2016年12月02日更新 アメリカ大陸のコレラ発生状況 (更新4)
2016年11月29日付で汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラ発生状況に関する情報が発表されました。
アメリカ大陸でのコレラ発生状況
2016年第1週から第43週までに、アメリカ大陸4か国で35,755人のコレラ患者が記録されました。内訳は、ドミニカ共和国1,097人、エクアドル1人、ハイチ34,656人、メキシコ1人です。アメリカ大陸では、2016年の総患者数の97%がハイチから報告されました。
ハイチでは、2016年第1週から第43週までに、死亡者339人(致死率1%)を含むコレラ疑い患者34,656人が報告されました。
ハイチでは、2016年10月4日にハリケーン・マシューがSud(南県)Les Anglais(レ・ザングレ)市街地に上陸しました。ハリケーンはSud(南県)とGrand'Anse(中央県)をコレラの伝播を助長させることに適した自然環境および社会環境に変え、深刻な影響を与えました。ハリケーン・マシュー上陸後に確立されたコレラの強化サーベイランスは、ハイチの実情を衝撃的に示しています。疑いコレラ患者数が増え、毎日の患者数はハリケーン上陸以前と比べると2倍以上になりました。第40週から第45週までに報告された患者数が、Grand'Anse(グランダンス県)とSud(南県)では、それぞれに全国の23%と26%を占めました。両県には、ハイチの総人口の4%と7%相当の住民がいます。
ドミニカ共和国では、2016年第42週までに、死亡者20人(致死率1.8%)を含むコレラ疑い患者1,097人が報告されました。
メキシコのNayarit(ナヤリット州)で、2016年9月23日に、コレラの確定患者が報告されました。患者は検査によってコレラ菌(Vibrio cholerae)O1、小川型と確認されました。新たな患者は報告されていません。
各国の保健当局へのアドバイス
PAHO / WHOでは、Hispaniola島でのコレラ発生状況を踏まえ、医療を適切に行い、コレラの拡大を防ぐために、疑い患者を早期に発見するための積極的な監視体制を強化し、患者の速やかな検査確定診断を行うことを、各加盟国に勧告しています。PAHO / WHOは、加盟国に対し、コレラおよびその他の飲料水による疾患の影響の衝撃を軽くするために、十分な衛生環境と安全な飲料水の利用環境を確保し、維持する取り組みを継続するよう勧告しています。
コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。
これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。
- 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
- 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
- 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
- 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。
感染症情報
出典
PAHO. Epidemiological Update. Cholera. 29 November 2016
Cholera in the Americas - Situation summary
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=37123&lang=en[PDF形式:279KB]