2018年01月05日更新 コレラ発生の状況-アメリカ大陸

2017年12月28日付で、汎米保健機関(PAHO)より、アメリカ大陸でのコレラ発生の状況に関する情報が発表されました。

アメリカ大陸でのコレラの発生状況

2017年第1週から第50週までに、イスパニョーラ島から13,582人のコレラ疑い患者が報告されました。このうちの99%は、ハイチ(患者13,468人、うち死亡者157人)で発生しています。同じ期間に、ドミニカ共和国でもコレラ疑い患者62人が報告されました。うち2人が死亡しています。
ドミニカ共和国でもハイチでも、2016年との比較で患者が減少していることが報告されています。その中でも、ドミニカ共和国の減少は大きく、2016年と2017年では、住民10万人当たり12.8人から1.21人まで減りました。また、ハイチでも、住民10万人当たり3.74人から1.10人まで減ったことが報告されています。

ハイチでは、2017年第1週から第50週までに、患者13,468人が報告され、2016年第1週から第52週までに届けられた患者数41,421人と比べて、68%の減少が示されました。これは、ハイチで2010年10月に流行が発生して以来、最低の報告患者数です。それでも、10県のうちの9県で疑い患者が報告されています。(その中でも)患者の90%は、4県(Artibonite[アルティボニット県]、Centre[中央県]、Nord-Ouest[北西県]、Ouest[西県、首都ポルトープランスを含む])で占められていました。同じ期間に、報告された平均患者数は、Nord(北県、36%増加)、北西県(19%増加)で増加がみられたことに伴い、前週に報告された患者数を上回りました。
また、2016年と2017年で報告された死者数を比較しても65%減少(死亡者数447人から157人へ)しており、報告された死亡者数は2010年以降で最低を示しています。

ドミニカ共和国では、2017年第1週から第50週までに、コレラ疑い患者119人が報告されました。これは、2016年に報告された患者数(第1週から第52週までの死亡者数1,149人)と比べて、90%減少していました。また、この減少傾向は、報告された死亡者数でもみられました。2016年に報告された死亡者数と比較して、2017年には85%減少していました。

各国の保健当局へのアドバイス

2010年10月以降で最低の(患者)発生率とはなりましたが、PAHO / WHOは、イスパニョーラ島でコレラの発生が続いているため、疑い患者を早期に発見し、速やかに十分な治療を実施する体制を敷くため、また、コレラの拡散を防ぐために、コレラへの調査活動能力を維持し強化することを、各加盟国に要請しています。早期にかつ適切に治療を行えば、入院患者の死亡率は1%以下に留まるはずです。
PAHO / WHOは、十分な衛生環境と安全な飲料水の利用環境を確保し、維持するために、衛生環境(改善)の推進と地域での活動を含めて、このようにコレラおよびその他の飲料水による病気からの脅威を和らげるために、加盟国が取り組んで行くことを要請しています。

コレラは、コレラ菌によって、下痢や嘔吐が生じる病気です。症状が軽いこともありますが、重い下痢症状が起こると、大量の水分が失われ、脱水から死亡することがあります。

これらの流行地へ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。

  • 飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
  • 食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
  • 食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
  • 下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

感染症情報

出典

PAHO. Epidemiological Update. Cholera. 28 December 2017
Cholera in the Americas - Situation summary
http://www.paho.org/hq/index.php?option=com_docman&task=doc_view&Itemid=270&gid=43291&lang=en[PDF形式:248KB]