2011年03月09日更新 チャドで髄膜炎菌性疾患が流行しています。

病原体が脳脊髄膜に感染する疾患を髄膜炎と呼びます。この中で、髄膜炎菌という細菌による髄膜炎は人から人へと伝染しやすく、世界全体では毎年30万人の患者が発生し、3万人の死亡例が出ています。アフリカ中央部(マリからエチオピアにかけて)には、髄膜炎ベルトと呼ばれる、髄膜炎菌による感染症が多発する地域があります。
髄膜炎菌による感染では、感染した人の1000人に1人程度に症状が出現し、突然の発熱、頭痛、吐き気、嘔吐、神経系の症状などがみられます。症状が出現した場合には、早期に治療を開始しても、5から10%程度死亡するとされています。
髄膜炎菌に対しては有効なワクチンがあります。流行している地域に渡航する場合、元来流行が繰り返されている地域(髄膜炎ベルトなど)で現地の人と濃厚な接触をする場合など、ワクチンを受けた方がよい場合があります。国産ワクチンがないことから、日本で接種を受ける場合には輸入されたワクチンを扱っている施設で受ける必要があります。

チャドの保健省によると、2011年1月1日から3月6日にかけて932名の髄膜炎菌による感染症が発生、その中の6.2%が死亡したとのことです。今までのところ、主としてLogone Occidental州で発生しています。現地では大規模なワクチンキャンペーンが行われる予定です。

チャドにいらっしゃる方は、この地域の感染症流行情報にご注意下さい。現地で地元の人と長期間あるいは濃厚に接触する可能性がある場合には、ワクチン*を受けることもご考慮下さい。

(*「髄膜炎菌」に対するワクチンで、Hib、肺炎球菌ワクチンではありません。)

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