2012年03月26日更新 アフリカで髄膜炎が発生しています(更新1)。

1月1日から3月11日(疫学第10週)までに、髄膜炎球菌感染症がベナン、ブルキナファソ、チャド、コートジボアール、ガーナの15地域で発生しました(下表参照1)。

この流行発生は14ヶ国2のアフリカ髄膜炎ベルトでのサーベイランス強化の一部で検出され、639人の死亡者を含む合計6,685人の髄膜炎疑い患者が報告されています。

発生のほとんどの原因は髄膜炎球菌Neisseria meningitidis(Nm) の血清型W135によるものです。チャドでの優勢な原因菌はNm A (血清型A) ですが、一地区での流行の原因はNmW135です。サハラ以南アフリカでの大流行の原因はいつもNmAでしたが、NmW135の流行も2002年からすでに起こっています。

各国はこの流行に対応してサーベイランス、患者の治療を強化し、ワクチン集団接種キャンペーンを展開しています。流行性髄膜炎コントロールのためのワクチン接種対策の国際調整団体(ICG)はコートジボアールへ多糖体ACWワクチンを117,500回分、ガーナへACYWワクチンを195,540回分、チャドへコンジュゲートMen Aワクチンを359,000回分を接種用物品、必要に応じてセフトリアキソン(抗生剤)と一緒に提供しました。ICGは国連児童基金(UNICEF)、国境なき医師団(MSF)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、WHOで構成されています。

WHOは流行状況について細心の注意をもってパートナーや感染国の保健省と共同で監視しつづけています。

W135流行に対応した適切なワクチン供給には現在制限がありますので、WHOとUNICEFはストックが維持され流行の発生に適応させられるようにワクチン製造会社に働き掛けています。

渡航者は自身のワクチン接種状態を最新にし、WHOの渡航時勧告に従うことが重要であることを肝に銘じて下さい。WHOはアフリカ髄膜炎ベルトの国へ渡航を計画している個人が流行性疾患に対応した4種類の血清型に対するワクチンを受けるよう強調します(渡航者ワクチンACYW135)。

国名1 髄膜炎疑い症例 死亡数 致死率 (%) 優勢な病原体 流行地域数
ベナン 381 38 10 NmW135 3
ブルキナファソ 1,966 212 10.8 NmW135 2
チャド 1,043 67 6.4 NmA 6
コートジボアール 281 39 13.9 NmW135 1
ガーナ 369 37 10 NmW135 3
  1. 1.ガーナを除いて第10週までのデータ
  2. 2.アフリカ髄膜炎ベルトで髄膜炎球菌感染症サーベイランスを強化した14ヶ国はベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、コートジボアール、コンゴ民主共和国、エチオピア、ガーナ、マリ、ニジェール、ナイジェリア、スーダン、トーゴです。

出典

WHO:髄膜炎球菌性疾患:アフリカ髄膜炎ベルトの状況(2012年3月23日)
http://www.who.int/csr/don/2012_03_23/en/index.html

参考

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