2014年03月18日更新 カメルーンにおけるポリオの発生状況について

ポリオ(急性灰白髄炎)は、ポリオウイルスによって急性の麻痺が起こる病気です。ウイルスが人の口の中に入って、腸の中で増えることで感染します。

3月17日付で世界保健機関(WHO)から公表された情報によりますと、カメルーンで野生株ポリオウイルス1型に感染した患者が3人報告されました。患者が麻痺を発症した日は、1月6日、1月25日、1月31日です。患者は北西州、アダマワ州、中央州の3州から報告されており、2013年10月に4人の患者が発見されて以降、野生株ポリオウイルスの伝播と地理的な拡大が続いていることが確認されました。これまでに、西部州、北西州、中央州、アダマワ州の4州から合計7人の患者が報告されており、患者が麻痺を発症した日は2013年10月1日から2014年1月31日までの間でした。ウイルスの遺伝子解析結果は、長期間に渡ってポリオウイルスの伝播が発見されていなかったことを示しています。カメルーンでポリオウイルスの伝播が持続しており、地域のサーベイランスの格差があり、中央アフリカからの脆弱な難民が流入しているため、WHOはカメルーンからポリオが国際的に広がるリスク評価は非常に高いとしています。

2013年10月に患者が発生したことを踏まえ、カメルーンでは全国の予防接種キャンペーンが3回行われ、3月9日に4回目のキャンペーンが始まりました。個別の監視結果は若干改善傾向を示しているものの、介入と監視の両方において緊急に対処すべき質の格差があります。地域の特性は様々です。子どもが予防接種を受けていない主な理由は家庭訪問を受けていないことでした(予防接種を受けていない子どもの43%の理由でした)。全体的な集団免疫の分析(6か月から5歳未満のポリオではない急性弛緩性麻痺患者のデータ)では子どもの40%が予防接種を受けていない(30%が1度も経口ポリオワクチンの接種を受けていない)ことを示しています。伝播の持続と拡大は、集団発生に対応する能力に重大な格差があることを示しています。

新たな患者が確認されたことにより、4月に実施される予定であった地域の予防接種キャンペーンが全国的なキャンペーンとなり、5月と6月にも全国的なキャンペーンが実施される予定であるなど、緊急対応活動が計画されています。活動の成功には、すべての子どもに複数回の経口ポリオワクチンを接種するようにキャンペーンの質を改善させることが重要です。同様に、集団発生の規模を把握し、追跡するためのサーベイランスの質を速やかに向上させるための取組も重要です。

新たなポリオウイルスの輸入を迅速に検出し、速やかに対応するために、すべての国(特にポリオウイルスの感染が起こっている国・地域と頻繁に往来がある国)で急性弛緩性麻痺のサーベイランスを強化することが重要です。また、国・地域では、新たなウイルスの輸入を最小限にするために、地区レベルにおける定期の予防接種の接種率を一律に高い水準に保つべきです。

WHOの「国際渡航と健康(International Travel and Health)」では、ポリオの発生地域に行くすべての渡航者と、発生地域から出るすべての渡航者に対し、ポリオワクチンを規定の回数分接種することを推奨しています。

◆感染症情報:ポリオ(急性灰白髄炎)

出典

WHOGlobal Alert and Response
Poliovirus in Cameroon– update
http://www.who.int/csr/don/2013_03_17_polio/en/