2014年12月24日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況について (更新16)

 チクングニア熱は、蚊によって感染するウイルス性疾患です。感染した蚊に刺されてから2~12日(通常2~4日)後に症状が現れます。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、死亡することは稀ですが、関節痛は数週間、稀に数か月から数年続くことがあります。

 12月19日付けで公表された汎米保健機構(PAHO)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

 12月19日時点における患者の発生状況は以下のとおりです。

国・地域 報告週 国内感染例a 輸入例 発生率b 死亡者数
疑い例 確定診断例 確定診断例
北米 バーミューダ Week46 7 3 14.5 0
カナダ Week32 0 8 0.0 0
メキシコ Week51 82 13 0.1 0
アメリカ合衆国 Week51 11 2,010 0.0 0
小計 7 96 2,031 0.0 0
中米 ベリーズ Week44 3 0.9 0
コスタリカ Week51 185 13 40 4.1 0
エルサルバドル Week47 135,226 157 2,135.4 0
グアテマラ Week48 21,859 198 142.6 0
ホンジュラス Week47 1,381 9 5 17.2 0
ニカラグア Week50 1,598 1,918 40 57.8 0
パナマ Week47 32 28 0.8 0
小計 160,249 2,330 113 360.9 0
ヒスパニック系カリブ海諸国 キューバ Week42 20 0.0 0
ドミニカ共和国 Week45 524,297 84 5,040.2 6
フランス領ギアナ Week50 9,050 5,020 5,650.6 0
グアドループ Week50 81,200 430 17,517.2 67
ハイチ Week28 64,695 14 627.2 0
マルティニーク Week50 72,200 1,515 56,703.8 83
プエルトリコ Week46 22,449 3,732 31 709.9 5
サン・バルテミー島 Week50 1,393 142 17,247.2 0
セント・マーチン島(フランス領) Week50 4,830 793 15,755.1 3
小計 780,114 11,730 51 2,149.5 164
アンデス地域 ボリビア Week46 0 4 0 0
コロンビア Week49 52,817 384 26 110 3
エクアドル Week49 0 7 0
ペルー Week42 0 7 0 0
ベネズエラ Week51 34,642 2,303 70 122 0
小計 87,459 2,687 114 67 3
南米 アルゼンチン Week50 28 0.0 0
ブラジル Week46 792 1,303 71 1.0 0
チリ Week51 0 17 0.0 0
パラグアイ Week48 1 7 0.0 0
小計 792 1,304 123 1 0
その他のカリブ地域 アンギラ Week48 31 49 2 500.3 0
アンティグア・バーブーダ Week47 1,414 18 1,591.1 0
アルバ Week49 350 66 12 381.7 0
バハマ Week51 92 5 24.4 0
バルバドス Week50 1,553 88 8 567.8 0
ケイマン Week49 152 41 3 357.4 0
キュラソー Week44 1,838 835 7 1,818.4 0
ドミニカ国 Week46 3,588 173 5,152.1 0
グレナダ Week46 3,070 26 2,814.5 0
ガイアナ Week31 76 9.5 0
ジャマイカ Week49 1,203 78 2 46.0 0
モントセラト Week48 59 14 1,460.0 0
セントクリストファー・ネイビス Week44 432 27 900.0 0
セントルシア Week49 678 199 538.0 0
セントビンセント・グレナディーン Week47 1,219 170 1,348.5 0
セント・マーチン島 (オランダ領) Week44 470 1,175.0 0
スリナム Week43 1,210 14 224.5 1
トリニダード・トバゴ Week42 177 3 13.2 0
タークス・カイコス諸島 Week44 19 7 39.6 0
ヴァージン諸島 (イギリス) Week47 347 47 1,231.3 0
ヴァージン諸島 (米国) Week48 2,014 262 6 2,167.6 2
小計 17,948 4,137 69 303.5 2
総計 1,046,569 22,284 2,501 110.8 169
  1. a.診断の定義はhttp://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_download&Itemid=&gid=23978&lang=enを参照してください。
  2. b.発生率は人口10万人あたりの発生数

 カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
  • 感染症情報:チクングニア熱

出典

WHO/PAHO
Number of Reported Cases of Chikungunya Fever in the Americas,
by Country or Territory2013-2014(to week noted),
Epidemiological Week/EW51 (update 19December2014 )
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_topics&view=article&id=343&Itemid=40931&lang=en