2018年01月18日更新 コレラの発生状況-タンザニア

2018年1月12日に、WHOから公開された情報によりますと、隣国ザンビアとともに、タンザニアでもコレラの流行に目の離せない状況になっています。

コレラの発生状況

2015年8月15日から2018年1月7日にかけて、タンザニア(タンザニア本土とザンジバル)では全26地域にわたり、死亡者542人(致死率1.62%)を含め、33、421人の患者が報告されました。タンザニア本土からは、この大流行の全患者の86%が報告されています。5歳未満の子どもが、患者の11.4%を占めました。流行の開始以来、7,000を超える検体でコレラの検査が実施され、47%が細菌培養によりコレラ菌に陽性となりました。

2017年1月1日から12月31日まで、タンザニア本土とザンジバルでは、死亡者99人含む4,985人の患者が報告されました。コレラの患者数と地理的な広がりは、これまでの2年間と比較するとかなり減少しています。2016年の同時期に、タンザニア本土とザンジバルでは、患者14,547人と死亡者225人が報告されていました。2017年に最も多く患者が報告されたのは、第31週(2017年7月31日開始の週)にMbeya州からと第43週(2017年10月23日開始の週)にSongwe州からでした。第49週から第52週にも、Uvinza市、およびSongwe、Nyasaの各州ではかなり多くの患者が報告されました。

Kigoma、Manyara、Dodoma、Mbeya、Dar es Salaam(首都ダル・エス・サラーム)、Ruvuma、Rukwaの各州における患者の再興は、流行が始まって以来、初めて報告され、他の多くの地域でコレラが再興するリスクが継続されていることを反映しています。ザンジバルでは、2017年7月11日に最後の患者が報告されて以降、患者は報告されていませんが、タンザニア本土との人口移動は依然として保たれており、ザンジバルに(感染が)広がるリスクは存在します。

公衆衛生上の取り組み

現在、以下の公衆衛生対策が実施されています。
•保健省は、WHOや他の支援組織(UNICF、米国疾病対策センター)からの支援を得ながら、国家緊急対策会議を通じて、コレラの感染制御活動の実施と監視を主導しています。
• 2017年12月15日に、国家コレラ対策計画が、保健省と関係団体によって検討され、認証を得ました。
•コレラ国家緊急対策会議は、2017年12月29日(金曜日)に会議を開催し、Uvinza市でコレラ患者が急激に増加していることへの対応を支援するために、チームを派遣することで合意しました。
•保健省は、2017年11月の終わりに患者が初めて報告されたRuvuma州に国の緊急対策チームを派遣しました。
・地元のラジオ、テレビ、公共通信網を活用して、地域社会の中での意識の向上と注意喚起が行われています。
・UNICEFは、感染の発生した世帯に世帯レベルで水を(消毒)処理するための塩素処理錠剤(アクアタブ)の配布と促進、並びに安全な貯水の推進を支援しています。
・ザンジバルでは、コレラ撲滅のための10年計画の策定を進めています。
・国境を越えた備えと対策への取り組みの強化のために、情報交換(交流)を開始しています。

WHOのリスクアセスメント

タンザニア本土では、強力なコレラの伝播が続いており、特に、MbeyaとSongweの各州では(流行が)最も強力になっています。この国は、調査・監視システムは弱く、コレラの発見への遅れに対しては脆弱なままです。WASH(健康/水と衛生の環境を整備する)活動、患者管理、密着した地域の関与、調査活動といった(感染対策の)柱は、最適に流行に対処するためには、まだまだ強化が必要であり、仮に取り組まなければ、さらに患者が急増する可能性があります。したがって、国レベルでのリスクは高い状態です。

Songwe州国境にあるルクワ湖沿岸の漁場の閉鎖は、隣国マラウイのKaronga(カロンガ)県に隣接するKyela(カイエラ、タンザニア)地区の漁師をさらに南に押しやることとなりました。最近、マラウイのカロンガ県でもコレラの発生が報告されました。両国間には国境を越えた人口移動があり、マラウイに感染伝播するリスクがさらに高まる可能性があります。コンゴ民主共和国、ブルンジ、ザンビア、ケニアといった他の近隣諸国は、既に大規模なコレラの流行を経験しています。地域レベルでのリスクも高い状態です。

WHOからのアドバイス

WHOは、コレラ治療センターで適切かつ適時に患者を管理することを推奨しています。 飲料水と衛生設備の利用環境を改善させ、感染が発生した地域社会の衛生管理と食品安全対策を向上させることが、コレラを制御するために最も効果的な手段です。公衆衛生上、重要な伝達情報が提供されていく必要があります。

WHOは、現在の流行において入手できている情報に基づく限り、タンザニア本土とザンジバルへの旅行および貿易に関する如何なる制限も勧めてはいません。

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タンザニアへ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。
・飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
・食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
・食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
・下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

◆感染症情報:食べ物・水にご注意を!コレラ

出典

WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 12 January 2018
Cholera - United Republic of Tanzania
http://www.who.int/csr/don/12-january-2018-cholera-tanzania/en/