者が経過観察されています。
現在、総計で36人の患者が隔離されています;コナクリ23人、ゲケドゥ12人、マセンタは1人。WHOの臨床チーム、地球規模感染症に対する警戒と対応ネットワーク(GOARN)、国境なき医師団(MSF)はドンカ病院での医療スタッフを支援し患者のトリアージ、患者管理、感染の制御と予防(IPC)を強化しています。ドンカ病院のIPCとロジスティックチームの協力でEVD患者への安全な対応並びに遺体への対処への訓練が、遺体安置所で働くスタッフやストレッチャーで患者を移送するスタッフや運転手へ対して実施されました。訓練指導者の訓練がコナクリの20の保健センター所長に対して4月17日に計画されています。IPC訓練が2地区の保健センターで明日予定されています。
症例数や接触者数は、サーベイランスや接触者追跡調査が強化され、検査室検査が継続されることで症例や、接触者、検査データが統合されるにつれて更新訂正される可能性があります。
マリ
4月16日マリの保健省は、6人の疑い患者の検体はエボラウイルス陰性であったと報告しました。
検体は、セネガルのダカールにあるパスツール研究所アーボウイルスとウイルス性出血熱WHO共同研究センターで検査されました。検体は同時にバマコ大学HIV結核訓練研究SEREFOセンターの新たに設置された移動式ハイセキュリティー検査室でリアルタイムPCRを使って検査されました。SEREFOセンター、国立公衆衛生研究所(INRSP)、疾患対策国立サポートセンター(CNTS)、バマコの科学工学技術大学大学医歯学部出身のマリ人検査専門家は米国NIHのスタッフからエボラウイルス診断の訓練を受けました。
4月16日時点で、マリで新たな疑い患者は報告されていません。
対応と対策は継続されており、ヘルスケアワーカーやより広域の地域に対してEVDへの注意喚起と、個人レベルやコミュニティーレベルのリスク低減戦略を強化しています。医療施設での厳格な感染制御予防策の順守の必要性は重要な介入として継続されます。
WHOはマリ、ギニア、コートジボアールの保健当局を支援し、エボラウイルス疾患の国境(国際)会議を計画しています。保健省を支援するパートナーはWHO 、米国疾病対策センター(CDC)、MSF、EU人道援助局(ECHO)フランス開発庁(AFD)、日本国際協力機構(JICA)、NIH、国連児童基金(UNICEF)です。
リベリア
4月16日までにリベリア保健社会福祉省は累計で27人のEVD臨床患者、そのうち死亡者13人を報告しました。昨日ニンバ郡から報告された新しい疑い患者はラッサ熱患者と検査で確定診断されました。2人の患者が入院しており、33人の接触者が医学的監視下に置かれています。保健社会福祉省は4月16日に(シエラレオネの)メタビオタ研究所と共同で新たなエボラウイルス検査室を委託しました。
保健社会福祉省は、リベリア内のWHOやGOARNチームとともに、モンロビアにあるJFケネディメディカルセンターと、モントセラード郡ニュークルタウンのレデンプション病院を訪問し、患者管理、トリアージ、感染制御予防対策の初めての訓練を実施しました。
シエラレオネ
4月15日シエラレオネの保健衛生省は3月19日以降サーベイランス活動で統合された報告を発表しました。この間に12人の疑い患者が確認されました。以前に報告されたEVD疑い患者2人は同一家族内の発生で、ギニアで死亡し遺体は埋葬のためにシエラレオネに送還されました。15人の接触者は21日間の医学的観察の期間が経過し異常はありません。ケネマ政府病院ラッサ熱隔離病棟で活動しているメタビオタの研究チームは疑い患者11人の検体を受け取り2種類のエボラザイールのPCRプロトコールと他のウイルス性出血熱、地域流行している重要な病原体についての検査を行いました。すべての検体がエボラウイルスと他の病原体の検査で陰性でした。
EVD患者の噂の確認や積極的な患者の発見はシエラレオネで継続されています。保健衛生省と協調してメタビオカ研究チームは13地域にあるEVD対策対応ケネマラッサ熱ユニットの主要な政府、民間、伝道病院の推薦のあった75人の医師や看護師を訓練する訓練士への訓練を実施しました。
WHOは、この事例に関する現在の情報からは、ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。
ギニア、リベリア、シエラレオネ、マリへ渡航する方は、現地の情報に注意してください。手洗いなどの一般的な衛生対策を行ってください。また、感染した人の血液や体液、それらで汚染された可能性のあるもの、動物に触らないでください。
現地で、発熱などの症状が出た場合には、すぐに医療機関を受診してください。また、帰国時に症状がある場合には検疫官にご相談ください。エボラ出血熱は感染してから発症するまでに3週間かかることもあります。帰国してから症状が出た場合には、医療機関または検疫所にご相談ください。
◆感染症情報:エボラ出血熱
出典
WHOGlobal Alert and Response
Ebola virus disease, West Africa– update
http://www.who.int/csr/don/2014_04_17_ebola/en/
Ebola virus disease, West Africa-update2014-04-16
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4100-ebola-virus-disease-west-africa-16-april-2014.html