2014年03月24日更新 ギニアでエボラ出血熱が発生しています

エボラ出血熱は、エボラウイルスによって起こる病気で、死に至ることが多い病気です。ウイルスに感染した人の血液や体液からうつるほか、ウイルスに汚染されたものやウイルスに感染した動物に触れることでうつります。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛みなどの症状が出た後、下痢や嘔吐、胃の痛みなどの症状が起こります。皮膚の発疹、目の充血、からだのさまざまな部位からの出血が起こることもあります。ワクチンや特別な治療方法はありません。

3月23日付けで公表された世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)の情報によりますと、ギニアの保健省は、ギニアの南東部の森林地域でエボラ出血熱の集団発生が急速に広がっているとWHOに報告しました。3月22日時点で、49人の患者が報告され、そのうち29人が死亡しました(致死率は59%です)。患者は、ンゼレコレ州のゲケドゥ(Guekedou)県、マサンタ(Macenta)県、ンゼレコレ(Nzerekore)県のほか、ファラナ州のキシドゥーグー(Kissidougou)県で報告されました。さらに、首都のコナクリでは、2人の死亡者を含む3人の疑い患者について調査中です。患者のうち4人は医療従事者です。リベリアとシエラレオネとの国境でも疑い患者が報告され、調査中です。

フランスのリヨンにあるパスツール研究所で血液検体の検査が行われ、7検体のうち6検体がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法でエボラウイルス陽性となり、ギニアで初めてのエボラ出血熱の集団発生が確認されました。L遺伝子の一部を解析した暫定的な結果によりますと、ザイール型と配列類似性が高いことが示されましたが、結果を確認するために更なる検査が進められています。

保健省、WHO、その他の関係機関は連携して、集団発生の制御と、感染拡大を防止するための対策を開始しました。保健省は、国レベル及び県レベルで、緊急事態を管理する委員会を立ち上げました。保健省は、一般市民に対して、疾患の拡大を防止するための対策を講じ、疑い患者はすべて報告するように助言しています。

患者を積極的に発見し、管理するほか、接触者の追跡調査や経過観察、地域において集団発生の予防及び制御に関して啓発活動を行うために、集学的なチームが現地に派遣されています。スイスの国境なき医師団は、患者が発生した地域で活動しており、隔離施設の設立を支援しているほか、疑い患者や接触者から採取された生体試料を国際的な検査機関で緊急検査するための輸送も支援しました。

危険な新興感染症の病原体を検査するためのネットワーク(Emerging and Dangerous Pathogens Laboratory Network)は、ギニアとシエラレオネで適切なフィロウイルスの診断能力を確保するため、ギニアのドンカにあるウイルス性出血熱の検査施設、リヨンのパスツール研究所、ダカールのパスツール研究所、シエラレオネのケネマにあるラッサ熱の検査施設と連携しています。

WHOと他の関係機関は、保健省を支援するため、更に専門家を動員し、派遣しています。患者管理を支援するために、必要な物資の供給や物資調達が求められており、集団発生の制御のために必要なことがすべて動員されています。

状況は急速に変化しており、報告される数字も変化すると考えられます。

WHOは、この事例に関して、ギニアへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

ギニアに渡航する方は、現地の情報に注意してください。手洗いなどの一般的な衛生対策を行ってください。また、感染した人の血液や体液、それらで汚染された可能性のあるもの、動物に触らないでください。

現地で、発熱などの症状が出た場合には、すぐに医療機関を受診してください。また、帰国時に症状がある場合には検疫官にご相談ください。エボラ出血熱は感染してから発症するまでに3週間かかることもあります。帰国してから症状が出た場合には、医療機関または検疫所にご相談ください。

◆感染症情報:エボラ出血熱

出典

WHO AFRO EPR - Outbreak News
Ebola Hemorrhagic Fever in Guinea
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4063-ebola-hemorrhagic-fever-in-guinea.html