2017年05月10日更新 コレラの発生状況-アメリカ大陸(更新)

2017年5月4日付で、汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラの発生状況に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラの発生状況

2017年第1週から第14週までに、ハイチから、コレラ患者4,871人が報告されました。このうち、69人が死亡しています。同じ期間に、ドミニカ共和国からは、コレラ疑い患者62人が報告され、このうち、2人が死亡していました。

ハイチでは、患者4,871人が報告されました。これは、2015年の同じ時期に報告されたコレラ疑い患者12,373人および2016年のコレラ疑い患者12,226人と比べて、それぞれに60%および61%減少しました。2017年に報告された死亡者69人は、2015年と2016年の同じ時期に報告された死亡者116人および139人と比べて、それぞれに41%および50%少なくなりました。2017年最初の14週間での入院患者の死亡率は、1.2%でした。2016年全体では、0.9%、2015年全体では0.8%となっていました。
2017年には、ハイチの10県すべてからコレラ疑い患者が報告されました。2017年第11週から第14週まででは、報告された(各県からの)患者の割合は、人口10万人あたり39.5から3.2の範囲にありました。最も割合が高かった上位5つの県は、高い順に、Centre(中央県)、Ouest (西県、首都ポルトープランスを含む)、Nippes(ニップ県)、Artibonite(アルティボニット県)、Nord(北県)でした。

ドミニカ共和国では、2017年第1週から第14週までに、コレラ疑い患者62人が報告されました。これは、2015年と2016年の同じ時期に報告された患者数と比べて、それぞれに73%および91%減少していました。2016年に報告された疑い患者は679人、2015年は229人でした。2017年に報告されている死亡者は2人でした。2016年には15人、2015年には10人でした。2017年全体での死亡率は3.2%、2016年は2.2%、2015年は4.4%でした。2016年には、首都地区を含む20州から、患者が報告されましたが、2017年には、まだ10州からの報告です。

各国の保健当局へのアドバイス

Hispaniola島でのコレラ患者の報告が減少してきているものの、PAHO / WHOは、速やかに十分な治療を実施する体制を敷くため、また、コレラの拡散を防ぐために、コレラへの調査活動能力を維持し強化することを、各加盟国に要請しています。早期にかつ適切に治療を行えば、入院患者の死亡率は1%以下に留まるはずです。

PAHO / WHOは、コレラおよびその他の飲料水による病気からの脅威を和らげるために、十分な衛生環境と安全な飲料水の利用環境を確保し、維持するために、衛生環境(改善)の推進と地域での活動を含めて、加盟国が取り組んで行くことを要請しています。

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。
これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

図.吸収のよい水の作り方

感染症情報

出典

PAHO. Epidemiological Update. Cholera. 4 May 2017
Cholera in the Americas - Situation summary
http://www2.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=39836&lang=en