2013年09月27日更新 中米でのコレラの流行状況について(更新5)

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いことも多いですが、重い下痢が起こることがあり、大量の水分が失われ、脱水から死亡することもあります。

9月26日付で公表された汎米保健機関(PAHO)の情報によりますと、キューバ、ドミニカ共和国、ハイチ、メキシコにおけるコレラの発生状況は下記の通りです。

キューバの状況

キューバの国際保健規則の担当からの情報によりますと、2012年第27週から今年第34週までに合計678人の患者が発生し、このうち3人が死亡しました。患者が発生した地域は、カマグエイ(Camaguey)、グランマ(Granma)、グアンタナモ(Guantanamo)、ハバナ(Habana)とこれらの州に関連する町です。

また、その情報によりますと、今年8月にハバナで発生した患者は、食品を取り扱った無症状の感染者が発見された2つの食品提供施設に関連していました。その施設では、その後、適切な衛生措置を行っています。

他の国からキューバに渡航した12人(チリで2人、ドイツで2人、イタリアで3人、オランダで1人、スペインで2人、ベネズエラで2人)がコレラと確定診断されています。患者のうち8人が男性で、4人が女性でした。患者の年齢は30歳から74歳(中央値は53歳)でした。

ドミニカ共和国の状況

ドミニカ共和国でも、コレラの流行が始まり(2010年11月)から、今年第36週までに、30,973人の疑い患者が報告され、このうち455人が死亡しました。ハイチと同様に、今年第1週から第9週に、全国で報告されたコレラの疑い患者数と死亡者数は、昨年の同時期に比べて高い水準でした。この増加は、特定の州とアルタグラシアの刑務所で発生した集団発生に関連しています。今年第10週にはコレラの疑い患者数と死亡者数は減少しましたが、第32週から第36週に疑い患者数が増加しました。この増加は、ラ・アルタグラシア(La Altagracia)、サン・クリストバル(San Cristóbal)、サンティアゴ(Santiago)、マリア・トリニダー・サンチェス(Maria Trinidad Sanchez)で発生した集団発生に関連しています。2011年の致死率は1.7%、2012年末の致死率は0.8%、今年の致死率は現時点で2.4%です。

ハイチの状況

ハイチでは、コレラの流行が始まり(2010年10月)から、今年第38週までに報告されたコレラの患者は合計678,840人に達しており、そのうち377,426人(55.5%)が入院し、8,289人が死亡しました。昨年11月以降、全国の致死率は1.2%ですが、地域によって異なり、南東県(Sud Est)では4.3%であり、ポルトープランス(Port-au-Prince)では0.6%です。

今年第1週から第11週における全国の患者数と死亡者数は、昨年の同時期に比べて高い水準でした。この増加は、アルティボニット県(Artibonite)、中央県(Centre)、グランダンス県(Grand Anse)、西県(Ouest)の集団発生に関連しています。今年第12週から第38週に報告された患者数と死亡者数は、昨年の同時期に比べて低い水準でした。

メキシコの状況

メキシコの国際保健規則の担当は、国内でコレラ菌(Viblio cholerae)O1、血清型Ogawaに感染した確定患者が10人発生したと報告しました。患者のうち、2人は連邦区で発生し、8人はイダルゴ州(Hidalgo)で発生しました。患者のうち6人が女性で、4人は男性でした。患者の年齢は2歳から73歳でした。患者の発症日は今年8月17日から9月17日までの間でした。5人の患者が入院し、1人(61歳)が死亡しました。

メキシコの保健当局は、コレラの予防と対応策として、疫学的サーベイランスの強化、国立公衆衛生検査施設の対応力と技術的な能力の強化、データの有効利用と医療の質の確保を含む、様々な活動を行っています。

中米へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

FORTH 感染症情報

出典

PAHO:EpidemiologicalAlert Cholera 26September2013
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=23092&Itemid

参考

FORTH 新着情報中米でのコレラの流行状況について(更新4)(2013年8 月15日)
https://www.forth.go.jp/topics/2013/08151106.html