2016年05月31日更新 アメリカ大陸のコレラ発生状況(更新)

2016年5月27日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラ発生状況に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラ発生状況

2016年第1週から第17週までに、アメリカ大陸3か国で14,575人のコレラ患者が記録されました。内訳は、エクアドル1人、ハイチ13,859人、ドミニカ共和国714人です。アメリカ大陸では、2016年の総患者数の95%が、ハイチだけで登録されました。

エクアドルでは、2016年5月25日に国際保健規則(IHR)国家担当者からコレラ患者が確認されたことが報告されました。患者は57歳のEl Oro(エルオロ県)Machala(マチャラ)の住民で、臨床症状を発現していました。患者は、血清群O1コレラ菌小川型エルトール生物型であることが国立研究所・公衆衛生研究(INSPI)によって確認されました。この菌株は、アンピシリン、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ST合剤に感受性がありました。疫学調査では、他に疑われる患者は発見されませんでした。県レベルでも、国家レベルでも、マチャラ市での急性下痢症の登録の増加はありませんでした。それでも、調査は続けられています。エクアドルで最後にコレラの国内感染患者が登録されたのは、2004年でした。

ドミニカ共和国では、2016年第17週現在、死亡者16人を含むコレラ疑い患者714人が報告されました。2016年第17週までの合計患者数は、2014年(死亡者11人を含む患者603人)および2015年(死亡者15人を含む患者546人)に記録された患者数を上回りました。

ハイチでは、2016年第17週までに登録された患者数が、2014年および2015年の同期間に登録された患者数を上回りました。

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。

これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報:食べ物・水にご注意を! コレラ

出典

PAHO.Epidemiological Update. Cholera. 27 May 2016
Cholera in the Americas-Situation summary
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&gid=34811+&Itemid=999999&lang=en