2013年05月20日更新 ニジェールで黄熱の患者が発生しました

黄熱は蚊によって感染します。感染しても症状が出ないこともありますが、発熱、頭痛、筋肉痛、嘔吐などの症状が現れ、皮膚が黄色くなったり、出血しやすくなったりして、死亡することも多い病気です。黄熱の感染拡大を防止するためには、予防接種が最も重要な方法です。特別な治療法はなく、脱水や発熱の支持療法が行われます。また、輸血が必要になることもあります。

4月26日付で世界保健機関(WHO)のアフリカ地域事務局(AFRO)から公表された情報によりますと、ニジェール保健省は、4月15日、ディッファ(Diffa)州で黄熱の患者が1人発生したとWHOの国事務所に報告しました。この患者は、21歳の出産後の女性で、2月19日に発熱、黄疸(皮膚や眼の白い部分が黄色くなる)などの症状が現れ、3月21日に病院を受診しました。この患者は、黄熱の予防接種を受けたことがありませんでした。血液の検体がダカールにあるパスツール研究所に送付され、黄熱と確定診断をされました。パスツール研究所は、抗体価の上昇を確認するために、血清の検体をもう1検体求めています。

今年1月以降、黄熱が疑われる患者は18人が報告されています。このうち13人は黄熱ではないことがわかりました。5人の検体はパスツール研究所に送られ、1人は前述の通り患者と確定されましたが、4人は検査の結果が判明していません。

ディッファ(Diffa)州の人口は、223,748人で、この州では黄熱の集団予防接種キャンペーンは行われていません。昨年における、他の定期の予防接種の接種率は95%でした。

保健省主導で、国の疫学管理委員会が定期的に開催されています。また詳しい疫学調査や昆虫学的な調査を行うために、疫学、昆虫学、検査、人類学、健康教育の専門家によって構成されたチームが派遣されています。チームは、更なる疑い患者を発見するために積極的な調査を行っています。

ニジェールへ渡航される方は、今後の流行情報に注意するとともに、以下のような対策をとることをお勧めします。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

海外で熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。

また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が良くならない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご連絡ください。

医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH 感染症情報

出典

WHO AFRO OUTBREAL BULLETIN Vol.3 Issue 3, 26 April 2013
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news.html