2012年07月17日更新 米国でのウエストナイルウイルスとその他のアルボウイルスによる感染症について
アルボウイルスによる感染症は、蚊やダニに刺されることによって感染する病気です。
感染しても症状が出ないこともありますが、発熱、髄膜炎や脳炎、急性弛緩性麻痺(だらりとした麻痺)などの神経症状が出ることもあります。米国では、アルボウイルスによる感染症のうち、最も多いのはウエストナイル熱ですが、他のアルボウイルスによる感染症も、季節的な集団発生や散発的な発生がみられます。
2012年7月13日に公表された米国の疾病予防管理センター(CDC)の週報(MMWR)によりますと、2011年には、米国内で、ウエストナイルウイルス感染者は712人、ラクロスウイルス感染者は130人、ポワッサンウイルス感染者は16人、セントルイス脳炎ウイルス感染者は6人、東部ウマ脳炎ウイルス感染者は4人、ジェームズタウンキャニオンウイルス感染者は3人報告されました。ウエストナイルウイルス感染者は米国内の広い範囲から報告され、ラクロスウイルス感染者は東部から報告されました。
これらの6種類のアルボウイルスに対して、人に使うことができる有効なワクチンはなく、蚊に刺されないことが非常に重要です。
米国では、2012年に入って、7月10日現在、15人のウエストナイル熱患者が報告されており、ウエストナイルウイルスの感染シーズンに入っています。
蚊はアルボウイルス以外にも多くの病気を人にうつします。蚊に刺されないように十分にご注意ください。また、死んだ動物をみつけた場合、素手で処理しないようにしてください。
蚊に刺されないための対策
- 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているかエアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
- 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
- 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書にかかれた使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
- 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。
出典
CDC MMWR July 13, 2012 / 61(27);510-514
West Nile Virus Disease and Other Arboviral Diseases-United States,2011
http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6127a3.htm?s_cid=mm6127a3_e
CDC
West Nile Virus(WNV)Human Infections Reported to ArboNET, by State, United States,2012
http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/surv&controlCaseCount12_detailed.htm
参考
FORTH 新着情報
アメリカ合衆国でウエストナイル熱の患者が報告されました。 2012年6月21日https://www.forth.go.jp/topics/2012/06211138.html