2018年02月21日更新 コレラの発生状況-モザンビーク

2018年2月19日に、WHOから公表された情報によりますと、モザンビークでコレラが流行しています。隣国ザンビア、タンザニアなどとともに、目の離せない状況になって来ています。

コレラの発生状況

モザンビークの保健省は、2017年10月27日に、WHOにコレラの流行発生を届け出ました。2017年8月14日から2018年2月11日までに、コレラ患者1799人と死亡者1例(致死率= 0.06%)が2つの州から報告されました。Nampula(ナンプーラ)州から1,580人とCabo Delgado(カーボ・デルガード)州から219人でした。患者数や死者数は過小に報告されている可能性があります。この流行の発生は、迅速診断検査と培養によって確認されています。

この流行の発生は、北東部ナンプーラ州Memba地区で始まり、2017年10月15日までにErati地区に拡がりました。11月19日には、この流行の発生が、さらに同じ州の2地区(Nacaroa、Nampula city)に拡大しました。

11月中旬には、1週間で患者252人が報告され、患者発生率はピークに達しました。このピークの後、報告される患者数は急速に減りました。(しかし)2017年12月下旬からは、報告される患者数の緩やかな増加がみられています。2018年1月5日には、ナンプーラ州の北側にあるカーボ・デルガード州Pemba市で初めての患者が報告されました。これまでのところ、2018年には、毎週の患者数が30~60人で変動しています。

モザンビークでは、過去5年間、毎年コレラが発生しています。今回の流行からの直近の流行は、2017年1月に始まり2017年4月に終りました。合計で患者2,129人と死亡者4人(致死率0.2%)がでました。2017年にはTete(テテ)、ナンプーラ、Maputo(マプト)の3州の6つの地区で感染が発生しました。

公衆衛生上の取り組み

WHOと支援組織は、この流行を抑止するために対策への活動を支援しています。現在、次のような対策が実施されています。
・保健省は、現在行われている対策について検討するために、毎週、政府レベルで調整会議を開催しています。WHO、ユニセフ、国境なき医師団(MSF)、赤十字社などの支援組織が会議に出席し、支援しています。
・特に地区レベルでは、多部門にわたる合同での活動が行われています。地元関係者の主導で、異なる部門間での対策への取り組みが調整されています。
・WHOは、ナンプーラ州の流行状況を素早く評価し、その情報を政府の調整会議で共有しています。
・WHOは、患者の発見と管理、届出の状況を向上させるために、ナンプーラ州とカーボ・デルガード州で患者管理と調査活動に関する研修の支援を行っています。
・ユニセフの支援を受けて、国および地方(レベル)の保健担当当局は物流支援を行い、コレラ治療センターに、消耗品、薬剤、感染の予防と管理のための必要物品などを準備し、供給しています。感染の発生したそれぞれの地区には、コレラ治療センターが設置されています。
・支援組織からの支援を得て、国および地元の保健担当当局および水道部門が主導し、感染の発生地の水質、衛生環境や衛生管理の向上などに取り組んでいます。
・社会活動員の動員やリスク情報の伝達への活動が続けられています。支援組織からの支援を得て、国と地元の保健担当当局がこれを主導しています。

WHOのリスクアセスメント

この流行において、コレラが他州や他地区に感染伝播していくリスク要因には、飲み水の不足、家庭用の飲み水の汚染などがあり、清潔な水の利用環境の改善、上下水道における適切な衛生環境の整備の必要性が強調されています。この流行でコレラ患者を報告した3つの州(原文どおりに記載)は、人が避難し医療施設を含む生活基盤が被害を受けた洪水により、深刻な影響を受けています。気象予報では、この大雨は今後3か月間も続くと予想され、この流行が拡大する潜在性があることが示されています。

感染が発生した2州における疫学調査や環境調査は行われておらず、この病気のリスク要因が不確定なために、この流行の規模を特定することはできません。現段階での優先事項は、調査活動を強化し、コレラのデータ収集と患者の届出リストを照合させ、現地住民レベルでの患者発見の体制を整備することです。また、コレラ患者の定義は、過小な報告を減らし、この流行おける患者の探知(能力)を向上させるために、すべての疑い患者に厳格適用していくことが必要です。患者の管理、WASH(健康/水と衛生の環境を整備する)活動の実施、社会活動員の導入など、その他の対策への活動も、国、州、地区および現地住民のレベルで強化していく必要があります。

国のレベルでは、全体としてのリスクは高いと評価されています。この評価の一部は、現在の流行の動向および対策への取り組みに欠けたところがあることによります。このリスクは、地域レベルおよび世界レベルでは低いと評価されます。

WHOからのアドバイス

WHOは、安全な飲み水、衛生設備、およびコレラの感染伝播を予防するための衛生習慣などの環境を改善することを奨励しています。調査活動の強化、特に現地住民レベルでの強化が助言されます。感染が発生している地域では、患者管理の環境を向上させることが必要です。流行が他の地域に拡がる場合には、速やかに(拡がりを)探知し対処する国の対処能力が必要です。流行の拡大を封じ込めるには経口コレラワクチンの供給も検討されるべきです。

WHOは、現在の流行において入手できている情報に基づく限り、モザンビークへの旅行および貿易に関する如何なる制限も勧めてはいません。安全な飲料水の使用と一般的な衛生習慣の実施およびその他・上記の予防対策で、この病気は十分に予防できるはずです。

--------------------------------------

モザンビークへ渡航、滞在される方は、今後の情報に注意していただくとともに、以下の対策を行ってください。
・飲料水や歯みがき、うがいの水にはミネラルウォーターを使うか、十分に沸騰させた水を使うこと。氷は生水から作られている可能性があるので食べないこと。
・食事は加熱されたものを、冷めないうちに食べること。
・食事の前、トイレの後には石けんと水で十分に手洗いすること。
・下痢になった場合、以下の作り方で作った水を十分にとり、できるだけ早く医療機関で診療を受けること。

◆感染症情報:食べ物・水にご注意を!コレラ

出典

WHO.Disease outbreak news, Emergencies preparedness, response. 19February2018
Cholera - Mozambique
http://www.who.int/csr/don/19-february-2018-cholera-mozambique/en/