2015年06月10日更新 ジフテリアの発生-スペイン

2015年6月5日に公表されたWHO欧州地域事務所からの情報によりますと、5月30日にスペインでジフテリア患者が発生したことがWHOに報告されました。予防接種を受けていなかった小児は状態がかなり悪く、現在、抗毒素で治療を受けています。

ジフテリアは、通常、咳やくしゃみを介して広がる深刻な細菌感染症です。一度、呼吸器系に感染すると、ジフテリアの原因となる細菌は、全身の脱力、喉の痛み、発熱、頚部の腺腫を引き起こす毒(毒素)を産生します。ジフテリアは、治療を行ったとしても、約10%の患者で死亡を含む重篤な合併症を引き起こします。

スペインでは28年間ジフテリア患者の発生はありませんでした。これは、主に、この国でのワクチン接種率が非常に高い(95%以上)ことによります。

ワクチン接種は感染から身を守ります

ワクチン接種は、ジフテリアを予防するための最良の方法です。通常、WHOが推奨する一連のワクチン接種では、ジフテリアは破傷風および百日咳とともに接種され、安全かつ有効であり、ヨーロッパ地域におけるすべてのWHO加盟国で定期予防接種スケジュールの一部となっています。ジフテリアは、重篤な病態や障害、もしくは死をも招く感染症です。2013年には、全世界で乳児の約84%(1.12億)に3回のジフテリア·破傷風·百日咳(DTP3)の混合ワクチンを接種することができました。2013年までに、DTP3ワクチンは少なくとも接種率90%を129か国で達成しました。

それでも、予防接種の隙間は存在し、予防接種を躊躇したり、接種せずに自己満足したりする一部の親によって、感染の火が燻り続けています。1990年代にヨーロッパ地域で発生した数千人ものジフテリアの大流行は、時間の経過とともに脆弱性が蓄積するポケットの存在を許す危険があることを具体的に示しました。それ故に、ワクチンで予防できる疾患が再燃することは常に脅威であり、親の意識を高めること、予防接種プログラムを最適化すること、さらに疾病サーベイランスを強化することへの覚醒が要求されます。

WHO欧州地域事務所は、スペインの保健省と連絡をとりながら、必要に応じて全国予防接種の計画と支援を行っています。

◆感染症情報:ジフテリア

出典

WHO/Europe.Health topics.Diphtheria detected in Spain. 5 June 2015.
http://www.euro.who.int/en/health-topics/disease-prevention/vaccines-and-immunization/news/news/2015/06/diphtheria-detected-in-spain