スーダンウイルス病 ウガンダ共和国(2025年3月8日)

状況概要

2025年1月30日にウガンダ共和国(以降、「ウガンダ」と表記する。)でスーダンウイルス病の発生が宣言されて以来、2025年3月5日現在、4例の死亡例(確定症例2例、可能性例2例)を含む合計14例の感染者(確定症例12例、可能性例2例)が報告されています。2025年3月1日、保健省は10例目の症例の確認を発表しました。患者は5歳未満の小児で、2025年2月23日に発症し、ムラゴ病院を受診し、その後、死亡しました。3月5日現在、この症例に関連して、さらに2例の確定症例と2例の可能性例の死亡例が報告されています。これらの症例はいずれも現在治療施設に入院中です。8例の確定症例が首都カンパラとムバレの治療センターで治療を受け、2025年2月18日に退院しました。2025年3月5日現在、カンパラ、ントロコ、ワキソで192人の新たな接触者が確認され、経過観察中です。スーダンウイルス病の予防と治療のためのワクチンや治療薬が認可されていないため、公衆衛生に深刻な影響を及ぼす危険性が高いと考えられます。


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発生の詳細

2025年2月21日に発表された第2報以降、ウガンダではさらに3例の確定症例と2例の可能性例の死亡例が報告されています。2025年3月5日現在、12例の確定症例と2例の可能性例が報告され、このうち4例(確定症例2例、可能性例2例)が死亡し、致命率は29%でした。最新の確定症例は、疫学的に可能性例2例と関連していると報告されています。 確定症例の年齢範囲は生後18か月から55歳で、平均年齢は27歳、男性が全体の55%を占めています。症例はジンジャ、カンパラ、キェゲグワ、ムバレ、ントロコ、ワキソの6地区から報告されました(図1)。
2025年3月1日、保健省は新たな症例が確認されたとの声明を発表しました。この症例はムラゴ病院で確認された5歳未満の小児で、患者は疑い例の定義に合致する徴候や症状を呈していました。検査検体が採取され、2月26日にPCR法でスーダンウイルス病と確認されました。調査の結果、この症例に関連した2例の死亡が報告されました。そのうちの1例は症状出現時に妊娠中だった母親で、1月22日に発症し、2月6日に死亡しました。彼女の新生児は2月12日に死亡しました。この3例の死亡例では管理された埋葬は行なわれていませんでした。3月3日に11例目として、10例目の症例の接触者である成人女性の感染が確認され、3月4日にはさらに10例目の母親(可能性例)の接触者である成人女性が12例目として確認されました。これら2例は現在治療施設に入院中です。また、2025年3月5日現在、8例が回復し退院しています。
 
図1:2025年1月30日から3月5日までにウガンダで報告されたスーダンウイルス病確定症例および可能性例の分布


図2:報告されたスーダンウイルス病症例の発症日別疫学曲線、2025年3月5日時点のデータ(n=12)


 
 
3月5日現在、新たに探知された症例の周辺で接触者192人が新規にリストアップされており、これまでにリストアップされた299人が21日間のフォローアップ期間を終了しています。
地域社会や医療機関からのスーダンウイルス病の報告件数は少なく、これを改善するための努力が続けられています。死亡率サーベイランスも、アウトブレイク宣言以来、ジンジャ、カンパラ、ムバレ、ントロコ、ワキソの各県で実施されており、今後も継続される予定です。
アウトブレイクの発生源を突き止めるため、後方視的な疫学調査および実験室調査が進行中であり、一方、患者の行動歴に関連したコミュニティや医療施設周辺での積極的な症例調査が強化されています。
 

スーダンウイルス病の疫学

スーダンウイルス病は、エボラウイルスと同じ科に属するスーダンウイルスによって引き起こされるウイルス性出血熱疾患で、致命率の高い重篤な感染症です。典型的には、非特異的な症状および徴候(腹痛、食欲不振、疲労、倦怠感、筋肉痛、咽頭痛など)を伴う発熱の急性発症が特徴で、通常、数日後に吐き気、嘔吐、下痢、時に多様な発疹が続いて出現します。しゃっくりが出ることもあります。重症化すると、出血症状(穿刺部位からの出血、斑状出血、点状出血、内臓液貯留など)、脳症、ショック/低血圧、多臓器不全、感染した妊婦の自然流産などが起こることがあります。回復しても後遺症(例えば、関節痛、神経認知機能障害、ぶどう膜炎、時には白内障の形成など)が長引くことがあり、症候性および不顕性持続感染が免疫特権部位(免疫応答が発動しにくい部位:中枢神経系、眼、精巣など)で起こることがあります。ヒトからヒトへの感染は、血液、その他の体液、臓器、または汚染された表面や物質との直接接触によって起こり、そのリスクは臨床症状の発現時から始まり、疾患の重症度とともに増大します。家族、医療従事者、埋葬儀式の参加者など、死体に直接接触した者は特にリスクが高いとされています。潜伏期間は2~21日の範囲ですが、通常は7~11日です。
 

公衆衛生上の対応

保健当局は、以下を含む公衆衛生対策を実施しています:

調整:
  • 保健省は、インシデント・マネジメント・チームを含む国レベルおよび地方レベルの調整機構を活性化し、発生地域に緊急対応チームを派遣しました。フォートポータル、ントロコ、カンパラ、ムバレの各地区で地域緊急対策センターが稼動しました。
国は国家対応計画(2025年2月~4月の期間)を策定しました。この対応計画は、現在の対応の優先順位を反映するよう更新され、過去のアウトブレイクから学んだ教訓に基づいています。この計画では、リスクに応じて、基本的な最低限の活動パッケージが各地区に展開されています。 
                                                                                                                                        サーベイランスと接触者の追跡 
  • 保健省は、世界保健機関(WHO)やパートナーの支援を受けて、フリーダイヤルを備えたアラートデスクの設置を含むアラート管理を実施し、症例定義に合致する全国からのアラートを検知・確認しています。1月30日以降、全国から1,300件以上のシグナルが報告され、112件のアラートが疑い例として確認されました。
  • 保健省は、パートナーからの支援を受けて、すべての確定症例と可能性例について詳細な疫学調査を実施するチームを割り当て、感染の連鎖を特定し、阻止しています。
  • 保健省は、症例の接触者リストを作成し、接触者を毎日追跡調査するチームを配置しました。
  • アウトブレイクの宣言後、保健省はWHOの支援を受けて死亡率サーベイランスを確立しました。770人以上の非外傷死亡者について、感染が報告されている地区のコミュニティや医療施設で検査が行われ、1例が陽性と判定されました(症例10)。
  • 保健省は、疑い例を通知するためのホットラインを設置しました。
  • 保健省は、エンテベ国際空港を含むウガンダの13の入国者の多い入国地点で、旅行者に対し、スーダンウイルス病の徴候や症状のスクリーニングを実施しています。
 
症例管理:
  • 保健省は、WHOやパートナーの支援を受け、ジンジャ、カンパラ、ムバレ、そして現在ではフォートポータルの4カ所に隔離治療ユニットを設置し、確定症例は最適な支持療法を受けています。治療薬の臨床試験の計画も進行中です。
  • この病気から回復した患者は、サバイバーケアプログラムに組み入れられ、支援とケアを受けています。
  • 保健省は症例管理戦略を拡大し、すべてのホットスポットで疑い例と確定症例に十分なケアを提供できる能力を確保しています。
 
検査室
  • 保健省とパートナーは、検査室の能力を強化し、検査結果の所要時間を短縮するため、ムバレに移動検査室を配備しました。
  • 保健省は、最初に確認された症例の検体について全ゲノム塩基配列の解析を実施し、その結果からは今回のアウトブレイクは動物からヒトへの感染(スピルオーバー事象)による可能性が高いことが示唆されています。その後の確定症例の検体についても全ゲノム塩基配列の解析が実施されました。
 
感染予防と管理
  • 保健省は包囲的な感染予防管理(IPC ; Infection Prevention and Control)対応の調整機能を活性化しています。
  • 保健省は、確定症例が訪問した場所の清掃と消毒を含む、症例周辺のIPCを実施、整備させました。
  • 公式発表の中で、保健省は医療従事者、地区指導者、一般市民に対し、疑い例の発見を強化し、適切な感染予防・管理対策を実施するよう勧告しました。
  • 保健省は、パートナーの支援を受けて、感染予防と管理活動を急増・強化しており、特に、疑い例をよりよく発見するために、医療施設でのスクリーニング、隔離、通知の体制を改善しています。
  • 保健省は、エボラ出血熱の流行に対応するための感染予防と管理対策について、医療従事者にオリエンテーションを行っています。
 
リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメント(RCCE
  • RCCEチームは、対策の他の部門がよりコミュニティにアクセスできるように、統合的なコミュニティ・エンゲージメントの手法を採用しています。これにより信頼関係を築き、接触者追跡、症例調査、サーベイランス、隔離ユニットへの紹介、心理社会的支援の提供が強化されます。
  • 人類学的調査は、コミュニティの懸念やリスク行動を特定し、コミュニティからの忌避を減らし、各対策分野においてエビデンスに基づいた意思決定を強化するために行われます。
予防行動と健康増進行動を促進するための公衆衛生メッセージの作成と普及、信頼関係を構築するためのコミュニティ・エンゲージメント、心理社会的支援の提供を推進します。

研究開発
  • 研究の優先順位:フィロウイルス科共同公開研究コンソーシアム(FILOVIRUS CORC ; Collaborative Open Research Consortium)は、スーダン・エボラウイルス全般と今回のアウトブレイクに関する研究の優先順位を検討・特定するため、2回の国際協議を開催しました。この2回の協議には、それぞれ世界中から200人以上の科学者が参加しました。
  • リングワクチン接種試験 :1月30日にアウトブレイクが確認されると、ウガンダのマケレレ大学とウイルス研究所(UVRI)の研究者たちは、WHOの支援を受けて、ワクチン接種試験を開始するために迅速に動員されました。試験開始はアウトブレイク報告からわずか4日後であり、緊急性を反映しつつも、厳格な倫理・規制基準は守られました。この試験は確定症例の一次および二次接触者に対してワクチンを接種し、バリアを形成し感染連鎖を断ち切るというリングワクチン接種のモデルに従っています。
    プロトコルの開発と研究の優先順位の設定は、MARVACコンソーシアムおよびFILOVIRUS CORCを通じて行われました。欧州保健緊急事態準備・対応局(HERA; Health Emergency Preparedness and Response ) およびカナダの国際開発研究センター(IDRC; International Development Research Centre)は、流行間期における準備フェーズの間に、これらの重要な試験プロトコルの開発を支援しました。
    HERAおよびIDRCは、WHOとともにこの試験に対する資金支援も提供しました。感染症流行対策イノベーション連合も支援を提供し、さらにアフリカ疾病予防管理センターから追加支援を受けました。ワクチン自体はIAVIによって寄贈され、追加支援としてアフリカ疾病予防管理センターも協力しました。
  • 治療薬試験:現在、いくつかの有望な候補治療薬が臨床開発の段階を進んでいますが、スーダンウイルス種によるエボラウイルス病の将来の発生に効果的に対応できる承認済みの治療法はまだ存在しません。この試験が成功すれば、アウトブレイク対策の強化および候補ワクチンの将来的な規制承認の支援において重要な役割を果たす可能性があります。多くの開発企業が候補ワクチンおよび治療薬の提供を促進しました。MappBio社は候補となるスーダンウイルスモノクローナル抗体を提供し、Gilead社は抗ウイルス薬レムデシビルを提供しました。
 
WHOは国の当局を以下の方法で支援しています:
  • リスク評価と調査を実施しています。
  • 迅速な対応を確保するため、作戦・財政・技術支援を提供します。(WHOの緊急時対応資金から総額340万米ドルを拠出し、政府主導の対応を支援)
  • 国の検査体制を支援し、検体採取・輸送・診断検査の実施を促進します。
  • 医療施設およびエボラ治療ユニットの感染予防・管理対策を強化します。(カンパラ、ムバレ、ルウェロ地区において、IPCリングの活性化活動、医療施設の迅速評価、医療従事者の能力強化、指導・監督支援、主要なガイダンス・標準作業手順書・ツールの開発支援を含む)
  • 候補ワクチンおよび治療薬へのアクセスを促進し、ワクチン試験の開始を支援します(全ての確定症例を中心としたリングが定義され、接触者には試験への同意が求められました)。この支援の一環として、「TOKEMEZA SVD」ワクチン試験が2025年2月3日に開始され、「TOKOMEZA immuno」(追加研究)が2025年3月1日に開始されました。
  • 疑い例のための隔離センターおよびエボラ治療ユニットの設置を支援します。(カンパラおよびムバレに2つのエボラ治療ユニットを設置)
  • 政府の供給を補完するための物流支援を動員します。(IPC用品、医薬品、蘇生・モニタリング機器、入院用パッケージ、マットレスなどを含む)
  • 対応支援のために専門家47人をムバレ、カンパラ、ワキソ、ジンジャ地区に派遣します(調整、サーベイランス、検査、物流、感染予防と管理、リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメント、症例管理などの分野を支援)。
  • 2人の人類学者の派遣を通じて、誤情報に対抗しコミュニティ・エンゲージメントを強化するためのRCCE活動を支援しています。
  • 強化された統合型リスクコミュニケーションおよびコミュニティ・エンゲージメントを推進します(村の保健チーム、伝統的ヒーラー、宗教指導者、教師の啓発および訓練を実施)。
  • 社会・行動データを収集し、エビデンスに基づいた対応を実施して、地域社会の不安や懸念、噂、誤情報・偽情報に対処します。

WHOによるリスク評価

スーダンウイルス病は、ヒトに影響を与える重篤で致死的な病気です。スーダンウイルスは1976年6月にスーダン南部で初めて確認されました。それ以来、このウイルスは定期的に出現し、現在までにウガンダで5件、スーダンで3件の計8件のスーダンウイルスによるアウトブレイクが報告されています。スーダンウイルス病の致命率は、過去の集団発生で41%から70%と幅があります。
スーダンウイルスは、この地域に生息する宿主動物内で保持されています。ウガンダでは5回のスーダンウイルス病発生が報告されています(2000年に1回、2011年に1回、2012年に2回、2022年に1回)。 今回の発生はウガンダにおける6回目のスーダンウイルス病発生です。ウガンダはまた、2007年にブンディブギョ・ウイルス病のアウトブレイクを報告し、2019年にはコンゴ民主共和国から流入したエボラウイルス病のアウトブレイクを報告しています。ウガンダにおける最新のスーダンウイルス病アウトブレイクは、2023年1月11日に終息が宣言されました。9つの地区で合計164例の感染例と55例の死亡例が報告されました。
ウガンダはスーダンウイルス病を含むエボラ出血熱のアウトブレイクに対応した経験があります。現在進行中の流行では、首都カンパラを含む人口の移動が激しいいくつかの地区から感染者が報告されています。症例は、伝統的なヒーラーを含むいくつかの医療施設で治療を受け、一部の症例は発病後期の段階で発見されたり、死亡したりしています。政府は、パートナーからの支援を受けて、効果的な制圧のためにいくつかの公衆衛生活動を実施しています。
スーダンウイルス病の予防と治療のための認可されたワクチンや治療薬が存在しないため、公衆衛生に深刻な影響を及ぼす危険性が高いと考えられます。地域住民の死亡、民間施設や病院、その他の地域医療サービスでの患者のケア、また保護や感染予防・管理対策が限定的な伝統的ヒーラーでのケアは、多くの感染連鎖の高いリスクを伴います。発生源と発生範囲、および首都カンパラから他の地区への感染拡大の可能性を特定するための調査が進行中です。近隣諸国への感染拡大のリスクを軽減するため、さまざまな入国地点で出国審査が行われています。
 

WHOからのアドバイス

スーダンウイルス病を含むエボラ出血熱の効果的な制圧は、症例管理、サーベイランスと接触者追跡、強力な検査システム、医療とコミュニティにおける感染予防と制圧対策の実施、安全で尊厳のある埋葬、コミュニティ・エンゲージメントと社会動員を含む一連の介入策の適用にかかっています。
スーダンウイルス病アウトブレイクを制圧するためには、リスクコミュニケーションとコミュニティ・エンゲージメントが不可欠です。これには、症状、感染の危険因子、防御策、医療施設で直ちに治療を受けることの重要性に対する認識を高めることが含まれます。また、安全で尊厳のある埋葬に関する繊細で協力的な情報も重要です。特に、伝統的ヒーラー、聖職者、「ボダボダ」と呼ばれるバイクタクシーの運転手、地域コミュニティの指導者など、地域社会で重要な情報源となる人々と積極的に関与することに特別な注意を払う必要があります。また、対象者を絞ったキャンペーンや、発生したコミュニティや近隣のコミュニティとの直接的な活動を通じて、意識を高める必要があります。社会行動データを収集するために、迅速な質的評価から得られた知見を今後も活用すべきです。最近の証拠に基づいて強化すべき優先分野は、死亡率サーベイランス、接触者追跡、安全で尊厳のある埋葬です。 信頼関係を醸成し、早期の症状報告を促進するために、誤情報や噂に対処すべきです。
集中的な支持療法を早期に開始することで、生存の可能性が高まります。感染の連鎖を止め、疾病による死亡率を減少させるためには、上記のすべての介入策を感染地域で徹底的に実施する必要があります。症例定義に適合する徴候や症状を示す患者、接触者、感染地域の個人は、生存の可能性を高め、感染を抑えるために、渡航を控え、指定された施設で早期に治療を受けるよう助言されるべきです。
WHOは各国に対し、エボラ出血熱から回復した人々を支援するために、包括的なケアプログラムを実施し、その後の後遺症に対応することを各国に推奨しています。また、体液検査を受けられるように支援し、感染した体液を介した感染のリスクを適切な方法で軽減することを奨励しています。
近隣諸国との連携を強化し、報告メカニズムの調和を図り、共同調査を実施し、重要なデータをリアルタイムで共有すべきです。周辺国は、症例の早期発見、隔離、治療を可能にするための準備活動を強化すべきです。
現在さまざまなワクチンや治療薬の候補が、開発段階にあります。2020年以降、WHOは科学的審議を招集し、医療対策候補の優先順位付けと臨床試験デザインを検討する独立したプロセスを立ち上げました。1つのワクチン候補と2つの治療薬候補(モノクローナル抗体と抗ウイルス薬)が推奨され、国内で入手可能な状況にあり、無作為化臨床試験プロトコルによる評価(臨床的有効性と安全性)が行われています。
2022年の前回のアウトブレイクを踏まえ政府がとった準備措置と、WHOが主導した世界的な研究協力(最初のMARVAC、現在のFILOVIRUS CORC)により、流行宣言からわずか4日後にワクチン候補の治験が開始されました。各国当局の承認が下り次第、治療薬の臨床試験が開始される予定です。
ザイール種由来のエボラウイルス病に対して認可されている2種類のワクチンは、スーダンウイルス病に対する交差防御を提供しないため、今回のアウトブレイクでは使用できません。
WHOは、現在の流行に関する入手可能な情報に基づき、ウガンダへの渡航や貿易を制限しないよう勧告しています。
 
 
 

出典

World Health Organization(8 March 2025)Disease Outbreak News; Sudan virus disease – Uganda
  https://www.who.int/emergencies/disease-outbreak-news/item/2025-DON558

海外へ渡航される皆様へ

スーダンウイルス病は、ウイルス性出血熱であるエボラ出血熱の一種で、致命率の高い重篤な感染症です。感染者の体液や汚染された物品への接触を通じて感染が拡がり、家族や医療従事者、葬儀で感染者に触れる人は特に感染のリスクが高いということが分かっています。現在、スーダンウイルス病に対する特異的な治療法や認可されたワクチンはありません。


1.   コウモリや霊長類など、ウイルスを持っている可能性のある野生動物との接触を避ける。
  洞窟や鉱山など、コウモリがいる場所への立ち入りは控えてください。また、コウモリや霊
  長類に触れたり、コウモリ由来の食品を摂取したりしないようにしましょう。
2. 体液との接触を避ける。
  スーダンウイルス病の患者、感染の疑いのある者や動物の血液、体液に直接触れないように
  注意してください。
3. 感染対策を徹底する。
  手洗いをこまめに行い、手指消毒剤を携帯することをお勧めします。滞在中、もし体調不良
  を感じたら、すぐに現地の医療機関に連絡し、医師の指示に従ってください。
4. 渡航中・渡航後の健康管理を徹底する
  渡航中・渡航後の体調の変化に注意し、発熱や体調不良があれば、すぐに医療機関を受診
  し、最近の渡航歴を伝えましょう。また、入国の際に体調に異状がある場合は、検疫官にお
  知らせください。

 
 
 
 
 

備考

厚生労働省委託事業「国際感染症危機管理対応人材育成・派遣事業」にて翻訳・メッセージ原案を作成。
 
For translations: “This translation was not created by the World Health Organization (WHO). WHO is not responsible for the content or accuracy of this translation. The original English edition “Sudan virus disease-Uganda.Geneva: World Health Organization; 2025. Licence: CC BY-NC-SA 3.0 IGO” shall be the binding and authentic edition”.