2015年08月28日更新 デング熱の流行状況について (更新8)

 世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務所(WPRO)から2015年8月25日付けで公表されたデング熱の流行状況の報告です。

東アジア、東アジア周辺および南半球地域の流行状況

 註:本サイトの情報は、更新日、各国の情報の形式が異なるため解釈を加えることはできません。原文には、過去数年間と比較した週別のグラフが掲載されています。さらなる情報は原文を参照してください。

中国
 2015年7月31日現在、中国で報告されたデング熱患者数は285人でした。7月1日から31日までに患者130人が報告されました。7月の患者数の増加は、過去3年と同じような動きをしています。

マレーシア
 2015年8月15日現在、マレーシアでのデング熱患者数は死亡者212人を含む75,759人でした。これは、2014年の同時期(n=59,790)と比較して26.8%上回っています。2015年8月9日から15日までの1週間に、2,532人のデング熱患者が報告されました。これは前週(n=2,583)と比べて2%低くなっています。

フィリピン
 2015年1月1日から8月1日までに、フィリピンでは死亡者162人を含む48,872人のデング熱患者が報告されました。これは2014年の同時期(n=46,980)と比較して4.03%高くなっています。

シンガポール
 2015年8月15日現在、シンガポールで報告されたデング熱患者は5,868人でした。2015年8月9日から15日までに、前週よりも5人少ない221人の患者が報告されました。これは、2014年および2013年の同時期よりも少なくなっています。

カンボジア
 2015年8月3日現在、カンボジアでは死亡者16人を含む5,274人のデング熱患者が報告されています。患者数は着実に増えてきています。しかし、患者の合計数は2011年と2013年の季節変動パターンに沿っています。

ラオス
 2015年8月14日現在、ラオスで報告されたデング熱患者数は892人でした。死亡者は報告されていません。2015年7月(原文どおりに記載)8日から14日までの1週間にはデング熱患者71人が報告されました。報告される週別患者数は減ってきています。2015年8月14日週末において国の警戒レベルには至っていません。

ベトナム
 2015年8月16日現在、ベトナムでは死亡者12人を含む24,968人のデング熱患者が報告されています。2014年の同時期と比べて、報告された患者数は54.8%多くなっています。2010年から2014年に報告された患者数(平均)と比較して、患者数は27.9%少なく、死亡者も54.5%少なくなっています。

 2015年8月10日から16日までに、デング熱患者1,633人が報告されました。死亡者は報告されていません。前週(n=1,375人)と比較して、患者数は18.8%増加しています。

オーストラリア
 2015年7月31日現在、オーストラリアでは1,201人の検査確定されたデング熱患者が報告されています。前年の同時期(n=1,309)と比べて、患者数は前年と同様で、季節変動パターンに沿っています。

フランス領ポリネシア
 第33週には、フランス領ポリネシアでデング熱1型8人を含むデング熱確定患者26人が報告されました。2015年8月には、8人が入院し、2人が重症でした。

サモア
 デング熱3型によるデング熱の集団発生が続いています。8月7日現在、合計220人のデング様疾患患者が報告されています。うち15人が入院しました。ほとんどの患者が25歳以下でした。死亡者の報告はありません。

アメリカ領サモア
 デング熱3型によるデング熱の集団発生が続いています。2015年5月以降8月11日現在、疑似患者281人と、入院89人が報告されています。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸が取り付けられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

FORTH感染症情報:デング熱

出典

WHO/WPRO.Update on the dengue situation in the Western Pacific Region.
Dengue Situation Update Number472. 25 August 2015.
http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/dengue_biweekly_20150825.pdf?ua=1[PDF形式:542KB]