2013年01月09日更新 中米でのコレラの流行状況について

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。軽くすむことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

1月7日に公表された汎米保健機関(PAHO)の情報によりますと、中米でのコレラの発生状況は、下記の通りです。

ハイチの状況

ハイチでは2010年10月以降、コレラの流行が続いています。流行の始まりから昨年末までに報告されたコレラの患者は合計635,980人に達しており、そのうち350,679人(55%)が入院し、7,912人が死亡しています。2011年11月以降、全体の致死率は1.2%ですが、地域によって差があり、グランド・アンセ(Grand Anse)では4.0%ですが、ポルトープランス(Port-au-Prince)では0.6%です。2012年の患者数と死亡者数は前年に比べて減少しました。しかし、2011年と2012年の患者や死亡者の発生は、いずれも5月から7月と9月から10月にかけての豪雨の時期に一致してピークとなりました。

ドミニカ共和国の状況

ドミニカ共和国でもコレラの流行が続いています。流行の始まりから昨年の第51週までに29,433人の疑い患者が報告されており、そのうち422人が死亡しています。昨年の第1週から第51週の致死率は0.8%でした。2012年の患者数は前年よりも減少しましたが、雨期に患者数が増加し、主にタンボリル(Tamboril)とモカ(Moca)で患者数が増加しました。昨年の第44週は、飲料水の汚染に関連したコレラの集団発生がモカとエスパイジャット(Espaillat)で起こりました。第51週に患者が発生した地域は、ドゥアルテ(Duarte)、エスパイジャット、ラ・ロマーナ(La Romana)、ラ・ベガ(La Vega)、プエルト・プラタ(Puerto Plata)、サン・ペドロ・デ・マコリス(San Pedro de Macoris)、モンテ・プラタ(Monte Plata)、サント・ドミンゴ(Santo Domingo)、首都地区(National District)です。

キューバの状況

キューバでは、昨年、コレラの確定患者の累積患者数(確定患者数)は500人に達しました。昨年7月に公表した3人の死亡者に続く、新たな死亡者は報告されていません。西部では、ハリケーン「サンディ」が通過した後に、サンティアゴ・デ・クーバ(Santiago de Cuba)、カマグエイ(Camagüey)、グアンタナモ(Guantanamo)で孤発例が報告されました。この3州で、合計47人の確定患者が報告されました。昨年12月15日時点で、新たな患者は発見されていません。キューバでは、衛生対策の強化、環境衛生の改善、水の処理の確保、食品衛生のほか、手指衛生や食品・水を摂取する時の注意点に関する健康教育などの対策が実施されています。


中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策をとってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使
    うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療
    を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報

出典

PAHO
Epidemiological AlertCholera Epidemiological Update7 January 2013
http://new.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=19656&Itemid=&lang=en

参考

FORTH 新着情報

中米でのコレラの流行状況について (更新3) (2012年11月5日)
https://www.forth.go.jp/topics/2012/11051012.html