2015年11月27日更新 イラクでコレラが流行しています(更新2)

11月22日付で公表されたWHOの情報によりますと、イラクの国際保健規約(IHR)国家担当者から検査確認されたコレラ患者についての追加の情報がWHOに報告されました。

11月22日時点で、バグダッドの中央公衆衛生検査施設で01イナバ型のコレラ患者が総計2,810人検査確定されたことが報告されました。このうち2人がコレラに関係して死亡しています。これらの患者は、全国の17行政地区から報告されています。Baghdad(バグダッド)で940人、Babylon(バビロン)で675人、Qadisiyyah(カーディーシーヤ)で442人、Muthanna(ムサンナー)で287人、Karbara(カルバラー)で157人、Basra(バスラ)で102人、Wassit(ワーシト)で68人、Najaf(ナジャフ)で46人、Thyqar(ジーカール)で20人、Missan(マイサーン)で21人、Duhok(ドホーク)で16人、Kirkuk(キルクーク)で19人、Erbil(アルビール)で10人、Diyala(ディヤーラー)で3人、Salaheddine(サラーフッディーン)で2人、Suleimaniyah(スレイマニヤ)で1人、Ninewa(ニーナワー)で1人です。

公衆衛生上の取り組み

イラク政府は、WHOおよびユニセフの支援を受けて、経口コレラワクチン接種キャンペーンの最初の巡回を完了しました。 11月第2週に完了したこのキャンペーンでは、13の行政区域の62に渡るキャンプ地で229,000人の難民や国内避難民(対象人口の93%)にワクチン接種を行いました。接種率は非常に高いものとなりました。ワクチンに関して接種拒否や懸念は提起されませんでした。標的となる集団における臨床上の安全と保護を最大化するために、予防接種の第2回目の巡回は、推奨される用法の確立を完了し、12月第1週に開始されます。経口コレラワクチンの接種は、コレラやその他の下痢性疾患に対して最大の保護の機会を整えて提供するために、安全な飲料水を供給し、上下水の衛生環境を改善する包括的かつ集約的に計画されたパッケージの一部である必要があります。

12月2日には、アルバインの巡礼がカルバラで開催されます。何千万人もの巡礼者が参加することが予想されます。バーレーン、イラン、ヨルダン、クウェート、オマーン、​​カタール、アラブ首長国連邦の国際保健規約(IHR)国家担当者は、イラクからの入ってくるコレラ患者の早期発見と感染管理のための対策の準備に取り掛かっています。

対策としては、以下のものがあります。

  • 公衆衛生における準備及び対応計画の活性化
  • すべての入国地点すべての医療施設での疾病監視の強化
  • 検査施設での十分な検査器具と検査キットが使用可能であることの確認
  • コレラにたいする飲料水の監視の強化
  • 入国地点での食品の検査対策の強化
  • コレラ患者の評価と感染管理における医療従事者の訓練
  • 全ての医療施設、特にコレラの疑似患者に対する受入れ指定病院での感染の予防と管理対策に対するさらに厳格な遵守への強化
  • イラクに入る旅行者と国民に対するこの病気への注意を喚起する活動

10月16日から17日にかけて、WHO東地中海地域事務所は、イラクとその近隣諸国に対して地域小会議を開催しました。また、ヨルダンの首都アンマンでは11月17日から19日にかけて新たにコレラ会議地域協議会が、この地域内の流行国だけでなく、利害関係がおよぶすべて者が参加して開催されました。これら2回の会議では、検査施設での確認を含む疾患の調査活動を強化するために患者管理と感染制御、上下水の衛生習慣、入国地点での対処能力、危機に対する情報伝達といった一連の推奨事項が提供されました。

WHOからのアドバイス

WHOは、コレラの感染が流行する如何なる国に対しても渡航や貿易の制限を勧めてはいません。

イラクへ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報

コレラ

出典

WHO. Disease Outbreak News. Cholera - Iraq . 26 November 2015.
http://www.who.int/csr/don/26-november-2015-iraq-cholera/en/