2015年09月07日更新 カリブ海諸国におけるチクングニア熱の患者の発生状況 (更新8)

チクングニア熱は、蚊によって感染するウイルス性疾患です。感染した蚊に刺されてから2~12日(通常2~4日)後に症状が現れます。チクングニア熱の症状には、発熱、頭痛、強い関節痛(足首や手首)がみられ、死亡することは稀ですが、関節痛は数週間、稀に数か月から数年続くことがあります。

9月4日付けで公表された汎米保健機構(PAHO)の情報によりますと、カリブ海諸国でチクングニア熱の患者が増加しています。

カリブ海諸国におけるチクングニア熱の流行は、2013年12月6日にカリブ海のサン・マルタン(セント・マーチン)島のフランス領で報告されました。これは、アメリカ大陸において、初めて地域内感染が確認された事例です。

9月4日時点における患者の発生状況は以下のとおりです。

国・地域報告週

国内感染例a

輸入例発生率b死亡者数
疑い例確定診断例
北米
バーミューダWeek173
カナダWeek4312
メキシコWeek354,570153.6
アメリカ合衆国Week35325
小計04,5706550.90
中米
ベリーズWeek0.0
コスタリカWeek201422.9
エルサルバドルWeek3336,14016562.70
グアテマラWeek217,34252248.41
ホンジュラスWeek3371,8355852.90
ニカラグアWeek3138,2812,853657.51
パナマWeek331231715
小計153,7213,55515336.82
ヒスパニック系カリブ海諸国
キューバWeek0.0
ドミニカ共和国Week28670.6
フランス領ギアナWeek326,4501,7563,144.12
グアドループWeek915031.9
ハイチWeek
マルティニークWeek932079.0
プエルトリコWeek3364111620.615
サン・バルテミー島Week183173,561.8
サン・マルタン島(フランス領)Week186001,681.1
小計8,5451,872027.917
アンデス地域
ボリビアWeek1314391619.6
コロンビアWeek33323,6031,131655.645
エクアドルWeek3428,4633,81399198.92
ペルーWeek303668550.3
ベネズエラWeek3314,34031846.8
小計366,5856,246155267.847
南米
アルゼンチンWeek2931
ブラジルWeek308,64812374.3
チリWeek286
パラグアイWeek322,38586146.2
ウルグアイWeek
小計11,033984444.40
その他のカリブ地域
アンギラWeek11283193.8
アンティグア・バーブーダWeek816017.4
アルバWeek29281686863.4
バハマWeek171012.6
バルバドスWeek2582028.3
ケイマンWeek8671121.4
キュラソーWeek
ドミニカ国Week50.0
グレナダWeek
ガイアナWeek25,31029661.6
ジャマイカWeek629910.6
モントセラトWeek2970140.0
セントクリストファー・ネイビスWeek
セントルシアWeek
セントビンセント・グレナディーンWeek8000.0
シント・マールテン島 (オランダ領)Week
スリナムWeek
トリニダード・トバゴWeek30513.8
タークス・カイコス諸島Week
ヴァージン諸島 (イギリス)Week
ヴァージン諸島 (米国)Week12225102317.5
小計6,315882198.00
総計546,19918,10987056.966

a 診断の定義はhttp://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_download&Itemid=&gid=23978&lang=enを参照してください。
b 発生率は人口10万人あたりの発生数

カリブ海諸国に渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、蚊に刺されないよう対策をとってください。

蚊に刺されないための対策

  • 可能な限り、しっかりと網戸がとりつけられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
  • 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
  • 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
  • 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。

心配な場合には早めの受診を

  • 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
  • また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
  • 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。

感染症情報:チクングニア熱

出典

WHO/PAHO.
Number of Reported Cases of Chikungunya Fever in the Americas, by Country or Territory2015(to week noted), Cumulative cases,Epidemiological Week/EW 35 (update 04September2015 )
http://www.paho.org/hq/index.php?Itemid=40931