2015年10月26日更新 デング熱の流行状況について (更新10)
世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務所(WPRO)から2015年10月20日付けで公表されたデング熱の流行状況の報告です。
東アジア、東アジア周辺および南半球地域の流行状況
註:本サイトの情報は、更新日、各国の情報の形式が異なるため解釈を加えることはできません。原文には、過去数年間と比較した週別のグラフが掲載されています。さらなる情報は原文を参照してください。
中国
2015年9月30日現在、中国で報告されたデング熱患者数は1,917人でした。多くの患者が9月に報告されています。9月1日から30日までには、デング熱患者1,479人が報告されました。9月の患者数は増加していますが、2014年の同時期よりは少ない数です。
マレーシア
2015年10月17日現在、マレーシアでのデング熱患者数は死亡者263人を含む96,222人でした。これは、2014年の同時期(n=70,337)と比較して19.4%上回っています。2015年10月11日から17日までの1週間には、2,158人のデング熱患者が報告されました。これは前週(n=2,078)と比べて4%少なくなっています(原文どおり翻訳)。2015年5月以降、10月6日までにデング熱1型が60%を占めています。
フィリピン
2015年1月1日から10月3日までに、フィリピンでは死亡者317人を含む108,263人のデング熱患者が報告されました。これは2014年の同時期(n=82,049)と比較して31.9%多くなっています。9月27日から10月3日まで(第39週)に、デング熱疑似症患者806人が報告されました。2015年は、全ての患者でデング熱4型が検出されています。(註:患者数は最終決定数ではありません。遅れて提出された報告により変わることがあります。)
シンガポール
2015年10月10日現在、シンガポールで報告されたデング熱患者は7,815人でした。2015年10月4日から10日までに、前週よりも22人少ない235人の患者が報告されました。
カンボジア
2015年8月3日現在、カンボジアでは死亡者16人を含む5,274人のデング熱患者が報告されています。患者数は着実に増えてきています。しかし、患者の合計数は2011年と2013年の季節変動パターンに沿っています。
ラオス
2015年10月9日現在、ラオスで報告されたデング熱患者数は1,456人でした。死亡者は報告されていません。2015年10月3日から9日までの1週間には、デング熱患者60人が報告されました。これは、前週よりも20人少なくなっています。2015年10月9日の週において国の警戒レベルに至ったところはありません。
ベトナム
2015年9月20日現在、ベトナムでは死亡者25人を含む39,547人のデング熱患者が報告されています。2010年から2014年までの同じ時期に報告された患者数(平均)と比べると、患者数は17.7%少なくなっています。2015年9月20日の週には、63省のうち43省からデング熱患者が2,617人報告され、前週(n=2,532)と比べて3.4%増加しました。
オーストラリア
2015年9月30日現在、オーストラリアでは1,393人の検査で確定されたデング熱患者が報告されています。9月の1か月間では、患者56人が報告されています。前年の同時期(n=1,460)と比べた患者数は類似しており、季節変動パターンに沿っています。
フランス領ポリネシア
2015年10月4日の週には、25人のデング熱確定患者が報告されました。2015年9月28日以降、重症患者1人を含む10人が入院しています。
アメリカ領サモア
2015年10月14日現在、450人の患者が発生し、うち143人が入院しています。デング熱3型によるデング熱の集団発生と確認されています。患者数は減少してきています。
蚊に刺されないための対策
- 可能な限り、しっかりと網戸が取り付けられているか、エアコンが備わっている、または、蚊をしっかりと駆除しているホテルやリゾートに滞在してください。蚊取り線香も有効です。
- 長袖のシャツ、ズボンを着て、できるだけ皮膚の露出部を少なくするようにしてください。
- 流行地域では屋外にでかける場合や網戸が備わっていない建物にいる場合には、ディート(DEET)などの有効成分が含まれている虫よけ剤を、皮膚の露出部につけてください。使用する場合には、必ず添付文書に記載されている使用法を守ってください。日焼け止めを使う場合は、先に日焼け止めをつけてから、虫よけ剤を使用してください。
- 子ども、とくに乳児への虫よけ剤の使用については、小児科医にご相談ください。虫よけ剤が使用できない場合、ベビーカーにぴったりと合う蚊帳でベビーカーをおおってください。
心配な場合には早めの受診を
- 海外で発熱などの症状が出たら、できる限り早く医療機関を受診してください。
- また、ご帰国の際に、発熱や心配な症状のある方は検疫所の担当者にご相談ください。帰国後に発症した場合や、症状が改善しない場合は、お近くの医療機関または検疫所にご相談ください。
- 医療機関を受診する時には、医師に、渡航先や渡航期間、渡航先での活動などについて、詳しく伝えてください。
FORTH感染症情報
出典
WHO/WPRO. Update on the dengue situation in the Western Pacific Region.
Dengue Situation Update Number476. 20 October 2015.
http://www.wpro.who.int/emerging_diseases/dengue_biweekly_20151020.pdf?ua=1[PDF形式:1,210KB]