2011年09月30日更新 野生型ポリオへの感染が中国で確認されました。

ポリオは、感染した人の糞便から口を通して感染するウイルスによる病気で、手足がまひして動けなくなることがある病気です。
予防接種を受けていない子どもに起こることが多いのですが、免疫をもっていないと大人もかかる可能性があります。
日本では予防接種の効果もあり、ポリオの流行は最近みられていませんが、世界では今でもアフリカ、インドなどポリオが流行している地域があります。

中国衛生部は、2011年7月3日から27日までの間に4人の子供(4か月から2歳)が麻痺を発症し、これらの症例から野生型ポリオウイルス1型(WPV1)を分離したとWHOへ報告しました。4人は新疆ウイグル自治区、ホータン地区出身です。分離されたウイルスの遺伝子配列から現在パキスタンで循環しているウイルスと遺伝学的に関連したウイルスであることが示唆されました。中国で最後にWPV症例が確認されたのは1999年で、インドからの輸入によるものでした。中国国内での最後のポリオ発生症例は1994年でした。

国内の臨床医、検査専門家、疫学者、公衆衛生専門家が調査、対応策の計画のために発生地に派遣され、必要に応じて国際支援隊が合流することになります。国、新疆ウイグル自治区と地区保健所が現在、接触者の便検体収集やワクチン接種率評価を含めた疫学調査を行っています。

衛生部は9月上旬に初期対応予防接種キャンペーンを計画しており、発生地域の15歳以下の小児380万人、新疆ウイグル自治区の発生地域外の5歳以下の小児が対象となります。

なお、最近の北京市による調査の結果、新疆ウイグル自治区からの学生について、症状はありませんがポリオウイルスが検出され、北京市は対策を強化しているとの情報があります。

中国への旅行者へ(WHOの推奨※より抜粋)

・定期予防接種(日本では経口生ワクチン2回)だけでは不十分です。少なくとも出発前に追加接種(生ワクチンまたは不活化ワクチン)を1回受けましょう。また、過去に3回あるいはそれ以上のワクチン接種を受けた方でも、出発の前にもう1回接種(生ワクチンまたは不活化ワクチン)を受けることをWHOは推奨※しています。関連記事はこちら[PDF形式:829KB](英文)
(日本では、特に昭和50年~52年生まれの方はポリオのワクチン効果が低かったことが分かっています。追加接種を受けておくことをお勧めします。)
・ポリオワクチンを受けていない方は、医師にご相談の上、可能な限り複数回接種を受けましょう。

食べ物に気をつけましょう

  • 飲食の際には、完全に火が通り、温かい状態で出されたものだけを食べて下さい。
  • 乳製品は殺菌処理されたもののみを口にするようにしましょう。
  • 果物や野菜は安全な水で洗い、自分で皮をむいたものだけを食べて下さい。
  • 飲み物は、ボトル入りの飲料や最低1分間沸騰させた水に限るようにしてください。水道水やわき水、氷は避けましょう。

手をしっかりと洗いましょう

  • こまめに石けんときれいな水を使って手洗いをするようにしましょう。
  • 石けんやきれいな水が使えない場合には、手洗い後、殺菌用のアルコールを含んだハンドジェルを使ってください。

→ FORTH「食べ物・水にご注意を!」

感染症情報

・FORTHポリオ(急性灰白髄炎)

・国立感染症研究所急性灰白髄炎(ポリオ・小児麻痺)

出典

WHO(英文)

参考※ポリオワクチンと免疫について(WHO疫学週報2010/6/4〔英文〕)[PDF形式:829KB]