西太平洋地域におけるデング熱の流行状況
世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務所(WPRO)から2016年1月13日付けで公表されたデング熱の流行状況の報告です。
註:本サイトの情報は、更新日、各国の情報の形式が異なるため国別の比較はできません。原文には、過去数年間と比較した週別のグラフが掲載されています。さらなる情報は原文を参照してください。
東アジア、東アジア周辺および南半球地域の流行状況
中国
2015年12月31日現在、中国で報告されたデング熱患者数は3,884人でした。多くの患者が9月から10月にかけて報告されています。2015年12月1日から31日までには、デング熱患者62人が報告されました。死亡者は出ていません。12月の月別患者数は前月に報告された患者数(n=470)と比べて7分の1に減りました。2014年の同時期に報告された患者数よりも少なくなっています。
マレーシア
2015年12月5日時点で、マレーシアでのデング熱患者数は死亡者301人を含む111,285人でした。これは、2014年の同時期(n=95,693)と比べて16.3%上回っています。2015年11月29日から12月5日までには、2,119人のデング熱患者が報告されました。前週(n=2,087)よりも多くなっています。
フィリピン
2015年11月21日までに、フィリピンでは死亡者511人を含む169,435人のデング熱患者が報告されました。これは2014年の同時期(n=106,241)と比べて59.5%多くなっています。11月15日から21日まで(第46週)には、デング熱疑似症患者548人が報告されました。(註:患者数は最終決定数ではありません。遅れて提出された報告により変わることがあります。)
シンガポール
2015年(第52週2016年1月2日まで)においてシンガポールで報告されたデング熱患者は11,298人で、2014年の同時期に報告された患者数(n=18,168)に61%まで減りました。2015年12月27日から2016年1月2日までに、前週(n=372)よりも多い459人の患者が報告されました。これは過去4年間(2011-2014年)の同時期よりも多くなっています。2015年11月以降、毎週の患者数は例年のシーズンの予想値を超えた増加傾向が続いています。
カンボジア
2015年12月29日までに、カンボジアでは死亡者38人(致死率0.2%)を含む15,412人のデング熱患者が報告されました。患者数は減ってきており、2011年から2014年に見られた患者数の傾向に沿っています。2015年12月29日の週には、前週(n=65)よりも多い183人の患者が報告されました。
ラオス
2015年12月25日までに、ラオスで報告されたデング熱患者数は1,952人でした。2015年において、ラオスでは死亡者は出ていません。2015年12月19日から25日までに、前週(n=36)よりも多い40人のデング熱患者が報告されました。2015年12月25日の週において国の警戒レベルに至った地方はありません。
ベトナム
2015年11月30日現在、ベトナムでは63省のうち52省から死亡者53人を含む79,912人のデング熱患者が報告されています。2015年に報告された累積患者数は、2014年の同じ時期の患者数と比べて多くなっています。また、2010-2014年の患者数(中央値)よりも多くなっています。11月には、10人の死亡者を含む20,910人の患者が報告されました。10月(患者数18,754人、死亡者数10人)と比べて患者数は11.5%増加しています。
オーストラリア
2015年12月31日現在、オーストラリアでは1,667人のデング熱患者が検査で確定されました。2015年12月には、患者65人が報告されました。これは前年の同時期(n=107)よりも少なくなっています。報告された患者数は前年(2014年、n=1,721)と類似し、季節変動パターンに沿っています。
フランス領ポリネシア
2015年11月29日の週には、フランス領ポリネシアでは24人のデング熱確定患者が報告されました。伝播しているウイルスはデング熱1型でした。
蚊に刺されないための対策
- 可能な限り、しっかりと網戸が取り付けられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
- 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
- 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
- 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。
心配な場合には早めの受診を
- 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
- また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
- 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
FORTH感染症情報:デング熱
出典
WHO/WPRO.Update on the dengue situation in the Western Pacific Region.
Dengue Situation Update Number482. 13 January 2016.
http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/dengue_biweekly_20160113.pdf?ua=1[PDF形式:722KB]