エムポックス ― コンゴ民主共和国
状況概要
2022年12月、コンゴ民主共和国はエムポックスの全国的流行を宣言し、報告数の増加に基づき、2023年2月から症例管理システムを導入しています。2023年9月以降、南キヴ州で発生したエムポックスの流行は、同州内で拡大し続け、最近では性的接触感染によって、隣接する北キヴ州にも広がっています。南キヴ州ではエムポックスウイルス(以下「MPXV」という。)クレードIの新しいAPOBEC3型の変異が報告されていますが、これはウイルスがヒトの間で伝播するように適応したことを示しています。この新しい系統は2023年9月中旬頃に出現したと推定されており、それ以降ヒトからヒトへの伝播が続いています。これは同国内では初めて記録された継続的な市中感染です。この系統が他のMPXVクレードI と比較して感染力が強いのか、あるいは重症化しやすいのかは現在のところ不明です。さらに、この新しい系統はコンゴ民主共和国でのエムポックス診断のための検査の感度に影響する遺伝子欠失を有しています。コンゴ民主共和国は、WHOのアフリカ地域で最も患者数の多い国であり、現在までのところ、クレードIのMPXVのみが検出されています。2024年に(5月26日現在)コンゴ民主共和国では、384例の死亡者を含め、合計7,851例の患者が報告されています(致命率(CFR;Case Fatality Rate)4.9%)。これらの症例は、26州のうち22州(85%)にまたがる519のうち177(34%)の保健区域で報告されました。コンゴ民主共和国で持続しているエムポックスの流行が非常に懸念される理由として、次のような事項が挙げられます。近年同国の流行地域で報告されている高い罹患率と高い致命率、以前は流行していなかった地域への地理的拡大、MPXVクレードIの新しい系統の出現、同国東部における性的接触感染やその他の密接な身体的接触による持続的な市中感染、広範囲の地域で対応するための資源の不足、一般市民のエムポックスに対する認識の低さ、治療キットの不十分な入手状況と最新のワクチンの不足、公衆衛生上の優先事項の競合、治安の悪さなどです。このような状況を鑑みて、WHOは、コンゴ民主共和国におけるエムポックスのリスクは依然として高いと評価しています。
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発生の詳細
2022年以来、MPXVクレードIIbによるエムポックスの流行が世界的に進行しており、これまでエムポックスの報告がなかったアフリカ大陸以外の多くの国々が流行を報告しています。主に男性と性交渉を持つ男性の性的接触を介した感染によって、流行が持続的に拡大しています。
コンゴ民主共和国で流行しているMPXV株はクレードIに属し、MPXVクレードIIbの症例は今のところ検出されていませんが、2022年以降、同国では報告数の増加と分布の地理的な拡大が観察されています。
MPXVクレードI の性的接触による感染は、前回2023年11月のDisease Outbreak Newsでも述べられているように(Mpox (monkeypox) - Democratic Republic of the Congo (who.int))、2023年4月にクワンゴ州の小規模な症例群で初めて正式に記録されました。
MPXVクレードI の性的接触感染での発生は、2023年9月に南キヴ州のカミトゥガ保健区域で、既知の症例との性的接触により曝露された数人の新規症例が報告されたことにより、さらに確実なものとなりました。それ以来、南キヴ州で報告された症例数は、セックスワーカーとその接触者を含め、増加の一途をたどっており、症例を報告する保健区域の数も増加しています。症例調査やその後の流行調査とウイルスの遺伝子学的解析の結果、この地域では動物との接触が疑われることはなく、MPXVクレードIのヒトからヒトへの感染が持続していることが確認されています。
2024年6月1日、北キヴ州、ゴマ市のカリシンビ保健区域で、エムポックスの最初の症例が確認されました(Multi-country outbreak of mpox, External situation report#34- 28 June 2024 (who.int))。19歳の女性が、斑状の皮疹、嚥下障害、排尿困難、頭痛、性器病変を呈し、皮膚病変から採取した検体のPCR検査を行ったところ、MPXVが陽性でした。現在、45例の接触者を追跡調査中です。綿密な疫学調査により、患者は、南キヴ州への旅行歴があり、エムポックス感染が疑われる人物との性的接触が特定されました。この接触者はその後、北キヴ州のマシシ保健区域に移動したと報告されており、調査が続けられています。北キヴ州ゴマ市は、治安が悪いことが知られていますが、同州でエムポックスの症例が報告されたのは初めてです。
2023年には、コンゴ民主共和国において、合計14,626例のエムポックス患者と654例の死亡者が報告され(CFR、4.5%)、これはコンゴ民主共和国で記録された年間報告数としても、WHOアフリカ地域における報告数としても最多でした。これらの症例のうち、1,461例(10%)で検査が行われ、そのうち966例が陽性でした(検査陽性率、68%)。
2024年5月26日現在、コンゴ民主共和国では、384例の死亡者(CFR 、4.9%)を含め、合計7,851例のエムポックス患者が報告されています。これらの症例は、26州中22州(85%)にまたがる519保健区域のうち177保健区域(34%)で報告されており、 ゴマ市で新たに発生した症例により、26州中23州(88%)から報告されました。2024年に最も報告感染者数の多い州は、赤道州、南ウバンギ州、サンクル州、南キヴ州でした(図1)。
図1. コンゴ民主共和国、2024年1月1日から5月26日に報告されたエムポックス症例の地理的分布(n=7,851)。
出典:National mpox integrated disease surveillance data, Democratic Republic of the Congo;北キヴ州は、ゴマ市での新たな流行のため、次回の更新に含まれる予定です。
報告された7,851例のエムポックス患者のうち、39%が5歳未満の乳幼児(n=3,090)で、うち240例が死亡しています(全体の62%)。
表1. 2024年1月1日から5月26日までにコンゴ民主共和国で報告されたエムポックス患者と死亡者の年齢分布(n=7,851)。
出典:National mpox integrated disease surveillance data, Democratic Republic of the Congo
報告された1,415例から痂皮(かさぶた)、小水疱、血液の検体が採取されました。このうち、994例が検査でMPXV陽性と確認され、検査陽性率は70%でした。2024年にエムポックス症例が報告された州のうち、22州中15州(68%)で今年少なくとも1症例が確認されています(図2)。情報を入手できた検査確定症例の59%(852例中502例)は男性で、確定症例の50%は15歳未満でした(図3)。
図2. コンゴ民主共和国、2024年1月1日から5月26日のエムポックスの検査確定症例の地理的分布(n=994)。
図3. コンゴ民主共和国、2024年1月1日から5月26日までに確認されたエムポックス患者の年齢・性別分布(n=852*)。
*142例の確定症例は年齢と性別のデータが欠落していました。
出典:National mpox integrated disease surveillance data and national reference laboratory database (INRB), Democratic Republic of the Congo
2024年、国レベルで検査され報告されたエムポックス症例の割合は、8~30%の間で推移しています(図4)。2024年5月26日現在、報告された全症例の18%(7,851例中1,415例)が検査を受けています。これは、検査能力の拡大に伴い、2023年に検査された報告症例の10%と比較すると80%の増加です。
図4. 2024年1月1日から5月26日間にコンゴ民主共和国で報告されたエムポックス症例の流行曲線と検査された症例の割合(n= 7,851)。
出典:コンゴ民主共和国、全国エムポックス総合疾病調査データおよび全国基準検査室データベース
赤道州と南キヴ州の2州は報告感染者数が多く、現場で使用するPCR検査にGeneXpertが導入されました。さらにツォポ州とツァパ州でもGeneXpertを使用したMPXVの検査が行われていることから、エムポックス診断とサーベイランスの能力が大幅に向上しています。しかし、2024年にGeneXpertで確認された症例は、GeneXpert検査の検定作業が完了するまで、国の症例数にはまだ含まれていません。
現在、同国内ではMPXVクレードIのみが検出されています。2023年後半には、MPXVクレードIIの検査が国立の検査機関に導入され、これまで症例報告のなかった州で新たな症例/集団感染を検知するために使用されています。
コンゴ民主共和国で流行しているMPXV株はクレードIに属し、MPXVクレードIIbの症例は今のところ検出されていませんが、2022年以降、同国では報告数の増加と分布の地理的な拡大が観察されています。
MPXVクレードI の性的接触による感染は、前回2023年11月のDisease Outbreak Newsでも述べられているように(Mpox (monkeypox) - Democratic Republic of the Congo (who.int))、2023年4月にクワンゴ州の小規模な症例群で初めて正式に記録されました。
MPXVクレードI の性的接触感染での発生は、2023年9月に南キヴ州のカミトゥガ保健区域で、既知の症例との性的接触により曝露された数人の新規症例が報告されたことにより、さらに確実なものとなりました。それ以来、南キヴ州で報告された症例数は、セックスワーカーとその接触者を含め、増加の一途をたどっており、症例を報告する保健区域の数も増加しています。症例調査やその後の流行調査とウイルスの遺伝子学的解析の結果、この地域では動物との接触が疑われることはなく、MPXVクレードIのヒトからヒトへの感染が持続していることが確認されています。
2024年6月1日、北キヴ州、ゴマ市のカリシンビ保健区域で、エムポックスの最初の症例が確認されました(Multi-country outbreak of mpox, External situation report#34- 28 June 2024 (who.int))。19歳の女性が、斑状の皮疹、嚥下障害、排尿困難、頭痛、性器病変を呈し、皮膚病変から採取した検体のPCR検査を行ったところ、MPXVが陽性でした。現在、45例の接触者を追跡調査中です。綿密な疫学調査により、患者は、南キヴ州への旅行歴があり、エムポックス感染が疑われる人物との性的接触が特定されました。この接触者はその後、北キヴ州のマシシ保健区域に移動したと報告されており、調査が続けられています。北キヴ州ゴマ市は、治安が悪いことが知られていますが、同州でエムポックスの症例が報告されたのは初めてです。
2023年には、コンゴ民主共和国において、合計14,626例のエムポックス患者と654例の死亡者が報告され(CFR、4.5%)、これはコンゴ民主共和国で記録された年間報告数としても、WHOアフリカ地域における報告数としても最多でした。これらの症例のうち、1,461例(10%)で検査が行われ、そのうち966例が陽性でした(検査陽性率、68%)。
2024年5月26日現在、コンゴ民主共和国では、384例の死亡者(CFR 、4.9%)を含め、合計7,851例のエムポックス患者が報告されています。これらの症例は、26州中22州(85%)にまたがる519保健区域のうち177保健区域(34%)で報告されており、 ゴマ市で新たに発生した症例により、26州中23州(88%)から報告されました。2024年に最も報告感染者数の多い州は、赤道州、南ウバンギ州、サンクル州、南キヴ州でした(図1)。
図1. コンゴ民主共和国、2024年1月1日から5月26日に報告されたエムポックス症例の地理的分布(n=7,851)。
出典:National mpox integrated disease surveillance data, Democratic Republic of the Congo;北キヴ州は、ゴマ市での新たな流行のため、次回の更新に含まれる予定です。
報告された7,851例のエムポックス患者のうち、39%が5歳未満の乳幼児(n=3,090)で、うち240例が死亡しています(全体の62%)。
表1. 2024年1月1日から5月26日までにコンゴ民主共和国で報告されたエムポックス患者と死亡者の年齢分布(n=7,851)。
年齢(歳) | 報告数(割合) | 死亡者数(割合) | 致命率 | 死亡者数の粗オッズ比(95%信頼区間) | P値 |
<1 | 897(11) | 77(20) | 8.6 | 3.8(2.6-5.3) | <0.001 |
1 - 4 | 2 193(28) | 163(42) | 7.4 | 3.2(2.4-4.3) | <0.001 |
5 - 15 | 2 164(28) | 81(21) | 3.7 | 1.6(1.1-2.2) | <0.001 |
>15 | 2 597(33) | 63(16) | 2.4 | 1 | - |
Total | 7 851 | 384 | 4.9 | - | - |
報告された1,415例から痂皮(かさぶた)、小水疱、血液の検体が採取されました。このうち、994例が検査でMPXV陽性と確認され、検査陽性率は70%でした。2024年にエムポックス症例が報告された州のうち、22州中15州(68%)で今年少なくとも1症例が確認されています(図2)。情報を入手できた検査確定症例の59%(852例中502例)は男性で、確定症例の50%は15歳未満でした(図3)。
図2. コンゴ民主共和国、2024年1月1日から5月26日のエムポックスの検査確定症例の地理的分布(n=994)。
図3. コンゴ民主共和国、2024年1月1日から5月26日までに確認されたエムポックス患者の年齢・性別分布(n=852*)。
*142例の確定症例は年齢と性別のデータが欠落していました。
出典:National mpox integrated disease surveillance data and national reference laboratory database (INRB), Democratic Republic of the Congo
2024年、国レベルで検査され報告されたエムポックス症例の割合は、8~30%の間で推移しています(図4)。2024年5月26日現在、報告された全症例の18%(7,851例中1,415例)が検査を受けています。これは、検査能力の拡大に伴い、2023年に検査された報告症例の10%と比較すると80%の増加です。
図4. 2024年1月1日から5月26日間にコンゴ民主共和国で報告されたエムポックス症例の流行曲線と検査された症例の割合(n= 7,851)。
出典:コンゴ民主共和国、全国エムポックス総合疾病調査データおよび全国基準検査室データベース
赤道州と南キヴ州の2州は報告感染者数が多く、現場で使用するPCR検査にGeneXpertが導入されました。さらにツォポ州とツァパ州でもGeneXpertを使用したMPXVの検査が行われていることから、エムポックス診断とサーベイランスの能力が大幅に向上しています。しかし、2024年にGeneXpertで確認された症例は、GeneXpert検査の検定作業が完了するまで、国の症例数にはまだ含まれていません。
現在、同国内ではMPXVクレードIのみが検出されています。2023年後半には、MPXVクレードIIの検査が国立の検査機関に導入され、これまで症例報告のなかった州で新たな症例/集団感染を検知するために使用されています。
南キヴ州で新しい系統が検出
南キヴ州では、2024年1月1日から6月2日の間に、全国調査システムを通じて777症例が報告されました。777症例のうち426症例(55%)の検体を検査した結果、373症例が陽性と確定され(検査陽性率は88%)、うち7症例が死亡例でした(確定症例中のCFRは1.8%)。
南キヴ州のエムポックスの集団感染は、当初カミトゥガ保健区域で検出され、性的接触によって引き起こされましたが、地理的に拡大しており、現在34保健区域のうち19保健区域(56%)で少なくとも1例のエムポックス患者が報告されています。
報告された感染経路には、性的接触、接触感染、家庭や医療施設での接触が含まれています。人獣共通感染症が疑われる症例は、流行開始以来、同州では報告されていません。
南キヴ州の検査確定症例の大半は15歳以上の者であり、年齢と性別のデータがある者では、女性が51%、男性が49%でした。
2023年10月から2024年1月にかけて収集されたMPXV検体のゲノム配列決定により、カミトゥガ保健区域で MPXVクレードIの新しい系統が同定されました。この系統においては、クレード特異的分子アッセイの標的として広く機能している遺伝子の欠失が確認されています。この欠失は、国立リファレンス・ラボラトリ―である国立生物医学研究所(INRB;Institut National de Recherche Biomédicale)や他の学術機関、公衆衛生機関によって確認されました。
この新しい系統は主にAPOBEC3型の変異を有していることがわかっており、ヒトの間でウイルスが循環しやすい適応をしていることが示されました。この系統は2023年9月中旬頃に出現したと推定され、遺伝子配列データから、それ以降もヒトからヒトへの感染が続いていることが示唆されました。この系統が、同国内で流行している他のウイルス株よりも感染力が強いのか、あるいは重症化しやすいのかは不明です。
2024年に南キヴ州で採取された臨床検体から得られたウイルス配列はすべて、この新しい系統であることが確認されています。しかし、最近エクアトゥール州、キンシャサ州、ツォポ州で分離されたウイルスの遺伝子配列を含む、コンゴ民主共和国からの他のすべての地域から分離されたウイルスの配列では、APOBEC3型の変異は確認されていません。公開されているデータでは、この新しい変異が南キヴ州で発生したのか、コンゴ民主共和国の他の検体数の少ない地域で発生したのか、あるいはコンゴ盆地一帯で発生したのかは不明です。この新しい系統の起源をよりよく理解し、コンゴ民主共和国で流行しているすべてのウイルスをよりよく理解するためには、コンゴ民主共和国全土およびコンゴ盆地一帯からの更なる遺伝子情報が必要です。
南キヴ州のエムポックスの集団感染は、当初カミトゥガ保健区域で検出され、性的接触によって引き起こされましたが、地理的に拡大しており、現在34保健区域のうち19保健区域(56%)で少なくとも1例のエムポックス患者が報告されています。
報告された感染経路には、性的接触、接触感染、家庭や医療施設での接触が含まれています。人獣共通感染症が疑われる症例は、流行開始以来、同州では報告されていません。
南キヴ州の検査確定症例の大半は15歳以上の者であり、年齢と性別のデータがある者では、女性が51%、男性が49%でした。
2023年10月から2024年1月にかけて収集されたMPXV検体のゲノム配列決定により、カミトゥガ保健区域で MPXVクレードIの新しい系統が同定されました。この系統においては、クレード特異的分子アッセイの標的として広く機能している遺伝子の欠失が確認されています。この欠失は、国立リファレンス・ラボラトリ―である国立生物医学研究所(INRB;Institut National de Recherche Biomédicale)や他の学術機関、公衆衛生機関によって確認されました。
この新しい系統は主にAPOBEC3型の変異を有していることがわかっており、ヒトの間でウイルスが循環しやすい適応をしていることが示されました。この系統は2023年9月中旬頃に出現したと推定され、遺伝子配列データから、それ以降もヒトからヒトへの感染が続いていることが示唆されました。この系統が、同国内で流行している他のウイルス株よりも感染力が強いのか、あるいは重症化しやすいのかは不明です。
2024年に南キヴ州で採取された臨床検体から得られたウイルス配列はすべて、この新しい系統であることが確認されています。しかし、最近エクアトゥール州、キンシャサ州、ツォポ州で分離されたウイルスの遺伝子配列を含む、コンゴ民主共和国からの他のすべての地域から分離されたウイルスの配列では、APOBEC3型の変異は確認されていません。公開されているデータでは、この新しい変異が南キヴ州で発生したのか、コンゴ民主共和国の他の検体数の少ない地域で発生したのか、あるいはコンゴ盆地一帯で発生したのかは不明です。この新しい系統の起源をよりよく理解し、コンゴ民主共和国で流行しているすべてのウイルスをよりよく理解するためには、コンゴ民主共和国全土およびコンゴ盆地一帯からの更なる遺伝子情報が必要です。
WHOアフリカ地域のエムポックス感染の状況
ブルンジ
いくつかの口頭報告によれば、コンゴ民主共和国の南キヴ州から国境を越えて感染が拡大した可能性が示唆されていますが、2024年5月30日現在、ブルンジから正式に報告されたエムポックスの疑い例はありません。エムポックスに対する国の準備レベルの評価が行われ、検査キットの調達と医療物資の在庫管理が進行中です。また、エムポックス緊急時対応計画を策定するための協議も進行中です。
カメルーン
2024年1月1日から4月30日までに、23例のエムポックス疑い患者が発生し、うち5例(男性4例、女性1例)が確定症例となり、2例が死亡しました(CFR、40%)。ゲノム配列決定により、これらの症例のMPXVはクレードIIに属することが特定されました。長年にわたり、カメルーンはクレードIとIIの両方のMPXVを報告している唯一の国です。2024年に確認された症例は、北西地域(n=2)、南西地域(n=2)、リトラル地域(n=1)の3地域に分布しており、地域的な広がりの可能性を強調しています。
コンゴ共和国(Republic of the Congo)
2024年4月23日、政府は全国的なエムポックス流行を宣言し、2024年5月3日に公衆衛生緊急活動センター(COUSP;Centre d'opérations d'urgence de santé publique)とインシデント管理システムを起動させました。MPXV検体のゲノム配列決定により、コンゴ民主共和国の近隣流行地域に見られるものと同様のクレードIが確認されました。2024年1月1日から5月30日までに、コンゴ共和国では4つの県で19例のエムポックス感染の検査確定症例および10例の疑い例が報告されました。検査確定症例の内訳はキュベット県(14例)、リクアラ県(2例)、プラトー県(2例)、ポワントノワール県(1例)ですが、これらの症例における感染様式は記録されておらず、流行が拡大する危険性が高いと考えられます。アウトブレイクのピークは2024年第4週から第10週(1月21日から3月9日まで)であり、最近は感染者の報告はありません。しかし、第21週に記録された35例の疑い例のうち、検査を受けたのはわずか9例(すべて陰性)であり、検査率の低さが浮き彫りとなりました。
ルワンダ
ルワンダは南キヴ州に近接しているため、ルワンダではエムポックス対策準備のための活動が続けられています。ブカブに隣接する地区では、サーベイランスが強化されています。4月28日から5月4日にかけて、ルワンダ医学センター、疾病予防管理センター、国際移住機関、ルワンダ大学(実地疫学専門家育成コースの受講生)のチームが、ルシジ地区とニャマシェケ地区で、エムポックス症例やアウトブレイクを検知し対応するために、アウトブレイクの発端と医療施設の準備状況の評価、医療従事者への啓発、地域住民への啓発を行いました。2024年5月4日現在、ルシジ地区(15例)とニャマシェケ地区(1例)から16例の疑い患者が報告されています。すべての疑い例はPCR検査でMPXV陰性でした。国のエムポックス緊急時対応計画は現在策定中です。
南アフリカ共和国
2024年1月1日から6月6日までに、35歳から39歳の男性で、5例のエムポックスの検査確定症例が報告されました。5例すべての塩基配列はMPXVクレードIIbでした。ハウテン州で2例、クワズールー・ナタール州で3例のクラスターが報告されました。これら2つのクラスターの症例では海外渡航歴はありませんでした。患者5例のうち4例は、南アフリカ政府の要請により、WHOから提供されたテコビリマットによる治療を開始しました。すべての症例は免疫抑制のある人における重症例であることから、重症度の低い症例は特定、検査、報告されていないことが示唆されています。HIV/AIDS対策プログラムとの協力のもと、接触者追跡調査や臨床医の研修など、アウトブレイクへの対応が進められています。南アフリカとコンゴ民主共和国の間には、両国間の経済活動や職業活動に関連して、広範囲かつ大規模な渡航が行われています。
いくつかの口頭報告によれば、コンゴ民主共和国の南キヴ州から国境を越えて感染が拡大した可能性が示唆されていますが、2024年5月30日現在、ブルンジから正式に報告されたエムポックスの疑い例はありません。エムポックスに対する国の準備レベルの評価が行われ、検査キットの調達と医療物資の在庫管理が進行中です。また、エムポックス緊急時対応計画を策定するための協議も進行中です。
カメルーン
2024年1月1日から4月30日までに、23例のエムポックス疑い患者が発生し、うち5例(男性4例、女性1例)が確定症例となり、2例が死亡しました(CFR、40%)。ゲノム配列決定により、これらの症例のMPXVはクレードIIに属することが特定されました。長年にわたり、カメルーンはクレードIとIIの両方のMPXVを報告している唯一の国です。2024年に確認された症例は、北西地域(n=2)、南西地域(n=2)、リトラル地域(n=1)の3地域に分布しており、地域的な広がりの可能性を強調しています。
コンゴ共和国(Republic of the Congo)
2024年4月23日、政府は全国的なエムポックス流行を宣言し、2024年5月3日に公衆衛生緊急活動センター(COUSP;Centre d'opérations d'urgence de santé publique)とインシデント管理システムを起動させました。MPXV検体のゲノム配列決定により、コンゴ民主共和国の近隣流行地域に見られるものと同様のクレードIが確認されました。2024年1月1日から5月30日までに、コンゴ共和国では4つの県で19例のエムポックス感染の検査確定症例および10例の疑い例が報告されました。検査確定症例の内訳はキュベット県(14例)、リクアラ県(2例)、プラトー県(2例)、ポワントノワール県(1例)ですが、これらの症例における感染様式は記録されておらず、流行が拡大する危険性が高いと考えられます。アウトブレイクのピークは2024年第4週から第10週(1月21日から3月9日まで)であり、最近は感染者の報告はありません。しかし、第21週に記録された35例の疑い例のうち、検査を受けたのはわずか9例(すべて陰性)であり、検査率の低さが浮き彫りとなりました。
ルワンダ
ルワンダは南キヴ州に近接しているため、ルワンダではエムポックス対策準備のための活動が続けられています。ブカブに隣接する地区では、サーベイランスが強化されています。4月28日から5月4日にかけて、ルワンダ医学センター、疾病予防管理センター、国際移住機関、ルワンダ大学(実地疫学専門家育成コースの受講生)のチームが、ルシジ地区とニャマシェケ地区で、エムポックス症例やアウトブレイクを検知し対応するために、アウトブレイクの発端と医療施設の準備状況の評価、医療従事者への啓発、地域住民への啓発を行いました。2024年5月4日現在、ルシジ地区(15例)とニャマシェケ地区(1例)から16例の疑い患者が報告されています。すべての疑い例はPCR検査でMPXV陰性でした。国のエムポックス緊急時対応計画は現在策定中です。
南アフリカ共和国
2024年1月1日から6月6日までに、35歳から39歳の男性で、5例のエムポックスの検査確定症例が報告されました。5例すべての塩基配列はMPXVクレードIIbでした。ハウテン州で2例、クワズールー・ナタール州で3例のクラスターが報告されました。これら2つのクラスターの症例では海外渡航歴はありませんでした。患者5例のうち4例は、南アフリカ政府の要請により、WHOから提供されたテコビリマットによる治療を開始しました。すべての症例は免疫抑制のある人における重症例であることから、重症度の低い症例は特定、検査、報告されていないことが示唆されています。HIV/AIDS対策プログラムとの協力のもと、接触者追跡調査や臨床医の研修など、アウトブレイクへの対応が進められています。南アフリカとコンゴ民主共和国の間には、両国間の経済活動や職業活動に関連して、広範囲かつ大規模な渡航が行われています。
エムポックスの疫学
エムポックスは、MPXVによって引き起こされる感染症です。MPXVには、以前はコンゴ盆地クレードと呼ばれていたクレードIと、西アフリカクレードと呼ばれていたクレードIIの2つのクレードが知られており、クレードIIにはさらに、クレードIIaとクレードIIbの2つの亜系統があります。この病気は、ヒトの間で病変部、体液、呼吸器飛沫、汚染物質との濃厚な接触によって、または動物との接触や汚染されたブッシュミートの摂取によって動物からヒトへ感染します。
潜伏期間は1~21日ですが、症状が出ないまま感染している人もいます。通常、エムポックスでは発熱、筋肉痛、咽頭痛が最初に現れ、続いて皮膚や粘膜の発疹が現れます。通常、発疹は2~4週間かけて、斑、丘疹、水疱、膿疱と段階的に進展します。発疹は中心がくぼんでから痂皮化します。その後、かさぶたが剥がれ落ちます。リンパ節腫脹も典型的なエムポックスの特徴で、ほとんどの症例でみられます。 小児、妊婦、免疫力の弱い人は、合併症を起こしやすく、死亡するリスクもあります。
水痘、麻疹、細菌性皮膚感染症、疥癬、ヘルペス、梅毒、他の性感染症、および薬物アレルギーと区別することが重要です。エムポックスの患者は、ヘルペスのような他の性感染症を合併している可能性があります。あるいはエムポックスが疑われる子どもや大人が水痘を合併していることもあります。このような理由から、特に流行や新規の地域での最初の症例について、感染拡大を防ぐために公衆衛生や社会措置をとるべく検査診断を行うことが重要です。
PCR検査によるウイルスDNAの検出は、エムポックスの検査として望ましいものです。診断に最も適した検体は、発疹から直接採取したもの(皮膚、体液、痂皮など)で、綿棒を使って採取します。皮膚病変がない場合は、口腔咽頭、肛門、直腸の拭い液で検査が可能です。しかし、口腔咽頭、肛門、直腸の検体が陽性であれば、エムポックスの確定診断ができますが、陰性であってもMPXV感染を除外するには十分ではありません。血液検査は推奨されていません。抗体検出法は基準検査機関等で行われる後ろ向きの症例分類や特別な研究には利用できます。また、異なるオルソポックスウイルスを区別できないため、診断のための検査としては有用ではありません。
治療は発疹のケア、痛みの管理、合併症の予防が基本です。また、特に重症例や合併症のリスクが高い患者には、テコビリマットなどの抗ウイルス薬を使用します。
潜伏期間は1~21日ですが、症状が出ないまま感染している人もいます。通常、エムポックスでは発熱、筋肉痛、咽頭痛が最初に現れ、続いて皮膚や粘膜の発疹が現れます。通常、発疹は2~4週間かけて、斑、丘疹、水疱、膿疱と段階的に進展します。発疹は中心がくぼんでから痂皮化します。その後、かさぶたが剥がれ落ちます。リンパ節腫脹も典型的なエムポックスの特徴で、ほとんどの症例でみられます。 小児、妊婦、免疫力の弱い人は、合併症を起こしやすく、死亡するリスクもあります。
水痘、麻疹、細菌性皮膚感染症、疥癬、ヘルペス、梅毒、他の性感染症、および薬物アレルギーと区別することが重要です。エムポックスの患者は、ヘルペスのような他の性感染症を合併している可能性があります。あるいはエムポックスが疑われる子どもや大人が水痘を合併していることもあります。このような理由から、特に流行や新規の地域での最初の症例について、感染拡大を防ぐために公衆衛生や社会措置をとるべく検査診断を行うことが重要です。
PCR検査によるウイルスDNAの検出は、エムポックスの検査として望ましいものです。診断に最も適した検体は、発疹から直接採取したもの(皮膚、体液、痂皮など)で、綿棒を使って採取します。皮膚病変がない場合は、口腔咽頭、肛門、直腸の拭い液で検査が可能です。しかし、口腔咽頭、肛門、直腸の検体が陽性であれば、エムポックスの確定診断ができますが、陰性であってもMPXV感染を除外するには十分ではありません。血液検査は推奨されていません。抗体検出法は基準検査機関等で行われる後ろ向きの症例分類や特別な研究には利用できます。また、異なるオルソポックスウイルスを区別できないため、診断のための検査としては有用ではありません。
治療は発疹のケア、痛みの管理、合併症の予防が基本です。また、特に重症例や合併症のリスクが高い患者には、テコビリマットなどの抗ウイルス薬を使用します。
公衆衛生上の取り組み
調整
- 保健省は、WHOやその他のパートナーの支援を受けながら、サーベイランス、臨床症例管理、検査能力の強化、医療施設における感染予防管理対策の実践の改善、感染者が報告された州におけるリスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントの実施、緊急対応に向けたワクチン接種戦略の準備を継続しています。
サーベイランス
- 国内全域でエムポックスのサーベイランスが強化されており、特に国家対応計画で定められた8つの州(エクアトゥール州、マインドンベ州、マニエマ州、サンクル州、南キヴ州、南ウバンギ州、ツォポ州、ツァパ州)で優先的に強化されています。
- 2つの州で治療臨床試験に採用されたエムポックスの検査確定症例に関する追加情報は、インシデント管理チームのサーベイランスの中枢部と共有され、国のサーベイランスデータベースに登録されました。
- エムポックス疑い例からのサンプルの収集、輸送、検査のための後方支援が提供されました。エクアトゥール(インゲンデ、ムバンダカ)、北キヴ(ゴマ)、ツォポ(キサンガニ)、ツァパ(ボエンデ)、南キヴ(ブカヴ、カミトゥガ)の各州でGeneXpertカートリッジが調達されました。
新しい系統を標的とした診断戦略
- WHOは2024年5月22日、MPXVの診断検査に関する暫定ガイダンスの更新版を発表し、新しい系統の検出能力を確保するために、各国の診断検査機関および基準検査機関向けの情報を提供しました。
- 特にアウトブレイクや以前感染の報告のない地域での感染例の検査確定のために、クレード特異的なPCRアッセイは、保存遺伝子を標的とするOPXV(Orthopoxvirus)ジェネリックまたはMPXVジェネリックPCRアッセイと併用して使用することが推奨されています。この戦略により、国内で循環する新規MPXVを確実に検出することができます。
- 特に南キヴ州では、症例から新たな系統を検出し、循環しているウイルスをより深く理解するために、臨床検体からのウイルスのゲノム配列決定を増やしています。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメント
- リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントを支援するため、エムポックスの性感染に関する情報を統合したメッセージが開発されました。リスクコミュニケーションのメッセージは、現地の言語にも翻訳されています。
- エクアトゥール州、キンシャサ州、クワンゴ州、南キヴ州、トショ州の感染報告のあったコミュニティでは、エムポックス感染の現状に市民が鋭敏になるよう啓発が開始されました。
- エムポックスに関する全国的な行動変容コミュニケーション計画が策定されました。
症例管理と感染予防・制御
- 感染拡大を防ぐために、自宅療養が可能であると判断された重症でない症例については、自宅または医療機関で直ちに隔離することが、全国的に推奨されています。患者が医師の助言に反して病院を去り、別の場所で食事や医療を求めたり、職業活動を続けたりすると困難が伴います。
- エムポックス患者に対する心理的サポートを含む臨床ケアは、状況に合わせて行われています。重症および重篤なエムポックス感染症に分類された患者は、エムポックス治療センターで治療を受けるために入院しますが、軽度および中等度の感染症患者は、保健所や保健センターで外来患者として治療されます。これらのガイドラインは、急性栄養失調の小児に対する栄養ケアの指針にもなっています。
- エムポックス患者に対するテコビリマットの効果に関する臨床試験は、2つの州で参加者を募っています。
ワクチンと予防接種
- 国の予防接種技術諮問グループ(GTCV;Groupe technique consultatif indépendent sur la vaccination)は2024年2月、緊急対応にLC16とMVA-BNの両ワクチンの使用を推奨しました。
- 国の規制当局(ACOREP;Autorité congolaise de réglementation pharmaceutique)は、2024年5月8日の必須予防接種プログラムの要請を受けて、LC16ワクチンとMVA-BNワクチンのワクチン文書を見直し、緊急対応への一時的な使用を承認しています。
- INRBは、特に小児におけるワクチンの有効性に関する知識のギャップに対処するため、エムポックスワクチンの臨床試験プロトコールの開発調整を主導しています。
- 現在、緊急対応のためのワクチン接種戦略を策定し、免疫原性、有効性、安全性試験の継続を含め、エムポックスワクチンの知識ギャップを解決するための臨床ワクチン試験を開始するための作業が進行中です。
訓練と能力
- WHOとパートナーは、国内の臨床管理ガイダンスの更新、リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントのための資料、サーベイランスツール(症例定義と症例調査フォーム)の更新を含め、保健省がエムポックスに対する公衆衛生対応のためのガイダンスと手順を更新するための支援を続けています。
- WHOとパートナーは、研修、支援監督、指導を通じて、サーベイランス、診断、リスクコミュニケーション、コミュニティエンゲージメント、臨床症例管理における第一線の医療従事者の能力を高めています。
WHOによるリスク評価
コンゴ民主共和国では、流行が確認されている州で報告例のほとんどが、15歳未満の子ども、特に幼児です。特に、迅速で適切な症例管理が限られている、もしくは可能でない場合、乳幼児と5歳未満の子どもは、重症化し死亡するリスクが最も高いです。毎週報告される症例数は一貫して高いままであり、アウトブレイクは地理的に拡大し続けています。また、ほとんどの州で検査を受けた症例の検査陽性率が高いことから、地域社会で未検出の感染が続いている可能性が高いと考えられます。
感染の核となる集団において性的接触を介したMPXVクレードIによる感染は、2023年にコンゴ民主共和国で初めて確認されました。南キヴ州では、ヒトからヒトへの接触(性的および非性的接触)を介してエムポックスの感染が持続しています。
2022年から2024年にかけて世界的に発生した流行では、性的接触は、ヒトとヒトとの粘膜の直接接触、複数のパートナーとの接触、平均してより短い潜伏期間、免疫不全の人におけるより長い感染期間、といった要因のために、ヒトからヒトへのウイルスのより速く効率的な拡散を可能にすることが示されました。北キヴ州で新たに報告されたエムポックスの流行は非常に懸念されています。同国における持続的なヒトからヒトへの性感染による公衆衛生へのさらなる影響は、精力的な対応が必要であることを示しています。
エムポックス患者の重症化と死亡の主な危険因子のひとつは免疫抑制であり、特にHIV感染が進行している患者で顕著です。コンゴ民主共和国の一般成人人口におけるHIV有病率は約1%と推定され、他の地域よりも東部の州で高く、セックスワーカーの有病率は7.5%、男性と性交渉を持つ男性の有病率は7.1%と推定されるなど、主要人口集団ではより高くなっています。HIVの有病率が高く、抗レトロウイルス治療へのアクセスが困難であるため、これらの人々が感染した場合、重症化や死亡のリスクが高くなります。また、幅広い職業グループや家庭内で患者が発生していることから、南キヴ州での流行がすでに幅広いコミュニティに広がっていることが示唆されます。
コンゴ民主共和国におけるMPXV感染の動態に関する理解は、緊急対策が実施されるにつれて改善されつつあります。それにもかかわらず、多くの地域で診断薬がタイムリーに入手できないこと、疫学調査が不完全であること、接触者追跡が困難であること、動物調査が大規模だが結論が出ていないことなどが、迅速な対応を妨げています。人獣共通感染が依然としてこの国の主要な感染源であると考えられている一方で、動物宿主は依然として不明です。南キヴ州と北キヴ州で確認されたヒトからヒトへの感染という新たな特徴は、東部の鉱業州、そして国内の他の地域や国境を接する他の国々でのアウトブレイクのさらなる急速な拡大について懸念を抱かせています。
2024年1月1日から5月26日までに報告された疑い例は7,851例で、2023年の同時期に報告された疑い例は3,924例でした。キンシャサ州や北キヴ州など新たな地域への地理的拡大は2024年も続いています。2024年においてもまだ報告がない州は、26州中3州のみです。新たに罹患した州では、流行地域からの渡航に関連した症例もありますが、二次的または持続的なヒトからヒトへの感染を示す症例もあり、そのうちのいくつかの感染源は不明のままです。天然痘根絶後に集団が同系統のウイルスに曝露されていない状況下でMPXVが入り込んでいる現状は、極めて懸念すべきものです。
サーベイランスと調査警告は、物流と資源の課題によって制限されており、検査機関の能力はキンシャサ州とゴマ州の2カ所の国立検査機関に限られているため、2024年に報告された症例の18%しかPCR検査を受けていません。GeneXpertによる検査はエクアトゥール州と南キヴ州で開始され、検定は現在進行中です。同国におけるエムポックスへの対応能力は、WHOやその他のパートナーの支援に大きく依存しています。
コンゴ民主共和国では、2016年以降、MVA-BNワクチンの免疫原性と安全性の研究が進行中です。GTCVは、同国におけるリスク保有者に対するエムポックスワクチンの使用に関する勧告を発表しました。これには、小児にはLC16を優先的に使用すること、成人にはMVA-BNを使用することが推奨されています。公衆衛生・衛生・予防省(MSPHP;Ministre de la Santé Publique, Hygiène et prévention)は、LC16およびMVA-BNワクチニアベースのエムポックスワクチンを使用することにより、リスクのある人々にワクチン接種を行う意向を表明し、国の規制当局(ACOREP;l'autorité incontournable de régulation et de réglementation des produits)にこれらのワクチンの一時的な使用を認可するよう要請しました。この規制審査は現在進行中です。LC16については、国内でさらなる臨床効果と安全性の研究が計画されています。拡大予防接種計画は、WHO内部やパートナーとの広範な協議を通じて、危険にさらされている人々や地域に対する緊急対応予防接種戦略を策定しています。
抗ウイルス薬であるテコビリマットは、コンゴ民主共和国の2つの試験地、サンクル州のコレとマニエマ州のツンデで臨床効果試験が行われています。この試験は2024年に被験者登録を完了する予定です。テコビリマットへのアクセスは、WHOにコンパッショネート使用(未承認薬剤の危機的な状況下における使用の承認)を要請するか、WHOのMEURI(Monitored Emergency Use of Unregistered and Investigational Interventions)プロトコール(公衆衛生機器状況下で実験場の薬剤を使用してよいか査定する倫理プロトコール)に基づく使用を申請することで可能となります。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントは、ブッシュミートの摂取によるものを含め、これまでコミュニティでの集団発生として報告されてきた感染様式や、特にセックスワーカーやその他の主要な集団の間で新たに報告された性的感染のリスクに対して、極めて重要です。2022年にUSAIDとブレークスルー・アクションが実施した調査によると、コンゴ民主共和国の一般住民の間では、1970年以来、この病気が遠隔地の流行地域で報告されているにもかかわらず、エムポックスに関連するリスクに対する認識は低いままでした。同国では、セックスワーカーや男性と性交渉を持つ男性など、主要な集団に対する保健メッセージがこれまで効果的に普及していないため、彼らはさらなるリスクにさらされています。エムポックスを含む外見に影響を及ぼすような皮膚疾患に罹患している人は、恐怖心やスティグマに悩まされる可能性があり、性的接触を通じて感染するリスクのある人にとっては、さらに悪化する可能性があります。
コンゴ民主共和国でのエムポックス流行の拡大が続いているのは、以下のような理由があります:
感染の核となる集団において性的接触を介したMPXVクレードIによる感染は、2023年にコンゴ民主共和国で初めて確認されました。南キヴ州では、ヒトからヒトへの接触(性的および非性的接触)を介してエムポックスの感染が持続しています。
2022年から2024年にかけて世界的に発生した流行では、性的接触は、ヒトとヒトとの粘膜の直接接触、複数のパートナーとの接触、平均してより短い潜伏期間、免疫不全の人におけるより長い感染期間、といった要因のために、ヒトからヒトへのウイルスのより速く効率的な拡散を可能にすることが示されました。北キヴ州で新たに報告されたエムポックスの流行は非常に懸念されています。同国における持続的なヒトからヒトへの性感染による公衆衛生へのさらなる影響は、精力的な対応が必要であることを示しています。
エムポックス患者の重症化と死亡の主な危険因子のひとつは免疫抑制であり、特にHIV感染が進行している患者で顕著です。コンゴ民主共和国の一般成人人口におけるHIV有病率は約1%と推定され、他の地域よりも東部の州で高く、セックスワーカーの有病率は7.5%、男性と性交渉を持つ男性の有病率は7.1%と推定されるなど、主要人口集団ではより高くなっています。HIVの有病率が高く、抗レトロウイルス治療へのアクセスが困難であるため、これらの人々が感染した場合、重症化や死亡のリスクが高くなります。また、幅広い職業グループや家庭内で患者が発生していることから、南キヴ州での流行がすでに幅広いコミュニティに広がっていることが示唆されます。
コンゴ民主共和国におけるMPXV感染の動態に関する理解は、緊急対策が実施されるにつれて改善されつつあります。それにもかかわらず、多くの地域で診断薬がタイムリーに入手できないこと、疫学調査が不完全であること、接触者追跡が困難であること、動物調査が大規模だが結論が出ていないことなどが、迅速な対応を妨げています。人獣共通感染が依然としてこの国の主要な感染源であると考えられている一方で、動物宿主は依然として不明です。南キヴ州と北キヴ州で確認されたヒトからヒトへの感染という新たな特徴は、東部の鉱業州、そして国内の他の地域や国境を接する他の国々でのアウトブレイクのさらなる急速な拡大について懸念を抱かせています。
2024年1月1日から5月26日までに報告された疑い例は7,851例で、2023年の同時期に報告された疑い例は3,924例でした。キンシャサ州や北キヴ州など新たな地域への地理的拡大は2024年も続いています。2024年においてもまだ報告がない州は、26州中3州のみです。新たに罹患した州では、流行地域からの渡航に関連した症例もありますが、二次的または持続的なヒトからヒトへの感染を示す症例もあり、そのうちのいくつかの感染源は不明のままです。天然痘根絶後に集団が同系統のウイルスに曝露されていない状況下でMPXVが入り込んでいる現状は、極めて懸念すべきものです。
サーベイランスと調査警告は、物流と資源の課題によって制限されており、検査機関の能力はキンシャサ州とゴマ州の2カ所の国立検査機関に限られているため、2024年に報告された症例の18%しかPCR検査を受けていません。GeneXpertによる検査はエクアトゥール州と南キヴ州で開始され、検定は現在進行中です。同国におけるエムポックスへの対応能力は、WHOやその他のパートナーの支援に大きく依存しています。
コンゴ民主共和国では、2016年以降、MVA-BNワクチンの免疫原性と安全性の研究が進行中です。GTCVは、同国におけるリスク保有者に対するエムポックスワクチンの使用に関する勧告を発表しました。これには、小児にはLC16を優先的に使用すること、成人にはMVA-BNを使用することが推奨されています。公衆衛生・衛生・予防省(MSPHP;Ministre de la Santé Publique, Hygiène et prévention)は、LC16およびMVA-BNワクチニアベースのエムポックスワクチンを使用することにより、リスクのある人々にワクチン接種を行う意向を表明し、国の規制当局(ACOREP;l'autorité incontournable de régulation et de réglementation des produits)にこれらのワクチンの一時的な使用を認可するよう要請しました。この規制審査は現在進行中です。LC16については、国内でさらなる臨床効果と安全性の研究が計画されています。拡大予防接種計画は、WHO内部やパートナーとの広範な協議を通じて、危険にさらされている人々や地域に対する緊急対応予防接種戦略を策定しています。
抗ウイルス薬であるテコビリマットは、コンゴ民主共和国の2つの試験地、サンクル州のコレとマニエマ州のツンデで臨床効果試験が行われています。この試験は2024年に被験者登録を完了する予定です。テコビリマットへのアクセスは、WHOにコンパッショネート使用(未承認薬剤の危機的な状況下における使用の承認)を要請するか、WHOのMEURI(Monitored Emergency Use of Unregistered and Investigational Interventions)プロトコール(公衆衛生機器状況下で実験場の薬剤を使用してよいか査定する倫理プロトコール)に基づく使用を申請することで可能となります。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントは、ブッシュミートの摂取によるものを含め、これまでコミュニティでの集団発生として報告されてきた感染様式や、特にセックスワーカーやその他の主要な集団の間で新たに報告された性的感染のリスクに対して、極めて重要です。2022年にUSAIDとブレークスルー・アクションが実施した調査によると、コンゴ民主共和国の一般住民の間では、1970年以来、この病気が遠隔地の流行地域で報告されているにもかかわらず、エムポックスに関連するリスクに対する認識は低いままでした。同国では、セックスワーカーや男性と性交渉を持つ男性など、主要な集団に対する保健メッセージがこれまで効果的に普及していないため、彼らはさらなるリスクにさらされています。エムポックスを含む外見に影響を及ぼすような皮膚疾患に罹患している人は、恐怖心やスティグマに悩まされる可能性があり、性的接触を通じて感染するリスクのある人にとっては、さらに悪化する可能性があります。
コンゴ民主共和国でのエムポックス流行の拡大が続いているのは、以下のような理由があります:
- 2024年に報告された症例の3分の2と死亡者の5分の4以上が、主に既知の流行地域の子どもたちの間で発生しており、例年に比べて高い発生率が続いています。
- 感染の主軸となっている集団や、人口密度の高い鉱山地帯で複数のパートナーを持ち高い移動性を持つ集団の間で、MPXVクレードIの性的接触による感染が、南キヴ州での持続的な地域社会での感染につながっています。
- 性的接触による感染を特徴とする流行により、ヒトからヒトへの感染拡大や地理的拡大を示唆する遺伝子変異を持つMPXVの新しい系統が明らかになりました。このMPXVの新しい系統は、南部および東部の州で新たに報告された地域に影響を及ぼしています。この系統が、国内で循環している他のウイルスよりも本質的に感染力が強いのか、あるいは重症化しやすいのかは不明ですが、HIVや他の性感染症との同時感染が記録されています。
- 2023年と2024年には、キンシャサ州で船による川の移動に関連したエムポックス患者が発生し、市内で集団発生を引き起こしました。報告時点では、キンシャサ州のネセレ保健区域で新たな症例が確認されています。
- サーベイランスを大幅に拡大する努力がなされているにもかかわらず、報告された症例の検査陽性率は高いです(全体で約70%、南キヴ州では約90%)。このことは、感染の過少検出または過少報告を示唆しています。
- 政府は、国内および世界のパートナーからの支援を受けて、国内全域で緊急対応を開始しましたが、このような広い地域で対応するための資源は依然として不十分であり、資源の動員も遅れています。
- 国民の意識は依然として限定的であり、資源は乏しく、州・地域、国、国際レベルで確実な対応を行うためには、技術的支援だけでなく財政的支援も必要です。
- コンゴ民主共和国の近隣の流行州では、MPXV株と遺伝的に類似した症例が流行しており、コンゴ共和国で同時にエムポックスのアウトブレイクが発生しています。
- 南アフリカ共和国では、現在進行中の世界的流行に関連したMPXVクレードIIbによるエムポックスの新たな流行が主要な集団の間で発生しています。南アフリカとコンゴ民主共和国との間の経済活動に関連した渡航が、さらに人々を危険にさらしています。
- 疫学的第16週から第18週にかけて、コンゴ民主共和国サンクル州ロジャ保健地帯の2つの刑務所で、45例のエムポックスの疑いのある集団感染が報告されています。検体が採取され、確認のために研究室に送られ、現在結果待ちの段階です。
WHOからのアドバイス
一般的なアドバイス
すべての国の保健当局および臨床医・医療従事者は、MPXVクレードIIbに関連した世界的なエムポックスの流行がWHOの全地域で進行中であること、流行地域でエムポックスの発生が記録され続けていること、コンゴ民主共和国の東部でより重症度の高いMPXVクレードIの性的感染による流行が続いていることを認識すべきです。ヒトからヒトへの感染に関連するMPXVクレードIの新しい系統は、国境を越えて国際的に広がる新たなリスクを示しており、重症化のリスクが高まる可能性があります。
WHOは各国に対し、2023年8月に発表されたWHO事務局長の常設勧告、特にエムポックスの疫学サーベイランスと、ウイルスのゲノム配列決定を含むWHOの暫定ガイダンスの更新に沿った検査診断能力の強化に引き続き従うよう強く勧告しています。 常設勧告では、すべての国がエムポックスの予防、準備、制御、排除計画を持つべきであると勧告しています。
それぞれの状況に適したリスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントの持続的な実施、リスクのある人へのワクチン接種の維持または開始、適切な症例管理、感染対策の遵守、異なる状況における感染様式と対策の有効性をよりよく理解するための研究の強化、患者のニーズに適応した迅速診断法と治療法の開発への持続的な支援が必要です。
患者数またはクラスター数が依然として少ない場合、保健当局は、ヒトからヒトへのエムポックス感染の伝播を根絶して、アウトブレイクへの対応能力を維持するよう努力すべきです。サーベイランスの低下とウイルスの静かな循環を考慮すると、保健当局は、エムポックスの流行はいつでも発生する可能性があることを想定し、対応に備えるべきです。
エムポックスの臨床診断または検査による確定診断を受けた者は、感染期間中の隔離を含め、その地域の状況に応じて保健当局の指示に従うべきです。確定症例の接触者は、症状出現までの観察期間である21日間は、移動を制限すること(および性的接触を控えること)が求められます。
ワクシニアウイルスからなる天然痘/エムポックスワクチンは、オルソポックスウイルスの抗原性との類似性により、エムポックスを予防します。このため、いくつかの天然痘ワクチンがエムポックス予防のために承認されています。2019年に承認されたMVA-BNや、2022年に承認されたLC16ワクチンなど、副作用の少ない第3世代の天然痘予防ワクチンが利用可能です。特に2022年に世界的な流行が始まって以来、ワクチンの在庫を確保している国も少なくありません。リスクのある人々には天然痘ワクチン接種が推奨されます。
WHOの予防接種に関する戦略諮問委員会 は、アウトブレイク環境におけるエムポックス予防ワクチンの使用と、非アウトブレイク環境における高リスクグループへの予防ワクチン接種に関する勧告を更新しました:
有効性が評価されている段階の抗ウイルス薬にアクセスするためには、通常、国の保健当局を通じてアクセスを要請する必要があります。
エムポックスとHIVの疫学的関連、感染と重症化へのそれぞれの共通の危険因子、適切な症例管理、ワクチンと治療法の有効性についての知識を深めることが不可欠です。危険にさらされている人々に適切な保健サービスを提供し、患者のニーズに応えるために、強化された機敏な保健サービスの中で症例管理を統合することが重要です。
MPXVが哺乳類を宿主またはリザーバーとして循環している可能性のある地域では、ワンヘルス・アプローチを強化する一方で、スティグマを生むことのないよう、繊細に症例を調査し、地域社会におけるエムポックスのヒトからヒトへの感染について深く理解することの重要性を強調することが不可欠です。
WHOは各国に対し、2023年8月に発表されたWHO事務局長の常設勧告、特にエムポックスの疫学サーベイランスと、ウイルスのゲノム配列決定を含むWHOの暫定ガイダンスの更新に沿った検査診断能力の強化に引き続き従うよう強く勧告しています。 常設勧告では、すべての国がエムポックスの予防、準備、制御、排除計画を持つべきであると勧告しています。
それぞれの状況に適したリスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントの持続的な実施、リスクのある人へのワクチン接種の維持または開始、適切な症例管理、感染対策の遵守、異なる状況における感染様式と対策の有効性をよりよく理解するための研究の強化、患者のニーズに適応した迅速診断法と治療法の開発への持続的な支援が必要です。
患者数またはクラスター数が依然として少ない場合、保健当局は、ヒトからヒトへのエムポックス感染の伝播を根絶して、アウトブレイクへの対応能力を維持するよう努力すべきです。サーベイランスの低下とウイルスの静かな循環を考慮すると、保健当局は、エムポックスの流行はいつでも発生する可能性があることを想定し、対応に備えるべきです。
エムポックスの臨床診断または検査による確定診断を受けた者は、感染期間中の隔離を含め、その地域の状況に応じて保健当局の指示に従うべきです。確定症例の接触者は、症状出現までの観察期間である21日間は、移動を制限すること(および性的接触を控えること)が求められます。
ワクシニアウイルスからなる天然痘/エムポックスワクチンは、オルソポックスウイルスの抗原性との類似性により、エムポックスを予防します。このため、いくつかの天然痘ワクチンがエムポックス予防のために承認されています。2019年に承認されたMVA-BNや、2022年に承認されたLC16ワクチンなど、副作用の少ない第3世代の天然痘予防ワクチンが利用可能です。特に2022年に世界的な流行が始まって以来、ワクチンの在庫を確保している国も少なくありません。リスクのある人々には天然痘ワクチン接種が推奨されます。
WHOの予防接種に関する戦略諮問委員会 は、アウトブレイク環境におけるエムポックス予防ワクチンの使用と、非アウトブレイク環境における高リスクグループへの予防ワクチン接種に関する勧告を更新しました:
- アウトブレイクの状況において、地域のリスク評価、様々な感染様式、対応策に柔軟に対応できるよう、ワクチン接種を考慮すべき集団には以下が挙げられます: (i)地理的に定義された地域またはコミュニティ(村落など)において、曝露のリスクが記録されている成人および小児、(ii)複数の性的パートナーがいる者、(iii)曝露を繰り返すリスクのある医療従事者、(iv)エムポックス患者の既知の接触者。
- 予防接種に関する戦略諮問委員会は、アフリカ大陸における本疾患の風土病性、本地域におけるエムポックスの独特な疫学、ワクチン接種への不公平なアクセスに注目し、本地域におけるエムポックスの疫学およびワクチン研究を促進し、ワクチン接種への公平なアクセスを促進するための緊急措置を講じるよう、行動を強く呼びかけました。研究は、流行対応にも組み込まれるべきです。
有効性が評価されている段階の抗ウイルス薬にアクセスするためには、通常、国の保健当局を通じてアクセスを要請する必要があります。
エムポックスとHIVの疫学的関連、感染と重症化へのそれぞれの共通の危険因子、適切な症例管理、ワクチンと治療法の有効性についての知識を深めることが不可欠です。危険にさらされている人々に適切な保健サービスを提供し、患者のニーズに応えるために、強化された機敏な保健サービスの中で症例管理を統合することが重要です。
MPXVが哺乳類を宿主またはリザーバーとして循環している可能性のある地域では、ワンヘルス・アプローチを強化する一方で、スティグマを生むことのないよう、繊細に症例を調査し、地域社会におけるエムポックスのヒトからヒトへの感染について深く理解することの重要性を強調することが不可欠です。
コミュニティにおいて
特に最もリスクの高い人々のグループや、影響を受けている個人や世帯の間で、エムポックスの性的感染のリスクに関するコミュニケーションを強化しなければなりません。地域社会のリーダーたちが、エムポックスとそのまん延を食い止める方法について地域社会に知らせ、関与させるための対策を実施するのを支援し、関与させるための啓発活動があらゆるレベルで必要です。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントは、影響を受けているコミュニティがリスクと予防行動について認識するよう動機付ける上で不可欠です。社会行動データを収集し、状況分析を行い、感染要因や感染者をよりよく理解する必要があります。この情報は、意思決定を改善し、対応努力が地域社会のニーズ、優先事項、能力に沿ったものであることを確認し、リスクコミュニケーション計画やエビデンスに基づくコミュニティエンゲージメントの開発に役立てることができます。
医療専門家、商業的セックスワーカー、男性と性交渉を持つ男性、トランスジェンダーおよびジェンダーに多様性を持つ人々、性行為が行われる場所やイベントで働く人々や参加する人々、より重篤な疾病の危険にさらされている人々(未治療またはコントロール不良のHIV感染者を含む)など、主要な対象者が特定されるべきです。
コミュニティエンゲージメントを促進するために、これらの地域社会と協力している信頼できるネットワークとパートナーシップを確立し、双方向のフィードバックシステムを確立・活性化すべきです。スティグマと差別を理解し、防ぎ、闘うための対策に特に注意を払うべきです。これらは決して容認できるものではなく、流行への対応を損ない、健康転帰に深刻な影響を及ぼしかねません。
これに加えて、自宅でのケアが考慮される非重症のエムポックス患者については、実施すべき感染予防管理対策として以下が挙げられます:患者は、他の世帯員とは別の場所に隔離し、家庭内の共有エリアから遠ざけることです(例えば、他の世帯員とは別の換気のよい専用の部屋に滞在するなど)。
患者は、他の人と接近するときや、指定された隔離区域の外に移動するとき(例えば、トイレを使用するとき)には、ぴったりとした医療用マスクを着用し、病変部を覆うべきです。食器や調理器具、家具、ベッド、トイレ、床などの家庭の表面、または患者が接触した場所は、水と石鹸で洗浄し、定期的に消毒します(一般的な家庭用消毒剤や漂白剤など)。頻繁に触れる表面には注意を払いましょう。地域環境における患者や医療・介護従事者のIPC対策に関する詳しいガイダンスは、「エムポックスの臨床管理と感染予防・管理:中間迅速対応ガイダンス(Clinical management and infection prevention and control for monkeypox: Interim rapid response guidance, 10 June 2022 (who.int))」を参照してください。
リスクコミュニケーションとコミュニティエンゲージメントは、影響を受けているコミュニティがリスクと予防行動について認識するよう動機付ける上で不可欠です。社会行動データを収集し、状況分析を行い、感染要因や感染者をよりよく理解する必要があります。この情報は、意思決定を改善し、対応努力が地域社会のニーズ、優先事項、能力に沿ったものであることを確認し、リスクコミュニケーション計画やエビデンスに基づくコミュニティエンゲージメントの開発に役立てることができます。
医療専門家、商業的セックスワーカー、男性と性交渉を持つ男性、トランスジェンダーおよびジェンダーに多様性を持つ人々、性行為が行われる場所やイベントで働く人々や参加する人々、より重篤な疾病の危険にさらされている人々(未治療またはコントロール不良のHIV感染者を含む)など、主要な対象者が特定されるべきです。
コミュニティエンゲージメントを促進するために、これらの地域社会と協力している信頼できるネットワークとパートナーシップを確立し、双方向のフィードバックシステムを確立・活性化すべきです。スティグマと差別を理解し、防ぎ、闘うための対策に特に注意を払うべきです。これらは決して容認できるものではなく、流行への対応を損ない、健康転帰に深刻な影響を及ぼしかねません。
これに加えて、自宅でのケアが考慮される非重症のエムポックス患者については、実施すべき感染予防管理対策として以下が挙げられます:患者は、他の世帯員とは別の場所に隔離し、家庭内の共有エリアから遠ざけることです(例えば、他の世帯員とは別の換気のよい専用の部屋に滞在するなど)。
患者は、他の人と接近するときや、指定された隔離区域の外に移動するとき(例えば、トイレを使用するとき)には、ぴったりとした医療用マスクを着用し、病変部を覆うべきです。食器や調理器具、家具、ベッド、トイレ、床などの家庭の表面、または患者が接触した場所は、水と石鹸で洗浄し、定期的に消毒します(一般的な家庭用消毒剤や漂白剤など)。頻繁に触れる表面には注意を払いましょう。地域環境における患者や医療・介護従事者のIPC対策に関する詳しいガイダンスは、「エムポックスの臨床管理と感染予防・管理:中間迅速対応ガイダンス(Clinical management and infection prevention and control for monkeypox: Interim rapid response guidance, 10 June 2022 (who.int))」を参照してください。
医療現場において
医療、集会、または家庭環境における感染予防および管理対策の実施は、エムポックスの感染を予防および管理するために必要です。標準予防策や感染予防策を含む管理対策について、職員を訓練することが重要です。また、スタッフは個人防護具を利用し、適切に着用し、WHOの5つの手指衛生に関するアドバイスを遵守し、患者環境の頻繁な清掃と消毒を確実に行い、適切な患者の配置と隔離を実施すべきです。エムポックスの感染予防策は接触予防策と飛沫予防策であり、医療・介護従事者に推奨されるPPEは手袋、ガウン、呼吸器(N95、FFP2など)、眼保護具です。医療現場では、接触・飛沫予防策に加えて、水痘帯状疱疹ウイルス(水痘など)が疑われる場合は、それが除外されるまで空気感染予防策を実施すべきである。エムポックス患者のケアに必要なIPC対策に関する詳しいガイダンスは、「エムポックスの臨床管理と感染予防・管理:迅速対応ガイダンスの中間報告(Clinical management and infection prevention and control for monkeypox: Interim rapid response guidance, 10 June 2022 (who.int))」を参照してください。
推奨される対策で自分自身を守ると同時に、医療・介護従事者は、エムポックス患者へのスティグマを避けること、患者とその家族に心理的サポートを提供することを確実にすべきです。
臨床検体や検査検体を採取する場合、 MPXV に感染している疑いのある人や動物から採取した検体は、設備の整った検査室で訓練を受けた職員が取り扱うべきです。MPXV の確認は、検体の種類と質、検査室の検査の種類によって異なります。従って、検体は国内および国際的な要件に従って梱包され、輸送されなければならなりません。RT-PCRは、その正確さと感度を考えると、望ましい検査法です。そのためには、小水疱や膿疱の液、乾燥した痂皮(かさぶた)などの皮膚病変から診断用検体を採取する必要があります。PCR血液検査は、ウイルス血症の持続時間が症状発現後の検体採取時間に比べて短いため、一般的に決定的な結果が得られません。オルソポックスウイルス全般が血清学的に反応するため、抗原および抗体検出法はエムポックスに特異的ではありません。したがって、検査施設は保健当局を支援し、皮膚病変のスワブ検体の採取に適した検体採取用品を提供することが不可欠です。
推奨される対策で自分自身を守ると同時に、医療・介護従事者は、エムポックス患者へのスティグマを避けること、患者とその家族に心理的サポートを提供することを確実にすべきです。
臨床検体や検査検体を採取する場合、 MPXV に感染している疑いのある人や動物から採取した検体は、設備の整った検査室で訓練を受けた職員が取り扱うべきです。MPXV の確認は、検体の種類と質、検査室の検査の種類によって異なります。従って、検体は国内および国際的な要件に従って梱包され、輸送されなければならなりません。RT-PCRは、その正確さと感度を考えると、望ましい検査法です。そのためには、小水疱や膿疱の液、乾燥した痂皮(かさぶた)などの皮膚病変から診断用検体を採取する必要があります。PCR血液検査は、ウイルス血症の持続時間が症状発現後の検体採取時間に比べて短いため、一般的に決定的な結果が得られません。オルソポックスウイルス全般が血清学的に反応するため、抗原および抗体検出法はエムポックスに特異的ではありません。したがって、検査施設は保健当局を支援し、皮膚病変のスワブ検体の採取に適した検体採取用品を提供することが不可欠です。
入国地点において
WHO事務局長によると、改正国際保健規則(IHR (2005))に従い、締約国は、当局、医療・介護従事者、地域団体に対し、エムポックスがリスクをもたらす可能性のある行事や集会への渡航前、渡航中、渡航後に、旅行者自身や他者を守るための関連情報を提供するよう奨励することが推奨されます。
WHOは、各国に対し、入国審査や出国審査、検査やワクチン接種の要件など、エムポックスに特化した渡航関連の健康対策を実施しないよう勧告します。
WHOは、各国に対し、入国審査や出国審査、検査やワクチン接種の要件など、エムポックスに特化した渡航関連の健康対策を実施しないよう勧告します。
出典
World Health Organization (14 June 2024). Disease Outbreak News; Mpox - Democratic Republic of the Congo
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2024-DON522
https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2024-DON522
海外へ渡航される皆様へ
エムポックスは、MPXVによって引き起こされる感染症です。症状には特徴的な発疹、発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節の腫れ、疲労感が含まれます。
1. 情報収集:
例)WHO Mpox Situation Report
https://www.who.int/publications/m/item/multi-country-outbreak-of-mpox--external-situation-report-34--28-june-2024
2. 個人防護:
3. 健康管理:
これらのアドバイスに従い、安全な旅行を心がけ、エムポックスの感染リスクを減らしましょう。
1. 情報収集:
- 渡航先のエムポックスの発生状況や、FORTHウェブサイト、現地の健康当局が発表する最新の情報を確認してください。
- WHOや各国の保健機関のウェブサイトを定期的にチェックしましょう。
例)WHO Mpox Situation Report
https://www.who.int/publications/m/item/multi-country-outbreak-of-mpox--external-situation-report-34--28-june-2024
2. 個人防護:
- 体調不良や明らかな皮膚病変のある人との接触、不特定多数、見知らぬ人やコマーシャル・セックスワーカーとの性交渉を避けましょう。
- 肌と肌が触れ合う可能性が高い、参加者の露出度が高いような感染のリスクが高い場所やイベントへ行くことは避けるようにしましょう。
- 一般的な感染対策として、公共の場では、手指衛生を徹底し、手洗いを頻繁に行いましょう。
3. 健康管理:
- 渡航中に特徴的な皮疹をはじめ、エムポックスを疑うような症状があらわれた場合は、エムポックスの可能性を伝えたうえで、すぐに医療機関を受診してください。
- 渡航後21日間は、自身の健康状態を観察し、発熱、発疹、リンパ節の腫れなどの症状が現れた場合は医療機関に事前に連絡をした上で、速やかに受診しましょう。
- 感染が疑われる場合は、他の人との接触を避け、特に性的接触は控えてください。
- エムポックスと診断された場合は、保健所や医療機関の指示に従い、必要な治療を受け、自宅等における感染対策を徹底しましょう。
これらのアドバイスに従い、安全な旅行を心がけ、エムポックスの感染リスクを減らしましょう。
備考
厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成。
For translations: “This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for the content or accuracy of this translation. The original English edition “[Title]. Geneva: World Health Organization; [Year]. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and authentic edition”.
For adaptations: “This is an adaptation of an original work “[Title]. Geneva: World Health Organization (WHO); [Year]. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition”.
For translations: “This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for the content or accuracy of this translation. The original English edition “[Title]. Geneva: World Health Organization; [Year]. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and authentic edition”.
For adaptations: “This is an adaptation of an original work “[Title]. Geneva: World Health Organization (WHO); [Year]. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO”. This adaptation was not created by WHO. WHO is not responsible for the content or accuracy of this adaptation. The original edition shall be the binding and authentic edition”.