2016年08月04日更新 アメリカ大陸のコレラ発生状況 (更新2)

2016年7月21日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラ発生状況に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラ発生状況

2016年第1週から第27週までに、アメリカ大陸3か国で22,556人のコレラ患者が記録されました。内訳は、エクアドル1人、ハイチ21,661人、ドミニカ共和国894人です。アメリカ大陸では、2016年の総患者数の96%がハイチ1国だけで登録されました。

エクアドルでは、2016年5月25日に国際保健規則(IHR)国家担当者からコレラ患者1人が確認されたことが報告されました。患者はEl Oro(エルオロ県)Machala(マチャラ)の住民です。O1血清群コレラ菌、生物型:毒素非産性エルトール小川型であることが国立研究所・公衆衛生研究(INSPI)によって確認されました。この菌株は、アンピシリン、セフトリアキソン、シプロフロキサシン、クロラムフェニコール、テトラサイクリン、ST合剤に感受性がありました。

ドミニカ共和国では、2016年 第25週までに、死亡者17人を含むコレラ疑い患者894人が報告されました。2016年の報告患者数と死亡者数は、2014年(死亡者11人を含む患者603人)および2015年(死亡者15人を含む患者546人)に記録された患者数を上回りました。

ハイチでは、2016年第1週から第27週までに、死亡者200人を含むコレラ疑い患者21,661人が報告されました。2016年最初の4週間に報告された患者数は2014年および2015年の同期間に登録された患者数を上回りました。また、第19週から第27週までは、2013年の患者数と同様のパターンがみられ、2014年および2015年の同期間に登録された患者数を上回りました。

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。

これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

吸水のよい水の作り方は、水1リットル+ティースプーンで砂糖6杯+塩1/2杯(涙のような塩かげん)です。下痢止めはむやみに服用しないでください。服用することで症状が悪化することがあります。「水1リットル+砂糖ティースプーン6杯+塩ティースプーン1/2杯」です。

感染症情報

出典

PAHO. Epidemiological Update. Cholera. 21 July 2016
Cholera in the Americas - Situation summary
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_topics&view=article&id=13&Itemid=40745&lang=en