2014年03月26日更新 ギニアでエボラ出血熱が発生しています (更新2)

エボラ出血熱は、エボラウイルスによって起こる病気で、死に至ることが多い病気です。ウイルスに感染した人の血液や体液からうつるほか、ウイルスに汚染されたものやウイルスに感染した動物に触れることでうつります。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、のどの痛みなどの症状が出た後、下痢や嘔吐、胃の痛みなどの症状が起こります。皮膚の発疹、目の充血、からだのさまざまな部位からの出血が起こることもあります。ワクチンや特別な治療方法はありません。

3月25日付けで世界保健機関(WHO)アフリカ地域事務局(AFRO)から公表された情報によりますと、ギニアの保健省は、ギニアの南東部の森林地域でエボラ出血熱の集団発生が急速に広がっているとWHOに報告しました。患者は、ンゼレコレ州のゲケドゥ(Guekedou)県、マサンタ(Macenta)県のほか、ファラナ州のキシドゥーグー(Kissidougou)県で報告されました。3月25日時点で、86人の疑い患者が報告され、そのうち60人が死亡しました(致死率は69.7%です)。リベリアとシエラレオネとの国境でも疑い患者が報告され、調査中です。

13検体がPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法でエボラウイルス陽性となり、ギニアで初めてのエボラ出血熱の集団発生が確認されました。フランスのリヨンにある国際感染症研究センター(Centre International de Recherche en Infectiologie)で行われた検査では、2009年にコンゴ民主共和国の西カサイ(Kasai-Occidental)州で報告されたザイール型と98%の配列類似性があると示されました。この型は、これまでのエボラ出血熱の発生時に高い致死率を示しました。

保健省、WHO、その他の関係機関は連携して、集団発生の制御と、感染拡大を防止するための対策を開始しました。保健省は、国レベル及び県レベルで、緊急事態を管理する委員会を立ち上げました。保健省は、一般市民に対して、疾患の拡大を防止するための対策を講じ、疑い患者はすべて報告するように助言しています。

患者を積極的に発見し、管理するほか、接触者の追跡調査や経過観察、地域において集団発生の予防及び制御に関して啓発活動を行うために、集学的なチームが現地に派遣されています。保健省とスイスの国境なき医師団は、ゲケドゥ県に隔離施設を設立し、マサンタ県でも隔離施設を設立する計画が進められています。危険な新興感染症の病原体を検査するためのネットワーク(Emerging and Dangerous Pathogens Laboratory Network)は、ギニアとシエラレオネで適切なフィロウイルスの診断能力を確保するため、ギニアのドンカにあるウイルス性出血熱の検査施設、リヨンのパスツール研究所、ダカールのパスツール研究所、シエラレオネのケネマにあるラッサ熱の検査施設と連携しています。また、さらに検査対応能力を向上させるために、国際的な関係機関の支援の下、移動性検査施設の設置が進められています。

WHOと他の関係機関は、保健省を支援するため、更に専門家を動員し、派遣しています。患者管理を支援するために、必要な物資の供給や物資調達が求められており、集団発生の制御のために必要なことがすべて動員されています。保健省は、集団発生に対応するために、アフリカ公衆衛生緊急基金(APHEF)やその他の団体にも支援を要請しています。APHEFは、集団発生と緊急事態の際に、緊急対応チームを迅速に派遣し、流行と緊急事態に際に必要な物品を入手し、事前に配置するための支援を行っています。

WHOは、この事例に関して、ギニアへの渡航や貿易を制限することを推奨していません。

ギニアに渡航する方は、現地の情報に注意してください。手洗いなどの一般的な衛生対策を行ってください。また、感染した人の血液や体液、それらで汚染された可能性のあるもの、動物に触らないでください。

現地で、発熱などの症状が出た場合には、すぐに医療機関を受診してください。また、帰国時に症状がある場合には検疫官にご相談ください。エボラ出血熱は感染してから発症するまでに3週間かかることもあります。帰国してから症状が出た場合には、医療機関または検疫所にご相談ください。

◆感染症情報:エボラ出血熱

出典

WHO AFRO EPR - Outbreak News
Ebola Hemorrhagic Fever in Guinea(Situation as of25 March 2014)
http://www.afro.who.int/en/clusters-a-programmes/dpc/epidemic-a-pandemic-alert-and-response/outbreak-news/4065-ebola-haemorrhagic-fever-in-guinea-25-march-2014.html