2013年11月12日更新 シリアでポリオの患者が発生しました (更新2)

ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

11月11日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、シリアで13人が野生株ポリオウイルス1型に感染したと確定されました。分離されたウイルスの遺伝子解析結果によれば、昨年12月にエジプトの環境の検体から検出された(パキスタンで流行している野生株ポリオウイルスと近縁のウイルスと判明した)ウイルスと近縁のウイルスでした。また、今年2月以降、イスラエルとパレスチナ自治政府(ヨルダン川西岸地区とガザ地区)で環境中の検体から検出されたウイルスとも近縁の系統でした。シリアで最後に野生株ポリオウイルスが検出されたのは1999年でした。

この地域の全域で、総合的な集団発生への対応が行われています。10月24日には、あらかじめ計画された追加の予防接種活動として、政府の支配下にある地域と係争中の地域で、160万人の小児に対して、ポリオ、麻しん、流行性耳下腺炎、風しんの予防接種が始まりました。最初の患者が報告された時に、デリゾール(Deir Al Zour)県では追加の予防接種活動が速やかに開始されました。シリアと近隣諸国の大規模な集団発生対応は11月初旬に開始され、地域の状況と疫学的な状況によっては、少なくとも6か月から8か月の間続くと想定されています。

現在のシリアの状況では、頻繁な人口の移動があり、重要な地域における予防接種率が低下しているため、野生株ポリオウイルス1型が国際的に広がるリスクが高いと考えられています。さらに潜在的な患者を積極的に検出するために、この地域に対してサーベイランスに関する警告が出されました。

WHOの「国際渡航と健康(International Travel and Health)」は、ポリオの発生地域に行くすべての渡航者と、発生地域から出るすべての渡航者に対し、ポリオワクチンを規定の回数分接種することを推奨します。

● FORTH 感染症情報 :ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHO(GAR) :Polio in the Syrian Arab Republic- update
http://www.who.int/csr/don/2013_11_11polio/en/index.html